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2-0は危険なスコア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2-0は危険なスコア(英語: 2-0 lead is the worst lead)は、スポーツで使用される格言で[1][2][3]、あるチームが2-0のスコアでリードしているときに、チームの気持ちが緩んでしまう状況を指している[4]。特にサッカーで使われる言葉だが、ハーフタイムの時点でこの点差になっているときによく言われる。またアイスホッケーのように、2点のリードがそれなりに大きいスポーツでも警句として使われる場合がある。

この格言は、チェコのサッカー指導者、ヨセフ・チャプラールによって提唱されたため、チェコでは「チャプラールの罠」(チェコ語: Csaplárova past)と呼ばれている[5][6]。セルビアのサッカー指導者、ミラン・ジヴァディノヴィッチも「2-0は最も危険な結果」(セルビア語: 2:0 је најопаснији резултат)という表現を多用していた[7]。元オーストラリア代表のサッカー解説者、ジョニー・ウォーレンもこの格言を使うことで知られている[8]。

概要

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この格言は、2-0でリードしているチームが、その点差ゆえに勝ったも同然だという「間違った安心感」を持ってしまうことに警鐘を鳴らすものである[9][10]。もし相手に1点返されてスコアが2-1になれば、チームはパニックに陥ってさらに失点し、引き分けになってしまうどころか逆転される可能性さえある。それとは対照的に、1-0でリードしているチームは、集中力をもってプレーを続け、僅差を守りつつリードを広げようとする傾向にあるし、3点以上の差をつければ逆転される可能性ははるかに低くなる、という考え方が「2-0は危険なスコア」の根拠となっている。

この格言は、2-0のスコアになった後も選手たちの集中力を維持しようと激励するコーチ陣に引用される[11]。またスポーツ実況において解説者が、試合結果はまだわからないとアピールして、視聴者の興味を試合に繋ぎ止めるために言う場合もある。

一方で、試合中にその格言を意識している選手に対して、気持ちに余裕を持たせるため、敢えて格言を否定する指導者もいる。柏レイソルで監督を務めていたネルシーニョは、Jリーグのとある試合で、前半を2-0で折り返した時、ロッカールームで口々に「2-0は危険だから気を引き締めろ」と言い合って、固い雰囲気になっていた選手たちに「なぜ2点もリードしているチームが相手を恐れる必要があるんだ。何も恐れずにそのまま戦えばいい。勝っているのは我々なのだから」という言葉をかけている[12]。

データをひもとくと、2-0は必ずしも危険なスコアだとは言えない。サッカーに関していえば、ハーフタイムの時点で2-0で勝っているチームが逆転負けを喫するのは、全体の2パーセントにすぎない[13]。もちろん格言があてはまる場合もあり、元イングランド代表のサッカー解説者、ゲーリー・リネカーは、2016年にリヴァプールFCがAFCボーンマス相手に2-0でリードしてハーフタイムを迎えた際に、Twitterでこの格言に疑問を呈したが[14]、試合はリヴァプールが3-4で敗れた[15]。

サッカー日本代表戦では、FIFAコンフェデレーションズカップ2013のイタリア戦と、2018 FIFAワールドカップラウンド16のベルギー戦で、2-0から逆転負けを喫している。一方、0-2から逆転勝ちした試合は、キリンチャレンジカップ2025のブラジル戦が知られている。ブラジルが2-0から逆転負けをするのは、1940年以来85年ぶりのことであった。ウルグアイとの親善試合で、3-1と一時はリードしながら最終的に3-4で敗れた[16]。世代別では、AFC U-23選手権2016の決勝で、韓国相手に、0-2からの逆転勝ちを収めている[17]。

一般にサッカーよりもスコアが動きやすいアイスホッケーでも、2点差をつけてリードしているチームがたいていはそのまま勝利しており、1点差の場合のほうが逆転される可能性は高いというデータがある[18]。実際にはこの格言を口にする人も、2-0が最も危険なスコアではないことは重々承知の上である場合が多い[19][20]。

サッカーを中心に様々なスポーツのデータを取得・解析する日本企業のデータスタジアムは、2-0というスコアそのものは圧倒的な優位であることを前提としながらも「『2-0は(2-1にされると、1-0より)危険なスコア』」といえるのではとの見方を示している[21]。

脚注

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  1. ↑ “Proof 2-0 is a most dangerous lead”. ABC News (2014年5月22日). 2016年12月9日閲覧。
  2. ↑ Popik, Barry. “The worst lead in hockey is a two-goal lead”. www.barrypopik.com. 2016年12月9日閲覧。
  3. ↑ “4 Reasons Why a 2-0 Lead is Ice Hockey's Worst Lead”. LinkedIn (2016年12月9日). 2022年7月18日閲覧。
  4. ↑ “2:0 - TheNH most dangerous score in the game”. Goalden (2010年6月10日). 2016年12月9日閲覧。
  5. ↑ o2sport.cz (7 September 2015). “Csaplár efekt se nepotvrdil, Francie volá národní tým!”. O2 Sport (チェコ語). 2016年12月9日閲覧.{{cite news}}: CS1メンテナンス: 数字を含む名前/author (カテゴリ)
  6. ↑ “Bednář a Lafata si překáželi. Plzeň skřípla Csaplárova past”. Aktuálně.cz - Víte co se právě děje. 2016年12月9日閲覧。
  7. ↑ Mozzart Sport (2016年3月4日). “Kako ono reče Živa – 2:0 je najopasniji rezultat” (セルビア語). 2018年7月15日閲覧。
  8. ↑ Mangan, Patrick (2010). Offsider - a Memoir: How a Scrawny Pommy Kid Learned to Love the Socceroos. Australia: Melbourne University Publishing. pp. 207. ISBN 978-0522857214. "At some stage in the previous twenty minutes, in the TV gantry not far of us, Johnny Warren no doubt uttered one of his favourite truisms: that a 2-0 is a dangerous lead. It breeds complacency, he liked to say. The Socceroos didn't needed reminding - now."
  9. ↑ M, Alex (2007年6月22日). “Kicker Conspiracy: The most dangerous lead”. Kicker Conspiracy. 2016年12月9日閲覧。
  10. ↑ “2–0, the cliché goes, is the most dangerous scoreline”. Montreal Impact. 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月14日閲覧。
  11. ↑ “The Most Dangerous Lead in Soccer: 2–0”. Soccer Classroom (アメリカ英語). 27 June 2011. 2016年12月9日閲覧.
  12. ↑ 柏、日本勢2年ぶりのACLベスト8!全北現代戦で見せた2つの強みとは? - Number Web(2013年5月23日)2025年10月15日閲覧。
  13. ↑ “OptaJoe on Twitter”. Twitter. 2016年12月9日閲覧.
  14. ↑ @GaryLineker (4 December 2016). “When did 2-0 up become a dangerous score? Hear it so often now. Would like to know percentage of games lost from there? Suspect not high”. X(旧Twitter)より2022年7月18日閲覧.
  15. ↑ “Bournemouth 4-3 Liverpool”. BBC Sport (イギリス英語). 4 December 2016. 2016年12月9日閲覧.
  16. ↑ “2点差以上を逆転されたのはいつ以来? サッカーブラジル代表が日本代表に歴史的逆転負け”. The Sporting News (2025年10月17日). 2026年1月6日閲覧。
  17. ↑ “驚異の粘り見せたU-23代表、韓国に大逆転勝利でアジア王者に!!”. ゲキサカ (2016年1月31日). 2026年1月5日閲覧。
  18. ↑ “"The Most Dangerous Lead in Hockey" – Fact or Myth?”. PuckScene.com (アメリカ英語). 19 August 2011. 2016年12月9日閲覧.
  19. ↑ Taylor, Mark (2016年3月6日). “The Power of Goals.: "Martinez Blows Most Dangerous of Leads"!”. The Power of Goals.. 2016年12月9日閲覧。
  20. ↑ “Debunking the myth of the 'dangerous two-nil lead'”. The World Game. 2016年12月9日閲覧.
  21. ↑ “2-0は本当に『危険なスコア』か?”. 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ. 2022年7月19日閲覧。
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