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事務

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

事務(じむ)とは、組織などにおいて行われる、文書・記録・情報の処理、連絡、会計、庶務などの業務をいう。これらの業務を主な職務とする職業を事務職、これに従事する者を事務従事者という。[1]

日本標準職業分類では、事務従事者を、庶務・文書・人事・調査・企画・会計などの仕事、生産関連・営業販売・外勤・運輸・通信に関する事務及び事務用機器の操作に従事する者として分類している。また、一般事務、会計事務、生産関連事務、営業・販売事務、外勤事務、運輸・郵便事務、事務用機器操作などが含まれる。[1]

事務は主として机上で行われることから、デスクワークと呼ばれることもある。ただし、デスクワークは事務に限られる概念ではなく、事務と同義ではない。また、事務従事者は、管理的職業従事者や専門的・技術的職業従事者などとともに、一般にホワイトカラーに分類される職業の一つとされる。[2]

概要

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事務は、組織や事業などにおいて行われる、文書の作成・処理、記録、連絡、会計、庶務などの業務をいう。これらの業務に従事する職業は、一般に「事務職」と呼ばれる。

日本標準職業分類では、「事務従事者」は独立した大分類として位置付けられている。庶務・文書・人事・調査・企画・会計などのほか、生産関連、営業・販売、外勤、運輸・通信に関する事務及び事務用機器の操作に従事する者が含まれる。一方、課長相当職以上の職務にある者は「管理的職業従事者」に分類される。[3]

近代以降、企業や行政機関などの組織が発達すると、文書、会計、連絡、記録などを専門的に処理する労働が発達した。こうした労働は、管理職や専門職などとともに、広義のホワイトカラー労働の一部として研究されている。[4]

20世紀には、タイプライター、計算機、複写機などの事務機器が普及し、事務作業の機械化が進んだ。さらにコンピュータや情報通信技術の普及によって事務処理の電子化が進展し、1980年代にはオフィス・オートメーション(OA)が広く論じられるようになった。[5]

このような情報化により、従来は紙の帳票や手作業によって行われていた記録、計算、文書作成などの業務の一部が電子化された。その一方で、事務処理における情報の管理、業務手順の標準化、情報機器の操作なども事務の重要な要素となった。

このように、事務は書類の作成だけに限定されず、組織における情報の記録・処理・伝達、会計、庶務などを含む業務の総称として用いられている。

他の業務とのかかわり

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事務は、組織内のさまざまな業務と関連して行われる。日本標準職業分類では、事務従事者に庶務・文書・人事・調査・企画・会計などの事務のほか、生産関連、営業・販売、外勤、運輸・通信に関する事務を含めている。[1]

人事に関する事務では、従業員の採用、配置、異動、退職などの手続き、勤務状況の管理、給与計算、福利厚生や社会保険に関する手続きなどを行う。総務では、文書の整理・保管、建物や設備の管理、契約書の作成・保管、社内規程の整備など、組織全体に関係する業務を担当する。[6][7]

営業に関する事務では、営業担当者を支援するため、資料や見積書の作成、顧客への対応、受発注、契約・売上・入金の管理、納期管理などを行う。営業事務は、営業活動に伴う事務や管理を担当する。[8]

製造業などでは、生産・工程管理、出荷・受荷などに関する事務も行われる。これらは生産活動や物流に伴う情報、書類、数量などを管理する業務であり、現場の作業と関連して行われる。[1]

一方、特定の分野に限定されない一般事務では、文書の作成・整理、伝票や台帳の管理、データの入力、電話・来客対応、郵便物や物品の管理など、組織の日常的な事務を幅広く担当する。企業によっては、これらに加えて事務用品の管理などの庶務を担当する場合もある。[9]

このように、事務の具体的な範囲は、企業の規模、業種、組織内の部署及び担当する業務によって異なる。小規模な組織では複数の分野の事務を一人の担当者が兼務する場合がある一方、組織規模が大きくなると、人事、総務、経理、営業、生産管理などの分野ごとに分担されることがある。[10]

他の業務との関連

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事務は、特定の業務分野と組み合わせて行われることがある。日本標準職業分類では、一般事務従事者のほか、会計事務従事者、生産関連事務従事者、販売・営業に関する事務従事者などが分類されている。また、一般事務従事者には、庶務、人事、企画、受付、秘書などの事務に加え、医療事務員や介護保険事務員も含まれる。[1][11]

営業事務は、営業担当者の活動を支援する事務であり、資料や見積書の作成、顧客への電話・メール対応、受発注、契約・売上・入金の管理などを行う。[12]医療事務や介護事務も事務的職業に含まれ、医療機関における受付・診療報酬請求・診療録管理や、介護保険に関する請求事務などを担当する。[13]

総務は、庶務、文書、社内の各種管理などを担当する業務領域であり、人事や企画などと関連する場合がある。日本標準職業分類では、庶務事務員、人事事務員、企画事務員などをそれぞれ区分している。[1][14]

経理では簿記が用いられる。簿記は職業名ではなく、企業などの経営活動を記録・計算・整理し、経営成績や財政状態を明らかにする技能である。[15]

これに対して、特定の専門分野に限定されない事務は、一般事務や庶務などと呼ばれる。日本標準職業分類では、一般事務従事者に庶務・文書・人事・企画・調査などの仕事が含まれ、特定の事務分野に限定されず各種の事務を担当する者は「総合事務員」に分類される。[1][16]

事務所

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事務所(じむしょ、英: office)は、事務を行うための施設または事業・業務の拠点をいう。事業所の一種として扱われることがあり、統計上の事業所には、工場、事務所、営業所、商店、学校、病院、役所など、一定の場所で継続して経済活動などを行う施設が含まれる。[17]

「事務所」と「営業所」は必ずしも商人・非商人によって一律に区別されるものではない。日本の法令では、事業や業務の拠点を表す語として「事務所」「営業所」などがそれぞれの制度に応じて用いられている。例えば、法人については主たる事務所の所在地を基準とする規定があるほか、行政機関の地方機関などにも「事務所」の名称が用いられている。[18]

行政機関などでは、地方機関その他の拠点の名称に「事務所」が用いられる。日本標準産業分類では、都道府県などの地方機関について、労政事務所、農林事務所、土地改良事務所、ダム管理事務所、水産事務所、旅券事務所などが例示されている。[19]

士業では、専門業務を行う拠点を「事務所」と呼ぶことが多く、各資格の業法に設置、登録その他の事項に関する規定が置かれている。例えば、行政書士は行政書士法第8条により業務を行うための事務所を設けなければならず、税理士についても税理士法第40条により税理士業務を行うための事務所を設けることとされ、その事務所を「税理士事務所」と称する。[20][21]

このほか、法律事務所、会計事務所、建築士事務所、技術士事務所など、専門的な業務を行う事業体の名称として「事務所」が用いられる場合がある。また、企業や団体などが業務の拠点を「事務所」と称する場合もあり、名称や法令上の位置付けは、主体の種類や業務内容によって異なる。

脚注

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  1. 1 2 3 4 5 6 7 “日本標準職業分類(平成21年12月設定)「事務従事者」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  2. ↑ 菅山真次「産業革命期のホワイトカラー―八幡製鉄所職員のキャリア分析―」『経営史学』第27巻第4号、1993年、1-31頁、doi:10.5029/bhsj.27.4_1。
  3. ↑ “日本標準職業分類(平成21年12月設定)「事務従事者」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  4. ↑ 岸本英太郎 編『現代のホワイトカラー : その地位と労働と生活』ミネルヴァ書房、1961年。
  5. ↑ ILO俸給被用者・専門職労働諮問委員会『OA革命とホワイトカラー : ILOレポート』日本生産性本部、1983年。
  6. ↑ “人事事務”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag). 2026年9月24日閲覧。
  7. ↑ “総務事務”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag). 2026年9月24日閲覧。
  8. ↑ “営業事務”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag). 2026年9月24日閲覧。
  9. ↑ “一般事務”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag). 2026年9月24日閲覧。
  10. ↑ “事務の仕事”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag). 2026年9月24日閲覧。
  11. ↑ “日本標準職業分類(平成21年12月設定)「その他の一般事務従事者」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  12. ↑ “営業事務”. 厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET). 2026年9月24日閲覧。
  13. ↑ “06 事務的職業”. 厚生労働省・ハローワークインターネットサービス. 2026年9月24日閲覧。
  14. ↑ “日本標準職業分類(平成21年12月設定)「庶務事務員」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  15. ↑ “簿記とは”. 日本商工会議所. 2026年9月24日閲覧。
  16. ↑ “日本標準職業分類(平成21年12月設定)「総合事務員」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  17. ↑ “経済基盤「事業所の定義」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  18. ↑ “日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)「公務(他に分類されるものを除く)」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  19. ↑ “日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)「都道府県の機関」”. 政府統計の総合窓口. 2026年9月24日閲覧。
  20. ↑ “行政書士法”. e-Gov法令検索. 2026年9月24日閲覧。
  21. ↑ “税理士法”. e-Gov法令検索. 2026年9月24日閲覧。

関連項目

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