肩峰

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肩峰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
骨: 肩峰
左肩甲骨を後面から見た図。赤が肩峰である。
後ろから見た骨格。同様に赤が左右の肩甲骨の肩峰である。
名称
日本語 肩峰
英語 Acromion
ラテン語 acromion
関連情報
MeSH D000174
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肩峰(けんぽう、英語: acromion)は肩甲骨に存在する突起の一つである。烏口突起と同様に肩甲骨の肩関節側、つまりは外側へ突出している。肩峰は肩甲棘(英語版)から続いた構造であり、前方へ向かって鈎状になっている。鎖骨と接しており、肩鎖関節(英語版)を形成する[1]。

構造

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肩峰は肩の頂上ともいえる部分を形成しており、大きく、やや三角形または長方形の形をした突起で、後方から前方へかけて扁平となっている[2]。肩峰はまず外側に突出したのち方向を変えて前上方を向き、関節窩(英語版)よりも上方に出る[3]。肩甲棘から出てくる部分が肩峰の始まりである[4]。

面

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上面は上方・後方・外方を向いており、凸で粗く、三角筋の一部の筋線維が付着し、残りは皮下組織で覆われる[5]。下面は凹で滑らかである[5]。

境界

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外側縁は厚く不規則で、三角筋が腱として起始するための結節(英語版)状の構造が3,4ほど存在する[5]。内側縁は外側縁よりも短く凹で、僧帽筋が付着する部分となる[5]。また、内側縁中央付近には小さい卵円形の面があり、肩鎖関節で鎖骨と関節する部分となる[5]。

破格

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肩峰には形態的に3つの異なるタイプがあり[6]、これらの形態は腱板断裂との関連性がある[7]。

タイプ見た目確率[6]角度[注 1][6]腱板断裂[6]
I 扁平状17.1%13.183.0%
II 曲線状42.9%29.9824.2%
III 鈎状39.3%26.9869.8%

Os acromiale

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肩峰には先端から基部まで4つの骨化中心(英語版)があり、pre-acromion, meso-acromion, meta-acromion, basi-acromionとそれぞれ呼ばれる[9]。ほとんどの場合、前者3つは15-18歳のうちに癒合し、basi-acromionは12歳ごろで肩甲棘と癒合する[9]。しかし、骨癒合が起こらないことで肩甲骨の一部が分離したような状態になり、副骨(英語版)として存在することがある[9]。このような状態の副骨をos acromiale といい、疼痛を引き起こすことは稀である[9]。os acromiale の発生頻度は様々な研究において報告されているが、1-15%と幅広い[10]。また、os acromiale が存在する場合、半数程度で両側の肩甲骨に見られることが報告されている[10]。

os acromialeとして知られる4つの副骨は以下の癒合不全により生まれる[11]。

  • meso-acromionとmeta-acromionの癒合不全(最も典型的なos acromiale である。このタイプの癒合不全以外は非典型例である。)
  • pre-acromionとmeso-acromionの癒合不全
  • pre-acromionとmeso-acromionの癒合不全、meso-acromionとmeta-acromionの癒合不全の合併例
  • pre-acromionとmeso-acromionの癒合不全、meso-acromionとmeta-acromionの癒合不全、meta-acromiaとbasi-acromiaの癒合不全の合併例

os acromiale が生じる原因としては機械的なストレスによるものであるという説がある。これはos acromiale が沈没したメアリー・ローズから回収された骨格において多くみられるためであり、メアリー・ローズに乗船していた射手の肩甲骨に機械的な負荷がかかっていたためos acromiale が形成されやすくなったと説明される[12]。一方で、遺伝的影響が強いとする説もある[12]。

歴史的にos acromiale は無症状であり偶然発見されるものであるととらえられてきたが、ときに肩峰下インピンジメント症候群や骨癒合不全部位における不安定性などを引き起こすことがある[13]。症状のある場合、超音波検査で関節過可動となったり検査のプローブによりos acromiale が圧迫される変化が見られたりする[14]。

ヒト以外の動物

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コウモリでは肩峰による突起は特にヒトと比べて伸びている[15]。

カメにおいては肩峰は烏口骨や肩甲骨とともに肩帯を構成しており、肩峰・烏口骨・肩甲骨により三放射線状となっている。カメの内骨格は高度に分化しており、肩甲骨が背側(上)を向いて第一肋骨に付着し、烏口骨は後腹側(下後方)へ向き、そして肩峰が肩甲骨の基部から内腹側(内下方)へ出ている。パレイアサウルスや獣弓類のどちらも肩峰は肩甲骨の背側の先端に位置しており、進化的起源に関して論争となる[16]。

現生のカメは肩峰は腹側に突出し、腹甲という甲羅の下側の扁平な部分と関節を形成する。肩峰はこの腹甲の進化よりも前にパレイアサウルスとは別に進化したと考えられている。これらの原始祖先では肩峰は前方に突出しており肩帯は鎖骨と強く柔軟な関節を形成していた。このような変化にもかかわらず、現生のカメでは肩峰をその元来の機能である肩帯を支持して歩幅を増やすために保持している[17]。

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ↑ ここでいう角度は次のように求められる。まず、肩峰を横から見た図(ギャラリーにもある)の肩峰下縁を最も前・最も後ろ・中点の3つ点を打つ。その後、最も前・中点を結ぶ線と最も後ろ・中点を結ぶ線のなす角をこの角度とする[8]。

出典

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この記事にはパブリックドメインであるグレイ解剖学第20版(1918年)203ページ本文が含まれています。

  1. ↑ “Pharmacology in Medicine. 2nd ed.”. Journal of the American Pharmaceutical Association (Scientific Ed.) 47 (11): 838. (November 1958). doi:10.1002/jps.3030471148. ISSN 0095-9553.
  2. ↑ Gray 1918, p. 203.
  3. ↑ Gray 1918, pp. 203–204.
  4. ↑ Al-Redouan, Azzat; Kachlik, David (2022). “Scapula revisited: new features identified and denoted by terms using consensus method of Delphi and taxonomy panel to be implemented in radiologic and surgical practice”. J Shoulder Elbow Surg 31 (2): e68–e81. doi:10.1016/j.jse.2021.07.020. PMID 34454038.
  5. 1 2 3 4 5 Gray 1918, p. 204.
  6. 1 2 3 4 Habermeyer 2006, p. 1.
  7. ↑ Baechler, Martin Frederick; Kim, David H. (October 2006). “Uncoverage" of the Humeral Head by the Anterolateral Acromion and Its Relationship to Full-Thickness Rotator Cuff Tears”. Military Medicine 171 (10): 1035–1038. doi:10.7205/milmed.171.10.1035. ISSN 0026-4075. PMID 17076461.
  8. ↑ Balke, Maurice; Schmidt, Carolin; Dedy, Nicolas; Banerjee, Marc; Bouillon, Bertil; Liem, Dennis (2013). “Correlation of acromial morphology with impingement syndrome and rotator cuff tears”. Acta Orthopaedica 84 (2): 178-183. doi:10.3109/17453674.2013.773413. PMC 3639339. PMID 23409811.
  9. 1 2 3 4 Warner 1998, p. 1320.
  10. 1 2 Sammarco, V. J. (2000). “Os acromiale: frequency, anatomy, and clinical implications”. Journal of Bone and Joint Surgery 82 (3): 394–400. doi:10.2106/00004623-200003000-00010. PMID 10724231.
  11. ↑ Habermeyer 2006, p. 4.
  12. 1 2 Fischer, Cornelius Sebastian; Floß, Matthias; Ittermann, Till; Bülow, Robin; Völzke, Henry; Ahrend, Marc-Daniel; Lange, Jörn (2022). “Os acromiale: prevalence and associated patient-related factors-a population-based study of three thousand and fifty participants”. International Orthopaedics 46 (7): 1583-1590. doi:10.1007/s00264-022-05406-0. PMC 9166870. PMID 35511275.
  13. ↑ “Symptomatic os acromiale”. Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 14 (1): 12–19. (2006).
  14. ↑ Arend, C. F. (2013年). “Ultrasound of the Shoulder”. Master Medical Books. 2016年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年1月17日閲覧。
  15. ↑ Gaudioso, Pablo J.; Martínez, Juan J.; Barquez, Rubén M.; Díaz, M. Mónica (2020). “Evolution of scapula shape in several families of bats (Chiroptera, Mammalia)”. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research 58: 1374-1394. doi:10.1111/jzs.12383.
  16. ↑ Rieppel, Olivier; Reisz, Robert R. (1999). “The Origin and Early Evolution of Turtles”. Annual Review of Ecology and Systematics 30 (1): 1-22. Bibcode:1999AnRES..30....1R. CRID 1360855570384818304. doi:10.1146/annurev.ecolsys.30.1.1.
  17. ↑ Lee, Michael S. Y.  (1996-01-22). “The Homologies and Early Evolution of the Shoulder Girdle in Turtles ”. Proc. R. Soc. Lond. B 263 (1366): 111–117. doi:10.1098/rspb.1996.0018.

参考文献

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関連項目

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