音楽博物館
音楽博物館(おんがくはくぶつかん)は、音楽に関する資料を収集、保存、調査研究および展示する博物館、記念館、資料館などの施設の総称である。楽器、楽譜、レコード、録音・再生機器、音楽家の遺品、写真、映像、文書などを通じて、音楽の歴史、技術、文化および社会との関係を紹介する。
音楽博物館には、世界各地の楽器を扱う楽器博物館、作曲家・作詞家・歌手などの業績を紹介する記念館、録音技術やレコードを扱う施設、オルゴールなどの自動演奏楽器を展示する施設、特定の楽曲や地域の音楽文化を扱う資料館などがある。また、音楽大学などの教育・研究機関に付属する楽器資料館や音楽資料室も、音楽に関する資料の保存・公開を担っている。
概要
音楽は、演奏や歌唱などの実演によって伝承されるとともに、楽器、楽譜、録音媒体、映像、演奏会の記録、音楽家に関する資料などを通じて記録されてきた。音楽博物館は、これらの資料を保存し、音楽文化の継承、教育、研究および普及に寄与する施設である。
展示方法には、実物資料の展示のほか、録音や映像の再生、楽器の演奏体験、自動演奏楽器の実演、音響装置による音の比較、デジタルアーカイブの公開などがある。施設によっては、演奏会、講演会、ワークショップ、音楽教育プログラムなども実施する。
音楽博物館という名称は、必ずしも特定の制度上の施設区分を意味するものではない。施設の名称や運営形態は多様であり、博物館、記念館、資料館、展示施設、大学の研究施設などが含まれる。音楽に関する資料を収蔵していても、展示を主目的としない図書館や文書館などは、活動内容に応じて区別される。
分類
音楽博物館は、収蔵資料や展示の主題によって、次のように分類できる。これらは複数の分野を扱う施設もある。
楽器博物館
楽器を中心に収集・保存し、その構造、材質、音響、演奏方法、製作技術、歴史的変遷などを紹介する施設である。日本や世界各地の伝統楽器、民族楽器、古楽器、鍵盤楽器、打楽器、電子楽器などを扱う。楽器の実物展示に加え、演奏音の再生、実演、演奏体験などを通じて、楽器と音楽文化との関係を紹介する場合もある。
音楽家記念館
特定の音楽家の生涯や業績を紹介する施設である。作曲家、作詞家、演奏家、歌手や音楽グループなどを対象とし、自筆譜、楽器、愛用品、書簡、写真、録音資料、作品に関する文書などを展示する。作詞家や詩人の記念館では、文学資料を中心としながら、歌曲や童謡などの音楽作品に関する資料を展示することもある。
レコード・録音技術・音響資料の博物館
レコード、蓄音機、録音機器、音響再生装置などを通じて、音楽の記録・再生技術や音楽鑑賞の歴史を紹介する施設である。録音媒体の変遷、音響機器の発達、音楽産業や家庭における音楽鑑賞の変化などを扱う。日本の例として、音浴博物館がある。同館はレコードなどの音楽資料を通じて、音楽を聴く文化を紹介する施設である。
オルゴール・自動演奏楽器の博物館
オルゴール、自動演奏ピアノ、機械式オルガンなど、機械的な仕組みによって音楽を奏でる装置を収集・展示する施設である。装置の構造や製作技術、自動演奏の仕組み、機械工学と音楽との関係などを紹介する。
楽曲・歌曲・音楽作品の資料館
特定の楽曲、歌曲、音楽作品などを主題として、作品の成立、作詞・作曲の背景、普及の歴史、作品と地域社会との関係などを紹介する施設である。歌詞や楽譜、関連する写真、文書、録音資料などを展示する場合がある。
音楽史・音楽文化の博物館
特定の時代、地域、音楽ジャンル、音楽運動などを主題として、音楽の歴史や社会的背景を紹介する施設である。民俗音楽、伝統音楽、ポピュラー音楽、宗教音楽、現代音楽など、幅広い分野を対象とする。
大学・教育研究機関の音楽資料館
音楽大学や大学の研究機関などが設置する資料館である。楽器の収集・保存に加え、楽譜、音楽書、録音資料、映像、音楽家の記録などを収蔵し、教育や研究に利用する。 日本の例として、大阪音楽大学音楽メディアセンター・楽器資料館がある。大学の資料館は一般公開を行う場合もあるが、利用方法や公開範囲は各施設によって異なる。
地域の音楽文化を扱う施設
地域に伝わる民謡、祭礼音楽、郷土の歌、音楽家の活動、地域の音楽産業などを紹介する施設である。地域の歴史資料館や文化施設の一部として設置される場合もある。 例えば、大崎市松山ふるさと歴史館や日本昭和音楽村など、地域の歴史・文化や音楽活動と関連する施設がある。また、道の駅や地域交流施設の中に、音楽家や楽曲に関する展示が設けられる場合もある。
日本の主な音楽関連施設
日本には、音楽を専門とする博物館のほか、音楽家の記念館、楽器資料館、レコードやオルゴールの展示施設、特定の楽曲や地域文化を扱う資料館などが存在する。以下は、その例である。施設の名称、公開状況、展示内容は変更される場合がある。
楽器・音響・音楽文化
音楽家記念館
楽曲・歌曲・地域文化の資料館
音楽に関連する複合文化施設
これらの施設は、音楽を専門に扱う博物館だけでなく、音楽に関連する展示や活動を行う複合文化施設も含む。
閉館した音楽関連施設
音楽関連施設には、一定期間の運営後に閉館した博物館や記念館もある。閉館施設は現存する施設と区別し、過去の音楽文化の保存・展示活動として扱うことができる。 日本では、石原裕次郎記念館、オルゴールの小さな博物館、北島三郎記念館などが閉館した施設として知られる。