録画

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録画(ろくが、 英: video recording)とは、映像を記録媒体に記録すること[1]。再生を目的として、映像・画像をテープ、ディスク、フィルムなどの媒体に記録すること[2]。 テレビジョンカメラでとった画像信号を磁気テープなどの媒体に記録すること[3]。

歴史

歴史の古いほうから挙げると、まず1880年代から1990年代にかけてカメラで光学フィルムに記録する方法が登場した。1888年にフランスの発明家ルイ・ル・プランスが世界初とされる映画用フィルムの撮影・記録を行い、1891年にアメリカのトーマス・エジソンが、ジョージ・イーストマンのロールフィルム(1889年発売)を使い初の映画用カメラ「キネトグラフ」を開発し、映像を記録した。

初期段階では映像のみを記録し音響は記録されなかった。その後、1920年代半ばに映画用フィルムに音響を光のパターンとして直接記録するサウンド・オン・フィルム(Sound-on-film)方式(光学録音)が実用化されていった。

(録画とは逆の生放送についてここで説明しておくと、1935年にテレビの試験放送がドイツで始まった。この時代、テレビ放送は生放送のみだった。日本のNHKでも、1940年代や1950年代前半は、テレビドラマの放送では、スタジオから生中継するカメラの前で俳優が生の演技を見せる「生ドラマ」という方式で行っていた。日本で最初のテレビ女優である黒柳徹子も、NHKの当時の「生ドラマ」に出演していた、という話は有名である。)

1947年にテレビ映像を光学フィルムに記録するキネスコープ録画(略称:キネコ、英語の略称:Kine)が始まった。1947年9月にアメリカのイーストマン・コダック社が、デュモン社やNBCと共同でテレビモニターの映像を16 mmや35 mmのフィルムに撮影する装置であるテレビジョン・レコーディング・カメラを発表したのだった。

1956年に磁気録画が始まった。アメリカのアンペックス社のVR-1000というビデオテープレコーダー(VTR)の使用がテレビ局で始まった。これは2インチ(約5cm)幅の磁気テープを使用し、高速で回転する4つのヘッドで映像信号を記録する「回転4ヘッド方式」(クアドルプレックス方式)を採用した録画装置であり、当時の価格が日本円換算で数千万円する、放送局向けの業務用装置であった。それまでテレビ放送は原則生放送のみで、放送した映像を残したければテレビ画面をフィルムカメラで撮影する(キネコ撮影)しか保存方法がなかった。この磁気録画装置の登場はテレビ放送史に残るできごとであり、世界のテレビ放送を大きく変化させてゆくことになった。

1965年にソニーが世界初の家庭用モノクロVTR装置「CV-2000」を発売し、ごく一部の愛好家に限られたが、家庭でテレビ番組の録画が行われるようになった。

1975年〜1976年には、ソニーのベータマックス(1975年) や、日本ビクター(JVC)のVHS(1976年)が登場し、カセット式で使いやすい製品ではあったが、まだ価格が高価すぎて、1978年の家庭用ビデオの普及率はまだ約1.3%にとどまっていた。

1980年代前半にVHSとベータの規格争い(ビデオ戦争)が本格化し、価格低下とカセットテープの低価格化が進み、家庭でのテレビ番組録画が広まった。

1985年にソニーが8ミリビデオ規格のハンディカム第1号「CCD-M8」を発売。1989年にはソニーが、ハンディカムを(当時の)パスポートサイズまで小型化し790gまで軽量化した「CCD-TR55」を発売し、「パスポートサイズ」というCMスローガンは世界中を駆け巡り、世界各国で大ヒット商品となり、世界中の旅行者が旅先に持参し旅先で録画することが大流行した。

1990年代後半にDVD、2002年から2003年にかけてブルーレイディスク(BD)に記録する方式も登場し、光ディスク録画という分類も定着した。さらにデジタルデータとしてハードディスクや半導体メモリ(フラッシュメモリ)に記録するファイル録画(あるいはネットワーク録画)が一般化し、据え置き型の録画装置だけでなく、ハンディカメラでも光学ディスクに記録するものが登場した。

映像を保存・再生する技術は、物理的なメディアからクラウドや大容量ストレージへと大きく形を変え続けている。

2000年代から2010年代にかけて、ハリウッドなどの映画界でも、映画撮影のデジタル化(デジタル式映画撮影)が進み、映画撮影という行為は、同時にカメラに接続された装置もしくはカメラ本体の記憶装置にデジタル形式で映像信号を記録する行為を意味するようになっている。

2010年代にスマートフォンが普及したが、スマートフォンのカメラは、スチルカメラとムービーカメラを切り替えられることが一般的となっており、ムービーカメラでは「録画」ボタンがあり、スマートフォンで録画できることが一般的であり、多くの人々がスマホで気軽に録画している。

種類、分類

いくつも分類法がある。

歴史の古いほうから、フィルム録画と磁気録画に大別する方法があった[4]。その後、DVD、ブルーレイディスク(BD)に記録する方式も登場したので光ディスク録画という分類も登場した。さらに映像情報をデジタルデータとしてハードディスクやハードディスクレコーディングや、半導体メモリ(フラッシュメモリ)に記録するファイル録画が一般化した。


放送局における録画

最初のVTRはアメリカのアンペックス社により1956年に開発された[5]。テープは2インチ幅で2インチVTRと呼ばれる。

ビデオ録画が普及する1960年代まで、放送局におけるテレビ番組の保存には、ブラウン管の画面を(主に16mmの)フィルムで保存するキネコ(キネレコ)も用いられていた[6]。

再放送や編成上同時ネットが不可能な地域での放送を前提として、生中継と収録を並行して行うことは「録画放送」と呼ばれることがある。

ビデオ機器によるニュースの取材についてはENGを参照されたい。

一般家庭における録画

一般家庭用の録画装置は最初、統一型などのオープンリール形式やU-Matic形式のビデオテープレコーダ(VTR)が使われた。方式はヘリカルスキャン方式が使われるようになった。しかし、非常に高価で操作も難しかったため、ごく一部にしか普及しなかった。

その後、各社から家庭向けに様々な形式のVTRが発売されたが、ソニーなどのベータマックス方式(1975年〜)と、松下などのVHS方式(1977年〜)に集約された。その後両者が激しく競合する状態、規格戦争の状態になり、最終的にはVHS方式に集約された[7]。 (なお、1970年代頃までの番組は、放送局にも元の映像が残っていないことも多く、後年になって家庭用VTRで録画された映像が放送局などに提供されて再放送などが実現することもある。)

一方、ハンディカム用の録画規格では勝者が逆転し、ソニー陣営の8ミリビデオ方式が勝者となり、広く普及した。松下などが開発した、VHSと互換性を持たせて小型化したVHS-C規格を使う人々もいた。

その後デジタル化が進み、テープ媒体で記録する方法としては、まずはビデオカメラ用のDV規格が1994年に発表され、1995年からDV方式のハンディカメラが販売され一般化し、それが世界標準となった。一方、据置型ビデオ装置の規格としてビクターがD-VHS規格を開発し1995年に発表したが、実際に据置型VTR製品の発売されたのは1999年で、(すでに消費者は、複数のメーカー陣営が対立してつまらない意地を張り合って繰り広げるビデオ規格戦争に疲れていたことや)高価格帯の製品であったことなどにより、ほとんど売れず、一部のマニアがほそぼそと使うにとどまった。

デジタル方式の録画はDVD、Blu-ray Discなど光学ディスクに録画するものも、日本国内では、ある程度広まった(標準画質映像をDVDに記録するためのDVD-Video、DVD-VR、ハイビジョン映像をDVDに記録するためのAVCREC、HD Rec、Blu-ray Discに記録するためのBDMV、BDAVなどの規格がある。)

ただし、光学ディスクという物理メディアに録画するとやがて枚数が増え体積(物理的な体積、保管棚や本棚などに占める体積)が増えてゆくことや、大量の物理メディアでは検索が困難なことも嫌われるようになり、ハードディスクレコーダー(ハードディスク(HDD)に録画する方式)が、DVD換算で数百枚以上録画できるうえに、外付けHDDを交換すればさらに大量に録画でき、映像の検索も容易なことやキーワードによる自動録画に対応している機種が増えたことなどにより、2003年前後から販売台数が伸びていった。

またデジタル方式の家庭用ハンディカムも販売されており、HDTV映像を記録するHDV、ハイビジョン映像録画用のAVCHDなどがある。(ただし、2010年代にスマートフォンが世界中で普及し、人々はポケットに入れて持ち歩けるスマートフォンによる録画のほうが圧倒的に便利だと感じるようになり、さらにスマートフォンのカメラの画素数が増え高画質化し、夜間撮影対応や映画品質の撮影・録画にも対応するスマホが増えたことで、ハンディカムを買う人は激減し、スマホによるデジタル録画が一般化した。)

アナログ記録されたソースの録画、あるいはアナログ信号で伝送されたものの録画は、一般家庭用・業務用を問わず、どのような高価な設備や機器を使用しても理論的には無劣化のまま行うことは出来ず、多少に関わらず必ずなんらかの劣化が伴う[注 1]。一方、デジタル記録されたソースの場合、理論的にはデジタルデータをそのまま複製する手法・技術を採った場合は無劣化での録画が可能となる[注 2]。日本国内では著作権上の理由から機器メーカーの自主規制やそれを考慮した規格化により、意図的にソースデータをそのまま複製できなかったり制限を加えた技術が録画や伝送の規格に導入されている場合が多いが、デジタルテレビ放送の録画機能を持つ受信機(テレビ受信機・単体テレビチューナー・テレビチューナー付きレコーダーなど)の中で、ごく一部の機器を除く殆どの民生機器は、ダイレクトレコーディング(DR)あるいはトランスポートストリーム記録(TS記録)と呼ばれる録画方式が導入されており、この方式での記録・録画は放送の無劣化録画であり、その再生は放送中の番組視聴と理論的に全く同じもの[注 3]。

米国においては、DVDレコーダーやBDレコーダーは普及せず、ティーボやケーブルテレビ会社などとの契約をした上で使える、特定チャンネル専用のHDDレコーダー方式(米国では主に「DVR」と呼ばれる)が普及した。(なお、アメリカでは日本のような地上放送各局全般を録画できる据え置き型ハードディスクレコーダーは普及しなかった。アメリカ人の一部がパソコンを使いHDDに録画したが、人数は限られる)

2015年前後からNetflixやAmazon Prime Videoなど定額制動画配信サービス(SVOD)が世界中で普及するようになり、特に新型コロナのパンデミックが2020年春に始まり数年続き各国政府の命令で自宅に引きこもることが人々に強制された時期にSVODが爆発的に普及し、ほとんどの人々が、オンデマンド方式のストリーミング放送ならば映画などの作品を基本的に見たい時に見ることができる、と気付いた。(またそのころに各テレビ局の「見逃し配信サービス」も普及し)、ともかく人々はわざわざテレビ放送番組を録画して保管しておく必要性をほとんど感じなくなった結果、テレビ番組録画用のレコーダー類(光ディスクのレコーダーやHDDレコーダーと光ディスクレコーダーが合体したものなど)の販売台数が日本でも右肩下がりに低下してゆき、2025年時点の販売台数が2008年と比して約1/4以下に落ち込んだ[8]。

日本で2025年12月1日に一般社団法人私的録音録画補償金管理協会(SARAH)により、(文化庁の許可を得た)「私的録音録画補償金」なるものの徴収が始まり、補償金額はレコーダー(録画機)1台あたり税抜182円(税込200円)、Blu-rayディスクは基準価格の1%と設定されている[8]。[注 4]

諸課題、ハードル

覇権争い、規格統一
互換性
  • 一般家庭における録画のデジタル化では、規格が乱立したDVDの互換性が課題となった。
著作権関連
  • コピー・ワンスによる混乱も生じた
  • 著作権管理技術CPRM・ハイビジョン対応規格AVCRECは対応メディア、対応プレイヤー以外では録画や再生ができない
古い規格で録画したものの再生や複製

メーカーは古い規格で動くビデオ機器の生産を順次とりやめてゆく[9]。古い規格の機器は、やがて中古品としても出回る台数が減ってゆき、その規格で動く機器が完全に無くなれば、その規格による映像の再生は不可能になる。そうした事態に陥ることが危惧されている。

脚注

注釈

  1. ↑ アナログ録画・伝送の例:ビデオテープ(VHS、ベータマックス)、アナログテレビ放送
  2. ↑ デジタル記録・伝送の例:DVD、Blu-ray Disc、デジタルビデオテープ、デジタルテレビ放送
  3. ↑ デジタルテレビ放送の技術概要はDVDで用いた技術を発展させたものを用いてそれを放送技術に応用させたもので、放送波に含まれる映像や音声などのデータの形態がDVDに記録されたデータに酷似した形式になっており、受信機はそのデータをリアルタイムにデコードしている。ダイレクトレコーディング(あるいはトランスポートストリーム記録)は、本来リアルタイムでデコードするデータを、そっくりそのまま保存・記録し、ユーザーが任意に再生できるようにしたもの。
  4. ↑ 機器の販売時に、販売代金に上乗せされて徴収され、著作権団体、著作権者に分配されるという。

出典

関連項目