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熊本地震 (2026年)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(2026年熊本地震から転送)
令和8年熊本地震
倒壊したイオンモール熊本を視察する自衛隊員ら
震源の位置(USGS)
熊本地震 (2026年)の位置(九州内)
熊本地震 (2026年)
熊本地震 (2026年)の位置(熊本県内)
熊本地震 (2026年)
震央の位置
本震
発生日 2026年(令和8年)7月28日(火)
発生時刻 16時27分15.2秒(JST)
震央 日本の旗 日本 熊本県熊本地方
座標 北緯32度37.5分 東経130度40.7分 / 北緯32.6250度 東経130.6783度 / 32.6250; 130.6783座標: 北緯32度37.5分 東経130度40.7分 / 北緯32.6250度 東経130.6783度 / 32.6250; 130.6783
震源の深さ 16 km
規模    Mj7.1
Mw6.8 [1]
最大震度    震度7: 熊本県宇城市(計測震度6.6)、氷川町(計測震度6.5)
地震の種類 地殻内地震(横ずれ断層型)
余震
回数 195回(震度1以上、7月29日14時までの累計)[2]
最大余震 2026年7月28日17:08、熊本県天草・芦北地方、M6.1、最大震度5弱
被害
死傷者数 本文参照
被害総額 1155億円(土木農業被害分)[3]
被害地域 主に熊本県(大分県・福岡県・鹿児島県・長崎県)
出典: 特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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令和8年熊本地震(れいわ8ねんくまもとじしん)は、2026年(令和8年)7月28日16時27分に日本の熊本県で発生した地震である[4]。地震の規模は気象庁マグニチュード(Mj)7.1、震源の深さは16 kmで、熊本県の宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測した[5][6][7]。日本国内で震度7を観測する地震は2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震以来2年6か月ぶりである。また、熊本県内では平成28年熊本地震(2016年4月14日・16日)以来、10年3か月ぶりに震度7を観測し、熊本県内で3回目の震度7を観測する地震となった。この地震により有明・八代海に津波注意報が発表された[8]。

概要

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この地震の発震機構は北北西-南南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である[9][10]。地震調査委員会によると、地震活動域の付近には布田川・日奈久断層帯が存在し、地震活動は主に日奈久断層帯の高野 - 白旗区間および日奈久区間に沿って分布しており、震源断層は日奈久区間の北東部および高野 - 白旗区間の一部に達するとみられている。また地殻変動観測や地震波の解析から、震源断層の長さは約30 kmと推定されている[11]。

名称

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地震から約3時間後の7月28日19時30分、気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と命名したことを発表した。気象庁が地震を命名するのは、2024年(令和6年)の能登半島地震以来となる[12][13][14]。

2016年熊本地震との関係

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この地震の震源周辺では、10年前の2016年4月14日に日奈久断層帯の北端部(高野 - 白旗区間)でMj6.5の地震が、同年4月16日に布田川断層帯の東部(布田川区間)でMj7.3の地震が発生していた(熊本地震 (2016年))。10年後に発生したこの地震の後、2026年7月29日の地震調査委員会では、今回の地震活動の分布が10年前の震源であった「日奈久断層帯」の一部に沿っていると指摘した上で、「日奈久断層帯などでは割れ残っている部分があり、将来的にそれらの地域で大きな地震が起きる可能性は十分ありうる」と結論付けた。その一方で10年前の地震との関連については現時点で不明とした一方で、地震発生のメカニズムが同じという共通点があるとしている[11][15]。

なお、京都大学防災研究所教授の西村卓也によれば、2016年の地震で「割れ残り」した部分が今回割れた可能性があるとしている[16][17]。東北大学災害科学国際研究所教授の遠田晋次も2023年時点での熊本朝日放送の取材に対して、「ひずみが2016年の熊本地震によってさらに蓄積されている」と指摘していたほか[18]、日本政府の地震調査研究推進本部の2026年1月時点での長期評価でも、今回の地震の震源付近の日奈久断層帯(日奈久区間)では今後30年以内にM7.5程度の地震が発生する可能性について、最大で6%であり、最高ランクの「Sランク」と評価していた[19][20]。

地震動

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震度

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震度5弱以上を観測した地点は以下の通りである。

震度5弱以上を観測した気象庁の発表地点[21][22]
震度 都道府県 観測地点
7 熊本県 宇城市豊野町・氷川町島地
6強 熊本県 熊本市南区城南町、八代市千丁町・鏡町・宇土市浦田町・宇城市松橋町・不知火町・小川町・美里町馬場・益城町宮園・氷川町宮原・嘉島町上島
6弱 熊本県 八代市平山新町・新地町・上天草市大矢野町・松島町・姫戸町・合志市竹迫・美里町永富・大津町大津・西原村小森・御船町御船・芦北町芦北・田浦町
5強 熊本県 熊本市中央区大江・熊本市東区佐土原・熊本市西区春日・熊本市北区植木町・八代市東陽町・泉支所・水俣市牧ノ内・山鹿市鹿央町・菊池市隈府・旭志・宇城市三角町・天草市倉岳町・有明町・五和町・大津町引水・菊陽町久保田・津奈木町小津奈木・甲佐町豊内
長崎県 南島原市加津佐町
鹿児島県 薩摩川内市祁答院町・さつま町宮之城保健センター・神子・長島町獅子島・伊唐島
5弱 熊本県 八代市泉町・坂本町・人吉市西間下町・蟹作町、水俣市陣内、玉名市横島町・天水町・山鹿市菊鹿町・鹿本町・菊池市泗水町・七城町・上天草市龍ヶ岳町・阿蘇市内牧・天草市牛深町・新和町・河浦町・栖本町・合志市御代志・和水町江田・高森町高森・南阿蘇村河陰・河陽・山都町浜町・多良木町多良木・上球磨消防署・湯前町役場・山江村山田・あさぎり町免田東・岡原・須惠・苓北町志岐
長崎県 諫早市多良見町・雲仙市小浜町雲仙・南串山町・南島原市口之津町・南有馬町・北有馬町・西有家町・布津町・深江町・有家町
鹿児島県 阿久根市鶴見町・出水市緑町・高尾野町・薩摩川内市中郷・神田町・東郷町・いちき串木野市緑町・伊佐市大口山野・大口鳥巣・さつま町宮之城屋地・長島町鷹巣・指江・湧水町吉松
福岡県 柳川市本町・大川市酒見
佐賀県 神埼市千代田・白石町有明
宮崎県 延岡市北川町川内名白石・西都市聖陵町・椎葉村総合運動公園・下福良
地震観測地点の震度を示した気象庁震度データベースの地図(全国)

気象庁によると、熊本県の嘉島町と甲佐町・宇城市小川町では当初、震度5弱以上と推定されたものの、震度情報を把握できていなかった[23][24]。7月29日、震度データが入電していない4点の観測点について、推計震度分布図による震度推計値を公表。31日までに、この4点の観測データを入手し公表した[25][22][26]。

当初震度6強を観測したと発表していた熊本市南区富合町の震度観測点について、その後の現地調査で周辺地盤のひび割れが確認された。これにより、震度観測への影響があるとして地震情報への活用を停止するとともに、本地震および以降に観測した震度について欠測扱いとすると発表された[27]。

このほか、九州地方から東海地方にかけての20府県で震度1以上の揺れを観測した。宇城市豊野町の自治体震度観測点で、最大加速度2,438 Galを記録したほか、防災科学技術研究所による宇城市のKiK-net三角観測点で最大加速度1,667 Galを記録した[11][28]。また同研究所の面的推定震度分布によると、気象庁が震度7の観測地点として発表した宇城市・氷川町のほか、熊本市南区・甲佐町・美里町でも震度7と推定される地域がある[29]。

また、韓国では南部の慶尚南道・釜山広域市・済州特別自治道・全南光州統合特別市で最大改正メルカリ震度階級IIIの揺れを観測した[30]。中華人民共和国では上海市で一部の高層ビルにいた市民が揺れを感じたと報告された[31]。

長周期地震動

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熊本県熊本地方では、長周期地震動階級4を観測した[32]。

長周期地震動に関する観測情報[33]
階級 都道府県 観測点名
4 熊本県 八代市平山新町・宇城市松橋町
3 熊本県 芦北町芦北
2 佐賀県 佐賀市駅前中央
熊本県 南阿蘇村中松・熊本市西区春日・八代市泉町・人吉市西間下町・多良木町多良木・上天草市大矢野町・天草市牛深町
大分県 玖珠町帆足
宮崎県 新富町上富田・都城市菖蒲原・小林市真方
鹿児島県 鹿児島市東郡元・阿久根市赤瀬川・薩摩川内市中郷・鹿児島空港・さつま町宮之城屋地

地殻変動

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SARから判読した御船町 - 八代市近辺の地表変位

国土地理院によれば、熊本県八代市の「千丁」にて、北東に約84 cm移動した。並びに熊本市の「城南」にて北に約40 cm、八代市の「泉」で南に約17 cm移動した[34]。

国土地理院はだいち2号、だいち4号の合成開口レーダー(SAR)データを用いて得られた地殻変動データから、地表変位が不連続になる境界を判読した。変位境界は熊本県上益城郡御船町大字高木付近から熊本県八代市平山新町付近の約35km確認できたと発表している[35]。

緊急地震速報

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気象庁は、地震波の検知から3.8秒後に熊本県に対して緊急地震速報(警報)を発表し、さらに5.5秒後に九州地方の全県に拡大した[36]。

津波

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気象庁は、地震発生直後の16時29分に有明・八代海を対象に津波注意報を発表したが[37]、同日18時10分に全て解除された[38]。この地震で津波は観測されなかった[39]。

余震など

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本震発生以降、活発な地震活動が続いており、8月4日午後4時までに震度1以上の地震を520回観測している[40]。

本震発生以降に、その震源周辺で発生した主な地震(余震・誘発地震)の一覧(本震を含む)。下記のいずれかに該当する地震を掲載している。

主な余震・誘発地震の一覧
発生日時 震央 震源の深さ 地震の規模 最大震度 長周期地震動
最大階級
出典
2026年7月28日16時27分 熊本県熊本地方 16km M7.1 7 4 [33][41]
2026年7月28日16時29分 熊本県熊本地方 13km M4.8 5弱 2 [42][43]
2026年7月28日17時8分 熊本県天草・芦北地方 0km M6.1 5弱 2 [44][45]
2026年7月28日19時3分 熊本県熊本地方 8km M4.2 5弱 0 [46][47]
2026年7月29日22時19分 熊本県天草・芦北地方 9km M5.8 5弱 1 [48][49]
2026年8月1日21時47分 熊本県熊本地方 11km M4.7 5弱 0 [50][51]

被害・影響

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倒壊した家屋で人命救助にあたる自衛隊員
地震発生後、患者後送を行う自衛隊員
被害の状況 (総務省消防庁、2026年9月24日17時00分時点)[52]
都道府県人的被害 (人)住家被害 (棟)
死者重傷軽傷 合計全壊半壊一部
破損
合計
福岡県-11 2--8 8
熊本県3839330 4072,2706,35743,544 52,171
大分県--1 1---
鹿児島県--1 1---
合計3840333 4112,2706,35743,552 52,179
死者の市町村別内訳[52]
都道府県市町村死者
熊本県八代市20
宇城市3
嘉島町7
甲佐町1
氷川町5
計36

またこの表には記載されてないが負傷の悪化又は身体的負担による疾病で2人が死亡した[52]。

人的被害

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熊本県上益城郡嘉島町のイオンモール熊本では、爆発事故が発生し、イオンの発表によると7人が死亡、26人が負傷した[53][54](詳細は後述)。

宇城市にあるイオンモール宇城では31日、男性1名が壁の下敷きとなっている通報があり、意識のない状態で救助された。心肺停止の状態で病院に搬送されたが、その後死亡が確認された[55]。イオンによれば地震発生後、従業員は来店客を屋外に誘導した後、館内に残っている人がいないか目視で確認した。31日改めて安全確認をしたら男性を発見。1階ソファであおむけで倒れている状態であった[56][57]。

宇城市では、男性が倒壊した住宅の下敷きになり、死亡が確認された[58]。

八代市では、家屋が倒壊し、病院に搬送された1名が死亡した[59]。また、後述する煙突が倒壊した日本製紙八代工場では従業員が11名が閉じ込められ、31日までに救助が完了したが、9人が死亡した[60]。

上益城郡甲佐町ではベトナム国籍の技能実習生である当時24歳の男性がクレーンの下敷きとなり、死亡が確認された[61][62][63]。

建物・施設

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瓦礫が散乱するイオンモール熊本の内部で救助活動をする消防隊員[64]
イオンモール熊本で瓦礫の撤去にあたる自衛隊員

嘉島町にあるイオンモール熊本では、地震発生から約1時間20分経った17時50分ごろに爆発が発生した[65]。2階が崩落し、多数の人が閉じ込められた[66]。現場では緊急消防援助隊や警察・自衛隊が連携し、建物内で呼びかけに反応があった場所を中心に捜索活動を行った[54]。政権幹部の1人は28日夜記者団に対し「爆発の原因かどうかは分からないが、ガスが漏れていたとの報告があった。ガスの元栓を閉めた上で、警察や消防、自衛隊が救助活動にあたっている」と述べた[67]。

宇城市にあるイオンモール宇城では、この地震により天井の一部が落下し営業停止となった[68]。

被害を受けた日本製紙八代工場の空中写真。画像を拡大すると煙突の倒壊や施設の損傷が確認できる。2026年7月29日12時47分28秒撮影。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)(現・地図・空中写真閲覧サービス)の空中写真を基に作成。

八代市にある日本製紙八代工場では、煙突が中央部から折れて落下し、建屋や設備は大きく損傷した。電気系統にも影響が出ているという[60][69]。また11人が閉じ込められたが[70]、会見での日本製紙による説明では、工場の煙突3本が損傷し、このうち重油ボイラーの煙突(高さ80m)の中央部分から折れ、2階建ての建物の上に落ちた。30日までに救助が完了し、9人の死亡が確認された[71][60]。死者9名のうち3名が協力会社の1名と空調メンテナンスのスタッフ2名であることを記者会見で明かした。更に損傷した煙突は1970年に設置し、2016年の地震の後に補強を行っていることを明かした[72][73]。

熊本城では石垣が複数箇所で崩れる被害が確認され[74]、「安全が確認されるまでの間」臨時休園とすることを発表した[75]。熊本城総合事務所によると、石垣が28カ所の崩落、天守閣の土壁に3カ所の亀裂が見つかった[76]。

29日7時時点で、宇城市・八代市・熊本市で火災が8件確認されている[77]。

国の名勝で八代市の有形文化財である「松浜軒」では建物が大規模に倒壊する被害を生じた[78]。また同市に所在する八代宮で拝殿が倒壊し[79]、八代神社では楼門が倒壊し、本殿の一部に亀裂が生じるなどの物的被害が生じた[80]。

土砂災害

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長崎県島原市では眉山で崩壊が発生した[81]。島原市役所によれば、崩壊箇所は江戸時代の1792年5月21日(寛政4年4月1日)に発生した山体崩壊(島原大変肥後迷惑)の痕跡の残る山体東側斜面であるとされる[82]。また同市の雲仙岳の溶岩ドーム(平成新山)についても、一部の崩落が確認された[83]。

交通機関

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道路

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八代ジャンクション南側付近の空中写真。画像中央付近を拡大すると高架橋(南九州自動車道 妙見第一橋)の橋桁がズレている様子が確認できる。2026年7月29日13時03分42秒撮影。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)(現・地図・空中写真閲覧サービス)の空中写真を基に作成。

地震発生直後から、九州自動車道 植木IC - 栗野IC間、南九州自動車道(八代日奈久道路) 八代JCT - 日奈久IC間、宮崎自動車道 えびのJCT - 高原IC間、九州中央自動車道 嘉島JCT - 益城TB間が通行止めとなった[84][85]。

このうち、九州自動車道の川田橋(宇城氷川SIC - 八代IC間)と片野川橋(八代JCT - 人吉IC間)、南九州自動車道の妙見第一橋(八代JCT - 八代南IC間)で橋梁部桁ずれなどの大きな被害が確認された[86]。また九州自動車道 松橋IC - 宇城氷川SIC間と八代ICランプでは、路面の段差やひび割れなどが確認された[87]。このため、九州自動車道 松橋IC - えびのIC間と南九州自動車道(八代日奈久道路) 八代JCT - 日奈久IC間が当面の間通行止めとなった。但し、九州自動車道 松橋IC - 宮原SA間は緊急車両のみ通行可能とした[88]。8月14日6時、九州自動車道の松橋IC - えびのIC間の通行止めが解除され一般車両が全線で通行可能となったが、川田橋については下り線を用いた対面通行による暫定開通となった[89]。8月18日、南九州自動車道の八代南IC - 田浦IC間の通行止めが解除された[90]。

また、九州の主要幹線である九州自動車道が地震による損壊によって通行止めとなったことから、北部九州と九州の南部に位置する鹿児島県や宮崎県との間の交通路が寸断された[91]。このため、西日本高速道路・国土交通省は熊本県を通過する自動車に対して東九州自動車道への広域迂回を要請し[92][93]、通過する自動車は九州の東部を縦断する東九州自動車道または、西部の島原 - 天草 - 長島のフェリールートによる広域迂回を行うこととなった[91]。8月5日に西日本高速道路は東九州自動車道を経由した場合であっても熊本県を経由した場合に比べて高速道路料金が割高にならないように7日以降に通行する車両について調整すると発表した[94]。

一方、広域迂回路となった東九州自動車道は通常時の交通量に比べて2倍、大型車は通常の5倍と交通量が増加しており[95][96]、朝日新聞は地震発生以降の宮崎県内の東九州自動車道の区間では追突事故や中央分離帯への衝突などの交通事故や車両火災が増加しており、また当該区間はほぼ全線が暫定2車線で整備されていることから、事故が発生すると全面通行止めに繋がってしまっていると報じている[97]。また、宮崎県・鹿児島県では物資の輸送に大きな影響が発生し、鹿児島県のスーパーマーケットでは地震発生から1週間ほどの間、商品不足や商品の到着遅延が発生したほか、鹿児島県トラック協会によれば東九州道への迂回により九州南部と北部の間の所要時間が2時間から3時間増加しトラックドライバーの負担が増加したと讀賣新聞の取材に対して語っている[98]。

一般道路では、球磨川に架かる熊本県道42号八代鏡線の植柳橋で、自転車歩行者専用道路部分の橋脚が倒壊し、橋が崩落した[99][100]。また、宇城市内を走る国道3号において、道路が隆起しているとの情報が熊本河川国道事務所に寄せられた[101]。

鉄道

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鹿児島本線八代駅では、停車中だったJR貨物の貨物列車が脱線・横転した[102][103]。

九州旅客鉄道(JR九州)では、九州新幹線の熊本駅で架線断線・熊本総合車両所で複数のレール歪み・新八代駅ではレール破断や橋桁のズレが発生したほか、熊本駅 - 鹿児島中央駅間では防音壁落下などの損傷が200箇所以上確認された[104]。また在来線では鹿児島本線 荒尾駅 - 八代駅間で電柱の損傷やレール歪みが確認されたほか、豊肥本線の熊本駅 - 宮地駅間では昇降場の破損が複数見つかった[105]。

JR九州は、28日、管内の全線区で一時全列車の運行を見合わせた[106]。このうち、九州新幹線全線、三角線全線、鹿児島本線大牟田駅 - 八代駅間、長崎本線江北駅 - 諫早駅間、豊肥本線熊本駅 - 豊後竹田駅間では終日運転見合わせとし、その他の路線区では同日中に運転を再開した[107]。西九州新幹線は28日19時頃に運行再開したものの、九州新幹線は全線で運行をとりやめた。線路上に4本の列車が停止し、このうち鹿児島中央駅発新大阪駅行きさくら760号が新八代駅 - 新水俣駅間で停車、乗客約180人が車中泊を行い、29日5時40分頃にバスで最寄りの駅に移動した[108][109]。

その後、安全の確認が取れた路線から順次運転再開している。九州新幹線 博多駅 - 熊本駅間は当初本数を減らした上で山陽新幹線との直通運行を中止していたが、8月1日から直通運転を再開(鹿児島中央発着は全て熊本折り返し)している[110]。また、九州新幹線 新水俣駅 - 鹿児島中央駅間も8月7日に運行を再開する(「つばめ」のみ1日6往復運転)[111]。一方、被害の大きかった九州新幹線 熊本駅 - 新水俣駅間と鹿児島本線 宇土駅 - 八代駅の間は8月中の運転再開は困難であることを明らかにしている[110][111][112]。

2026年8月27日、JR九州は運休区間の復旧状況と運行再開見通しを公表。九州新幹線 熊本駅 - 新水俣駅間は9月18日始発から運行再開(一部区間徐行運転による暫定復旧)する見通しであると共に、鹿児島本線 宇土駅 - 八代駅間については10月中旬の運行再開を目指すとしている[113][114]。

2026年9月24日、JR九州は鹿児島本線 宇土駅 - 八代駅間は10月10日始発から運行再開を発表[115]。

また、JR九州は、本地震を受けて7月・8月の夏季休暇期間に予定していたイベントを取りやめることを決定した[116]。

JR九州各線区復旧状況(29日以降再開線区・列車)
[107][111][117][118][119][120][121][122][123]
路線 区間 運転再開日
九州新幹線博多駅 - 筑後船小屋駅2026年7月29日中
筑後船小屋駅 - 熊本駅2026年7月31日始発
熊本駅 - 新水俣駅2026年9月18日始発
新水俣駅 - 鹿児島中央駅2026年8月7日始発
鹿児島本線大牟田駅 - 荒尾駅2026年7月29日始発
荒尾駅 - 熊本駅2026年7月30日中
熊本駅 - 宇土駅2026年8月2日始発
宇土駅 - 八代駅2026年10月10日始発(予定)
長崎本線江北駅 - 諫早駅2026年7月29日始発
豊肥本線熊本駅 - 宮地駅2026年7月30日中
宮地駅 - 豊後竹田駅間2026年7月29日中
三角線全線2026年8月2日始発
九州横断特急2026年7月31日始発
あそぼーい!2026年8月1日始発
A列車で行こう2026年8月2日始発

南阿蘇鉄道では、地震の影響で熊本県東部を走る全線で7月29日まで運転を見合わせたが、7月30日午後に運転を再開した[124]。

肥薩おれんじ鉄道は、同社線における28日と29日の運転を全線で見合わせ[125]、その後、1週間程度は全線で運転を見合わせることが公表された[126]。その後、水俣駅 - 川内駅間については8月5日に運転を再開する一方、八代駅 - 水俣駅間の一部区間については被害が大きく復旧に時間を要する見込みであることが公表された[127]。肥後田浦駅 - 水俣駅間は9月1日より運転再開した、八代駅 - 肥後田浦駅間は10月中旬頃運行再開を目指すとしている。

なおJR西日本の山陽新幹線および博多南線[128]・西日本鉄道[129]は当日中に運転を再開。熊本市電[130]・熊本電気鉄道[131]・松浦鉄道[132]は翌29日の始発から運転を再開。島原鉄道は29日午後2時すぎから運転を再開した[133]。

バス

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熊本県内の一般路線バスは地震発生直後から運休したが、熊本市内を走る熊本都市バスは7月29日に[134]、熊本バスは7月31日に運行を再開した。なお、熊本バスはイオンモール熊本バス停が利用できず、イオンモール熊本終着便は一つ手前の下上島バス停止まりとなっている[135][136]。このバス停閉鎖は9月1日始発より解除された[137]。

一方、熊本県南部に路線網を持つ産交バスは八代営業所が地震の影響で「当面の間休業」となり、同営業所所管の12路線が全便運休となった(八代市街地循環バス「みなバス」「まちバス」は8月6日に運転再開)ほか、天草営業所所管の松橋線が8月11日まで運休となった[138][139]。

高速バスでは、九州自動車道の通行止めの影響等で以下の路線が運休(一部または全部)、また一時迂回運行となった[138][140]。

  • 熊本 - 宮崎「なんぷう号」:8月8日より、減便の上で九州中央自動車道・東九州自動車道経由で迂回運行[141]。8月17日から通常ルートでの運行を再開(一部運休)[142]。
  • 熊本 - 鹿児島「きりしま号」:8月8日より、鹿児島交通担当便1往復のみで迂回運行[141]。8月17日から通常ルートでの運行を再開(全便)[142]。
  • 福岡 - 鹿児島「桜島号」:8月13日まで全便運休、8月14日から一部便で運行再開、8月17日から全便の運行を再開[143]
  • 福岡 - 宮崎「フェニックス号」:8月7日より、減便の上で大分自動車道・東九州自動車道経由で迂回運行(所定より2時間程度遅れる見込み)[144]。8月17日から通常ルートでの運行を再開(一部運休)[142]。
  • 新八代 - 宮崎「B&Sみやざき」:九州新幹線運行再開日の9月18日より運行再開(前日まで全便運休)[145]
  • 熊本 - 黒川・湯布院・別府「九州横断バス」:8月中は1往復のみで運行
  • 熊本 - 阿蘇山上・草千里「阿蘇山上線」:8月中の全便運休が決定

航空

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熊本空港は滑走路点検のため一時閉鎖されたが、19時頃に安全が確認された。地震発生時に熊本に向けて飛行中だった4便[146]はそれぞれ順に中部・広島・福岡・長崎の各空港にダイバートされた[147][148][149][150]ほか、地震発生以降の当日の国内線は全便が欠航した[151]。翌29日、空港は通常通りの運航を再開[152]したが、航空各社は29日にも一部の便で欠航が出ている[153]。

また、この時点では九州新幹線が一部区間で運転を見合わせていたことから、日本航空グループは福岡 - 鹿児島線などに臨時便を設定した[154]。

船舶

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島原と熊本を結ぶ熊本フェリーは地震で船体が損傷し、翌29日まで欠航した。熊本港の徒歩乗船口が破損したため徒歩での乗船ができなくなっていたが[155]、8月1日より臨時ルートを利用した乗船が可能となった[156]。

ライフライン

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電力

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九州電力によると、鹿児島県薩摩川内市にある川内原子力発電所と佐賀県玄海町にある玄海原子力発電所に異常は確認されなかった。玄海4号機・川内1号機・同2号機は運転を継続している。玄海3号機は定期検査中[157]。また、四国の伊方原発も地震を検知したが大きな異常は確認されなかった[158]。

九州電力送配電によると、7月29日10時25分時点で、熊本県内で約3万2670戸で停電している[159]。

水道

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国土交通省によると7月29日6時時点で、約8万4000戸の断水が確認されている[160]。

ガス

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7月28日21時35分時点で、九州ガスによると安全確認のため熊本県八代市のおよそ1万戸、西部ガスによると熊本市南区と東区のあわせておよそ500戸を対象に、都市ガスの供給を停止している[161]。

通信

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7月28日18時時点で熊本県の一部でNTTドコモと楽天モバイルが、八代市・人吉市でauとUQモバイルが通信サービスが利用しづらいもしくは利用できない状況となっている。

NTTドコモとKDDIは、フルローミング方式によるJAPANローミングの提供を開始した[162]。

NTT西日本・NTT東日本は、災害用伝言ダイヤルの運用を開始したほか、NTT東日本・NTT西日本・NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルは災害用伝言版の運用を開始した[163](8月31日15時まで運用された[164])。

NTTドコモとKDDI・ワイヤ・アンド・ワイヤレスは28日に災害用無料Wi-Fi「00000JAPAN」の提供を開始した[165]。

NTTドコモとKDDI・ソフトバンク・楽天モバイルは災害地域へのデータ無償化を発表した。ただし、各サービスによって方式は異なっていた[166]。

物流

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7月28日21時35分時点で日本郵便は熊本県内のゆうパックなどの新規受付を当分停止し、配送中の荷物にも遅れが発生している[167]。

29日の時点で日本郵便は熊本県内のすべての窓口を休止しており、熊本県内の郵便ポスト並びにコンビニからの集配も休止し、熊本県を発着するゆうパックの引き受けも一時停止するとしている[168]。

29日13時の時点でヤマト運輸は熊本県全域で荷物の受付や配送を停止している。また九州発着の荷物にも配達の遅れが見込まれるとしている[168]。

29日8時の時点で佐川急便は熊本県の一部地域で荷物の受付並びに配送を停止しているほか、九州発着の荷物にも配達の遅れが見込まれるとしている[168]。

コンビニエンスストア

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7月28日19時時点で、セブン-イレブンは熊本県内のおよそ30店舗が停電し一部の店舗で休業している[169]。

ローソンは熊本県内の23店舗、鹿児島県内の1店舗の計24店舗が休業している[169]。

ファミリーマートは熊本県内の9店舗が休業している[170]。

興行・イベント

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熊本県サッカー協会は、8月2日に熊本市東区の熊本県民総合運動公園陸上競技場(えがお健康スタジアム)で予定されていた、天皇杯 全日本サッカー選手権大会熊本県代表決定戦のロアッソ熊本対熊本学園大学戦を中止し[171][172]、大会要項に基づきロアッソ熊本が県代表としての天皇杯出場権を獲得した[173]。

熊本市は、7月31日 - 8月2日まで開催予定であった火の国まつり、8月1日 - 9月6日まで2016年の熊本地震の復興イベントとして開催予定だった熊本城REVIVAL2026の夏開催分について、いずれも中止[174]。地震の影響による熊本城ホールの臨時休館を受け、同ホールで8月1日に予定していた吉川晃司、8月1日・2日に予定していたさらば青春の光のライブがそれぞれ中止[175][176][177]、同ホールで8月2日に予定していた鈴木雅之の公演も中止した[178]。また、同じく地震の影響によるグランメッセ熊本の臨時休館(会場設備に損傷が出ている上、熊本県との協定に基づいて会場の一部が救援物資の集積場所となるため)を受け、同会場で8月13日・14日に公演を予定していた桑田佳祐と22日に開催を予定していた全日本プロレスがイベント開催を中止した[179][180]。

熊本県もくまモンの活動を自粛。また関連する各プロジェクトの人員に被害は無かったものの、県の情報発信拠点であるくまモンスクエア(熊本市中央区)の施設に損傷が発生したことを報告した[181]。

福岡県久留米市の筑後川沿いにて、2026年8月5日に予定していた「第367回筑後川花火大会」は、大会の警備を担う警察官や消防隊員などが被災地に入り、来場者の安全確保が難しくなったこと、また被災者の支援を優先することにより開催中止[182][183]。

8月21日に予定していた映画『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜CAPITAL CRISIS』も公開自粛を決定[184]。同作は、首都直下型地震を題材としており、この地震への配慮とみられ、舞台挨拶やイベントも中止となっている[185]。新たな公開日程は未定である。

他にも九州地方で予定されていたイベントや[186]、地震発災直後から全国的に予定していたオンラインイベントやインターネット番組などを中止または延期する動きが見られた[187]。

日本国内の対応

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政府機関・行政

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非常災害対策本部会議に出席する高市早苗

16時28分、政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置し、情報の収集などにあたっている。

17時30分、熊本県の木村敬知事は北熊本駐屯地の第8師団長に災害派遣要請を行った。これを受け、第42即応機動連隊、第8偵察隊など第8師団の3,600人が出動し、イオンモール熊本での人命救助も行い[188][189]、自衛隊の固定翼機11機、回転翼機9機が上空から情報収集を行っている[189]。また熊本県庁・福岡県庁・長崎県庁・佐賀県庁の4県庁に連絡要員を派遣した。

政府は首相官邸で非常災害対策本部を開き、本部長の高市早苗内閣総理大臣は「できることは全てやるつもりです」と強調し、各省庁の大臣に対し、人命第一の方針のもと被災者の救命・救助に全力を挙げるように指示した[190]。

総務省は発生日の夜に非常対策本部会議を開いた。また総務省消防庁は岡山・広島・山口・福岡・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島の9県に1000人規模の緊急消防援助隊派遣を要請したことを明らかにした[191]。また、爆発事故が起こったイオンモール熊本に消防研究センターの研究員を派遣するとした[192]。

熊本県は九州全県のDMATを要請した[193]。DMATは30隊120名が現地入りしている[194]。

熊本県に隣接する福岡県の大牟田市は、熊本方面に帰れない帰宅困難者を受け入れるために公共施設などを開放した[195]。

熊本市の大西一史市長は地震発生当時、半導体関係の経済フォーラムに出席するために台湾(中華民国)を訪れており、その帰路の飛行機(チャイナエアライン)内にて、熊本が被災したことを知った。地震の影響で熊本空港が閉鎖され、福岡空港への代替着陸となったことから、福岡市の高島宗一郎市長の協力を得て、同市内のヘリポートから福岡市消防局のヘリコプターに搭乗。28日20時30分頃に熊本県庁舎に到着し、緊急車両で熊本市役所に移動した[196][197]。

熊本県内では29日12時現在、465カ所の避難所が開設され、避難者を9872人受け入れた。避難所が停電しているケースがあり、宇城市、八代市では広域避難を調整している[198]。

警察庁は発災直後に災害警備本部を、28日18時20分には警察庁長官を本部長とする非常災害警備本部を設置。福岡県警察や大分県警察など全国10県警が広域緊急援助隊を熊本県に派遣した。29日朝には警視庁も広域緊急援助隊として災害対策課・特殊救助隊、航空隊あわせて8名を派遣した[199]。

自衛隊機で輸送されるスポットクーラー

小泉進次郎防衛大臣は、陸上自衛隊は第8師団を中心とする隊員約4600人態勢で活動していると明らかにし、イオンモール熊本では29日2時ごろからヘリコプターによる患者移送を行っているほか、170人の隊員が活動していることを明らかにした。給水支援についても八代市1か所、宇城市5か所で行っているほか、宇土市と御船町においても支援を行う予定であることを明らかにした。また熱中症対策として、関係省庁と連携し航空自衛隊入間基地からスポットクーラー300台を現地に輸送することを明らかにした[200]。

文部科学省は、避難所として熱中症予防のために空調設備の設置された教室などの活用を検討するよう関係する教育委員会に通知した。2025年5月時点で熊本県内で避難所に指定されている小・中学校の体育館と武道場のうち、空調設備が設置されているのは12.9%に留まっている[201]。

デジタル庁は熊本地震の罹災証明書をオンラインで申請する方法を紹介した[202]。

支援のため八代港に入港するはくおうII。

30日、小泉防衛大臣は700名収容可能で入浴や宿泊、食事支援が可能なはくおうIIを派遣すると明らかにした。あわせて29日までの4600名体制から500名増強し、5100名体制で災害派遣活動を行っていることを明らかにした[203]。

また、政府は熊本県庁に現地災害対策本部を設置した。津島淳内閣府副大臣を本部長とし、関係省庁の幹部ら120人体制で対応にあたる[204]。

8月1日からマイナンバーカードと一体になったマイナ保険証に移行するものの、本地震の被災者には厚生労働省はマイナ保険証や資格証明書を持参しなくても医療機関にて通常の窓口負担で診察を受けられる特例を設けており、当面の間この特例を適用するとした[205]。

8月3日、高市総理大臣が氷川町の避難所を視察した。その後、熊本県の木村知事と面会し意見交換を行った。高市総理大臣は、熊本市内で記者団の取材に応じ、予備費から200億円超を支出する方針を明らかにした。合わせて今回の地震を「激甚災害」に指定する意向も示した[206]。

8月7日、政府は「 令和八年熊本地震による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」を公布・即日施行し、「激甚災害」に指定[207]、また同日に「 令和八年熊本地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」を公布・即日施行し、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律に基づく「特定非常災害」に指定した[208]。

病院船

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8月5日、八代港に停泊する「はくおう2」で医療提供を開始した、「病院船」推進法に基づく初の取り組みになる[209]。

メディア

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地震発生時は夕方の報道番組時間帯であったこともあり、NHKと民放東京キー局(テレビ東京を除く)は地震発生直後に緊急報道体制を敷き、事態の報道に当たった。

NHKでは地震発生後の16時30分過ぎから緊急報道特別番組に切り替わり、現地からの中継も交えて報道に当たった。また18時台の各地放送局のローカル報道番組を縮小させ、19時台の『ニュース7』の放送時間を20時45分まで延長。このため19時台後半の『クローズアップ現代』と20時台の『うたコン』を放送中止とするなどの措置を執った[210]。また、29日午後から総合テレビの報道番組に限り、YouTubeでも同時配信する特例措置を実施した[211]。

民放各局は夕方の報道時間帯を終了すると通常編成に戻った(テレビ朝日系列は「マイナビオールスターゲーム2026中継」のため18:30で繰り上げ終了)が、TBS系列は『再現できたら100万円!THE神業チャレンジ』を休止して20:00まで、ローカルセールス枠を設定していたフジテレビ系列は『超調査チューズデイ〜気になる答え今夜出します〜』等を休止し21:00まで報道番組を延長放送した[212]。

一方、テレビ東京は『よじごじDays』(関東ローカル)の「よじごじジャパネット」コーナーを放送中に地震が発生。当該コーナーは長崎県佐世保市にあるジャパネットたかたの本社スタジオから送出されており、商品紹介を行なっていたジャパネットの塚原慎太郎がスタジオで揺れを感じていることを伝え、その後安全確保のためヘルメットを着用して商品紹介を続けた[213]。

発災翌日29日も、テレビ朝日は夕方ニュース『スーパーJチャンネル』を15時50分から拡大放送するなどした[214]。

熊本民放各局の対応は以下の通り。

  • 熊本放送(RKKテレビ)は29日9時55分から10時25分までと19時から20時10分にかけて『RKK報道特別番組 2026年熊本地震』を放送。
  • 熊本朝日放送(KAB)は、28日21時から21時54分までローカル特番を、29日9時55分から10時40分まで『KAB緊急特番 令和8年熊本地震』をそれぞれ放送し、それぞれYouTubeと同時配信[215]。
  • テレビ熊本(TKU)は、29日9時50分から10時50分まで通常のローカル情報番組『英太郎のかたらんね』を休止し、『TKU報道特別番組 熊本で震度7』を放送[216]。また、30日以降の『英太郎のかたらんね』は、放送内容を変更し、地震に関する情報を放送[217][218]。
  • 熊本県民テレビ(KKT)は、29日10時25分から10時55分まで通常の情報番組『DayDay.・第2部』(ローカルセールス枠を任意ネット)を臨時非ネットとした上で『熊本で震度7 最新情報』を放送し、YouTubeと同時配信[219]。また、31日19時から19時56分まで通常のローカルバラエティ番組『くりぃむしちゅーの熊本どぎゃん!?』を休止し、『news every.くまもと特別版 〜震度7から3日 熊本はいま〜』(熊本出身の武田真一〈元NHKアナウンサー・『DayDay.』MC〉をゲストに加えた。)を放送[220][221]、YouTubeと同時配信。

民間企業

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本田技研工業は当該エリアの通行可能な道路の参考情報が見れる「通行実績情報マップ」を公開した[222]。

トヨタ自動車は公式Xにて、直近24時間の通行実績を確認できる「通れた道マップ」を公開した。更に「熊本県で発生した地震に伴う通れた道マップを公開しております」と案内した[223][224]。

アンカー・ジャパンは、電力の確保に困っている自治体に対し可能な限りサポートを提供することを発表した[225]。

熊本県内のCHARGESPOTでは、熊本県内の合計84箇所のモバイルバッテリーを48時間無料で使用できる措置を講じた[226]。

テスラは同社のEV用急速充電設備「スーパーチャージャー」10箇所を8月4日まで無料解放すると決定した[227]。

テラチャージも熊本県内のEV充電器約70箇所を無料で解放すると決定した[227]。

株式会社ポケモンは、県と日本赤十字社への義援金・支援団体への寄付金に総額1億円の拠出を決定した[228]。

株式会社Fast Fitness Japanは7月30日よりエニタイムフィットネスの対象店舗にて断水・停電となっている被災地区の居住者を対象に、シャワーとトイレの無料開放を行なった[229]。

日本貨物鉄道は8月3日より企業などからの被災自治体に対する救援物資の輸送を無償とすることを発表した[230]。

日本航空グループは福岡-鹿児島間に臨時便を運航することを発表した[231]。また8月13日に、19日から31日の間に合計50便、25往復分の臨時便を追加設定した[232]。

震災に関連した騒動・批判

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震災後も予定通り政治資金パーティーを挙行

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福岡県議会では、自民党福岡県議団が震災直後にもかかわらず数百人の規模で政治資金パーティーを予定通り開催したため、ネット上を中心に批判の声が多く集まった。隣県での大地震発生直後という緊急事態でもあり、「県議団の会長として中止にすべきだった」「お笑い芸人が余興として出演する必要があったのか」などといった声が県連内部からも多く上がっていたという[233]。8月3日、県議団の松尾統章会長は「私の発言で多くの方に不快な思いをさせてしまったことを心からおわびいたします」と謝罪し、会長を辞任する意向を明らかにした[234][235]。

誤情報・偽動画

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2016年熊本地震や2024年能登半島地震の時と同様に、今回も災害に関連した偽情報がネット上などで多く拡散された[236]。

28日深夜、「生き埋めになった。助けて」などと救助を求める内容がXに投稿され、30万回以上閲覧されたが、投稿者が記載した住所は実在しない架空のものであったことから、アカウント自体が停止措置になった。この他、2024年1月に発生した能登半島地震で被災した北陸地方のショッピングモール内の映像を今回爆発事故があったイオンモール熊本の映像と称したり、「外国人が放火した」などのデマや陰謀論などがSNSにて相次いだ[237][238][239]。

Xでは、地震を予測できると主張するアカウントが、日本地図の画像とともに「予測を発表し、場所は的中した」などと投稿し、340万回以上閲覧された。地震が人為的に引き起こされたとする投稿も複数あった[240][236]。また、特におすすめ欄に災害時にもかかわらず、関連情報が流れてこず、状況が把握できない、もしくはインプレッション目当ての偽情報があふれているという事態が発生し、公式運営に対しユーザーから批判が続出した[241]。

この他にも「震源は阿蘇山」、「豪華寝台列車が脱線した」[注釈 1]という誤った情報も流れたり、生成AIを用いた偽画像も流れた[242]。内閣府特命担当大臣(人工知能戦略担当)の小野田紀美は8月4日の記者会見において、「極めて不適切な行為だ。許されるものではなく、厳に慎んでほしい」と批判した[243]。

また、震災で倒壊した自宅前で憔悴した男性を写した写真が新聞社の記事に掲載されたが、その画像が何者かによって、ピースサインになっており、震災被害者を揶揄しているかのような画像に勝手に書き換えられ、この男性はネットで誹謗中傷の被害に遭っている[244]。

また、避難所で提供された豚汁について、宗教上の理由で豚肉を食べることのできないイスラム教徒の避難者が苦情を言いトラブルを起こしたという根拠のない情報が多く拡散された[245][246]。

空き巣・悪質商法

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車中泊避難により、不在となっていた民家のエアコン室外機を盗んだとして、窃盗容疑で男性が逮捕された[247]。この他にも機器の修理と称して、不審者が被災者の民家を訪問するなど、地震に便乗した犯罪や悪質商法も発生していると報じられている[248]。また、熊本県八代市内で、倒壊した家屋から女子中学生が救出されたが、救出されるまでの間に、何者かによって部活動に使用しているカバンが盗まれていることが判明した[249]。

被災地視察の動画に音楽を付ける

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8月3日、前述の通り内閣総理大臣の高市早苗は被災地である熊本県を震災後初めて視察し、約2分間の動画を首相官邸公式SNSに投稿したが、この際動画に音楽を付けるなどしたため、「高市個人のPVになっているのではないか?」という指摘がSNS上では上がった[250]。野党からも批判の声が上がり、立憲民主党の参院議員の蓮舫はXで「首相と官邸は論外だ」と非難。共産党政策委員長の山添拓も官邸の対応に「あぜんとする」と断じた[251][252][253]。官房長官の木原稔は会見で、この動画の狙いを「国民の皆様にわかりやすくお伝えするための手法の1つ」と説明した[250]。

国際社会の対応

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  • 国際連合の旗 国際連合:事務総長副報道官のファルハン・ハクは7月28日の記者会見で「心からお見舞い申し上げます」としたうえで、「必要に応じて支援を行う用意があります」「地震により危険にさらされている人々がいることはよく承知しています」と表明した[254]。
  • 中華民国の旗 中華民国(台湾):総統の頼清徳は自身のXに「台湾の人々を代表して心よりお見舞い申し上げます。台湾と日本は苦難をともに乗り越えてきた真の友人です」と日本語で投稿し、「必要な支援があれば、いつでも協力できるよう準備を整えています」と表明した[255][256]。
  • イタリアの旗 イタリア:首相のジョルジャ・メローニは自身のXに「この災害に見舞われたすべての方々、救援活動に休むことなく尽力されている方々に、心を寄せています」「友人である高市早苗総理大臣と日本国民の皆様に、イタリア政府を代表して連帯の意を示します」と投稿した[257][258]。
  • パキスタンの旗 パキスタン:副首相兼外相のイシャク・ダル(英語版)は自身のXにて、熊本県で発生した地震に深い悲しみを表明した。日本政府と日本国民、特に犠牲者の遺族に哀悼の意を示し、負傷者の早期回復を祈るとしたうえで、パキスタンはこの困難な時期に日本と連帯すると述べた[259][261]。
  • カナダの旗 カナダ:外相のアニタ・アナンドは自身のXで、「被災した日本の人々に思いを寄せます」と表明した。カナダは困難な状況にある日本と、被災者の救援に当たっている緊急対応要員を支持するとし、被災者との連帯を示した[259][262]。
  • クロアチアの旗 クロアチア:外務・欧州省は公式Xにて熊本県と九州各地を襲った強い地震を受け、日本との連帯を表明した。被災者に見舞いを示し、負傷者の早期回復などを願うとした[259][263]。
  • 大韓民国の旗 韓国:大統領の李在明は自身のXにて、「人的・物的被害が生じているとの報に接し、心を痛めております」としたうえで、「高市総理のリーダーシップの下で、日本政府と国民が力を合わせ、早期に復旧・復興を成し遂げ、日常を取り戻すことを心より祈念申し上げます」「韓国国民も連帯の心を持って、常に寄り添ってまいります」とコメントした[264][265]。
  • 中華人民共和国の旗 中華人民共和国:報道官の毛寧は7月29日の記者会見において、「犠牲者に哀悼の意を表し、遺族と負傷者にお見舞いを申し上げます」と述べた[266]。

脚注

[編集]

注釈

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  1. ↑ なお、貨物列車が横転・脱線したのは事実である。詳しくは本文参照。

出典

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  1. ↑ ANSS. “M 6.8 – 5 km E of Uto, Japan 2026”. Comprehensive Catalog. U.S. Geological Survey.
  2. ↑ 「「令和8年熊本地震」について(第4報) (PDF)」『気象庁』2026年7月29日。2026年7月30日閲覧。
  3. ↑ “2026年熊本地震、土木・農業被害1155億円 犠牲者3人の氏名公表 熊本県”. 熊本日日新聞. 2026年8月9日閲覧。
  4. ↑ 日本放送協会「【地震速報】熊本県熊本地方で震度7 津波注意報 気象庁」2026年7月28日。2026年7月28日閲覧。
  5. ↑ 「地震情報(2026年7月28日)最大震度7|震源地:熊本県熊本地方」。2026年7月28日閲覧。
  6. ↑ “地震情報 : 詳細情報 2026/07/28 16:35 発表”. 気象庁 (2026年7月28日). 2026年7月28日閲覧。
  7. ↑ “【速報】気象庁が震源の深さ16キロに更新”. 2026年7月28日. 共同通信より2026年7月28日閲覧.
  8. ↑ 「【津波注意報】有明・八代海に発表 ただちに海岸から離れて (16時29分現在)」。2026年7月28日閲覧。
  9. ↑ 令和8年熊本地震の評価 (PDF)
  10. ↑ 「令和8年熊本地震」について (PDF)
  11. 1 2 3 “令和8年熊本地震の評価” (PDF). 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 (2026年7月29日). 2026年7月29日閲覧。
  12. ↑ 日本放送協会「「令和8年熊本地震」 気象庁が命名」2026年7月28日。2026年7月28日閲覧。
  13. ↑ “「令和8年熊本地震」 夜になっても地震活動は活発 しばらくは強い揺れに警戒”. ウェザーニュース (2026年7月28日). 2026年7月29日閲覧。
  14. ↑ なお、熊本放送や熊本日日新聞では、主に「2026年熊本地震」と称している
  15. ↑ “地震調査委 熊本地震で指摘 “割れ残り”で大きな地震も”. ABEMA Times (2026年7月30日). 2026年7月30日閲覧。
  16. ↑ “【専門家の解説】京都大学防災研究所・西村教授「2016年の熊本地震の“割れ残り”部分が割れた可能性」【熊本県で最大震度7】”. TBS NEWS DIG. TBS (2026年7月28日). 2026年7月28日閲覧。
  17. ↑ “西村卓也・京大防災研究所教授「2016年熊本地震の割れ残りが動いた可能性」「誘発地震含め余震に警戒」”. 読売新聞オンライン. 2026年7月28日. 2026年7月29日閲覧.
  18. ↑ “KAB 熊本朝日放送の過去動画に反響 2023年に「地震発生確率」示し呼びかけ…「現実になっている」「思い知らされた」【令和8年熊本地震】”. オリコンニュース(ORICON NEWS) (2026年8月4日). 2026年8月8日閲覧。
  19. ↑ “主要活断層帯の長期評価の概要(算定基準日 令和8年(2026年)1月1日) <都道府県別>” (PDF). 地震調査研究推進本部. 2026年7月28日閲覧。
  20. ↑ “”予見されていた大地震”発生確率Sランクの活断層…動いていない約50キロ区間のリスクは”. 熊本NEWS. 熊本朝日放送株式会社 (2026年8月6日). 2026年8月8日閲覧。
  21. ↑ “震度データベース検索”. 気象庁. 2026年7月30日閲覧。
  22. 1 2 “「令和8年熊本地震」について(第5報)” (PDF). 気象庁地震火山部 (2026年7月30日). 2026年7月30日閲覧。
  23. ↑ 日本放送協会「【震度7】熊本 嘉島町と甲佐町で震度が把握できず 気象庁」2026年7月28日。2026年7月28日閲覧。
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関連項目

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外部リンク

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