007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
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| 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ | |
|---|---|
| No Time to Die | |
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| 監督 | キャリー・ジョージ・フクナガ |
| 脚本 |
ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド キャリー・ジョージ・フクナガ フィービー・ウォーラー=ブリッジ |
| 原作 | イアン・フレミング |
| 製作 |
バーバラ・ブロッコリ マイケル・G・ウィルソン |
| 出演者 |
ダニエル・クレイグ ラミ・マレック レア・セドゥ ラシャーナ・リンチ ベン・ウィショー ナオミ・ハリス ビリー・マグヌッセン アナ・デ・アルマス デヴィッド・デンシック ロリー・キニア ダリ・ベンサーラ ジェフリー・ライト クリストフ・ヴァルツ レイフ・ファインズ |
| 音楽 | ハンス・ジマー[1] |
| 主題歌 |
「ノー・タイム・トゥ・ダイ」 ビリー・アイリッシュ |
| 撮影 | リヌス・サンドグレン |
| 編集 |
トム・クロス エリオット・グレアム |
| 製作会社 |
イーオン・プロダクションズ ダンジャック メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユニバーサル・ピクチャーズ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 163分[2] |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $250,000,000 - $301,000,000[3][4] |
| 興行収入 |
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| 前作 | 007 スペクター |
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(原題: No Time to Die)は、2021年のイギリスとアメリカ合衆国の合作によるスパイアクション映画。イーオン・プロダクションズが製作する「ジェームズ・ボンド」シリーズの第25作目となる[7]。
概要
[編集]第94回アカデミー賞ではビリー・アイリッシュとフィニアス・オコネルがアカデミー歌曲賞を受賞。『スカイフォール』、『スペクター』に続く三作連続の受賞となった。
主演のダニエル・クレイグは、架空のイギリスMI6エージェントのジェームズ・ボンドを演じるのは5回目であり、本作品がクレイグ自身最後のボンド映画となり「ダニエル・クレイグの007を完結する」と語っている。監督はキャリー・ジョージ・フクナガ、脚本はニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジが務める。
レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、ジェフリー・ライト、クリストフ・ヴァルツ、ロリー・キニア、レイフ・ファインズが前作の役柄を再演し、ラミ・マレック、ラシャーナ・リンチ、アナ・デ・アルマス、ダリ・ベンサーラ、ビリー・マグヌッセン、デヴィッド・デンシックが新キャラクターとして出演する。
企画開発は2016年に始まった。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、『007 スペクター』(2015年)の公開後、ソニー・ピクチャーズの契約満了に伴い、国際配給権を獲得したユニバーサル・ピクチャーズが配給するシリーズ初の作品。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の合弁会社であるユナイテッド・アーティスツ・リリーシングは、全世界のデジタルおよびテレビ放映権を含む北米の権利を保有している。また、ユニバーサルは、全世界での物理的な家庭用メディアでの発売権を有している[8]。ダニー・ボイルは当初、監督と脚本をジョン・ホッジと共同で担当することになっていた。両者は2018年8月に創造性の違いから離脱し、その1カ月後にボイルの後任としてフクナガが発表された。キャストの大半は2019年4月までに契約していた。プリンシパルフォトグラフィーは2019年4月から10月まで、ワーキングタイトル『Bond 25』で行われた。最終的なタイトルは2019年8月に発表された。
ボイル監督の離脱とその後の新型コロナウイルスのパンデミックによる数回の延期の後、最終的にイギリスでは2021年9月30日、日本では10月1日、アメリカでは10月8日に公開された。
ストーリー
[編集]1998年、北欧のノルウェーの首都オスロの北東にあるニッテダール(ノルウェー語版)、冬であるから凍ったラングヴァン湖(ノルウェー語版)の湖畔にある邸宅。12歳のマドレーヌ・スワン(演:コリーヌ・ドフォー(ドイツ語版))はアルコール中毒の母の面倒を見ていたところ、能面の男が襲撃してくる。男はかつて、マドレーヌの父親で国際的犯罪組織スペクター(英語版)の一員でもあるミスター・ホワイトに自身の家族を毒で皆殺しにされ、自分は顔に傷を付けられたという経緯があった。母親は、無抵抗のまま彼によってVz 58 コンパクトにより殺害される。隠れていたマドレーヌはキッチンの戸棚でベレッタ92FSを見つけ、男の不意をついて弾を撃ち込み、2階の手すりから1階へと叩き落とす。マドレーヌは母の死に涙しながら、男の死体を家の外へと引きずり出すがその最中、なんと彼は息を吹き返す。結氷湖の上を逃げようとした彼女は足下の氷が割れて極寒の水中へと転落してしまうも、殺すはずだった男はなぜか彼女を救い上げた。
2015年、スペクターとの戦いの後、イギリスの情報機関MI6(秘密情報部)のエージェント職から引退したジェームズ・ボンド(演:ダニエル・クレイグ)と恋人マドレーヌ(演:レア・セドゥ)は南ヨーロッパのイタリアの都市マテーラの高級ホテル"パッツォ・ルカレスキ"で甘く平穏な生活を送っていたが、マドレーヌは自らの過去をすべては明かせずにいた。それでも凶事を紙に書いて燃やすという現地の祭で、密かに紙に「能面の男(l'homme masqué)」と書いて火を点ける。ボンドも過去と決別するため、かつて心から愛したヴェスパー・リンドの墓を訪れ、同じように「許してくれ(Forgive Me)」と書いた紙を燃やす。ふと目を下にやると、そこにはスペクターの紋章が描かれた1枚の紙を見つける。するとその瞬間、墓が爆発しボンドは脳震盪を負った。
ホテルに残したマドレーヌの身を案じたボンドは急いで戻るもそこに義眼のプリモ(演:ダリ・ベンサーラ(英語版))率いるスペクターの傭兵らが襲撃してくる。ボンドは連中を撒くべく古い水道橋から華麗なるスタントを演じるがプリモは執拗に追いかける。彼はトライアンフ スクランブラー 1200 XE(英語版)にまたがり追跡するもボンドは逆にそのバイクを鹵獲した。だがその時、プリモは「マドレーヌはスペクターの娘」と言い続ける。バイクでホテルまで到着しマドレーヌと合流したボンドだったが、自分の行動がスペクターに筒抜けだったことは彼女にあると見て問い詰める。だがそこにスペクターが迫るとアストンマーティン・DB5で避難を始める。
スペクターのジャガー・XFやレンジローバー クラシックとの熾烈なカーチェイスの途中、イギリスの首都ロンドンにあるハイクラスセキュリティーのベルマーシュ刑務所(英語版)に収監中の元スペクター首領、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(演:クリストフ・ヴァルツ)からの電話でボンドはマドレーヌの裏切りを確信する。彼女は自分の無実を証明しようと弁明するがその瞬間、スペクターの連中に包囲されてしまう。四方八方からアストンマーティンに鉛玉を浴びせるも防弾ガラスにより効かない。車から降りたプリモはベレッタ PMX(英語版)で一発一発ガラスを撃ち着実に割ろうとする。マドレーヌはボンドに懇願する。ガラスは粉を吹き今にも割れそうだ。ボンドは秘密ガジェットを作動させる。ヘッドライトを格納しGE 134機関銃を展開、プリモがその存在に気づいた瞬間、発砲を開始する。ドリフトをしながら周囲に猛烈な弾幕を浴びせ煙幕を張ると小道から包囲を脱する。だがボンドは今だ彼女への疑いを拭いきれておらず、カンパニア州のサプリ駅でマドレーヌ一人を列車に乗せ、「二度と会うことはないだろう」と決別する。マドレーヌは去り際一瞬お腹を抱えていた。
5年後、ロンドン。ロンドン大学セネットハウス周辺の極秘生物兵器研究施設がスペクターにより襲撃される。プリモら彼の組織の連中はAKS-74Uで所員を皆殺しにすると、ロシア出身の細菌学者ヴァルド・オブルチェフ(演:デヴィッド・デンシック)博士を使い先端生物兵器を盗み出し彼を誘拐、施設を爆破する。MI6長官M(演:レイフ・ファインズ)はこの非常事態に際し、秘書のイヴ・マネーペニー(演:ナオミ・ハリス)に007を呼び出すよう命じる。
一方その頃ボンドはカリブ海に浮かぶジャマイカのポート・アントニオにあるココア・ウォーク・ベイに建てたコテージでひとり穏やかな日々を過ごしていた。彼がナイトクラブへ遊びに行った際、旧友であるアメリカの情報機関CIA(中央情報局)エージェントのフェリックス・ライター(演:ジェフリー・ライト)が米国務省のエージェント、ローガン・アッシュ(演:ビリー・マグヌッセン)を伴って訪れ、カリブ海のキューバでスペクターの会合があり、そこでオブルチェフを救い出して欲しいと依頼するがボンドはそれを固辞し彼らと別れる。
コテージに戻ろうとした矢先、ランドローバー・シリーズIII(英語版)のトラブルに見舞われて途方に暮れていたボンドはある女性に声を掛けられる。ノーミ(演:ラシャーナ・リンチ)と名乗った彼女は自慢のロイヤル・アロイ GT125でコテージまで送る。そこにつくとノーミはボンドに「私が今の007よ」と明かす。そして彼に対し、この事件はMI6肝いりの「ヘラクレス計画」に大きく関係していることから、余計なことをしないように牽制して出ていった。だがボンドはMにこの事柄を問うと、それにはM自身が大きく携わっていた計画だったため、やはり居ても立っても居られなくなる。
翌日、ボンドはフィリックスの電話を鳴らす。フィリックスの指示でSpirit 46 ヨットでキューバの都市サンティアゴ・デ・クーバに赴いたボンドはノーミの姿を尻目にCIAエージェントのパロマ(演:アナ・デ・アルマス)と合流、タキシードに着替えそこでスペクターの全構成員が集うブロフェルドの誕生日パーティ会場に潜入する。そこでプリモの義眼型通信装置を通してブロフェルドと対峙、直前にオブルチェフが設定していたナノマシンが散布され命を奪われそうになる。しかし、開発中にオブルチェフが私欲のためボンドのDNAデータとスペクター構成員のそれと入れ替えていたことで、逆に彼ら全員が目や鼻から血を出しナノマシンで命を奪われ、ボンドは命拾いする。その混乱の中逃走を図るオブルチェフの身柄をノーミが確保、ボンドらは奪還するため彼女を追う。
ナノマシン散布現場には居らず会場警備を行っていたスペクターの連中はボンドらとノーミに対しH&K HK416を発砲、ノーミはグロック17をカービンにするFAB Defense KPOS G1を装着したもので応戦する。会場内ではノーミを追うためパロマはワルサーPPKとH&K MP5K-PDWの二刀流、ボンドは鹵獲したAKS-74Uで敵を蹴散らす。この騒ぎで現地警察の国家革命警察(英語版)が駆け付ける中、オブルチェフの代わりにノーミを残しボンドらは熾烈な銃撃戦を制す。パロマと別れたボンドらはフィリックスとアッシュの待つ洋上の漁船へ連行した。
しかし、アッシュの不審な言動からオブルチェフと共に組織の配下であること、Mがオブルチェフにヘラクレス計画[注釈 1]と呼ばれるナノマシンの開発を委ねていたことが判明する。そこでアッシュはフィリックスにベレッタM9A3を発砲、ボンドとの激しい格闘戦の末ボンドの乗っていた水上飛行機をジャックされオブルチェフ共々逃げられてしまう。ボンドとともに船内に閉じ込められたフィリックスだったが、アッシュにより設置された爆弾が起爆し船内に大量の水が侵入する中で死亡してしまう。親友の死を悼む隙を与えぬようにか沈んでいく船からボンドは命からがら脱出、救命ボートに乗り助けを待った。
ロンドンに戻ったボンドはアストンマーティン・V8 ヴァンテージ・サルーンを自らのガレージから引っ張り出してホワイトホールのMI6本部に向かい、Mと対峙する。そこで彼はヘラクレス計画の存在を認めるも、その開発はもともと純粋に国防のためであったこと、いくら精査してもオブルチェフにやましい点がなかったこと、またこの時点でスペクター唯一の生き残りであるブロフェルドとボンドを接触させることの危険性に加え、ブロフェルド自身がマドレーヌ以外の相手との面会を断っている事を明かす。だがこの兵器の是非を巡りボンドとMは激しく対峙し決別してしまった。
その後、マネーペニーの手引により兵器開発・補給担当官のQ(演:ベン・ウィショー)の家を訪ねたボンドは、持ち帰ったヘラクレスのデータを解析させる。そして彼らは驚愕の真実を知る。オブルチェフはヘラクレスの構造に手を加え、使用者の組み込んだ遺伝子次第では世界中の人類を無差別に殺す生物兵器としていたのであった。ボンドはこの事実について問い詰める為、ブロフェルドと面会させるようマネーペニーに言う。そこで、マドレーヌ同席の元ならと許可が下りた。
一方、マドレーヌが勤務する診療所にある男が訪ねて来る。マドレーヌを指定したその男は、彼女が現れた時箱を差し出す。その箱の中身は、かつて彼女の銃弾で割られたあの「能面」であった。彼の名はリューツィファー・サフィン(演:ラミ・マレック)。彼はマドレーヌにヘラクレスの含有された香水を付け、それでブロフェルドを殺害するよう依頼した。
その後、ベルマーシュ刑務所内のレストルームでノーミとささやかな会話を交わしつつ、意を決し香水をつけたマドレーヌはついにボンドと再会、ブロフェルドとの面会に臨む。隣室ではミラーガラス越しに幕僚主任のビル・タナー(演:ロリー・キニア)とマネーペニーが監視していた。だがマドレーヌはおびえ、ボンドが彼女の手を取り制止するも効果なく面会室から去ってしまい、ボンド1人でブロフェルドと対峙することとなる。そしてついに、特殊ケージ内に収容されたブロフェルドが到着した。そこでボンドは、ヘラクレスについて問おうとするも無視され、逆に5年前のマテーラでの出来事がボンドとマドレーヌを引き離すためのブロフェルドによる作戦であること、マドレーヌの秘密を知ることがボンドの死につながることをブロフェルドから聞かされるが、感情を抑えきれなくなったボンドが彼を絞め殺そうとする。だがなんとか落ち着き離れるも、ブロフェルドは痙攣の後無残な死を遂げる。
自分自身がブロフェルド殺害の媒介者となってしまったボンドは、マドレーヌの保護のため一路ノルウェーに向かいマドレーヌの自宅を訪れ、自分が今でも彼女を愛していることを告げる。そして2人は再び抱き合いキスをするが、その途中2階から小さな女の子が現れる。マドレーヌは自分の愛娘マチルド(演:リサ=ドラ・ソネット)だと告げる。マチルドはボンドと同じ青い目をしているが、マドレーヌはボンドの娘ではないと言いはるも、ボンドはそれを受け流すことはなかった。そしてマドレーヌは幼少期に起きた事件とサフィンについてボンドに語る。
ロシアの都市カザン出身のサフィンは、ゴスタンというある製薬会社の経営者を父として産まれた。父亡き後は彼自慢の「ポイズン・ガーデン(毒の庭)」を引き継いだものの、そこに現れたホワイトが同地をスペクターのものにするため襲撃、先述した通りの業の後占拠・支配した。サフィンはこれに復讐するための計画を進め、スペクターが崩壊した今、ポイズン・ガーデンを奪還、ボンドらを拘束するべく動き出しているという。
そこでMI6本部と連絡をとっている中でボンドは、アッシュ率いるサフィンの傭兵たちが自分たちの元へ向かっていることに気づく。ボンドはマドレーヌとマチルドを連れてトヨタ・ランドクルーザー プラド(J90型)に乗り急ぎその場を離れるも、連中のランドローバー・ディフェンダー (L663)などに追いつかれ、深い森の中で激しい戦いを繰り広げる。その末傭兵たちやアッシュを倒すが、マドレーヌとマチルドがヘリコプターでサフィンにさらわれてしまう。
ボンドが途方に暮れ歩いているところを、Qがつかんだアッシュの足取りを追っていたノーミが合流し飛行場までたどり着く。2人はMI6の面々の協力を得ながら、日本とロシアが領有を主張する島にあるサフィンの秘密基地へ向かう。島の地下には第二次世界大戦後に旧ソ連が軍事基地を築いていて、今はサフィンが占拠して毒物兵器工場として利用していた。ノーミは「どうせただの番号」だからと、007の番号をボンドに献上する。地下ではQ-DAR通信機が通じにくく、持参した爆薬の量が少ないといった問題を抱えつつも、ボンドたちは秘密基地に潜入。オブルチェフを退け、何とかマドレーヌとマチルドを救出したボンドはノーミに2人の身柄を託して脱出させ、そして世界を救うためには島の地下施設すべてを海軍のミサイルで破壊しなければならないとMに提言する。日露が領土紛争中の島で一体何をやっているのかと日本、ロシア、アメリカから詰問を受け、すでに外交問題に発展しつつある中でMはボンドの提言に難色を示すも、最後は付近に展開するイギリス海軍の45型駆逐艦「ドラゴン」に攻撃命令を下す。
ミサイルの攻撃を活かすには地上に設けられたハッチを開かなくてはならない。ひとり最上階のコントロールルームへ向かったボンドは傭兵たちを次々と退け、最後に対峙したプリモもQの特殊兵器で義眼を爆発させ倒す。コントロールルームにたどり着き旧ミサイルサイトのハッチをすべて開放したボンドは島を離れようとするが、途中マチルドが落としたぬいぐるみを見付けると相好を崩し、そっと拾い上げ大事そうに腰に携える。しかし、外へ出たボンドの目の前でさっき開けたはずのハッチが次々に閉じていく。呆然とするボンドを突然何者かが銃撃し、倒れ込むボンドの前にサフィンが現れる。負傷しながらも必死でサフィンと闘うボンドだが、その最中に、サフィンがオブルチェフに作らせたナノマシンに感染させられてしまう。サフィンを倒したボンドはミサイルが間近に迫る中で何かを悟り、最後にマドレーヌとの会話を望む。もう戻れないと告げるボンドに、マドレーヌは泣きながらマチルドの目はブルー(ボンドと同じ)よと言う。それを聞いたボンドは「わかってる(I know)」と優しく微笑む。そしてそこへイギリス海軍が放ったミサイルが降り注ぎ、ボンドは爆撃に巻き込まれて死亡した。
後日、MI6ではM、Q、ノーミ、マネーペニー、タナーが集いボンドに献杯を行う。一方、マテーラではマドレーヌがボンドの形見であるヴァンテージ・サルーンを駆りながら、助手席のマチルドに実父であるボンドのことを語り始めるのだった。
キャスト
[編集]
- ジェームズ・ボンド
- 演 - ダニエル・クレイグ、日本語吹替 - 藤真秀[9][10]
- 主人公で元MI6エージェント。前作『007 スペクター』で現役を退きジャマイカに住むが、旧友のフィリックス・ライターのある依頼により現役復帰し、再び国際犯罪組織「スペクター」と対決する。
- マドレーヌ・スワン
- 演 - レア・セドゥ、日本語吹替 - 園崎未恵[9][10]
- 前作のボンドガール。『007 スペクター』で彼のミッションを支援した医師であり、ミスター・ホワイトの娘。家族を殺された復讐のため自宅に現れたサフィンに、母親を殺された過去を秘めている。
- リューツィファー・サフィン[注釈 2]
- 演 - ラミ・マレック[11][12]、日本語吹替 - 中井和哉[9][10]
- 本作品の悪役。スペクター配下のミスター・ホワイトに家族を殺害された過去を持つ。そのためスペクター一味をナノマシンで殲滅し、さらに世界をもナノマシンで攻撃しようとするテロリストのリーダー。
- ノーミ
- 演 - ラシャーナ・リンチ、日本語吹替 - 斎賀みつき[9][10]
- ボンドの引退後しばらくして現役に就き、007番号が割り当てられた新しい00エージェント。ジャマイカでボンドと初めて顔を合わせる。
- ギャレス・マロリー / M
- 演 - レイフ・ファインズ、日本語吹替 - 原康義[13][10]
- MI6部長。
- Q
- 演 - ベン・ウィショー、日本語吹替 - 川本克彦[13][10]
- MI6の兵器開発課長。作中では同性と交際していることを匂わせるセリフがあり、性的少数者(クィア)の設定だと推測されている[14]。
- イヴ・マネーペニー
- 演 - ナオミ・ハリス、日本語吹替 - 杉本ゆう[13][10]
- Mの秘書でありボンドの仲間。
- ビル・タナー
- 演 - ロリー・キニア、日本語吹替 - 白熊寛嗣[13][10]
- Mの補佐を務めるMI6の幕僚主任。
- フィリックス・ライター
- 演 - ジェフリー・ライト、日本語吹替 - 石田圭祐[13][10]
- ボンドの旧友でありCIA局員。誘拐された科学者ヴァルド・オブルチェフの救出を依頼する。
- ローガン・アッシュ
- 演 - ビリー・マグヌッセン、日本語吹替 - 浪川大輔[9][10]
- ボンドがオブルチェフを見つけるのを支援するために、「政治的」に割り当てられた国務省の役人。実はサフィンの一味。
- エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド
- 演 - クリストフ・ヴァルツ、日本語吹替 - 山路和弘[9][10]
- かつて巨大組織「スペクター」を束ねていた元首領。ボンドの義兄で因縁の相手でもある。彼の身柄は現在MI6の管理下に置かれ、重犯罪者刑務所に収容されているが、密かにスペクター組織との接触を保っている。本名はフランツ・オーベルハウザー。
- ヴァルド・オブルチェフ
- 演 - デヴィッド・デンシック、日本語吹替 - 多田野曜平[9][10]
- サフィンに誘拐されたロシア出身の細菌学者。しかしサフィンの一味となる。
- パロマ
- 演 - アナ・デ・アルマス、日本語吹替 - 水樹奈々[9][10]
- ボンドをキューバで支援する新人CIAエージェント。初の実戦のため少々テンションが高く酒を煽っている。ボンドにも心配されていたが、実戦では見事な格闘と射撃を披露してボンドを援護した。
- プリモ
- 演 - ダリ・ベンサラ、日本語吹替 - 安元洋貴[10]
- ボンドがイタリア・マテーラのヴェスパーの墓を訪れた際、最初に遭遇したスペクターの傭兵。左目が義眼のため“サイクロプス”とも呼ばれている。
- マチルド[注釈 3]
- 演 - リサ=ドラ・ソネット、日本語吹替 - 原語流用
- マドレーヌの5歳になる娘。ボンドがマドレーヌの自宅を訪れた際に顔を出してボンドを驚かせた。自分と同じ青い瞳だったため、自分の娘かと思ったボンドに「あなたの娘じゃない」と言われた。だが、ボンドがマドレーヌと別れた直後に産まれた彼女とボンドの娘である。
- サフィンに人質にされるが、噛みついてサフィンから逃げ出してマドレーヌとボンドに救われた。
スタッフ
[編集]音楽
[編集]主題歌
[編集]2020年1月15日にビリー・アイリッシュがシリーズ史上最年少で主題歌を提供することが007と本人のインスタグラムで発表された。
- ビリー・アイリッシュ - 「ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time To Die)」
挿入歌
[編集]- ルイ・アームストロング -「愛はすべてを越えて(We have all the time in the world)」
『女王陛下の007』の挿入歌。イギリスでは、この「愛はすべてを越えて」が1994年、『ミュージック・ウィーク』誌で、最高位3位を獲得している。
公開に至るまで
[編集]当初は2020年2月14日に全世界公開とアナウンスされていた[15]。その後、イギリスでは同年4月3日、アメリカでは4月8日、日本では4月10日に公開予定とされていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全世界で11月まで延期されることが決まり、さらに後日新たな公開予定日がイギリスは11月12日、日本は11月20日、アメリカは11月25日に決まっていた[16]。しかし、同年10月には翌2021年4月まで再度延期されることが発表され[17]、更に2021年1月には10月まで3度目の延期が発表された。
評価
[編集]興行成績
[編集]日本では、2021年10月1日から3日にかけての初日3日間で動員42万人、興行収入6億円を突破し、興行通信社の調査による全国映画動員ランキングで初登場第1位となった[18]。また、イギリスの他全世界で順次公開され、初日3日間で興行収入1億1910万ドルを記録。新型コロナウイルス感染症拡大以降、中華人民共和国以外でアメリカ国外での興行収入が初めて1億ドルを超える快挙となった[19]。さらに2021年10月8日に北米でも公開され、2021年10月8日から3日間にかけての初日3日間で興行収入が5522万5007ドルを記録し、初登場1位を獲得した[20]。
批評家のレビュー
[編集]Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はダニエル・クレイグのシリーズ在職期間を満足のいくスタイルで締めくくっている。」であり、321件の評論のうち高評価は84%にあたる269件で、平均点は10点満点中7.4点となっている。また、一般観客による支持率は88%で「『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はシリーズのファンが期待するアクションと興奮の全てをもってダニエル・クレイグのボンドに別れを告げている。」と評価されている[21]。 Metacriticによれば、66件の評論のうち、高評価は42件、賛否混在は22件、低評価は2件で、平均点は100点満点中68点となっている[22]。
Blu-ray/DVD
[編集]NBCユニバーサルよりBlu-ray DiscとDVDが発売。
- Blu-ray
- DVD
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 品番:GNBF-5708 発売日:2022年10月7日
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントよりBlu-ray Discが発売。NBCユニバーサルが販売。
2022年1月17日の発売日決定時点で、歴代の007シリーズ24作品と独立プロ製作の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の映像ソフトは、発売元がワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント(以下WBHE)、販売元がNBCユニバーサルからリリースされているが、本作品はユニバーサル映画が2018年から2022年までMGM映画作品の北米地域以外の海外配給及び全世界における映像ソフト発売の権利を保有していた関係上[8]、当初の発売・販売元はNBCユニバーサルとなっていた。その後、前述の権利がワーナー・ブラザースに移行したことにより、2024年3月に再発売された廉価版の発売元はWBHEに変更となった。
また、2022年2月10日からはソフト発売に先立ち、各種VODサービスで先行デジタル配信され、同年5月10日からは、製作のMGMスタジオを同年3月17日付で買収したAmazonの日本法人(Amazon.co.jp)が運営する定額制動画配信サービス・Amazon Prime Videoで独占配信公開を開始した。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ “‘No Time to Die’: Hans Zimmer Takes Over as Composer on Bond Movie (EXCLUSIVE)”. 2020年1月8日閲覧。
- ↑ “No Time to Die”. British Board of Film Classification. 2021年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月6日閲覧。
- ↑ Ford, Rebecca (6 November 2019). “Bond Women: How Rising Stars Lashana Lynch and Ana de Armas Are Helping Modernize 007”. The Hollywood Reporter (アメリカ英語). 2020年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年2月27日閲覧.
- ↑ Lang, Brent; Donnelly, Matt (30 October 2020). “Breaking Down MGM's Costly 'No Time to Die' Dilemma”. Variety (アメリカ英語). 2020年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2020年11月4日閲覧.
- ↑ “No Time to Die (2021)”. Box Office Mojo. 2022年8月13日閲覧.
- ↑ 『キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.22
- ↑ “007 ノー・タイム・トゥ・ダイ : 作品情報”. 映画.com. 2024年1月8日閲覧。
- 1 2 “『007』争奪戦に決着!MGMが北米、ユニバーサルが海外配給へ”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ. 2018年5月25日. 2022年2月23日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 “『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』悪役は中井和哉が吹替!藤真秀、園崎未恵ら豪華声優集結”. シネマトゥデイ (2021年8月30日). 2021年8月30日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 “007/ノー・タイム・トゥ・ダイ”. ふきカエル大作戦!!. 2021年9月30日. 2021年10月1日閲覧.
- ↑ Nicholson, Tom (2018年12月7日). “Léa Seydoux, Ben Whishaw, Ralph Fiennes And The Gang Will Return For Bond 25” (英語). Esquire. 2019年3月25日閲覧。
- ↑ “007最新作「ボンド25」悪役にラミ・マレック”. 日刊スポーツ. 2019年4月27日. 2019年6月26日閲覧.
- 1 2 3 4 5 “『007/#ノータイムトゥダイ』日本語吹替版キャスト。いつもの“ボンドチーム”にはお馴染みのレギュラーメンバーが顔を揃えている。M:原康義/Q:川本克彦/マネーペニー:杉本ゆう/タナー:白熊寛嗣/フィリックス・ライター:石田圭祐。#007待ちきれない”. Twitter (2021年9月12日). 2021年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月12日閲覧。
- ↑ “Fan theory about major James Bond character’s sexuality casually confirmed in No Time To Die”. PinkNews (2021年10月5日). 2021年10月6日閲覧。
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- ↑ “新型コロナで延期の『007』新作、日本公開は11月20日に決定!”. シネマトゥデイ. 2020年3月11日. 2020年3月11日閲覧.
- ↑ “ボンド新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」、2021年に公開延期”. AV watch (2020年10月5日). 2020年10月5日閲覧。
- ↑ “『007』最新作が初登場1位を獲得!3位に『護られなかった者たちへ』、5位に『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が初登場(10月2日-10月3日)” (2021年10月4日). 2021年10月6日閲覧。
- ↑ “『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』日本・イギリスで大ヒット発進、『スカイフォール』超え” (2021年10月4日). 2021年10月6日閲覧。
- ↑ “『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』世界興収346億円突破!” (2021年10月12日). 2021年10月15日閲覧。
- ↑ “No Time to Die”. Rotten Tomatoes (英語). 2021年10月15日閲覧.
- ↑ "No Time to Die" (英語). Metacritic. 2021年10月15日閲覧。
- 1 2 “『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』2022.3.2[Wed] 4K UHD & Blu-ray & DVD RELEASE”. NBCUniversal Entertainment Japan NEW RELEASE INFORMATION. NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社 (2022年1月17日). 2024年3月5日閲覧。
外部リンク
[編集]- No Time To Die|Movie - MGM Studios
- The Official James Bond 007 Website|No Time To Die JP - 日本公式サイト
- 【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|007/ノー・タイム・トゥ・ダイ - ワーナー ブラザース ジャパン
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(字幕版)|Prime Video - Amazon.co.jp
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(吹替版)|Prime Video - 同上
- 映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』公式 (@007movie_JP) - X(旧Twitter)
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ - allcinema
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ - KINENOTE
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ - 映画.com
- 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ - MOVIE WALKER PRESS
- No Time to Die - オールムービー
- No Time to Die - IMDb
- No Time to Die - Rotten Tomatoes
- 007シリーズの映画
- 2021年の映画
- 2020年代の特撮作品
- アメリカ合衆国のスパイ映画
- アメリカ合衆国のアクション・スリラー映画
- アメリカ合衆国とイギリスの合作映画
- ノルウェーを舞台とした映画作品
- イタリアを舞台とした映画作品
- キューバを舞台とした映画作品
- ロシアを舞台とした映画作品
- 日本を舞台とした映画作品
- 架空の島を舞台とした映画作品
- CIAを題材とした映画作品
- テロリズムを題材とした映画作品
- ウイルスを題材とした映画作品
- ジャマイカで製作された映画作品
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