監理

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監理(かんり、英:Supervision[1])とは、監督下においての管理、取り締まりを表す語。

概要

広辞苑では監督と管理をすることとなっており、他に講談社類語辞典では「監督しながら管理する」となっている。

大辞林では「幹理」とも書き、内容は「監督し取り締まること」となっており、文章用例に明治8年(1875年)4月(発行日は5月14日)に明六社から刊行された啓蒙雑誌である『明六雑誌』第35号の津田真道「夫婦同権弁」にある「私財と雖も之を幹理するの権なし」[2]のほか、電波監理局(いまでいう総合通信局)を挙げている。そして、同音語の「管理」は、組織などを取りしきったり、施設や機械などを良い状態に維持したりすることとしており、それに対して「監理」は規則を適用して監督し取り締まることとし、また狭義では、行政上の監督・規制のこととしている。管理がみずから物事を切り盛りするのに対して、監理はルール通りに正しく行われているかを第三者・公的立場から監督するという法的な意味合いで使い分けられている。

小学館『日本国語大辞典』では「監督し、処理すること。取り締まること。」とし、例として庄原謙吉『漢語字類』 (1869年刊)では「幹理 カンリ トウドッテトリアツカフ(動どって取り扱ふ[3])」から、主体的に物事を切り回して処理・担当する、取り扱うことを表しているとしている。この辞典でも『明六雑誌』の「夫婦同権弁」での文章の一節「一家の主として家事を幹理する者は夫なり」を例として挙げているほか、徳田秋声『徽』(1911年)一二の一節「それでK―が貸家監理かたがた此処へ来ることになった」を紹介している。

ITの世界を例にすると、開発ベンダー側でプロジェクト管理つまりプログラムの納期やエンジニアタスクの実務的「管理」をするが、それに対し、発注者側の利益を守るために第三者目線で監査・評価するのが「監理」である。

使用例

監理という言葉は、主に組織団体等を法律によって外部の第三者が、各種事項を適正に運営・執行されているかを監督・管理するという法的な役割を持つシーンで多く使われている。

日本の外国人技能実習制度において、営利を目的としない法人(商工会、中小企業団体など)が、主務大臣の許可を受けて設立する組織を監理団体[4][5]と呼んでいた。2027年に開始される新制度である育成就労制度への移行に伴い、この組織は監理支援機関へと名称が変更される。実習生を受け入れる企業つまり実習実施者が、技能実習計画に従って適正に実習を行わせているかを監督・指導する法的義務を負っている。団体の主な業務は、企業への定期監査、実習生の保護や相談対応、出入国在留管理庁への報告などが挙げられる。

改正入管法(出入国管理及び難民認定法)においても、監理措置[6]というふうに使用されている。

証券取引所が、上場廃止の基準に該当する恐れがある立会場を監理ポストと呼ばれ、そうした銘柄を監理銘柄と呼ぶ。投資家に注意を促した上で適正な情報開示が行われるか否かを監理している[7][8]。

IT・システム開発、システムインテグレーションの世界で、大規模なITシステムの開発や官公庁のシステム刷新において、情報システム監理[9]がある。いわゆる「PMO」(Project Management Office)で、役割は、企業や役所といった発注者の代理人・ITコンサルタントなどとして、開発を担当するITベンダーつまりシステムインテグレーターが要求通りにシステムを構築しているか、進捗や品質を客観的にチェックする役割である。

行政機関や公的事業などの運営・実施状況を監視し、適正な管理や透明性の確保を図るために置かれる合議制の機関を「監理委員会」と呼んでいる。 近年よく知られている代表的な監理委員会には、次のような組織がある。

サイバー通信情報監理委員会は、政府が進める能動的サイバー防御の運用監視や、重要電子計算機などの被害防止措置を審査・検査するために、内閣府の外局として2026年4月1日に新設された独立機関。

官民競争入札等監理委員会は、公共サービス改革・市場化テストや官民競争入札の適正な実施を監視するため、総務省に設置されている委員会[10]や電波監理委員会設置法による電波監理委員会や電波監理審議会などがある。

地方自治体・大学などの組織が設ける監理委員会などがあり、自治体の行政改革プランの進行管理を行う「行政経営監理委員会」 [11]や、大学の安全施設などの管理を行う委員会など[12]、特定の分野・組織のチェック役として各地各所に置かれている。

日本の建設業では、建築士法において工事監理と、建設業法においての監理技術者が定められている。建設業で監理・工事監理というのは、発注者・施主に代わり、工事が設計図書・発注内容通りに進んでいるかを監督する業務として使用される。国官公庁や自治体での建設工事においては、設計と施工が分離されており、原則として設計事務所、建築士事務所所属の設計者が工事監理者となって、設計図書に則って施主の権利の代弁としての「監理」を行う。これとは別に、工事の請負者として、下請事業者に対し元請事業者が行う「監理業務」の最高責任技術者を表しているのが、監理技術者という法的職位である。

ゼネコンなどのような同じ組織で設計と施工を一体で行うデザインビルド方式や責任施工、一式の業務請負という方式における監理業務は、時として利益相反行為になりかねない困難が生じる。つまり監理という職務においては、職務上時として施主・発注者から工事管理者らの意に沿わない指示などを行わなければならない場面も発生することにもなる。

民間でも責任施工方式に対して前者の設計監理方式・設計監理[13]という手法はあり、調査・設計及び監理を設計事務所に依頼し、工事施工は施工会社に発注するが設計事務所で適切な工事仕様の設定が期待でき、工事施工においても施工者と適正な価格での契約が可能となるほか、設計者が監理を担うことで品質の担保が期待できるというメリットがある。

脚注

  1. ↑ 講談社カラー版日本語大辞典より
  2. ↑ の8ウ
  3. ↑ 「どうどって」は「(物事を)指図して、音頭をとって、切り回して」といった、中心となって物事を動かしていくニュアンスを含んだ言葉で、漢字の幹(みき・中心)が持つ物事を取り仕切る・能力を発揮するという意味合い
  4. ↑ 監理団体とは?技能実習生を受け入れるなら知っておきたい役割と選び方
  5. ↑  技能実習生と監理団体の仕組みを解説|外国人採用を成功に導くためのポイント
  6. ↑ 監理措置制度について 出入国在留管理庁
  7. ↑ 監理・整理銘柄一覧 
  8. ↑  監理銘柄(かんりめいがら)
  9. ↑ 例えば、 国等の情報システムの統括・監理 デジタル庁
  10. ↑ :総務省|官民競争入札等監理委員会
  11. ↑ 例えば、 町田市行政経営監理委員会
  12. ↑ 長崎大学高度安全実験施設に係る監理委員会
  13. ↑ 京安心すまいセンター/京都市住宅供給公社

関連項目