2,4,5-トリフェニルイミダゾール
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| 物質名 | |
|---|---|
別名 Lophine | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.006.915 |
| EC番号 |
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PubChem CID |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C21H16N2 | |
| モル質量 | 296.373 g·mol−1 |
| 外観 | 白色固体 |
| 密度 | 1.0874 g/cm3 |
| 融点 | 275 °C (527 °F; 548 K) |
| エタノールへの溶解度 | 可溶[1] |
| 危険性 | |
| GHS表示: | |
| Danger | |
| H301 | |
| P264, P270, P301+P316, P321, P330, P405, P501 | |
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |
半数致死量 LD50 |
100 mg/kg (マウス、i.v.) |
2,4,5-トリフェニルイミダゾール(慣用名:ロフィン)は、イミダゾール誘導体の1つ。紫外線照射下で蛍光を発し、塩基性溶液中では化学発光する性質を有する。
1877年、ポーランド人化学者ブロニスワフ・ラジシェフスキ(1838–1914)によって、初めて人工的に合成された有機化学発光物質として報告された。現代においては、化学工業分野で応用されているものの、より広く知られたルミノールにより忘れられている[1]。
合成法
[編集]2,4,5-トリフェニルイミダゾールは、ラジシェフスキ合成により調製される(後述)[1]。ベンジルをベンズアルデヒドおよび酢酸アンモニウム(アンモニア源)とともに酢酸中で120–125 °Cまで加熱し沸騰させる。高温の反応液を直接氷水に注ぐと、不純物を含む黄色の2,4,5-トリフェニルイミダゾールが沈殿する。この沈殿を、エタノールなどの溶媒を用いて何度か再結晶させ、その後沸騰水で再沈殿させることで、純粋な白色粉末を得ることができる[2]。

蛍光と化学発光
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2,4,5-トリフェニルイミダゾールは緑色の蛍光を示す。エタノール中での吸収極大波長は300 nmである[1]。
2,4,5-トリフェニルイミダゾールの化学発光は塩基性条件下で生じる。この反応には4種類の溶液(A~D)が必要となる。
溶液Aは2,4,5-トリフェニルイミダゾールのエタノール溶液、溶液Bは過酸化水素のエタノール溶液、溶液Cは水酸化カリウムの希エタノール溶液、溶液Dは次亜塩素酸ナトリウム溶液である。化学発光を開始するには、まず溶液A~Cを混合し、その後溶液Dを加える。すると黄色の化学発光が発生し、暗室では肉眼で観察可能である[3]。特に良好な観察結果を得るには、混合物を40–45 °Cに加熱するとよい[1]。反応物となる水酸化カリウムと2,4,5-トリフェニルイミダゾールを可能な限り少量のエタノールに溶解させることで、濃度が高くなり化学発光を強くする[4]。塩基性エタノール溶液中で2,4,5-トリフェニルイミダゾールは次亜塩素酸ナトリウムと反応して安息香酸とアンモニアへ酸化される[5][6][1]。2,4,5-トリフェニルイミダゾールに過酸化水素を加え、波長365 nmの紫外線を照射すると、暗青色/紫色の発色が観察される[5]。これはロフィンヒドロペルオキシド、より正確にいうと1,2-ジオキセタン誘導体が生成するためで、これらは不安定で溶液中では赤色を呈するため見わけることができる。これらの物質は蛍光に加えて熱化学発光を示す。ロフィンヒドロペルオキシドは、ロフィルラジカルまたは二量体との反応によって合成可能である(後述)[7]。

ラジシェフスキ合成
[編集]ブロニスワフ・ラジシェフスキは、ヒドロベンズアミドを出発物質として2,4,5-トリフェニルイミダゾールを合成した。ヒドロベンズアミドを空気中酸素の存在下で120–130 °Cに加熱すると、有毒なアマリンに環化する。 この生成物はさらに約300 °C酸素存在下において2,4,5-トリフェニルイミダゾールへと変換される。
ヒドロベンズアミドはアンモニアとベンズアルデヒドの混合水溶液を数日間静置することにより沈殿させて得た。再結晶が可能である[1]。
この合成法は効率が低く、ベンジルをもちいる合成経路の方がより重要である[1][3]。

二量体形成
[編集]2,4,5-トリフェニルイミダゾールの二量体は物性が異なり、フォトクロミズムおよびピエゾクロミズムを示す。また、蛍光性も観測されている[8]。
二量体は、フェロシアン化カリウムによる酸化反応によって合成される。この方法では、低温フェロシアン化カリウム水溶液を調製した後、これにあらかじめ水酸化カリウムを添加した2,4,5-トリフェニルイミダゾールエタノール溶液を、撹拌しながらゆっくりと加える。反応温度は0–10 °Cの範囲に維持する必要がある。添加過程において溶液は紫色に変色し、その後淡灰色から淡紫色の沈殿物が生成する[7][8]。
用途
[編集]多置換イミダゾール類は、その生理学的活性から、主に医学分野で利用されている。 たとえばプロテインキナーゼ阻害剤、カルシウム拮抗薬、強心剤、抗腫瘍薬などの合成に用いられる。この化合物群はイオン液体分野でも応用される。
2,4,5-トリフェニルイミダゾールは、化学発光指示薬として酸塩基滴定に使用でき、フェノールフタレインと同様のpH範囲で終点を示す。発光は酸性から塩基性へのpH変化に伴って発生する[9]。
分析化学分野では、コバルト(II)イオンを0.01 ppbまで定量することが可能である。また、キレート滴定においては他にも用途がある[10]。
出典
[編集]- 1 2 3 4 5 6 7 8 B.R. Radziszewski (1877-01). Untersuchungen über Hydrobenzamid, Amarin und Lophin. 10. p. 1280
- ↑ Diana Yanover, Menahem Kaftory (2009-04-15). Lophine (2,4,5-triphenyl-1H-imidazole). 65. p. o711. doi:10.1107/S1600536809006552. PMC 2968781. PMID 21582448
- 1 2 Cottman, Evans W. (1937-05). “Cold light brought into the classroom” (英語). Journal of Chemical Education 14 (5): 236. doi:10.1021/ed014p236. ISSN 0021-9584.
- ↑ Verlag der Zeitschrift für Naturforschung (2023-03-09). Zeitschrift für Naturforschung - Vol. 1, 1946 – Vol. 56, 2001. doi:10.17617/3.GRUJYR
- 1 2 J. C. Hummelen, T. M. Luider, H. Wynberg 191 (1988). W. P. Collins, John Wiley & Sons: Chichester. ed. Thermochemiluminescence immunoassay (2 ed.). EPRINTS-BOOK-TITLE University of Groningen, Stratingh Institute for Chemistry
- ↑ Gonghao Lu, Jun Wada, Takashi Kimoto, Hiroshi Iga, Hideki Nishigawa, Masaru Kimura, Zhizhi Hu (2014-02). The Chemiexcitation of the Chemiluminescence of Lophine Peroxide Anions via a Partially Cyclic Transition State: Chemiluminescence of Lophine Peroxide Anions. 2014. pp. 1212–1219. doi:10.1002/ejoc.201300976
- 1 2 Joseph. Sonnenberg, Dwain M. White (1964-12). “Chemiluminescent and Thermochemiluminescent Lophine Hydroperoxide”. Journal of the American Chemical Society 86 (24): 5685–5686. doi:10.1021/ja01078a061.
- 1 2 D. M. White, J. Sonnenberg (1966年8月), “Oxidation of Triarylimidazoles. Structures of the Photochromic and Piezochromic Dimers of Triarylimidazyl Radicals 1”, Journal of the American Chemical Society, vol. 88, no. 16, pp. 3825–3829, doi:10.1021/ja00968a027
- ↑ L. Erdey, I. Buzás (1956-07-01). Lophine, a new chemiluminescent indicator. 15. pp. 322–324. doi:10.1016/0003-2670(56)80059-7
- ↑ Dean F. Marino, Fred. Wolff, J. D. Ingle (1979-10-01). Determination of cobalt by lophine chemiluminescence. 51. pp. 2051–2053. doi:10.1021/ac50048a041
