(865364) ダイアンジ
| ダイアンジ 865364 Daianji | |
|---|---|
2015年にブランコ望遠鏡が撮影したダイアンジ(中央十字内) | |
| 仮符号・別名 | 2015 FX488[1] |
| 小惑星番号 | 865364 |
| 見かけの等級 (mv) | 22.2[2] (2015年の発見時、rバンド) |
| 分類 | 小惑星 |
| 軌道の種類 | 小惑星帯[3][4] |
| 発見 | |
| 初観測日 | 2010年1月23日[2][3] |
| 発見日 | 2015年3月18日[2][3] |
| 発見者 | COIAS[2][3] |
| 発見場所 | ハワイ州・マウナケア山[2][3] |
| 発見方法 | すばる望遠鏡の観測データの解析 |
| 軌道要素と性質 元期:JD 2,461,000.5(2025年11月21.0日)[3] | |
| 軌道長半径 (a) | 2.725 au[3] |
| 近日点距離 (q) | 2.600 au[3] |
| 遠日点距離 (Q) | 2.850 au[3] |
| 離心率 (e) | 0.0457[3] |
| 公転周期 (P) | 1643.134 日[3] (4.500 年)[3] |
| 軌道傾斜角 (i) | 1.887°[3] |
| 近日点引数 (ω) | 250.682°[3] |
| 昇交点黄経 (Ω) | 193.143°[3] |
| 平均近点角 (M) | 268.844°[3] |
| ティスラン・パラメータ (T jup) | 3.354[3] |
| 物理的性質 | |
| 絶対等級 (H) | 18.80[2] |
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(865364) ダイアンジ(英語: Daianji)は、小惑星帯を公転する小惑星の一つである[3][4]。ハワイ島にあるすばる望遠鏡において2015年に得られた観測データ内から、未発見小惑星解析アプリケーション『COIAS』[注釈 1]による市民科学プロジェクトでの捜索を通じて新天体として検出され、2026年9月7日に命名が発表された[1]。
特徴
[編集]太陽からの軌道長半径が約 2.725 au(約4億0822万 km)離れた、軌道離心率が約 0.046 の楕円軌道を約4.50年(約1,643日)の公転周期で公転している、小惑星帯内に位置する小惑星の一つである[2][3]。軌道は黄道面から約1.886度傾いており[3]、小惑星帯の中では比較的外側付近を公転している[4]ため、地球には最小でも1.617 auまでしか接近しない[3]。絶対等級は約18.80等級とされる[2][3]。この絶対等級を基にアルベドを 0.15 と仮定すると、直径は約 600 m と推定される[注釈 2]。
観測と登録
[編集]すばる望遠鏡によって得られた観測データの一部は、未発見の小惑星や太陽系外縁天体などの天体の探索を研究者に限らず一般市民からでも行えるようにするために開発され、2023年7月末から運用されているアプリケーション・このアプリを用いた市民科学プロジェクトである『COIAS』による解析が行われている[7]。
ダイアンジは2015年3月18日にハワイ島のマウナケア山山頂にあるすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ (HSC) によって撮影された画像から、COIASのユーザーによって2024年11月25日に見つかり、「H378295」という暫定名で検出・測定・報告された[8]。COIASからはその日のほかに、同年3月20日、3月25日、3月29日の画像からも検出され報告されている[2]。その後の精査により、2010年1月23日にハワイのハレアカラ山山頂のハレアカラ天文台で行われているパンスターズによって観測されていたのが最も古い観測記録であると判明し[2]、正式な発見日として認められている2015年3月18日までにはCOIAS以外にこの初観測日を含め8回の観測記録がある[2]。また、COIASで最後に測定された撮影日より後にも番号登録までの時点で、パンスターズが行ったものなど、19回の観測記録がある[2]。
小惑星の観測を一元管理する国際天文学連合所属機関である小惑星センター(MPC)に同一の未知天体の観測報告が同じ年(衝期間)に複数夜で集まると、MPCはその天体に仮符号を与え仮登録を行う[9]。COIASによる解析で、2015年春に撮影された複数夜の画像からこの天体が検出・報告された結果、パンスターズが2013年、2022年、2024年に行っていた過去の観測と連結された状態でMPCが2025年2月13日に公開した Minor Planet Supplement (MPS) にて仮符号 2015 FX488 が付与された[10]。仮符号付与時点でCOIAS以外の観測は1年に1夜だけしか報告されていなかったため、これらの観測が同一天体と気づかれず孤立した状態でMPCにストックされており、すばる望遠鏡の2015年の観測が契機で連結されている。
仮符号状態では小惑星は正式に登録されたわけではなく、正式な番号登録には多くの観測が集まり軌道が正確に確定する必要がある[11]。仮符号登録後に、チリのセロ・トロロ汎米天文台にある口径 4 m のビクター・M・ブランコ望遠鏡に搭載されたDECamが2015年、2017年、2018年に撮影した画像にこの天体が写っていたことが報告されたことや[12]、2010年にパンスターズが撮影した画像にこの天体が写っていたことが報告されたことで[13]、軌道の不確定性パラメーターが最小の0になるまで軌道がさらに精査された結果、2025年10月6日付で小惑星センターより公開された小惑星回報「MPC 187041-188964」にて、小惑星番号865,364番が与えられた[14]。 番号登録直後には、2020年と2022年にアメリカアリゾナ州のレモン山天文台で行われているレモン山サーベイが撮影した画像にも写っていたことが報告された[15]。
番号登録と同時に、それまでの観測報告者から小惑星の発見者が決定されるが、ルール上最初に複数の観測報告が集まった衝期間を対象に、その中で最初の報告(報告日が基準で観測の先後は関係ない)を発見観測、報告者を発見者とすることになっており、この天体の発見者はCOIASと決定された[16]。これで、COIASが発見者として登録された14例目の確定番号小惑星となった[17]。
命名
[編集]発見者にはその小惑星への命名提案権が与えられるも、測定・報告者よりも観測者が優先されるためCOIAS発見天体の命名権を持つのは原初的にすばる望遠鏡HSCの観測チームだったが、このチームはCOIAS開発チームによる命名を快諾していたため、COIASでこの天体を測定したユーザーと開発チームの話し合いで提案する名前を決定することができた[18]。
この小惑星は、発見したユーザーの1人が岡山県立岡山大安寺中等教育学校の5年生で、2年生の頃からCOIASに参加していたユーザーだったこともあり、「ダイアンジ」と命名する申請が行われた[19]。これにはダイアンジと名前を付けることで、天体に興味を持つ人が増えればという思いもこめられていた[20]。 そして国際天文学連合の小天体の命名に関するワーキンググループ (WGSBN) より2026年9月7日に発行された『WGSBN Bulletin 6, #15』にて命名が公表され[1]、岡山県初の中等教育学校であるという紹介文とともにダイアンジと命名された。
まんがタイムきららの編集部は、COIASの名前のもとになった『恋する小惑星』作中と同様に女子高校生が小惑星を発見し母校の名前をつけたことを記念して、同年9月18日からシルバーウィークの期間中、本作の前半部である1~3巻を無料公開した[21]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- 1 2 3 “WGSBN Bulletins Volume 6, #15” (PDF). WG Small Body Nomenclature (WGSBN). Internaitonal Astronomical Union (2026年9月7日). 2026年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “(865364) = 2015 FX488”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2026年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月29日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 “JPL Small Body-Database Lookup: 865364 (2015 FX488)”. JPL Small-Body Database Lookup. Jet Propulsion Laboratory (2025年10月30日). 2026年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月29日閲覧。
- 1 2 3 “Asteroid Selection”. Asteroid Lightcurve Database (LCDB). 2025年4月28日閲覧。(「Number」の欄に「865364」と入力)
- ↑ 「市民900人、未確認の天体381個発見…地球防衛に「誰でも参加できるように」アプリ開発」『読売新聞』2024年4月4日。オリジナルの2025年3月6日時点におけるアーカイブ。2025年3月23日閲覧。
- ↑ “Asteroid Size Estimator”. Center for Near Earth Object Studies (CNEOS). 2026年6月30日閲覧。
- ↑ “COIASで小惑星を見つけよう!”. COIAS開発チーム. 2025年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月21日閲覧。
- ↑ “865364 (2015 FX488)”. SMALL BODY EXPLORER (2026年6月29日). 2026年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月29日閲覧。
- ↑ “小惑星を発見するには?”. COIAS開発チーム. 2025年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月23日閲覧。
- ↑ “MPS 2321551-2337362”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2025年2月13日). 2025年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月30日閲覧。(「M.P.S. 2322098」にて仮符号の付与に係る観測記録が記載されている)
- ↑ “How Are Minor Planets Named?”. 2024年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月23日閲覧。
- ↑ “MPS 2337363-2346984”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2025年3月6日). 2025年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月30日閲覧。(「M.P.S. 2338036」にてDECamによる追加の観測記録が記載されている)
- ↑ “MPS 2422989-2436880”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2025年9月12日). 2026年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月30日閲覧。(「M.P.S. 2423554」にてパンスターズによる追加の観測記録が記載されている)
- ↑ “MPC 187041-188964” (PDF). Minor Planet Circular. Minor Planet Center (2025年10月6日). 2025年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月30日閲覧。
- ↑ “MPS 2489575-2497268”. Minor Planet Supplement (MPS). Minor Planet Center (2025年11月26日). 2026年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年6月30日閲覧。(「M.P.S. 2497239」にてレモン山サーベイによる追加の観測記録が記載されている)
- ↑ “MPEC 2010-U20 : EDITORIAL NOTICE”. Minor Planet Electronic Circular (MPEC). Minor Planet Center (2010年10月19日). 2025年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月23日閲覧。
- ↑ “確定番号天体の詳細”. COIAS開発チーム. 2025年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月25日閲覧。
- ↑ “COIAS で初の彗星発見!小惑星への命名も!!”. 国立天文台 (2025年4月23日). 2025年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月25日閲覧。
- ↑ “新小惑星発見!命名「dianji」”. 岡山県立大安寺中等教育学校. 2026年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年9月15日閲覧。
- ↑ “意外と近い?宇宙へ広がる母校愛…岡山市の女子高校生が発見した小惑星に「ダイアンジ」と命名〖岡山〗”. 岡山放送 (2026年9月16日). 2026年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年9月16日閲覧。
- ↑ @mangatimekirara (2026年9月17日). “まんがタイムきらら編集部”. X(旧Twitter)より2026年9月18日閲覧.