照害

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照害(しょうがい)は、照明の計画や運用において、照度などの基準への適合や空間全体の均一な明るさが重視される一方、人の行動や空間の認知、地域や時間帯の条件が十分に考慮されないことで生じる不利益を指すための提案概念である。照明が過剰である場合だけでなく、必要な場所に光が届かず、人が周囲や進行方向を把握しにくくなる場合も問題として捉える。

この語は、照明設計や道路照明設計において、基準への適合だけでなく、実際に使う人にとってどのような光環境が必要かを検討する必要性を表すものとして用いられる。

概念

照明は、夜間の歩行や交通、作業、空間の認知などを支える一方、明るさや光の向き、配置によって、まぶしさ、景観、周辺環境、エネルギー消費などにも影響する。照害という考え方では、照明環境を照度などの数値だけで評価せず、場所の使われ方、利用者の行動、時間帯、周囲の建物や街並みなどを含めて捉える。

道路照明では、路面や歩道の照度を確保することが安全性の評価に用いられる。これに対し照害の観点は、路面の明るさだけでなく、歩行者や障害物の見え方、進行方向の把握、周囲の見通し、地域の景観など、利用者が実際に必要とする照明性能を併せて検討することを求める。

ぼんぼり光環境計画のウェブサイトは、床面全体を均一に照らす従来型の計画と、人の行動や空間の要素に合わせて光を配置する「照明性能設計」とを対比している。また、道路や歩道の照度基準の分類や、地域・時間帯ごとの条件をめぐる課題を指摘している。これは、照度基準を一律に適用する設計への問題提起の一例である。[1]

光害との違い

光害は、人工光の不適切または配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって、良好な照明環境が損なわれる状況や、それによる悪影響を指す。環境省は、光害が人間の活動や動植物、夜空などに及ぼす影響を扱っている。[2]

照害は、照明による環境への影響だけでなく、照明計画の評価が基準値や一律の明るさに偏り、人の活動や場所ごとの必要性と食い違うことも問題として扱う提案概念である。光害が光の使用による悪影響を中心に扱うのに対し、照害は照明の設計・評価の考え方と、人にとって必要な光との不一致に着目する。両者は重なり得るが、同じ意味ではない。

社会的影響

照明環境は、歩行者が道筋や周囲の状況を把握できるか、夜間の公共空間を利用しやすいか、地域の景観や生活環境が保たれるかに関係する。照明の評価を平均照度などに限ると、実際の利用者が感じる安心感や見通し、地域ごとの活動の違いが十分に反映されない場合がある。

岐阜県白川村平瀬地区の街路照明を扱った研究では、光源を分散配置し、街路に隣接する空地にも照明を設けた計画について、街路周辺の見通しが改善した一方、歩行者から暗さに由来する危険性や不安感も指摘された。研究は、照明を減らすことだけではなく、地域の条件や利用者の評価を踏まえて光環境を検討する必要性を示している。[3]

そのため、照害を避けるための検討には、照度や均斉度などの設計指標に加えて、現地での視認性、歩行者や地域住民による評価、時間帯による利用状況、景観、周辺環境、維持管理やエネルギー消費などを含めることが考えられる。

関連項目

脚注

  1. ↑ “省エネルギー”. ぼんぼり光環境計画. 2026年10月16日閲覧。
  2. ↑ “「光害対策ガイドライン(改訂版)」の策定について”. 環境省. 2026年10月16日閲覧。
  3. ↑ 小林, 茂雄; 鈴木, 竜一; 角舘, 政英 (2012). “分散配置型の低照度街路照明の整備と評価―岐阜県白川村平瀬地区での実践”. 日本建築学会技術報告集 18 (38): 233–238. doi:10.3130/aijt.18.233.

参考文献