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トレーディングカード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Allen & Ginter社のたばこカードに描かれた野球選手のキャップ・アンソン(野球カード、1887年)

トレーディングカード(trading card)は、主に収集や交換を目的として製作・販売・配布されるカードである。日本では「トレカ」と略される。プロスポーツ選手、芸能人、映画・アニメなどのキャラクターをはじめ、さまざまな人物や事物が題材となる。[1]英語の「trading card」も、人物や事物の画像と情報などを掲載し、収集や交換の対象となるカードを意味する。[2]

トレーディングカードには、スポーツカードのように主として鑑賞・収集の対象となるもののほか、カードを組み合わせて対戦に使用するトレーディングカードゲーム(TCG)などがある。トレーディングカードゲームでは、プレイヤーがカードを集め、任意の組み合わせでデッキを構築してゲームを行う。[3]

概要

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トレーディングカードは、特定のスポーツ、人物、作品、キャラクターなどをテーマとして複数種類がシリーズ化され、収集の対象となることが多い。カードセットの基本部分を構成する一般的なカードは「ベースカード」と呼ばれ、カード番号などによってセットの一部として識別される。[4]また、通常のカードとは仕様や希少性が異なるインサートカードやパラレルカードなどが設定される商品もある。[5]

販売形態としては、複数枚のカードを封入したパックやボックス、あらかじめ内容が決められたセットなどがある。パックでは収録カードがランダムに封入され、購入するまで内容が分からない商品も多い。例えばポケモンカードゲームでは、拡張パックを複数のカードがランダムに封入された商品として販売している。[6]一方、特定のカードを単体で販売する商品や、販促品、商品付録、イベントなどで配布されるカードも存在し、販売・配布方法は多様である。

収集では、シリーズに含まれるカードをそろえる「セット収集」のほか、特定の人物、選手、チーム、作品などを対象として集めたり、他の収集者とカードを交換したりする。[7][8]また、カードにはシングルカードやセットを売買する二次市場が形成されており、収集自体を楽しむコレクターのほか、カードの金銭的価値を意識して収集・売買する者もいる。[9]カードの市場価値は一様ではなく、カードの種類や希少性、題材となる人物・作品などへの需要によって異なる。

歴史

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欧米における歴史

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トレーディングカードの前身には、19世紀に商品や企業の宣伝のために配布された「トレードカード」がある。19世紀中頃から後半の米国では、片面にカラーのイラスト、もう一方に広告文などを掲載したカードがさまざまな商品で配布され、カード自体を集めてスクラップブックなどに保存する文化もみられた。[10]

1870年代から1880年代には、米国のたばこ会社が紙巻きたばこのパッケージにカードを封入するようになった。カードにはパッケージを補強する役割があったほか、商品の広告や販売促進にも利用された。やがてカードは25枚、50枚、100枚などのシリーズとして発行され、特定のテーマのカードを集めること自体が消費者を引き付ける仕組みとなった。題材には俳優や女優、スポーツ選手、動植物、軍事、歴史、乗り物など多様なものが使用された。米国で普及したこうしたシガレットカードは英国などにも広まり、世界的に発行されるようになった。[11][12]

米国のたばこ事業家ジェームス・B・デュークも1880年代後半にカードを積極的な販売促進に利用した。W. Duke, Sons & Co.では、パッケージに入れる厚紙にブランド名とシリーズ化された画像を印刷し、鳥、国旗、南北戦争の将軍、野球選手、俳優など幅広い題材のカードを発行した。一部のカードには歴史や題材についての解説も掲載され、複数のカードを集めることを促す商品設計が行われた。[13]

1887年にAllen & Ginterが発行した「World's Champions」(N28)は、初期の代表的なたばこカードセットの一つである。野球選手10人のほか、ボクシングなど複数の競技の選手を収録しており、アメリカ議会図書館は最初の主要なたばこカードセットの一つとしている。[14]20世紀初頭にはAmerican Tobacco Companyなどから多数のカードが発行され、1909年から1911年頃の「T206」に収録されたホーナス・ワグナーのカードは、後に希少なスポーツカードの代表例となった。2021年には同カードの1枚が660万6296ドルで落札されている。[15]

20世紀に入ると、カードを商品の販売促進に利用する手法はたばこ以外にも広がり、菓子、キャラメル、ガム、飲料などにもカードが付属するようになった。米国ではCracker JackやAmerican Caramelなどがスポーツカードを発行し、1933年にはGoudey Gum Companyがガムとともにカードを販売した。[16]同社の「Sport Kings」は野球、アメリカンフットボール、ボクシング、アイスホッケー、ゴルフ、テニスなど18競技の選手を収録した48枚のマルチスポーツセットであった。[17]

第二次世界大戦後にはカードの生産が再び拡大し、1950年代にはスポーツ以外の題材を含むさまざまなトレーディングカードが製作された。Toppsはガムメーカーとして大衆文化を題材としたカードなどを発行した後、1951年にベースボールカード市場へ参入し、1952年のセットによって大きな成功を収めた。[18]1950年代には製造技術の向上とともに市場が拡大し、野球以外のスポーツやその他の題材を扱うカードも広く製作されるようになった。[19]

1980年代にはスポーツカードの収集ブームが拡大した。米国のベースボールカード市場では、それまで大きなシェアを占めていたToppsに加えてFleerやDonrussなどが参入し、メーカー間の競争が進んだ。カードの大量生産とともに過去のカードを売買する二次市場や専門店も拡大し、カード収集は大規模なホビー産業へと発展した。[20]

1989年にスポーツカード市場へ参入したアッパーデックは、高品質な印刷や偽造防止用ホログラムなどを採用した。さらに1990年にはレジー・ジャクソンの直筆サイン入りカードを商品に封入し、1996年には実際に試合で着用されたユニフォームの一部をカードに組み込んだ「Game Jersey」カードを導入した。[21][22]1990年代には、通常のカードとは別に封入されるインサートカード、仕様を変更したパラレルカード、シリアルナンバー入りカード、直筆サインカード、実使用品を組み込んだメモラビリアカードなどが発展し、希少性や付加価値を持たせた商品設計が広がった。

2000年代には、さらに高価格帯の商品も登場した。Upper Deckが2004年に発売した2003-04年シーズンの「Exquisite Collection Basketball」は、5枚入りで希望小売価格500ドルという当時としては高額な商品で、カードには発行枚数を限定した直筆サインやユニフォームのパッチを組み込んだものなどが収録された。[23]こうした商品は、トレーディングカードが低価格の商品付録から、カードそのものを商品とする収集品へ発展した一例となった。

日本における歴史

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日本では、現在の「トレーディングカード」という名称が普及する以前から、商品に付属するカードや、収集を目的としたカード状の印刷物が流通していた。明治期には欧米で流行していたたばこカードが輸入され、日本のたばこ会社も販売促進に利用するようになった。京都の村井兄弟商会は製品にたばこカードを封入し、当初は海外に印刷を依頼していたが、1899年(明治32年)には米国の印刷会社と共同で印刷会社を設立し、国内でも高度な多色印刷によるカードを製作するようになった。当時は東京の岩谷商会と村井兄弟商会などによる激しい広告競争が行われ、たばこカードもその販売促進手段の一つとして用いられた。[24][25]

菓子にカードを付属させる例も早くからみられた。江崎グリコは1922年の「グリコ」発売当初に「絵カード」を菓子とともに封入しており、同社はこの絵カードを後のおもちゃのルーツとしている。一方、野球などのスポーツでは、めんこ、ブロマイド、絵葉書などが選手を題材とした収集物として広まり、1920年代には雑誌に付属する「附録(ふろく)」も収集対象となった。Association for Asian Studiesの資料では、この時期の野球関連収集物として、めんこ、ブロマイドとともに、大型の雑誌付録(furoku)が紹介されている。[26][27]

雑誌そのものにカードを掲載し、読者が切り取って収集する形式も存在した。1949年10月にレフティ・オドール率いるサンフランシスコ・シールズが来日した際、『野球少年』1949年11月号では、同ツアーに参加した米国と日本の選手を題材とした3ページの切り取り式野球カードが掲載された。メリーランド大学のGordon W. Prange Collectionには同誌が所蔵され、占領期の野球文化を紹介する資料として公開されている。[28]

第二次世界大戦後には、菓子とカードを組み合わせた販売促進が再び広がった。1951年頃、紅梅製菓は東京読売巨人軍と契約し、「紅梅キャラメル」に選手カードを付属させた。カードを集めてメーカーに送ると野球関連の景品と交換できる仕組みが採用され、人気を集めた。1967年にはカバヤ・リーフが105選手を収録した野球カードを発売し、Association for Asian Studiesの資料では、日本で最初の大規模な野球カードセットとして紹介されている。[29][30]

1971年にはカルビーが、テレビ番組『仮面ライダー』を題材としたカード付きの「仮面ライダースナック」を発売し、大きなブームとなった。カルビーはその流れを受け、1973年に選手カードを付属した「プロ野球スナック」を発売し、後の「プロ野球チップス」へつながる長期シリーズとなった。その後もカルビーはアニメ・特撮やスポーツを題材としたカード付き商品を展開し、1992年には「Jリーグチップス」を発売した。[31][32]

菓子に付属する収集物では、カードに加えてシールも独自の文化を形成した。ロッテは1977年から「ビックリマン」を発売し、1985年に「悪魔VS天使シリーズ」を開始した。同シリーズはキャラクター同士の関係や継続的な物語をシール上で展開し、大きなブームとなった。ロッテは、このシリーズについて、シールの収集や交換、キャラクターや世界観の解析などを含む「シール・カードにおけるサブカルチャーの礎」を築いたものとして紹介している。[33]

1988年にはバンダイが自動販売機専用カード「カードダス」の販売を開始した。当初の「カードダス20」は1枚20円で販売され、SDガンダムやドラゴンボールなど多数のキャラクターをカード化した。バンダイによれば、カードダスは2007年1月末までに累計約86億枚を販売し、自動販売機も約10万台が設置された。1996年には、より一般的なトレーディングカード形式でパック販売する「カードダスマスターズ」も展開され、『新世紀エヴァンゲリオン』などを題材とした商品が発売された。[34][35]

1990年代には、菓子の付録や自動販売機とは別に、カードそのものをパックやセットとして販売する商品も拡大した。ベースボール・マガジン社は1991年から「BBMベースボールカード」を発行し、日本のスポーツカード市場の主要シリーズとなった。サッカーではカルビーが1992年からJリーグ選手のカードを展開し、エポック社は1994年にトレーディングカード「Jカード93-94」を発売した。こうした商品によって、スポーツ分野でもカード自体を収集商品として販売する形態が広がった。[36][37][38]

1990年代後半には、カードを収集するだけでなくゲームに使用するトレーディングカードゲーム(TCG)が日本でも大きな市場を形成していった。1996年10月20日には「ポケットモンスターカードゲーム」の第1弾拡張パックとスターターパックが発売され、後のポケモンカードゲームへ発展した。1999年2月にはコナミが『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』の販売を開始した。両シリーズはその後、日本国外にも展開され、長期にわたって販売される代表的なTCGとなった。[39][40]

2000年代には、実物のカードとデジタルゲームを組み合わせた「トレーディングカード・アーケードゲーム」という形態が発展した。セガは2002年に『WORLD CLUB Champion Football SERIE A 2001-2002』(WCCF)の稼働を開始し、実在するサッカー選手のカードを筐体上に配置してチームを編成するシステムを採用した。セガは同作のヒットをきっかけにゲームセンターでトレーディングカード・アーケードゲームのブームが起きたとしている。2003年には『甲虫王者ムシキング』が稼働を開始し、2010年までにカード累計出荷枚数4億9800万枚を記録するなど、子供向けカードゲームにも同形式が広がった。[41][42]

2010年代には、インターネットを利用したオンデマンド型の販売方法も登場した。エポック社は2018年3月、プロ野球で生まれた記録や記憶に残る場面を短期間でカード化する「EPOCH-ONE(エポック・ワン)」を開始した。専用ウェブサイトにカードを掲載して72時間限定で注文を受け付け、注文終了後に受注数に応じて製造する完全受注生産方式を採用し、カードは1枚から購入できる。エポック社はサービス開始時に、これを日本初の期間限定・完全受注生産によるオンデマンド型トレーディングカードサービスとして発表した。その後、プロ野球だけでなく、Jリーグ、サッカー日本代表、女子プロゴルフなどにも対象を拡大している。[43][44]

2020年代には、トレーディングカードゲームの市場が日本国内外でさらに拡大した。ポケモンカードゲームでは、新型コロナウイルス感染症の流行期に、過去に収集していた成人層の再参入などを背景としてカードへの関心や取引価格が上昇し、2023年には日本国内でも商品の品薄や高額カードの取引が社会的に注目された。ポケモンカードはその後も世界各地で展開され、2025年3月末までの累計製造枚数は750億枚以上、販売実績は16言語、90以上の国・地域に達している。[45][46]

ONE PIECEカードゲームはバンダイから2022年7月に発売され、日本国外にも展開された。バンダイナムコホールディングスは同商品を世界的なヒット商品と位置付けており、その成功などを背景に、バンダイは2025年3月時点でトレーディングカードゲームの世界市場において第3位のシェアとなったとしている。同社によれば、2025年3月期の日本国内のトレーディングカードゲーム市場は3,197億円で、前年度比11.7%増となり、世界市場も日本と北米を中心に拡大している。[47]

分野

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トレーディングカードの代表的な分野の一つにスポーツカードがある。野球のベースボールカードをはじめ、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー、サッカー、モータースポーツ、ゴルフ、テニス、格闘技、プロレスなど、さまざまな競技や選手を題材としたカードが製作されている。地域によって主要な競技は異なり、米国では野球、アメリカンフットボール、バスケットボールなど、日本ではプロ野球、サッカー、相撲、プロレスなどを題材としたカードが発行されている。[48][49]

スポーツ以外では、映画、テレビ番組、漫画、アニメ、ゲームなどの作品や登場人物を題材としたエンターテインメント分野のカードも広く製作されている。Toppsは『スター・ウォーズ』やMarvel、Disneyなどを題材とした商品を展開し、Upper DeckもMarvelやDCコミックス、アニメーション、ゲーム作品などを扱うエンターテインメント・トレーディングカードを展開している。こうした商品でも、ベースカードのほか、パラレル、直筆サイン、スケッチカード、作品に関連する素材を組み込んだレリックカードなどが設定される場合がある。[50][51]

日本では、アイドルや音楽アーティストなど人物を題材としたトレーディングカードも製作されている。カード単体の商品だけでなく、CDや映像商品の封入特典、店舗・ライブ会場での購入特典などとして、複数種類のカードからランダムに1枚を封入・配布する形態もみられる。例えばエイベックスでは、TREASUREなどの音楽作品やライブ会場で、メンバーを題材とした複数種類のトレーディングカードをランダム封入・配布する商品やキャンペーンを展開している。[52]

また、収集・鑑賞だけでなく、カードそのものをゲームに使用する商品もある。プレイヤーがカードを集めてデッキを構築し対戦するものはトレーディングカードゲーム(TCG)と呼ばれ、カードを読み取るアーケードゲームと組み合わせた商品も存在する。これらは題材による分類とは別の利用形態であり、アニメや漫画、スポーツなどを題材とするカードがゲーム用カードとして製作される場合もある。[53]

カードの種類・仕様

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トレーディングカードは紙製のカードが一般的で、人物やキャラクター、作品などの画像と、それに関する情報などが印刷される。現代のトレーディングカードでは2.5インチ×3.5インチ(約6.4センチメートル×8.9センチメートル)が標準的なサイズとして広く使用されているが、ミニカードや大型カードなど異なる寸法の商品も存在する。また、紙以外にも透明・半透明のプラスチック素材を用いたアセテートカード、金属や木材などを使用したカード、カードの一部を特定の形に切り抜いたダイカットなど、さまざまな素材や形状が用いられている。[54][55]

カードセットの基本部分を構成する一般的なカードは「ベースカード」と呼ばれる。通常はカード番号が付され、セットのチェックリストを構成する。これとは別に、独自のテーマやデザインを持ち、ベースセットとは異なる構成で収録されるカードは「インサートカード」と呼ばれる。インサートカードは一般にベースカードより封入率が低い場合が多いが、インサートであること自体が特定の加工方法や希少度を意味するものではない。[56][57]

ベースカードやインサートカードと基本的なデザインを共有しながら、色、模様、素材、画像、印刷加工などを変更した別仕様のカードは「パラレルカード」と呼ばれる。パラレルには複数の種類が設定されることがあり、発行枚数を限定して「23/99」のように製造枚数と個体番号を記したシリアルナンバーが付される場合もある。ホログラム、箔押し、光の角度によって異なる光沢を生じさせる加工なども、カードの差別化に利用されている。[58][59]

人物本人の直筆サインを入れた「オートグラフカード」も製作されている。カード本体に直接署名する「オンカードオート」と、あらかじめ署名されたステッカーをカードに貼付する「ステッカーオート」がある。スポーツ以外でも俳優や芸能人など、カードの題材となった人物の直筆サインが使用される場合がある。[60]

スポーツカードなどでは、選手が着用したユニフォーム、使用したバットやボールなどの一部をカードに組み込んだカードも製作され、一般に「メモラビリアカード」や「レリックカード」などと呼ばれる。ユニフォームの一部を使用した「ジャージーカード」や、複数色のワッペン部分などを組み込んだ「パッチカード」などがある。素材については、公式試合で実際に使用・着用された「ゲームユーズド」「ゲームウォーン」のほか、試合以外のイベントなどで選手が着用したものが使用される場合もある。映画やエンターテインメントを題材としたカードでも、衣装や小道具など作品に関連する素材を組み込んだカードが製作されることがある。[61][62]

同じセットの一般的なカードよりも製作枚数が少ないカードは「ショートプリント(Short Print、SP)」と呼ばれることがある。意図的に少数だけ収録するカードのほか、通常とは異なる写真や画像を使用したバリエーションがショートプリントとして設定される商品もある。一方、印刷ミスや誤った写真・情報などを含むカードは「エラーカード」と呼ばれ、ショートプリントとは区別される。[63]

このほか、公認アーティストがカード上に直接絵を描いた「スケッチカード」、見る角度によって画像が変化するレンチキュラー加工、透明・半透明のアセテート、ホログラム、クローム加工など、題材や商品に応じた多様な仕様が使用されている。こうした特徴は互いに排他的なものではなく、例えばシリアルナンバー入りのパラレルカードに直筆サインやメモラビリアが組み合わされるなど、1枚のカードが複数の特徴を持つ場合もある。[64][65]

販売・配布方法

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トレーディングカードには、パックやボックスとして販売されるもののほか、自動販売機、アーケードゲーム、食品や雑誌の付録、イベントや施設での配布など、さまざまな入手方法がある。また、発売後のカードは専門店やインターネット上のマーケットプレイスなどを通じて1枚単位でも売買されている。

パック・ボックス販売

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現在のトレーディングカードでは、複数枚のカードをランダムに封入したパックや、複数のパックをまとめたボックスでの販売が一般的な形態の一つとなっている。書店、玩具店、カード専門店などの店頭に加え、メーカーや販売会社が運営するオンラインショップでも販売される。ベースボール・マガジン社はBBMカードを全国のカードショップや書店、自社通販などで販売しており、Toppsも公式オンラインショップで1パック、ボックス、ケースなど複数の単位でカード商品を販売している。[66][67]

自動販売機

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カードを自動販売機で販売する形態も存在する。1980年代には玩具メーカーのコスモスが自動販売機を通じて商品を販売しており、1982年にはプロレスラーを題材とした自販機向けカードが発行された例が知られている。[68]バンダイは1988年に自動販売機専用商品「カードダス20」の販売を開始した。当初は1枚20円で販売され、その後、複数枚をまとめて販売する商品や、パック販売されるカードダス商品も展開された。[69]

アーケードゲームとの連動

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2000年代には、ゲームセンターの筐体と実物のトレーディングカードを組み合わせた販売・配布形態が広がった。セガが2002年に稼働を開始した『WORLD CLUB Champion Football SERIE A 2001-2002』(WCCF)では、実在のサッカー選手を題材としたカードを筐体上に配置してプレイし、ゲーム終了後に新しい選手カードが1枚払い出される仕組みが採用された。同作のヒットを契機として、ゲームセンターでは「トレーディングカード・アーケードゲーム」と呼ばれるジャンルが広がった。[70][71]

食品・商品の付属カード

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食品などの商品にカードを付属させる販売方法も古くから行われている。カルビーの「プロ野球チップス」では、ポテトチップスにプロ野球選手のカードが付属しており、2026年の商品でも1袋にカード2枚を付属して全国で販売している。[72]飲食店の商品購入者への特典としてカードが配布される例もあり、日本マクドナルドは2025年8月、ハッピーセット「ポケモン」の購入者に、オリジナルイラストのピカチュウを含む「ポケモンカード2枚セット」を数量限定で配布した。[73]

雑誌付録

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雑誌の誌面や付録としてカードを提供する形態もみられる。日本のプロレス雑誌では、1980年代に『ゴング』やベースボール・マガジン社のプロレス雑誌などに、読者が誌面から切り取って使用するカードが掲載された。PSAでは、1982年の『ゴング』に掲載されたカードを「Gong Magazine Hand Cut」、1982年から1983年のベースボール・マガジン社のプロレス雑誌に掲載されたカードを「BBM Puroresu Magazine-Hand Cut」として分類している。[74][75]現在でも雑誌へのカード付録は行われており、2026年7月には『週刊少年ジャンプ』33号に『ONE PIECEカードゲーム』の特別なカードが付属した。[76]

店舗・会場・地域での配布

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商品として販売するのではなく、特定の店舗、イベント、スポーツ会場などでカードを配布する例もある。スポーツでは来場者向けのプロモーションカードが製作されることがあり、2013年にはBBMと北海道日本ハムファイターズによる大谷翔平のカード「PR12」が球場配布のプロモーションカードとして発行された。PSAでは同カードを「2013 BBM Hokkaido Nippon Ham Fighters Shohei Ohtani Stadium Giveaway Promo」として分類している。[77]

地域や施設を訪れることで入手できる収集用カードもある。下水道広報プラットホーム(GKP)と地方公共団体が共同で発行する「マンホールカード」は、指定された配布場所で1人1枚を無料で手渡しする方式を採用している。カードごとに配布場所が設定され、その地域を実際に訪れることも収集体験の一部として設計されている。[78][79]

オンライン・オンデマンド販売

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インターネット上で特定のカードを直接選んで購入する販売方法もある。エポック社の「EPOCH-ONE」では、スポーツなどで生まれた記録や記念すべき場面をカード化し、ウェブサイトへの掲載から72時間の期間限定で注文を受け付ける。カードは1枚から購入でき、販売終了後に受注数に応じて製造する完全受注生産方式を採用している。[80]

シングルカードと二次流通

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発売されたトレーディングカードは、未開封のパックやボックスだけでなく、希望するカードを1枚単位で購入する「シングルカード」としても流通する。カード専門店では新品商品とともにスポーツ、エンターテインメント、TCGなどのシングルカードが販売されている。[81]インターネット上でも個人間売買やオークションによる二次流通が行われており、メルカリではトレーディングカード専用の出品支援機能を提供し、Yahoo!オークションでもスポーツカード、アニメ・キャラクターカード、トレーディングカードゲームなど多数のカードカテゴリーが設けられている。[82][83]

グレーディング

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トレーディングカードでは、第三者機関がカードの真贋や保存状態を評価する「グレーディング」が利用されている。一般的なグレーディングサービスでは、まずカードが真正なものかを確認し、トリミング(裁断)、リカラー(着色)、修復などの改変がないかを検査したうえで、カードの状態を評価する。評価後のカードは、カード名、グレード、固有の認証番号などを記載したラベルとともに、改ざん防止機能を備えた透明な硬質ホルダーに封入されることが多い。[84][85]

評価基準や表示方法はグレーディング会社によって異なる。Professional Sports Authenticator(PSA)はカードの状態を1から10までの数値で評価し、10を最高評価としている。Beckett Grading Services(BGS)も1から10までの評価を採用し、センタリング、角、縁、表面の4項目を評価して総合グレードを決定する。SGCやCGC Cardsも10を最高とする独自の評価尺度を使用している。[86][87][88][89]

グレーディングされたカードには認証番号が付与され、グレーディング会社のウェブサイトなどで認証情報を確認できる。また、会社によっては、各カードがそれぞれのグレードで何枚鑑定されているかを集計した「Population Report(鑑定枚数データ)」を公開している。PSAではシリーズや年度ごとに各グレードの鑑定枚数を確認でき、BGS、SGC、CGC Cardsなども同様のデータを提供している。ただし、Population Reportは各社が鑑定した枚数を示すものであり、カード自体の総発行枚数や現存数を直接示すものではない。[90][91][92]

グレーディングはスポーツカードだけでなく、トレーディングカードゲームや映画・アニメなどを題材としたノンスポーツカードにも利用されている。主要な第三者グレーディング会社にはPSA、BGS、SGC、CGC Cardsなどがあり、カードの保存・収集に加えて、オンライン上やカード専門店、オークションなどでカードを売買する際にもグレードや認証情報が参照されている。[93][94]

トレーディングカードゲーム

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トレーディングカードゲーム(Trading Card Game、TCG)は、収集・交換可能なカードを用いて対戦するカードゲームである。プレイヤーは複数のカードから任意の組み合わせを選んで「デッキ」を構築し、それぞれのカードに設定された能力やルールを用いて対戦する。一般的な収集用トレーディングカードが鑑賞や収集を主目的とするのに対し、TCGではカード自体がゲームを構成する要素として使用される。一方で、希少度の異なるカードや限定カードなどが設定され、収集・交換の対象ともなる。[95]

1993年に米国のWizards of the Coastから発売された『マジック:ザ・ギャザリング』は、最初のトレーディングカードゲームとされる。同作ではカードを集め、それらを組み合わせて独自のデッキを構築する方式が採用され、その後多数のTCGが登場する契機となった。Wizards of the Coastも同作を「最初のトレーディングカードゲーム」と位置付けている。[96]

日本では、1996年10月20日に「ポケットモンスターカードゲーム」の第1弾拡張パックとスターターパックが発売され、後のポケモンカードゲームへ発展した。1999年2月にはコナミが『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』の販売を開始した。両シリーズは日本国外にも展開され、長期にわたり販売される代表的なTCGとなっている。[97][98]

TCGでは、対戦環境を維持するために使用可能なカードの範囲を定める「レギュレーション」や「フォーマット」が設定される場合がある。また、公式大会や店舗大会など競技としてのイベントも開催される。カードはゲーム上の性能だけでなく、イラスト、希少度、プロモーション配布、限定仕様などによって収集対象にもなり、ゲームとしての利用とコレクションの両面を持つ。[99]

関連文献

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  • 大塚英志『定本 物語消費論』角川書店、2001年。ISBN 4044191107
    • 大塚はビックリマンシールをめぐる社会現象を、背景世界の物語を消費する行動として分析し、新しい文化消費の様式として論じている。

脚注

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  1. ↑ “トレーディングカード”. デジタル大辞泉. 小学館. 2026年8月27日閲覧。
  2. ↑ “trading card” (英語). Cambridge Dictionary. 2026年8月27日閲覧。
  3. ↑ “トレーディングカードゲーム”. 日本大百科全書(ニッポニカ). 小学館. 2026年8月27日閲覧。
  4. ↑ “ベースカード”. Topps. 2026年8月27日閲覧。
  5. ↑ “コレクター用語集”. Topps. 2026年8月27日閲覧。
  6. ↑ “商品情報”. ポケモンカードゲーム公式ホームページ. 2026年8月27日閲覧。
  7. ↑ “Set Collector” (英語). Topps. 2026年8月27日閲覧。
  8. ↑ “What Type of Collector Am I?” (英語). Topps. 2026年8月27日閲覧。
  9. ↑ “About Trading Card Values” (英語). Upper Deck. 2026年8月27日閲覧。
  10. ↑ “Trade Cards Scrapbook” (英語). National Museum of American History, Smithsonian Institution. 2026年8月27日閲覧。
  11. ↑ “Cigarette cards” (英語). National Portrait Gallery. 2026年8月27日閲覧。
  12. ↑ “Benjamin K. Edwards Collection” (英語). Library of Congress. 2026年8月27日閲覧。
  13. ↑ “Tobacco Advertising” (英語). Duke University Libraries. 2026年8月27日閲覧。
  14. ↑ “Baseball Cards, 1887 to 1914, Card Sets in Chronological Order” (英語). Library of Congress. 2026年8月27日閲覧。
  15. ↑ Dan Hajducky (2021年8月16日). “T206 Honus Wagner baseball card sells for $6.606 million, shattering previous record” (英語). ESPN. 2026年8月27日閲覧。
  16. ↑ “Card Catalog: Preserving baseball cards at the Hall of Fame” (英語). National Baseball Hall of Fame and Museum. 2026年8月27日閲覧。
  17. ↑ “1933 Sport Kings” (英語). Beckett. 2026年8月27日閲覧。
  18. ↑ “Topps entered baseball card market with first set in 1951” (英語). National Baseball Hall of Fame and Museum. 2026年8月27日閲覧。
  19. ↑ “Ronald S. Korda Collection of Sports and Trading Cards” (英語). Smithsonian National Postal Museum. 2026年8月27日閲覧。
  20. ↑ “Shoebox Treasures” (英語). National Baseball Hall of Fame and Museum. 2026年8月27日閲覧。
  21. ↑ “Will Innovation Be Lost?” (英語). Upper Deck. 2026年8月27日閲覧。
  22. ↑ “1996 Upper Deck Game Jerseys” (英語). Beckett. 2026年8月27日閲覧。
  23. ↑ “Michael Jordan Chicago Bulls 2004-05 Upper Deck Exquisite Collection” (英語). Sotheby's. 2026年8月27日閲覧。
  24. ↑ “たばこカード”. アドミュージアム東京. 2026年8月27日閲覧。
  25. ↑ “明治以降のたばこ文化:明治のたばこ商たち”. たばこと塩の博物館. 2026年8月27日閲覧。
  26. ↑ “「食べる」と「遊ぶ」を一箱に!グリコの歴代おもちゃを振り返る”. 江崎グリコ. 2026年8月27日閲覧。
  27. ↑ “Baseball in Japan and the US: History, Culture, and Future Prospects” (英語). Education About Asia. Association for Asian Studies (2016年9月30日). 2026年8月27日閲覧。
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