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214型潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
韓国海軍「李範奭」

214型潜水艦(英語: Type 214 submarine)は、ドイツのホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船(HDW)により開発された通常動力型潜水艦のシリーズ[1]。

設計

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214型は209型を基にして、212A型の開発から得られた技術的進歩、およびドルフィン級で採用された最新技術の一部を統合したものである[1]。船体設計および流体力学形状はステルス性能を重視したものとなっており、艦内で発生した音のほか水流による音についても配慮することで水中放射雑音を低減し、低磁気シグネチャも実現している[1]。

214型はモジュール設計を採用し、将来的に各種艤装を容易に変更できるよう配慮されている[1]。耐圧殻の素材はHY-100高張力鋼であり[2][注 1]、予備浮力は10%以上、潜航深度は400 mを超える[1]。高度な自動化により乗員数が削減されており、これにより兵装搭載量の最適化が可能となっている[1]。

機関はディーゼル・エレクトリック方式を基本としつつ、非大気依存推進(AIP)システムを搭載する方式である[1]。ディーゼル・エレクトリック推進システムは、MTU 16V 396ディーゼルエンジン2基(2,000 kW)によりオルタネーターを駆動して発電し、シーメンス製PERMASYN永久磁石同期電動機によって低騒音のスキューバック・プロペラ1軸を駆動するという構成が基本である[1]。潜航中の電源としては、600-900 Vの蓄電池が搭載される[1]。AIPシステムとしては、固体高分子形燃料電池(PEM)を用いて出力120キロワットのシステムを2基搭載する[1]。

水中哨戒および迎撃任務でAIPシステムを使用することにより、本型は2-6ノットの速力で最大3週間にわたり潜航を維持することができる[1]。50日間の作戦行動中、16-20ノット以上の水中ダッシュ速力を数時間にわたって数回発揮することが可能である[1]。6ノットの速力における作戦航続距離は約12,000海里に達する[1]。

装備

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本型は、比較的小型ながら高い兵装およびセンサー搭載能力を有することを特徴とする[1]。

ソナーおよび潜水艦情報処理装置は、ISUS-90として統合されており、ソナーとしては下記のようなシステムが含まれる[1]。

  • 円筒形聴音アレイ:中周波用
  • フランクアレイ:中周波から低周波への遷移領域用
  • 細径曳航アレイ(thin line towed array):中程度の自艦騒音環境下における低周波用
  • パッシブ測距用アレイ
  • 探信アレイ

その他のセンサーとして、攻撃潜望鏡、電子光学マスト(非貫通型潜望鏡)、および統合魚雷防御システムが含まれる[1]。すべてのセンサーおよび兵装は多目的コンソールを介して制御される[1]。

兵装システムは、前部隔壁を貫通して配置された8基の533 mm魚雷発射管で構成されており、あらゆる種類の魚雷の発射が可能である[1]。魚雷は自走発射(スイムアウト)式が基本だが、発射管のうち4基にはミサイルの水中発射に対応するための兵器射出システム(WES: Weapon Expulsion System)も装備されており、オプションとして、すべての魚雷発射管に兵器射出システムを装備することも可能である[1]。即時再装填が可能な状態で8本の魚雷が配置されており、214型全体として16本の長魚雷搭載能力を有する[1]。

採用国

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ギリシャ

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ギリシャ政府は1998年7月24日に本型の導入を決定し、2000年2月15日にギリシャ海軍向けに3隻を建造する契約を締結、2002年6月に4隻目を追加発注した[3][4]。建造にあたっては分業体制が採られ、ネームシップの「パパニコリス」はドイツのHDWキール工廠で建造され、2番艦以降はギリシャ国内のヘレニック造船所でライセンス建造された[3][4]。

「パパニコリス」は2005年2月2日に初期試運転を開始し、2008年に完了したものの、ギリシャ国防省は仕様・要求性能を満たしていない技術的欠陥(過度の傾斜問題等)を主張して受領を拒否した[3][4]。ただしその後の検証では同艦が正常な運用能力を備えることが証明されており、技術的問題ではなくギリシャの経済問題が受領拒否の真の要因であったとされている[3]。

政治的・法的・財務的な交渉を経て、2010年4月にギリシャ政府とTKMS社との間で和解が成立し、ギリシャ側が4隻全艦を受領するとともに、追加で2隻をヘレニック造船所で建造することで合意した[3][4]。ただし同年にギリシャの財政問題が深刻化したこともあり、2隻の追加建造は2011年5月にキャンセルされた[5]。

韓国

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大韓民国海軍は、まずKSS-1計画に基づき209/1200型潜水艦9隻を取得して、1993年より張保皐級潜水艦として運用を開始していた[6]。続いて2000年から着手したKSS-2計画ではスコルペヌ型も俎上に載せられたものの、209型の運用実績などが評価されて、最終的には214型が採択された[6]。2007年から2019年までに、計9隻が建造された[6]。

ポルトガル

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ポルトガルのトリデンテ級は、当初は209PN型と称されていたが、ギリシャ海軍向け214型であるパパニコリス級との共通点が多く[7]、後には214型と分類されるようになった[8]。

トルコ

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2009年7月に、トルコ海軍はHDWに対して6隻を発注[9]。部品はドイツのHDWで製造された上で舶送され、トルコ国内の海軍基地であるギョルジュク海軍工廠にて組み立てるノックダウン建造方式で行われる[9]。2024年8月25日、1番艦が就役した[10]。

パキスタン

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パキスタン海軍は、2008年に214型潜水艦3隻をパキスタン国内で建造する計画について交渉しており、IDEAS2008において、HDWの担当者は契約は95パーセントまで進んでいると述べていた[11][12]。214型の取得は軍事力開発計画(AFDP)の中核的事業と位置付けられ、2015年より運用を開始する予定であった[13]。しかし前年からの世界金融危機に伴うデフォルトを回避するため、2008年にパキスタン人民党政権が国際通貨基金(IMF)からの融資を受けることを決断したことで、潜水艦取得計画は頓挫した[13]。その後、2015年より潜水艦取得計画が再開されたものの、この際には中華人民共和国からの取得が志向されることとなり[13]、039A型潜水艦の派生型が採択された[14]。

脚注

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注釈

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出典

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  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 Watts 2000, pp. 25–26.
  2. ↑ Gairn 2026.
  3. 1 2 3 4 5 Wertheim 2013, pp. 247–248.
  4. 1 2 3 4 Pape 2020, p. 288.
  5. ↑ 大塚 2013, p. 85.
  6. 1 2 3 李 2025.
  7. ↑ Saunders 2015, p. 655.
  8. ↑ Pape 2020, p. 612.
  9. 1 2 Pape 2020, p. 810.
  10. ↑ “Turkish Navy commissions first Reis-class submarine”. janes.com (2024年8月27日). 2024年8月28日閲覧。
  11. ↑ “Global Naval Forces - News and Defence Headlines” (英語). IHS Jane's 360. 2014年12月19日閲覧。
  12. ↑ “Satisfied with COAS Gen. Kayani performance: PM Gilani” (英語). PakTribune. 2011年12月27日閲覧。
  13. 1 2 3 Ansari 2015.
  14. ↑ Pape 2020, p. 564.

参考文献

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  • 大塚好古「世界の潜水艦」『世界の艦船』第786号、海人社、2013年10月。 NAID 40019805426。 
  • 李相會「韓国 (現代の通常動力潜水艦)」『世界の艦船』第1042号、海人社、100-101頁、2025年7月。 
  • Ansari, Usman (2015年4月3日). “Pakistan To Buy 8 Submarines From China”. DefenseNews.{{cite news}}: CS1メンテナンス: ref=harv (カテゴリ)
  • Gairn, Noah (2026-01-27). “The History of Submarine Steel: How Do The Type-212CD and KSS-III Line Up For Canada?”. True North Strategic Review. https://www.truenorthstrategicreview.ca/p/the-history-of-submarine-steel-how. 
  • Pape, Alex, ed. (2020), Janes Fighting Ships 2020-2021, Janes Information Group, ISBN 978-0-7106-3350-7 
  • Saunders, Stephen (2015), Jane's Fighting Ships 2015-2016, Janes Information Group, ISBN 978-0710631435 
  • Wertheim, Eric (2013), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.), Naval Institute Press, ISBN 978-1591149545 
  • Watts, Anthony J., ed. (2000), Janes Underwater Warfare Systems 2000-2001 (12th ed.), Jane's Information Group, ISBN 978-0710620323 

関連項目

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同時期・同規模の通常動力型潜水艦
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