2026 ED138

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2026 ED138
2026年6月にヴェラ・C・ルービン天文台によって観測された 2026 ED138(中央に見える白色の天体)の画像
2026年6月にヴェラ・C・ルービン天文台によって観測された 2026 ED138(中央に見える白色の天体)の画像
見かけの等級 (mv) 19.4[1]
分類 太陽系外縁天体[2][3]
分離天体[3]
古典的カイパーベルト天体[4]
発見
初観測日 2010年3月18日[5]
2016年2月25日[2][3]
(軌道計算に用いられた最も古い観測記録)
発見日 2026年10月13日[4]
(新天体としての承認日)
発見者 マシュー・J・ホルマン[4]
発見場所 Simonyi Survey Telescope[6]
(ヴェラ・C・ルービン天文台)
軌道要素と性質
元期:TDB 2461200.5(2026年6月9.0日)[7]
軌道長半径 (a) 43.091 au[7][注 1]
近日点距離 (q) 37.113 au[7]
遠日点距離 (Q) 49.069 au[7]
離心率 (e) 0.138[7]
公転周期 (P) 103248.953 日[7]
(282.680 年)
軌道傾斜角 (i) 24.434°[7]
近日点引数 (ω) 168.701°[7]
昇交点黄経 (Ω) 322.606°[7]
平均近点角 (M) 127.571°[7]
前回近日点通過 1926年4月17日[8]
次回近日点通過 2209年4月12日[9]
最小交差距離 6.860 au(海王星軌道に対して)[3]
物理的性質
直径 600 - 1,500 km[4]
スペクトル分類 色指数 g − r = 0.63[1][注 2]
絶対等級 (H) 2.92 ± 0.16[2]
3.19 ± 0.04[1]
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2026 ED138 は、エッジワース・カイパーベルトにある大型の太陽系外縁天体の一つであり、準惑星に分類される可能性がある天体である。2026年10月13日に天体物理学者のマシュー・J・ホルマンが同年初めにヴェラ・C・ルービン天文台によって得られた観測データを調べている際に発見された[4][10]。直径は 600 km から 1,500 km と推定されており、既知の準惑星候補の天体としては最大級の大きさを持つ可能性がある[4]。また、既知の準惑星候補の中で最も明るく見える天体の一つとしても知られている[1][11]。

発見

2026 ED138は、2026年の初めにチリにあるNSFヴェラ・C・ルービン天文台によって得られた観測データを調べていたアメリカの天体物理学者マシュー・J・ホルマンによって同年10月13日に発見された[4]。この探索では、ホルマンが Kevin Napier と共同開発した、画像内を移動する天体を自動的に特定するコンピュータプログラムが活用された[4]。2026 ED138 を発見した際、ホルマンはその見かけの明るさがおよそ20等級[1][6]と異常に明るいことに気づき、過去の画像に同一の天体が映っているか更なる調査を行うように促した[4][10]。クロアチアの天文学者である Mario Jurić は、同年3月4日[注 3]にヴェラ・C・ルービン天文台によって撮影された画像まで遡って調査したところ、2026 ED138 が写っている画像を新たに20枚発見し、さらにB612財団が運営しているB612小惑星研究所 (B612 Asteroid Institute) は、セロ・トロロ汎米天文台に搭載されているダーク・エネルギー・カメラによって2016年から2019年にかけて撮影された画像の中に 2026 ED138 が写っていることを発見した[4][6]。10年以上の期間に及ぶ観測データが集まったことを受け、小惑星センター (MPC) とヴェラ・C・ルービン天文台の研究チームは、2026年10月27日に 2026 ED138 の発見を共同で発表した[4][6]。その翌日には、小惑星センターは2010年から2011年にかけてVISTA望遠鏡によって撮影された画像に写っていた、さらに古い 2026 ED138 の観測記録についても報告した[5][12]。

2026 ED138 の位置は銀河面に近く、恒星が密集している領域で発見された[4]。既知の太陽系外縁天体の中でも特に明るい部類に入るにもかかわらず、背景の恒星に隠れてしまうことが多く、また、従来の望遠鏡による観測頻度も低い領域にあったため、長らく発見されなかったとみられている[13]。2026 ED138 の発見は、ヴェラ・C・ルービン天文台が南天全域を頻繁に観測していること、そしてその膨大なデータセットから新たな天体を探し出すためのコンピュータアルゴリズムが活用されたことによって可能となった[4]。

名称

「2026 ED138」という名称は、発見された際に小惑星センターから付与された仮符号における表記である[6]。この仮符号には、発見年(2026年)、1年を半月単位で区切った発見時期を示す符号(「E」は3月前半を指す)、そしてその期間内に発見された他の小惑星の中での順序番号(「D138」はその期間内において3,454番目に発見された小惑星であることを示す)が含まれている[14][注 4]。小惑星センターによると、小惑星は軌道が十分に判明し、数年以上にわたって広範な観測が行われた段階になれば小惑星番号が付与される[15]。小惑星に固有の名称が与えられるのは、この段階を経てからとなる[13][16]。

2026 ED138は、古典的カイパーベルト天体に分類されるとみられている[4]。国際天文学連合 (IAU) の規定では、こうした天体には神話に由来する名称を付ける必要があり、特に創造神話に関連する名称が望ましいとされている[16]。

軌道

2026 ED138は、軌道長半径が太陽から約 43 au(約64億 km)離れた、海王星よりもさらに外側の軌道を公転する太陽系外縁天体 (TNO) である[2][7][1]。この軌道は他にも多くの太陽系外縁天体や、冥王星のような準惑星が存在しているエッジワース・カイパーベルト内に位置している[17]。その軌道は歪んだ楕円かつ黄道面から傾いており、軌道離心率は 0.14、黄道面に対する軌道傾斜角は約25度に達している[7]。こうした軌道特性は海王星との重力相互作用によって本来の軌道から撹乱されて現在の軌道に移動してきたことを示唆しており、このことから、2026 ED138は「高温[注 5]」な古典的カイパーベルト天体に分類される[4]。

歪んだ楕円軌道になっているため、2026 ED138 は近日点では太陽から約 37.1 au(約55.5億 km)まで近づき、遠日点では約 49 au(約73.3億 km)まで遠ざかる。太陽の周囲を1周するのに要する公転周期は約283年である[7]。この公転周期は海王星の7分の12倍に近く、準惑星に分類されているハウメアと同様に、海王星と7:12の平均運動共鳴の関係にある可能性がある[1]。軌道特性はハウメアと似ているものの、表面の色合いが異なることから、2026 ED138 はハウメアやそれと似たような軌道を持つ小惑星族であるハウメア族とは関連はないと考えられる[1]。2026年10月時点で、2026 ED138 は太陽から約 46 au(約68.8億 km)の距離にある[4]。最後に近日点を通過したのは1926年4月頃であり[8]、次は2209年4月頃に近日点に達する見込みである[9]。

物理的特徴

2026 ED138 の直径はこれまで直接測定されたことはないが、その絶対等級 (H)に基づき、600 km から 1,500 km の範囲にあると推定されている[4]。直径が確定していないのは、太陽から入射する光を反射する割合であるアルベド(反射率)が求まっていないためである。絶対等級 (H) が分かっていても表面が暗ければ(アルベドが小さければ)直径は大きく、逆に明るければ(アルベドが大きければ)直径は小さくなる[10][注 6]。この程度の大きさを持つ氷で出来た天体は、自身の重力によって球形に近い形状になっていると考えられており、2026 ED138 は準惑星に分類される可能性がある候補天体で、既知の準惑星候補の天体において最大級の大きさを持っていると見做されている[4]。絶対等級 (H) は3等級[2][1]であり、これは既知の太陽系外縁天体の中でも非常に明るく、絶対等級が明るい順に並べると(50000) クワオアーに次いで9番目の明るさとなる[11]。

測定されている色指数は g − r = 0.63 であり、これはハウメア族に分類される太陽系外縁天体(明るい灰色の表面を持つ)よりも表面が赤い色合いとなっていることを示している[1]。今後、赤外線観測[4]や背景の恒星を覆い隠す掩蔽観測を行うことで、2026 ED138 の大きさをより正確に測定できるようになるとみられている[10]。さらに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる高解像度画像によって、2026 ED138 が衛星を持っているかどうかが明らかになる可能性もあり、もし衛星が存在していれば、それを基に質量を測定できる可能性がある[10]。

脚注

注釈

  1. ↑ 約 43 au という軌道長半径は、海王星と7:12の軌道共鳴の関係下にある場合の値に近い[1]。
  2. ↑ 色指数 g − r が 0.63 という値は、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ (SDSS) によるgフィルター(可視光線における青色に見える波長域での観測)および rフィルター(赤色に見える波長域での観測)を用いて測定した天体の見かけの等級の差を表している。この値から、2026 ED138 はハウメア族に分類される太陽系外縁天体よりも赤い色合いをしているということになる[1]。
  3. ↑ 2026年3月4日時点での天球上に置ける 2026 ED138 の赤緯は–42度と非常に南天寄りであった。さらに2017年には、赤緯はさらに南天寄りの–45度であった[6]。
  4. ↑ 小惑星センターの仮符号の付与に関する文書[14]で示されている手順に従って順序番号を算出した。まず、添字の数字に25を掛けると3,450となり(「I」を除く25個のアルファベットが使用されたらこの数字が1繰り上がるため)、次に2番目のアルファベットが何番目に来るかを考慮すると3,454番目となる。
  5. ↑ ここにおける高温 (hot) とは物理的に天体の表面温度が高いことではなく、他の天体との影響で軌道が大きく乱されて軌道離心率や軌道傾斜角が大きくなっている古典的カイパーベルト天体を気体の分子(気体中の分子が激しく熱振動を起こすほど気体の温度は高くなる)に例えて表現した用語である[18][19]。
  6. ↑ 絶対等級 とアルベド を用いて小惑星の直径 (km) を算出する経験則として、 という数式が用いられることがある[20]。この式は絶対等級が同一でもアルベドが大きいほど直径は小さくなり、逆にアルベドが小さいほど直径は大きくなることを示している。

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Jurić, Mario (2026年10月27日). “2026 ED138: a dwarf-planet candidate found in early Rubin data, and its data on the RSP”. Rubin Observatory LSST Community forum. 2026年10月29日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 “JPL Small-Body Database Browser: (2026 ED138)”. JPL Small-Body Database. Jet Propulsion Laboratory. 2026年10月29日閲覧。 (2026-07-11 last obs.)
  3. 1 2 3 4 “2026 ED138”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2026年10月29日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 “NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory Reveals Its First Dwarf Planet Candidate in Our Solar System” (Press release). Vera C. Rubin Observatory. 2026年10月27日. 2026年10月29日閲覧.
  5. 1 2 “MPC Explorer - 2026 ED138 Observations”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2026年10月29日閲覧。
  6. 1 2 3 4 5 6 “MPEC 2026-U85 : 2026 ED138”. Minor Planet Electronic Circular (MPEC). Minor Planet Center (2026年10月27日). 2026年10月29日閲覧。
  7. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 “JPL/HORIZONS 2026 ED138 (Barycentric)”. JPL Horizons On-Line Ephemeris System. Jet Propulsion Laboratory. 2026年10月29日閲覧。(太陽系全体の共通重心を基準とした軌道要素を算出)
  8. 1 2 “Horizons Batch for 2026 ED138 on 1926-Apr-17”. JPL Horizons On-Line Ephemeris System. Jet Propulsion Laboratory. 2026年10月29日閲覧。(軌道解は「JPL #1」を使用、「rdot」の値が負の値から正の値に変化した瞬間が近日点通過を指す)
  9. 1 2 “Horizons Batch for 2026 ED138 on 2209-Apr-12”. JPL Horizons On-Line Ephemeris System. Jet Propulsion Laboratory. 2026年10月29日閲覧。(軌道解は「JPL #1」を使用、「rdot」の値が負の値から正の値に変化した瞬間が近日点通過を指す)
  10. 1 2 3 4 5 Chang, Kenneth (2026年10月27日). “A New Dwarf Planet (Probably) Spotted Beyond Pluto”. The New York Times. 2026年10月29日閲覧.
  11. 1 2 “MPC Database Search: H < 3.5 and a > 20 AU”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2026年10月29日閲覧。 “16 trans-Neptunian objects brighter than H = 3.5”
  12. ↑ “MPEC 2026-U87 : DAILY ORBIT UPDATE (2026 October 28)”. Minor Planet Electronic Circular (MPEC). Minor Planet Center (2026年10月28日). 2026年10月29日閲覧。
  13. 1 2 Prisco, Jacopo (2026年10月28日). “'It's big': Astronomers make startling discovery of a possible dwarf planet beyond Pluto”. CNN. 2026年10月28日閲覧.
  14. 1 2 “New- And Old-Style Minor Planet Designations”. Minor Planet Center. 2026年10月28日閲覧。
  15. ↑ “Guide to Minor Body Astrometry – What's the best way to get my discovery numbered?”. Minor Planet Center. 2026年10月29日閲覧。
  16. 1 2 “Rules and Guidelines for Naming Non-Cometary Small Solar-System Bodies” (PDF). IAU Working Group for Small Bodies Nomenclature. International Astronomical Union (2025年2月22日). 2026年10月28日閲覧。
  17. ↑ Starr, Michelle (2026年10月28日). “Astronomers Discover a Giant New Dwarf Planet Candidate Hiding Beyond Pluto”. ScienceAlert. 2026年10月29日閲覧.
  18. ↑ Jewitt, D.; Delsanti, A. (2006). “The Solar System Beyond The Planets”. Solar System Update : Topical and Timely Reviews in Solar System Sciences. Springer-Praxis. ISBN 978-3-540-26056-1. オリジナルの2007-01-29時点におけるアーカイブ。)
  19. ↑ Levison, Harold F.; Morbidelli, Alessandro (2003). “The formation of the Kuiper belt by the outward transport of bodies during Neptune's migration”. Nature 426 (6965): 419–421. Bibcode:2003Natur.426..419L. doi:10.1038/nature02120. PMID 14647375.
  20. ↑ “Asteroid Size Estimator”. Center for Near Earth Object Studies (CNEOS). 2026年10月29日閲覧。

関連項目

外部リンク