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(364630) シズオカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シズオカ
Shizuoka
CTIO 4m ブランコ望遠鏡が2016年に4分間隔で撮影した(364630) シズオカ(画像中央)
CTIO 4m ブランコ望遠鏡が2016年に4分間隔で撮影した(364630) シズオカ(画像中央)
仮符号・別名 2007 TS70
小惑星番号 364630
見かけの等級 (mv) 19.6等級[1]
(2007年の発見時、Vバンド)
分類 小惑星
発見
初観測日 1999年3月21日[1]
発見日 2007年10月13日[1]
発見者 R. Holmes(観測者)[1]
発見場所 ARI[1]
軌道要素と性質
元期:2025年11月21日(JD 2461000.5)[2]
軌道長半径 (a) 2.240 au[2]
近日点距離 (q) 1.917 au[2]
遠日点距離 (Q) 2.563 au[2]
離心率 (e) 0.144[2]
公転周期 (P) 1224.869 日(3.354 年)[2]
軌道傾斜角 (i) 7.813°[2]
近点引数 (ω) 121.149°[2]
昇交点黄経 (Ω) 220.841°[2]
平均近点角 (M) 166.730°[2]
前回近日点通過 2024年5月2日[2]
物理的性質
絶対等級 (H) 17.17[2]
■Template (■ノート ■解説) ■Project

(364630) シズオカは小惑星帯に位置する小惑星の1つである。発見当時は静岡大学教育学部准教授であった八柳祐一の実習プログラムに参加していた学生らが発見した[3]。

特徴

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太陽からの軌道長半径が約 2.240 au(約3億3555万 km)離れた、軌道離心率が約 0.14 の楕円軌道を約3.35年(約1,225日)の公転周期で公転している、小惑星帯内に位置する小惑星の一つである[1][2]。軌道は黄道面から約7.81度傾いており[2]、小惑星帯の中では比較的内側付近を公転しているため、地球には最小で0.922 auまで接近する[2]。絶対等級は約17.17等級とされる[1][2]。この絶対等級を基にアルベドを 0.15 と仮定すると、直径は約 1.3 km と推定される[注釈 1]。

発見経緯

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八柳は学生の総合的な指導力向上を目的として、教育学部で開講されていた実験授業に取り入れるプログラムとして、2007年8月に参加していた国際教育プログラムであるハンズ・オン・ユニバース(英語版)(HOU)での会議で知った国際天文捜索コラボレーション(IASC:International Astronomical Search Collaboration)を同年10月から取り入れ始めた[5]。 IASCは2006年にハーディン・シモンズ大学(英語版)のパトリック・ミラーとジェフ・デービスが始めた活動である[6]。IASCでは1か月単位で行われる「キャンペーン」に参加する学校教育現場や天文団体に対してアメリカ・イリノイ州のチャールストン(英語版)にある天文台、Astronomical Research Institute(ARI)の口径81cmの望遠鏡が撮影した画像データ(当時)[注釈 2]を送付し、そこから参加者が専用ソフトウェアで小惑星を探し、発見した小惑星の測定データを返送し専門機関に報告してもらうという流れで小惑星捜索が行われている[6]。

2007年10月に始まった静岡大も参加するキャンペーンには、9か国15団体が参加し、日本からは他に鹿児島県立鹿屋高等学校と慶應義塾高等学校が参加した[5]。

静岡大では、八柳が担当する教育学部総合科学専攻の1年生の必修講義である「現代科学実験」で2週にわたり、学生30人を3人ずつ10グループに分けて、IASC主催者から受け取った画像データを割り振って測定を行った[5]。 その結果10月9日に、女子学生3人からなるグループが画像中から7個の移動天体を発見し、そのうち3個が既知の小惑星と照合できない新天体候補であることがわかった[7]。

参加者が測定した内容はすべてIASC主催者に返送され、主催者が取りまとめた測定結果は小惑星の観測を一元管理する国際天文学連合所属機関である小惑星センター(MPC)に報告された。 10月12日以降IASC主催者から、報告した天体について新しい小惑星として仮符号が付与されたことを知らせるメールが届き始め、その中に静岡大グループが報告した天体のうち2個も新天体として含まれていた[5]。

そしてMPCが2007年10月21日に公開した Minor Planet Supplement (MPS)220781 にて仮符号 2007 TS70 の付与が公表された[8]。

番号登録と名前

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仮符号状態では小惑星は正式に登録されたわけではなく、正式な番号登録には多くの観測が集まり軌道が正確に確定する必要がある[9]。仮符号登録後に、アメリカ・ニューメキシコ州のアパッチポイント天文台で行われていたスローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)が1999年3月に撮影した画像に写っていたことが見つかったほか[10]、2012年にはアメリカ・アリゾナ州のレモン山天文台で行われているレモン山サーベイとハワイのハレアカラ山山頂で行われているパンスターズが再観測し、2013年にはレモン山サーベイ・パンスターズの他チリのアタカマ州にあるエレナリモート観測所が多数観測した[1]。

これらの観測で軌道が精査された結果、2013年6月23日付で小惑星センターより公開された小惑星回報「MPC 83587- 84152」にて、小惑星番号364,630番が与えられた[11]。

番号登録と同時に、それまでの観測報告者から小惑星の発見者、すなわち命名提案権保有者が決定されるが、ルール上最初に複数の観測報告が集まった衝期間を対象に、その中で最初の報告(報告日が基準で観測の先後は関係ない)を発見観測、報告者を発見者とすることになっており[12]、この天体の発見観測は静岡大チームが測定報告したものであると決定された。

命名権が発生したことは2024年4月になってようやく八柳に通知されたため、大学の協力で当時この小惑星を発見した元学生3人と連絡を取り相談した結果、静岡大学の所在地である静岡県と静岡市に由来する名称として「シズオカ」が提案された[13]。 そして国際天文学連合の小天体の命名に関するワーキンググループ (WGSBN) より2024年9月23日に発行された『WGSBN Bulletin 4#13』にて承認されたこの命名が公表され、正式に「シズオカ」と命名された[14]。 公式の命名理由文では富士山と三保の松原やそこでの羽衣伝説にも言及されており[1]、静岡で育まれた学術的探究の成果が、夜空に輝く小惑星とともに永く記憶されるようにとの願いが込められている[15]。

なお、元学生らが新発見した小惑星のうちもう1つの天体である(571535) 2007 TO15には、2025年に奥能登地方にちなんで(571535) オクノトと命名された[16]。

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ↑ より計算[4]。は直径(km)、はアルベド、は絶対等級を指す。
  2. ↑ 現在はより大きな望遠鏡であるパンスターズのデータを使用している

出典

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  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 “(364630) Shizuoka = 2007 TS70”. 小惑星センター. 2026年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年3月26日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 “JPL Small-Body Database Browser: 364630 Shizuoka (2007 TS70)”. ジェット推進研究所. 2026年3月26日閲覧。
  3. ↑ 「見上げてごらん~♬ 小惑星「Shizuoka」を 静大生が2007年発見で命名」『静岡新聞』。オリジナルの2026年2月10日時点におけるアーカイブ。2026年1月30日閲覧。
  4. ↑ “Asteroid Size Estimator”. Center for Near Earth Object Studies (CNEOS). 2026年4月1日閲覧。
  5. 1 2 3 4 八柳祐一. “国際小惑星探索キャンペーンの授業実践”. 2024年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年3月29日閲覧。
  6. 1 2 Patrick Miller; Robert Weryk; Richard Wainscoat; Jules Perret; Steve Hartung; Tomas Vorobjov et al. (2024-02-22). “The International Astronomical Search Collaboration (IASC)—Citizen Scientist System for Asteroid Discovery”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific, 136 (2): 4502. arXiv:1210.4549v2. doi:10.1088/1538-3873/ad11a0 2026年3月1日閲覧。.
  7. ↑ 「米の国際探索キャンペーン 静大生が小惑星発見」『静岡新聞』2007年11月16日。
  8. ↑ “MPS 220107- 222346”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2007年10月21日). 2025年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。(「M.P.S. 220781」にて仮符号の付与に係る観測記録が記載されている)
  9. ↑ “How Are Minor Planets Named?”. 2024年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。
  10. ↑ “MPS 229663- 230886”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2007年12月11日). 2025年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。(「M.P.S. 229876」にてSDSSに係る観測記録が記載されている)
  11. ↑ “MPC 83587- 84152” (PDF). Minor Planet Circular. Minor Planet Center (2013年6月23日). 2025年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月3日閲覧。
  12. ↑ “MPEC 2010-U20 : EDITORIAL NOTICE”. Minor Planet Electronic Circular (MPEC). Minor Planet Center (2010年10月19日). 2025年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月23日閲覧。
  13. ↑ “小惑星に「Okunoto」「Shizuoka」と命名”. 静岡大学 (2026年1月29日). 2026年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年3月29日閲覧。
  14. ↑ “WGSBN Bulletins Volume 4, #13” (PDF). WG Small Body Nomenclature (WGSBN). Internaitonal Astronomical Union (2024年9月23日). 2026年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。
  15. ↑ “小惑星に「Okunoto」「Shizuoka」と命名”. 金沢大学 (2026年1月29日). 2026年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。
  16. ↑ “WGSBN Bulletins Volume 5, #25” (PDF). WG Small Body Nomenclature (WGSBN). Internaitonal Astronomical Union (2025年11月3日). 2026年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月1日閲覧。

外部リンク

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