2MASS J04463413-2627559
目次
WISEA J044634.16-262756.1
| WISEA J044634.16-262756.1 | ||
|---|---|---|
パンスターズで撮影されたJ0446 | ||
| 星座 | エリダヌス座 | |
| 見かけの等級 (mv) | J0446A 15.100(Gバンド)[1] J0446B 14.952(Gバンド)[2] | |
| 分類 | 赤色矮星 | |
| 位置 元期:J2000.0 | ||
| 赤経 (RA, α) | J0446A 04h 46m 34.11s[3] J0446B 04h 46m 34.25s[3] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | J0446A −26° 27′ 56.84″[3] J0446B −26° 27′ 55.57″[3] | |
| 視線速度 (Rv) | J0446A 26.7 ±16.8km/s[3] J0446B 29.8 ±16.8km/s[3] | |
| 固有運動 (μ) | J0446A 赤経: 33.351 ±0.084ミリ秒/年[3] 赤緯: −5.459 ±0.118ミリ秒/年[3] J0446B 赤経: 33.534 ±0.080ミリ秒/年[3] 赤緯: −3.629 ±0.112ミリ秒/年[3] | |
| 年周視差 (π) | J0446A 12.1093±0.0629 ミリ秒[3] J0446B 12.1604±0.0594 ミリ秒[3] | |
| 距離 | J0446A 82.6 ± 0.4 pc[3] J0446B 82.2 ± 0.4 pc[3] | |
| 物理的性質 | ||
| 質量 | J0446B 0.13–0.22太陽質量[4] | |
| スペクトル分類 | M4.5+M6[3][4] | |
| 光度 | J0446B 0.016太陽光度[4] | |
| 表面温度 | J0446A ~3000K[3] J0446B ~3100K[4] | |
| 年齢 | 3370+200 −190万年[5] | |
| 地球から見た位置 (との関係) | ||
| 角距離 | 2.3秒角[4] (189au相当[4]) | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| 系全体:2MASS J04463413-2627559, TIC 590241, WISEA J044634.16-262756.1, WISE J044634.16-262756.1[6] J0446A:UCAC4 318-005949, Gaia DR2 4881308710764495744[1] J0446B:UCAC4 318-005951, Gaia DR2 4881308710762664576[2] |
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| ■Template (■ノート ■解説) ■Project | ||
WISEA J044634.16-262756.1 (または J0446)はJ0446AとJ0446Bからなる二重連星の1つで、このうち片方のJ0446Bにはピーターパンディスクと呼ばれる長寿命の原始円盤が存在していることが分かっている[3][5][4]。
J0446はオンライン上のシチズン・サイエンスのウェブポータル、ズーニバースでNASAが運用している市民科学プロジェクトのディスクディテクティブに参加していた市民ボランティアによって赤外超過が初めて確認された。当初は4200万年前に形成されたはと座アソシエーションの一員であると考えられていた。 2個のM6型の赤色矮星で構成されている連星で、ジェミニ南望遠鏡での分光観測では両方の天体から強いHアルファの輝線が検出されている。このHアルファ線の強さは、恒星の活動を示す強さと円盤からの降着を示す強さの中間にあった。しかし広視野赤外線探査機(WISE)のデータから明らかな赤外超過が見て取れたため、円盤の存在が明らかになった[3]。
その後の解析でJ0446はろ座カイ星1の運動星団に属していることが明らかになり[5]、この星団ははと座アソシエーションよりも若く年齢が3370+200
−190万年と推定されている。パンスターズとGaia衛星の観測では、連星中の2星は2.3 秒角、実際の距離にしておよそ189au離れている。J0446Aで検出された、より弱いHアルファの放射は降着ではなく恒星の彩層の活動に由来すると考えられている。
Gaia XPのスペクトル解析ではJ0446Bのスペクトルが早期M4.5型と分かった。その後行われたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中間赤外装置(MIRI)での観測ではJ0446Bから一酸化炭素と水蒸気が検出されている[4]。
J0446Bの円盤
[編集]J0446Bは強く線幅の広いHアルファ輝線が検出されており、これは2.5 × 10−11M☉/年 ほどの弱い降着に起因する。降着円盤はアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)での観測でも検出されており、今後詳細に研究される。ALMAの観測ではダストの質量は0.1 M🜨と推定され、これは年齢の若い円盤で比較するとかなり低い値である。研究者のチームはさらに2024年1月29日にJWSTのMIRIで分光観測を行い、この赤色矮星の内側の円盤から多数の分子種を検出した。検出した分子は9種の炭化水素(メチルラジカル、メタン、 アセチレン(C2H2 と 13CCH2)、エチレン、エタン、プロピン、ジアセチレン、ベンゼン)[7][8][4]と2種の窒素含有化合物(シアン化水素、シアノアセチレン)、二酸化炭素の2種類の同位体(12CO2と13CO2)、水素分子と2種類の貴ガス(ネオンとアルゴン)であった[4]。 水分子の弱い放射もあった他、非晶質のケイ酸塩(カンラン石でモデル化)と結晶質の苦土カンラン石も見られた[4]。
水素分子とネオンは通常、年齢が100万年ほどの若い円盤でしか見られない。これはJ0446Bが原始的なガスを含んでいることを示す。過去に行われたピーターパンディスクについての研究では、年齢の進んだ円盤に若い円盤特有の物質が見られることを、微惑星同士の衝突で新しく供給されたというシナリオで説明していたが、水素分子とネオンの存在によりJ0446Bについてはこのシナリオを適用できない。ネオンとアルゴン輝線の強度から、電離源はJ0446からの軟X線と紫外線の光子であると考えられる。
この円盤は非常に炭素が豊富であり、これはJWSTやスピッツァー宇宙望遠鏡で観測された他の晩期M型矮星の円盤でも見られる特徴である。 J0446BはM型矮星の中で、水とアセチレンのスペクトル線の強度比が最も高い。 理論研究では、内側の円盤は氷の集積物が移行してくることでまず水に富んだ組成になってから、外側からガスが流入することで炭素が豊富になると考えられている。このため、内側の円盤まで炭素に富んだJ0446Bの組成は、この円盤の物質進化の最終段階にまで到達していることを示している[4]。
惑星形成への影響
[編集]円盤が長寿命であることは、それだけコア集積により惑星コアが形成される時間が長く確保されることを意味する。円盤ガスにより原始惑星の軌道離心率が減少し、惑星移動が起こる。その結果、TRAPPIST-1系のような軌道共鳴が連鎖しているコンパクトな惑星系が誕生する可能性がある。ガス円盤中の炭素含有量が高いと炭素に富んだ大気を持つ惑星が形成される。これは例えば土星の衛星であるタイタンで見られるようなもやの発生や、大気の平均分子量、熱構造に影響する。 炭素は気相で存在するため、円盤中に固体炭素はあまり含まれていない。もし気相の炭素が失われた後、地球型惑星が後になって固体から形成されると、炭素の欠乏した岩石惑星ができあがることとなる[4]。
脚注
[編集]出典
[編集]- 1 2 “UCAC4 318-005949 -- Star”. 2026年2月15日閲覧。
- 1 2 “UCAC4 318-005951 -- Star”. 2026年2月15日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 Silverberg, Steven M.; Wisniewski, John P.; Kuchner, Marc J.; Lawson, Kellen D.; Bans, Alissa S.; Debes, John H.; Biggs, Joseph R.; Bosch, Milton K. D. et al. (2020-01-14). “Peter Pan Disks: Long-lived Accretion Disks Around Young M Stars”. アストロフィジカルジャーナル 890 (2): 106. arXiv:2001.05030. Bibcode:2020ApJ...890..106S. doi:10.3847/1538-4357/ab68e6.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 Long 龙, Feng 凤.; Pascucci, Ilaria; Houge, Adrien; Banzatti, Andrea; Pontoppidan, Klaus M.; Najita, Joan; Krijt, Sebastiaan; Xie, Chengyan et al. (2025). “The First JWST View of a 30-Myr-old Protoplanetary Disk Reveals a Late-stage Carbon-rich Phase”. The Astrophysical Journal Letters 978 (2): L30. arXiv:2412.05535. Bibcode:2025ApJ...978L..30L. doi:10.3847/2041-8213/ad99d2.
- 1 2 3 Luhman, K. L. (2024-10-01). “A Census of the β Pic Moving Group and Other Nearby Associations with Gaia”. アストロノミカルジャーナル 168 (4): 159. arXiv:2409.06092. Bibcode:2024AJ....168..159L. doi:10.3847/1538-3881/ad697d. ISSN 0004-6256.
- ↑ “2MASS J04463413-2627559 -- Double or Multiple Star”. 2026年2月15日閲覧。
- ↑ Arabhavi, A. M.; Kamp, I.; Henning, Th.; van Dishoeck, E. F.; Christiaens, V.; Gasman, D.; Perrin, A.; Güdel, M. et al. (2024-06-01). “Abundant hydrocarbons in the disk around a very-low-mass star”. サイエンス 384 (6700): 1086–1090. arXiv:2406.14293. Bibcode:2024Sci...384.1086A. doi:10.1126/science.adi8147. ISSN 0036-8075. PMID 38843318.
- ↑ “HITRANonline line-by-line search: 1. Select Molecules”. hitran.org. 2024年12月10日閲覧。