ジ・O

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ジ・O(ジ・オ、THE-O)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器で、有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は、1985年放送のテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』。

作中の敵側勢力である地球連邦軍の軍閥「ティターンズ」に合流する木星船団の指揮官パプテマス・シロッコが、自身の専用機として開発する。ずんぐりした体型の大型機であるが、機動性は高い。グリプス戦役の終盤において、主人公カミーユ・ビダンが搭乗するΖガンダムや、アクシズ(ネオ・ジオン)の指導者ハマーン・カーンが搭乗するキュベレイと渡り合う。

本記事では、外伝作品などに登場する関連機体についても記述する。

デザイン

デザインは小林誠が担当。アニメ最終回が迫っていることから、模型化を考慮せずにデザインの発注が行われた[1]。

小林によれば本機はリック・ディアスの発展機としてデザインしており[注 1]、胸部デザインはポルシェ・935のフロント周りがイメージベースとも語っている[1]。Bクラブ3号にはポルシェ928のテールをモチーフにした、と発言。「ザクIIにヘルメットを被せてみた」というマラサイと同じく、低年齢視聴者層へのサービスと考えてデザインしたという。歩行は基本的に考えず、陸戦ならばホバー、宇宙ではスラスターで行動という設定であり、ジオングと差別化の意味も含めてフレームのみの逆関節脚部や巨大なスカート装甲を配置している[1]。

小林自身も本機のデザインモチーフを気に入っており、自身のイラストや漫画、メカデザインなどで頻繁に使用している(ネオ・ジオ、『SAMURAI 7』の紅蜘蛛など)。電撃ホビーマガジンにもデザインを現代風にリファインしたジ・Oやネオ・ジオのイラスト及び作例を掲載し、ついには自分の息子に「児央(ジオ)」と名付けたほどである。

設定解説

諸元
ジ・O
THE-O
型式番号PMX-003
所属ティターンズ
建造ジュピトリス
生産形態試作機
全高28.4m[2]
頭頂高24.8m[2]
本体重量57.3t[2]
全備重量86.3t[2]
装甲材質ガンダリウム合金[2]
出力1,840kW[2][注 2]
推力38,200kg[2]
16,200kg×6[2]
総推力:135,400kg[5]
センサー
有効半径
11,300m[2]
武装ビーム・ライフル
ビーム・ソード×4
搭乗者パプテマス・シロッコ
その他姿勢制御バーニア×50[2]

シロッコがエゥーゴやアクシズとの最終決戦に臨むべく、巨大輸送船ジュピトリスの工廠にて設計・開発したPMXシリーズMSの4番目の機体。重MSに位置付けられる[6]。

シロッコ自身の専用機として開発されたワンオフのMSであり[7]、管制システムには独自開発の[4]機器「バイオセンサー」が導入されている[7][注 3]。これはZガンダムなどに搭載されたアナハイム・エレクトロニクス (AE) 社製のバイオセンサーと同名であるが、開発経緯はまったく異なっており[4]、似て非なるものとされる[9]。

ビット兵器に代表される遠隔誘導端末の制御機能を有してはいないが、感応波の増幅並びに追従性能向上に対する効果は大きく、機体制御の補佐システムとして優秀な性能を有している[4]。なお、シロッコがコックピット内でもノーマルスーツを着用しないのは、本機のインターフェイスを完全に稼働させるためである[4]。

頭頂部にはマルチプルライトプロジェクターを装備する[9]。『劇場版 機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛』では、ミノフスキー粒子の影響を受けずに十字状の可視光線を照射している。

機体背部には加速用のスラスターを持ち、モビルアーマー (MA) を凌駕する推力をもたらす[7][注 4]、さらに全身の装甲上には50基もの姿勢制御用スラスターが配されており[4]、機体の運動性は高い[10]。各スラスターはあらゆるベクトルに対応しており、MSよりもMAに近い特性を持つ[4]。本機のボディユニットは、これらのスラスターとプロペラントタンクの集合体で構成されている[4]。

本機はMS1機を凌駕する大出力のジェネレーター[注 2]と強固な装甲[注 5]を持ち[4]、空間戦闘用に特化されているうえ、脚部や各部の装甲は一般的なMSのそれとは構造が大きく異なり、スラスターとカウンターウェイトの機能を統合した複合的な機動ユニットとして設計されている。脚部モジュールは1G環境における歩行脚としての機能も有するが、スラスターや装甲の特性からランディングギアとしての意味合いが強い[4]。ジ・Oはスペック上の数値(最高速度や推力など)は他のグリプス戦役期の機体と比較して劇的に高いわけではないが、これはシロッコが自身の優位性を保ち、軍部(ティターンズ)や他者へ真の性能を隠匿するために虚偽のデータを報告、あるいは意図的にスペックを控えめに公表していたとも言われている。武装面ではビーム・ライフルおよびビーム・ソードを携行するのみであり、グリプス戦役末期のMSとしては比較的簡素な仕様となっている[注 6]。これらの武装をより有効に活用すべく、通常の腕以外に独立したサブ・マニピュレーター(隠し腕)を腰部フロントスカートに内蔵する。通常のマニピュレーターと同様のエネルギーサプライシステムを持ち、武装の携行とビーム・ソードのドライブが可能[7]。

機体名は神の意思を表す[注 7]。

武装

ビーム・ライフル
長さ20メートル[11]、出力2.6メガワット[2]。集束率や命中精度が高く、信頼性に優れる。また、メガランチャー級の高出力ビームを発射かつ連射できるともいわれる。シロッコが独自開発したものであり、他機での運用はほぼ不可能[4](ただし、後述のタイタニアでは同型のビーム・ライフルの携行も検討されている)。エネルギーパックも独自規格のものを採用している[4]。
ビーム・ソード
腰部サイドアーマーに2基ずつ計4基を装備。出力は0.39メガワット[2]。一定方向にバイアスがかかったビーム刃を形成することから「ソード」と呼称されるが[4]、「ビーム・サーベル」と呼ばれる場合もある[11]。
小型メガ粒子砲
小説版にのみ登場する武装で、肩や胴体の各所に配置されている。

劇中での活躍

第46話で初登場。シロッコが搭乗し、パラス・アテネとボリノーク・サマーンを従え、ハマーンとの会談のためアクシズの旗艦グワダンへ赴く。ハマーンとの決裂後はキュベレイと交戦、ファンネルをビーム・ライフルで数機撃ち落としたあと、強力なニュータイプ同士のプレッシャーにより並みのパイロットには届かない次元での戦闘を繰り広げるが、エゥーゴのアーガマ隊の介入によりボリノーク・サマーンを失い、撤退する。

第49話の後半、コロニーレーザー争奪戦の最中にふたたび出撃。パラス・アテネと別れ、第50話(最終話)でエゥーゴが掌握したコロニーレーザーを発射不能にするため内部の発振器の一部を破壊するが、発射体制に入ったため脱出。その後、ジュピトリス近傍でΖガンダムと交戦、カミーユが戦死した人々の思念に体を貸してのウェイブライダー形態での特攻の際に本機は制御を失い、ウェイブライダーの機首にコックピットを押し潰されて爆発する。

小説版では、全身のメガ粒子砲の斉射によってキュベレイのファンネルを破壊するほか、流れ弾がガンダムMk-IIに命中して同機のパイロットであるエマ・シーンに致命傷を与える。最後はΖガンダムの発生させた超常現象によって制御不能に陥り、コロニーレーザーの閃光に呑み込まれて消滅する。

漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』では、回想でシロッコが搭乗してのテストの様子が描かれる。負荷試験全行程終了のあと、「慣らし運転」としてビットを模した小型攻撃端末3ダースとの模擬戦で傷ひとつ付かない結果を収める。シロッコは本機の開発に参加したトニオ・マンハイムに本機の感想を問われ、「出色の出来物」と評している。また、本機の残骸(腰部を除く胴体部および左肩、これらから外れた形で頭部。パイロットは勿論ブラックボックスも爆発に飲まれてしまっている)はエゥーゴによって回収されており、詳細な解析をおこなうも関節駆動系・姿勢制御系ともに「異常なし」とされる。その後、残骸はマーレイ・クリストフ准将の手によってグラナダの地下に安置される。

大日本絵画発行の模型雑誌『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』及び同誌に掲載された漫画『0079...SOLOMON』(後に漫画『機動戦士ガンダム外伝 Gの伝説』に収録)では、小林誠による独自設定の盛り込まれた本機が登場している。ジオン公国軍の量産機と設定されており、漫画内ではシャア・アズナブルが搭乗し、ドズル・ザビのビグ・ザムと共にソロモンを脱出する様子が描かれている。また、『機動戦士ガンダム外伝 Gの伝説』のエピソード「喧噪のアリス」にも同設定機が登場し、アリス、エリス、クリスの搭乗するEx-Sガンダムと交戦、撃墜されている。

「電撃ホビーマガジン」の雑誌企画『ソロモンエクスプレス』には、小林による現代風にリファインされた本機のイラストが、同じくリファインされたバウンド・ドック、マラサイと共に掲載されている[12]。このリファイン版は、後に小林によるストーリーアート『木星の魔女』にも登場しており、アート内ではネオ・ジオ、ジ・オービターとのサイズ比較が行われている[13]。

タイタニア

TITANIA[14] (型式番号:PMX-004)

ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場。ジ・Oの発展型として、シロッコがグリプス戦役後の「新時代」を見据えて構想し[15]、ジュピトリスで設計をおこなっていた機体[16]。アクシズの技術であるサイコミュ・システムを搭載し[16]、ファンネルを装備しているのが特徴で、これはシロッコとハマーンの一時的癒着による産物であると言われる[17]。「隠し腕」は両肩に2対ずつ装備されており、6本のビーム・ソードによる攻撃も想定されている[注 8]。携行武装はデュアル・ビーム・ガン、あるいはジ・Oと同型のビーム・ライフル[注 9]。なお、本機にはIフィールド・バリアを搭載する予定もあったという[注 10]。

シロッコは、本機を戦後に世界を統治する女性のための機体と考えていたとされ[17]、同じPMXシリーズのパラス・アテネを踏襲した外観と、純白のカラーリングが象徴的である。しかし、シロッコの戦死により開発は中止される[18]。

ゲーム『SDガンダム GGENERATION GATHER BEAT2』では、カテジナ・ルースがパイロットを務める。

タイタニアII

TYTANIA II (型式番号:PMX-004-2)[19]

漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』に登場。本編への登場に先駆け、書籍『機動戦士ガンダム 新訳MS大全集 U.C.0081-0090』にカラー設定画が掲載された[19]。

タイタニアの計画を引き継ぎ、完成させた機体[15]。ジュピトリス残党組織「クラン」によって仕様変更が加えられ、当時の水準のMSとして完成しているため、名称に「II」を冠する[20]。機動性の高いMA形態に変形可能[15]。左前腕部に装備する円形のシールドの中央には、Iフィールド発生器を搭載している。

劇中での活躍
クランのメンバーを乗せて木星圏を脱出しようとする往還船「ジュノーン」に搭載されている。拘束・連行されるフィオリーナ・フィリーを取り返すため、ジュノーンに肉迫するマシロ・オークスのフルアーマー・オーヴェロンに反応するようにフィオリーナの胸のタリスマンが発光し、これに呼応して本機のコックピットのモニターにもタリスマンが光り、無人のまま起動。ジュノーンの外壁にビームで穴を開けてオーヴェロンの前に現れ、キックでジュノーンのブリッジに叩きつける。クランのメンバーとともに宇宙空間へ吸い出されたフィオリーナをロッド・マニピュレーターで捕獲してコックピットに引きずり込み、彼女に何らかの薬物を注射して座らせる。フィオリーナはクランのリーダーであるハイファンによる偽物のシロッコの声に従ってオーヴェロンに襲いかかるが、マシロの説得によって我に返り、ジュノーン船内にいるハイファンを狙撃して殺害する。しかし、薬物によって敵意を増幅されたフィオリーナはなおもオーヴェロンに攻撃を続ける。
一進一退の攻防の中、戦死したフィオリーナの姉コンチェッタの思念体の要請により、アリーゼ・マテバのファーヴニルが超長距離から放つハイ・メガ・キャノンの直撃をシールドのIフィールドによって防ぎきるが、これにより出力の大半を消費してしまったうえ、2射目を警戒する隙を突いたオーヴェロンに懐へ入られる。サイコミュの共鳴による(シロッコやほかの得体の知れない思念体も含む)やりとりの結果、落ち着きを取り戻したフィオリーナは脱出ポッドを作動させ、オーヴェロンにキャッチされる。本機のその後は不明。

ネオ・ジオ

NEO-GEO

小林誠の作品群に登場する機体。初出は角川書店発行の雑誌『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Zガンダム メカニカル編2』の裏表紙イラスト。登場作品によってデザイン及び設定が異なるほか、掲載書籍によっては「ジオ(GEO)」あるいは単に「ジ・O(THE-O)」と表記されることもある。

ジ・Oの発展機に位置付けられる機体で[13]、原型機を一回り上回る重装甲・重武装な体躯を持ち、大型化した下半身や、脚部にホバーユニットを搭載している点などが共通の特徴である。

登場作品ごとのバリエーション

雑誌『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Zガンダム メカニカル編2』掲載版
初出作品。裏表紙掲載のイラストとして登場。上半身に対して顕著に大型化した腰部及び脚部を持ち、各所のケーブルやパイプ等が露出した外観を持つ。腰部には脚部を覆う形でドーム状のスカートアーマーを装備し、脚部は複数のスラスターで構成、フロントスカート内には隠し腕を搭載、リアスカート内にはランディングギアを装備、背面には複数のプロペラントタンクを装備する。さらに、武装として大型のビーム・ライフルを装備する。
漫画『機動戦士ガンダム外伝 Gの伝説』版
地球連邦軍の全高50 mの陸戦用機体として登場するが、鹵獲・研究を経てジオン公国軍の量産機としても登場。初出作品版と比較的類似した体躯・外観を持つ。腰部にはドーム状のスカートアーマーが装備されており、内側に隠し腕を装備、脚部にはミノフスキー・フローティング・システムと呼ばれる反重力クラフトを搭載する。武装面においては、胸部中央に固定式の大型メガ粒子砲を1門、その周囲を取り囲むように4門の可動式のメガ粒子砲を装備する。なお、単行本内にはマックスファクトリーより発売予定のキットの見本として、「ネオ・ジオ II(NEO-GEO II)」と呼ばれる機体が掲載されている。ただし、実際には発売に至っておらず、外観が漫画内登場版と類似した形状であることやジオン軍所属機である点以外、詳細は不明となっている。
劇中での活躍
マンハッタン島の連邦軍ミノフスキー研究所へ侵入したジオン軍特殊部隊の前に、搭乗者不明の機体が出現。大型メガ粒子砲で航空隊やMS、回収船を次々と撃墜するが、特殊部隊のシュワルツによって反重力クラフトの反発場を打ち消す磁力索へと誘導され、重力により自壊している。その後、ジオンによって機体は鹵獲・研究され、終戦直前に量産機として投入、多数の本機で構成される部隊による撤退戦が繰り広げられている。その最中、部隊員のジャン・ジローは監視のために自ら志願し戦地に残留したが、真の目的は連邦軍の金塊を盗み出してジオン軍から離隊することであった。その後、連邦軍迎撃部隊と、ジローの目的に気付き捕縛に来た所属部隊長のケンプファーと交戦し、ジロー搭乗機は半壊状態に陥る。しかし、環境浄化システムを作り我が子を長生きさせるため、という離隊の理由を聞いた隊長の計らいにより見逃され、撃墜を免れている。
雑誌企画『ソロモンエクスプレス』及びストーリーアート『木星の魔女』版
電撃ホビーマガジンに掲載された特集「刻を越えて 機動戦士Ζガンダム」に模型作例及びイラストとして登場[21]。型式番号PMX-003。雑誌企画『ソロモンエクスプレス』の一環としてデザインしており、現代風にリファインされている。初出作品版とは体躯や機体構造が大きく異なっており、スカートアーマーを装備する点こそ共通するものの、リアスカートは比較して小型化されている。また、主腕を4本搭載する他、両肩にグラバーアームを1対ずつ装備する。脚部は複数のスラスターで構成され、武装として大型のビーム・ライフルを装備する。外見上の特徴として、肩部及びフロントスカートには「THE-O」のロゴ塗装が施されている。本機は後に小林によるストーリーアート『木星の魔女』にも登場しており、ウェイブライダー突撃を受けた際のシロッコの搭乗機が本機に差し替えられている。また、アート内ではビーム・ソードを4基装備する[22]。
雑誌『月刊ニュータイプ』掲載版
映画『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』公開前企画として掲載されたイラストに登場[23]。初出作品版と類似した体躯を持ち、金属質な装甲に覆われた外観を持つ。腰部にはドーム状のスカートアーマーを装備し、その内側には隠し腕が内蔵されている。また、スラスターで構成された脚部を備え、背面にはバインダーを装備する。武装面においては、バズーカ型の火器を装備する。イラストでは複数機が登場し、砂漠をホバー走行で移動する様子が描かれている。

また、本機はガンダムシリーズから離れた小林のオリジナル作品にもスター・システム的に登場する。漫画『ドラゴンズヘブン』における本機は初出作品版に比較的類似した体躯・外観を持つデザインである。漫画『迷宮都市』における本機は初出作品版と比較して、より小型のスカートアーマー、大型化した腕部を持ち、それぞれ一つの大型ホバーユニットで構成された脚部を備えたデザインとなっている。

ジ・Oスペシャル

THE-O SPECIAL

雑誌『ホビージャパン』に掲載された特集『TRIPLE THE-O』において、模型作例及びイラストとして登場[24]。『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Zガンダム メカニカル編2』掲載版のネオ・ジオをデザインベースとした機体。腕部及び肩部の形状はマラサイと類似しており、両肩にスパイクアーマーを装備する。また、脚部は大腿部が廃された、ジ・Oと同型のものとなっている。

ジ・オービター

THE ORBITER (型式番号:PMX-003[13])

小林の作品集である『HYPERWEAPON2011 神なる永遠の黄昏』に掲載された『ソロモンエクスプレス2011』に登場[25]。木星船団におけるヘリウム3採取船の運用サポートを目的として、シロッコによりジュピトリス内で設計された機体。主にヘリウム3採取用無人船「ザ・キャッチャー(THE-CATCHER)」を木星大気上層まで牽引、ヘリウム3採取後に大気圏離脱をサポートし母船へ帰還させる役割を担っている。そのため、高い推力を備えており、機体下部に7本のメインスラスター、側面に腕部に代わる各2本のブースターユニット、肩部に各1本のリバーススラスター、頭部に多数のマニューバスラスターを搭載している。また、フロントスカート内には採取船との接続クランプとして機能する1本の隠し腕を備え、背部には折り畳み式の大型のグラバーアームを装備する。

推進装置を除いた内部には細身の機体が内蔵されており、木星の重力井戸からの緊急脱出を想定した、全推力を後方に収束する可変機構を有する。実際の運用では、加速用ブースターとして使用した機体を2段階で切り離し、最終的にコックピットブロックを木星離脱軌道へと乗せる。機体構造や運用目的はSガンダムに酷似しているとされる。

本機はPMX-003シリーズの1機目として設計されており、同シリーズのジ・O及びネオ・ジオは本機の部品を流用して作り上げられたとされている。

後に、本機は地球圏での戦闘に投入され大破している。その際、並行して修復が進められたΖガンダムと区別するために仮称が付けられ、そのまま正式名称として登録、本機はΖΖガンダムとなった、といった独自設定も設けられている。

電撃ホビーマガジンの雑誌企画『Gの伝説』及び小林によるストーリーアート『木星の魔女』では更なる独自設定が追加されている[13][26]。作中におけるヘリウム3の採取は、木星大気上層に生息する「ジュピター・ホエール(ジュピター・ゴースト)」と呼ばれる、対組成がヘリウム3を含んだ結晶体の生物を捕獲・解体することで行われており、本機は捕獲・採取船外部での解体作業を担っている。なお、『Gの伝説』には、ジュピター・ホエールを本機へ誘導する役割を持つMS「ハンター」も登場している。

ジ・O II

諸元
ジ・O II
THE-O II“HAUER”
型式番号PMX-003
所属ネオ・ジオン
搭乗者フレデリック・F・ブラウン

漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場するMS。上述した『ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Zガンダム メカニカル編2』掲載のネオ・ジオのデザインを流用している[要出典]。

ジ・Oの開発に携わっていたジオン系技術者が、宇宙戦用の試作機をベースに重装甲・重武装の要塞攻略用として製造した陸戦型機体で、脚部に計12基のホバーユニットを搭載している。全高は30メートル近くあり、シロッコのジ・Oより一回り大きい。銃身の長さが通常型MSの全高とほぼ同サイズの巨大なマシンガンを携行するほか、胸部に2連装カノン砲、背部に地対空ミサイルなどを装備する。頸部の砲口らしき部分から発砲している描写もあるが、詳細は不明。脚部の隠し腕でビームソードを使用することも可能。砂漠戦仕様の本機はごく少数が生産され、前線に投入されたとされる。

劇中での活躍
ネオ・ジオン軍の地球撤退を支援すべく、フレデリック・F・ブラウン大尉と共に最前線へ送り届けられた。地対空ミサイルでA/FMSΖ-007IIの編隊を壊滅させるなど指揮官機として活躍するが、旗艦ガイア護衛中にΖΖガンダムの奇襲を受けて両腕を喪失し、隠し腕のビームソードも通用しなかったため、そのまま巨体でΖΖガンダムを押さえつけて乗員退避を支援した。直後に至近距離からハイメガキャノンの直撃を受けて撃破されるが、コックピットは損傷を免れていたため、ブラウン大尉はマウアー大尉のシュツルム・イェーガーに救出され、生還した。

ブレッダ

諸元
ブレッダ
BREDA[27]
型式番号PMX-005
所属ネオ・ジオン
生産形態試作機
頭頂高22.3m[27]
本体重量34.2t[27]
全備重量75.6t[27]
装甲材質ガンダリウム合金[27]
出力3,880kW[27]
推力13,800kg×2[27]
12,800kg×4[27]
9,200 kg×4[27]
センサー
有効半径
12,200m[27]
武装バルカン・ショットマシンガン[27]
ビーム・ライフル×2[27]
50mmバルカン砲×2[27]
搭乗者フレデリック・F・ブラウン
クレイ
シンクレア

漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』、および『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』や『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』収録の短編「SIDE OPERATION OF ZION 0092」に登場。

ジ・OIIの小型版ともいえる機体[27]。ジ・OIIは高性能ではあるが機体サイズが大きく、敵の目標になりやすいことから大きな損傷を負うことが少なくなかった[27]。そのため、ジ・OIIのノウハウを活かした通常MSサイズの実験機が数機試作されたといわれる[27]。そのうち、非公式ながら唯一記録として残っているのが本機であり[27]、ジ・OIIをベースとした軽量型MSとして試作されている[28]。先行量産型10機が地上で実戦テストをおこなったとされるが、戦果などは公表されておらず[28]、連邦側にもヨーロッパ戦線で1回だけ遭遇した際に記録されたデータが残されているだけである[27]。

作中での活躍
『ジオンの再興』では、宇宙世紀0092年にネオ・ジオン軍の地球残存部隊がヴィルボトン基地から宇宙へ脱出する際にブラウン大尉が搭乗。複数のΖΖガンダムやA/FMSZ-007II ZETAから構成される大部隊に包囲されるが、クルツ大尉のサザビーやマイヤー小尉のG-3の援護もあり、ザンジバルに搭載され、宇宙へ上がる。
「SIDE OPERATION OF ZION 0092」では特殊部隊所属のクレイが搭乗。後方奇襲撹乱作戦のため、ガウあるいはそれに曳航される輸送機に搭載されるが、目標ポイント到着前に連邦軍の試作MA「G-RAY」の攻撃を受けて脱出し、ブラウン大尉のジャギュアと共に応戦する。ジャギュアが囮になっている間にG-RAYの背部に飛び乗ってメイン・ノズルの破壊に成功するが、直後にミサイル・ハーガンで捕縛されて超至近距離からの射撃で撃破される。
PCゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション』では、宇宙世紀0089年にネオ・ジオン軍のエースパイロットであるシンクレア少佐が搭乗する。
デザイン
OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の近藤和久によるイメージイラストでは、この機体の頭部を持つMSがケンプファーの暫定的デザインとして描かれている[29]。

ジャギュア

諸元
ジャギュア
JAGUAR
型式番号PMS-007
所属ネオ・ジオン
生産形態試作機
頭頂高21.0m[30]
本体重量32.0t[30]
全備重量74.5t
装甲材質ガンダリウムα合金[30]
出力3,900kW[30]
推力13,800kg×2[30]
13,800kg×4[30]
8,900kg×6[30]
総推力:136,200kg
センサー
有効半径
12,300m[30]
武装バルカン・ショットライフル
ビーム・サーベル×2
30mmバルカン砲×4
搭乗者フレデリック・F・ブラウン

「SIDE OPERATION OF ZION 0092」に登場。

ブレッダの発展型で、武装や推力が強化されているが[30]、もはやジ・Oの面影はない。同じクラスのサザビー(陸戦用重装型)よりわずかに性能は上とされる[30]。しかし、組み立てに非常に時間とコストがかかることから生産数は7機にとどまっており、正確なデータは得られていない[30]。なお、外観の若干異なる宇宙用の機体も存在する[30]。

作中での活躍
特殊部隊の隊長機としてフレデリック・F・ブラウン大尉が搭乗する。後方奇襲撹乱作戦のため、ガウに曳航される輸送機に搭載されるが、目標ポイント到着前にG-RAYの攻撃を受けて脱出し、残存機体を率いて連邦軍MS隊と交戦する。G-RAYの攻撃で左腕を破壊され、味方機はほぼ殲滅されるが、クレイのブレッダの攻撃で行動不能に陥ったところを撃破する。単機で撤退したこの戦闘は未確認であるため、ジオン軍公式戦闘報告には記録されていない。

その他のバリエーション

ジ・Oカスタム1

THE-O CUSTOM1

雑誌『ホビージャパン』に掲載された特集『TRIPLE THE-O』において、模型作例及びイラストとして登場[31]。デザインは近藤和久。上述した小林誠による独自設定版をベースとした機体で、脚部先端にブラウ・ブロのものと類似した有線式ビーム砲を装備する点を特徴とする。

ジ・Oカスタム2

THE-O CUSTOM2

『TRIPLE THE-O』において、模型作例として登場[31]。模型は小林誠の実弟である、小林治により製作されている。カスタム1と同様に小林誠による独自設定版をベースとした機体で、より丸みを帯びた外観を特徴とする。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』におけるジ・O

漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の最終回に登場する。地球連邦再建・緊急機動軍ユリーカに配備されているMSで、デザインは原典とほぼ一緒だが、脹脛はリック・ドムやゲルググに似た構造になっており、円形のバーニアノズルが覗く。また、パラス・アテネの物に似た円形のシールドを装備し、ライフル以外にもシールド外縁に設けられた6基の砲口からビームを発射している。[注 11]。

脚注

注釈

  1. ↑ ホビージャパン発行のムック『ガンダムゲームズ』や小林の著作『ハイパーウェポン』のインタビュー[要ページ番号]など。
  2. 1 2 スペック上のジェネレーター出力は2,000kW未満と控えめだが、これは本機の優位性を保とうと軍部に虚偽のデータを報告したためであるとされる[3]。熱核反応炉は大型艦艇に匹敵する規模のものを搭載し、一般的なMSを大きく凌駕する動力性能を備え、その出力の高さは上半身のみでもMAとして成立するほどであるという[4]。
  3. ↑ このバイオセンサーはシロッコが開発したものであり、ジ・O以外のジュピトリス製MSに採用されていた可能性が考えられるとした資料も存在する[8]。また、このサイコミュは同時期にAE社が実用化した簡易サイコミュの一種であるバイオセンサーと類似するが、シロッコが独自開発した収斂進化的なモデルとする資料もみられる[4]。
  4. ↑ 推力38,200kgの大型ノズル1基、および推力16,200kgの小型ノズル6基を搭載(合計135,400kg)。
  5. ↑ 装甲については、テレビ版ではΖガンダムとの最終決戦まで直撃を受けていないことからあまり顕著になっていないが、小説版ではキュベレイのファンネル攻撃と百式のビーム・ライフルを全身に受けて武器のほぼすべてを使用不能にされながらも主要可動部分は問題なく動いており、驚異的な防御力を発揮している。
  6. ↑ 近藤和久のコミック版では携行武器は無く、後述の小説版に準じた全身にメガ粒子砲を内蔵した機体になっており、両腕・両足が有線式のビーム砲になっていた。
  7. ↑ 当時のMSデザイナーのインタビューでは、機体名は“神”そのものだと述べられている(THE=唯一、O=完全球体。唯一にして完全なる球体は神しかあり得ないという思想から引用したと述べている)。[要出典]なお、機体名を一語にして「theo」と表記すると、英語の接頭辞で「神の」を意味する。
  8. ↑ 『GGENERATION GENESIS』における攻撃時の映像より。
  9. ↑ 『GGENERATION SPIRITS』までは前者、『WARS』以降は後者を装備。
  10. ↑ 『GGENERATION』第1作目でのみ装備。
  11. ↑ あくまで『ビッグコミックスペリオール』2025年20号に記載されたMS名鑑によると『木星帰りの男が専用機として開発した機体』とあるため、原典と同じくシロッコが搭乗していると思われる。

出典

  1. 1 2 3 #ハイパーウェポンp.40
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム PART3』近代映画社、1986年4月、117頁。
  3. ↑ 『プロジェクトファイル Ζガンダム』ソフトバンククリエイティブ、2016年9月、76-77頁。(ISBN 978-4797386998)
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 『マスターグレード PMX-003 ジ・O』バンダイ、2010年8月、組立説明書。
  5. ↑ 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム PART3』近代映画社、1986年4月、88頁。
  6. ↑ 「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編」バンダイ、1989年3月、112頁。(ISBN 978-4891890186)
  7. 1 2 3 4 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー PMX-003 ジ・オ』バンダイ、2002年12月、組立説明書。
  8. ↑ 『旭屋出版アニメ・フィルムブック2 機動戦士Ζガンダム Part2』1999年6月、208-209頁。ISBN 4751101609
  9. 1 2 ガンダムモビルスーツバイブル 49号 PMX-003 ジ・O. デアゴスティーニ・ジャパン. (2020年6月2日). p. 6
  10. ↑ 『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 上巻』角川書店、1997年5月 、42頁。(ISBN 978-4073063025)
  11. 1 2 昼MSジ・O 2021.
  12. ↑ 『電撃HOBBY MAGAZINE 1999年7月号』メディアワークス、1999年7月、32-33頁。
  13. 1 2 3 4 小林誠『木星の魔女』自費出版、2025年、2頁。
  14. ↑ 新訳MS大全集0081-0900 2022, p. 157.
  15. 1 2 3 新訳MS大全集0081-0900 2022, p. 170.
  16. 1 2 『SDガンダム GGEBERATION-0 ガイドブック』アクセラ、1999年7月、131頁。(ISBN 978-4873000268)
  17. 1 2 『SDガンダム GGENERATION-F データブック2 MSコレクション』ソニー・マガジンズ、2000年9月、130頁。(ISBN 978-4789716048)
  18. ↑ GATHERBEAT2を一生楽しむ本 2001, p. 110.
  19. 1 2 新訳MS大全集0081-0900 2022, p. 96.
  20. ↑ ガンダムエース06 2022, p. 163.
  21. ↑ 『電撃HOBBY MAGAZINE 2000年1月号』メディアワークス、2000年1月、22-24頁。
  22. ↑ 小林誠『木星の魔女』自費出版、2025年、5頁。
  23. ↑ 『月刊ニュータイプ2006年3月号』角川書店、2006年3月、22-23頁。
  24. ↑ 『ホビージャパン 1987年2月号』ホビージャパン、1987年2月、19-20頁。
  25. ↑ 『HYPERWEAPON2011 神なる永遠の黄昏』モデルアート、2011年6月、50頁。
  26. ↑ 『電撃HOBBY MAGAZINE 2013年1月号』メディアワークス、2013年1月、76-77頁。
  27. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、45頁。
  28. 1 2 近藤和久『機動戦士ガンダム ジオンの再興』角川書店、1996年2月、17頁。
  29. ↑ コトブキヤ 御意見無用ファクトリー キャストキット「ブレッダ」パッケージ外箱。
  30. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、44頁。
  31. 1 2 『ホビージャパン 1987年2月号』ホビージャパン、1987年2月、22頁。

参考文献

  • 書籍
    • 『SDガンダムGGENERATION GATHER BEAT2を一生楽しむ本』勁文社、2001年8月10日。ISBN 4-7669-3870-4。 
    • 小林誠『ハイパーウェポン 再生なき永遠の闇へ HYPERWEAPON YESTERDAY,TODAY,AND,NO FUTURE』モデルアート、2005年4月。 
    • 『機動戦士ガンダム 新訳MS大全集 U.C.0081-0090』KADOKAWA、2022年3月26日。ISBN 978-4-04-111179-6。 
  • 雑誌
    • 『ガンダムエース』2022年6月号、KADOKAWA。 
  • ウェブサイト

関連項目