ディスクディテクティブ
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参加者が目視確認する、可視光~近赤外線の同一恒星のフリップブック画像 | |
| URL |
www |
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| 言語 | 英語、スペイン語、ドイツ語、ポーランド語、中国語、インドネシア語、ハンガリー語、ルーマニア語、ロシア語、日本語 |
| タイプ | 市民科学プロジェクト |
| 運営者 | Citizen Science Alliance[1] |
| 設立者 | ディスクディテクティブチームメンバー |
| 営利性 | 無し |
| 登録 | 任意 |
| 開始 | 2014年1月31日 |
| 現在の状態 | オンライン |
ディスクディテクティブ(Disk Detective)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)によって運営されている、ズーニバース(Zooniverse)[2]との共同プロジェクトである。このプロジェクトは惑星の誕生現場[3]である原始惑星系円盤に囲まれている恒星を一般市民の協力で探し当てることを目的としたNASA最大のクラウドソーシングによる市民科学プロジェクトとなった[4]。
NASAで市民科学を担当しているマーク・クフナーが最初に立ち上げたが、現在はSteven Silverbergに主要な運用が引き継がれている[5]。NASAの研究者達が探し求めている天体は二つのカテゴリーに分かれる。一つは残骸円盤と呼ばれる誕生してから500万年以上経過している天体であり、もう一つは誕生してから500万年未満の若い星状天体(YSO)である。
詳細
ディスクディテクティブのうちバージョン1.0は2014年1月に公開され、当初は2017年まで継続される予定であったが、2026年現在も継続している[6]。 2019年4月にズーニバースが古いプロジェクトプラットフォームを廃止したため[7]、5月にはいったんプロジェクトが休止した[8]。 その後プロジェクトでは新しいプラットフォームに対応したディスクディテクティブ2.0の開発に着手し[9]、2020年5月24日に公開されプロジェクトが再開した[10]。
誰でも参加でき、NASAが運営している広域赤外線探査衛星(WISE)や[11]、ほかのサーベイで観測された画像を調べることができる。
ディスクディテクティブ1.0ではWISEが取得した画像を、2ミクロン全天サーベイ(2MASS)やデジタイズド・スカイ・サーベイ(DSS)、そしてスローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)で観測された画像と比較する。バージョン2.0ではWISEが取得した画像を2MASS、DSS、SDSSに加えてハワイのパンスターズ、オーストラリアのスカイマッパー望遠鏡で観測された画像や、画像処理されたunWISEと呼ばれるWISEの画像と比較して円盤を有する候補を探す。
ディスクディテクティブで使用されている画像は非常に明るい天体が写っているものから選出されており、その画像の取得に使用されている波長は中赤外線、近赤外線、可視光線である。全天の中で原始惑星系円盤のみが赤外線で明るいわけではなく、活動銀河、銀河、小惑星、恒星間ガス星雲といった天体も多量の赤外線を放出している。コンピュータのアルゴリズムではこのような天体と原始惑星系円盤を識別することはできないため、選ばれた天体が本当に円盤に囲まれた恒星なのか適切に判断するために人間によって確認するしかない[12]。
ディスクディテクティブの科学者チームによって、M型の赤色矮星周囲に降着したガスが豊富な星周円盤が、典型的な円盤よりも2倍から10倍長い期間にわたってガスを保持しているピーターパンディスクと呼ばれる円盤が発見されたことを契機に、これらの特異な天体がどのように円盤の形成理論に適合するかの研究が始まり盛んにおこなわれている。 2022年9月29日には、NASAからプロジェクトのバージョン2.1が始まったことがアナウンスされ、若い星状天体や星形成領域の近くにある数千個もの恒星のデータを新しく分類用にアップロードし、これによって銀河面にある極端に明るいデブリ円盤を探すことができるようになった。2.1のターゲットとなった恒星のデータセットには、より多くのピーターパンディスクを発見できるよう、波長12ミクロンの中間赤外線において明るく輝いている恒星を多く含めている[13]。
分類

ディスクディテクティブのウェブサイト上には、フリップブック(パラパラマンガ)と呼ばれる、前述の複数の望遠鏡間での画像が移り変わるアニメーションを表示するインターフェースが設けられた[12].[14]。
ウェブサイトを訪れたユーザーは、目印として十字線と2種類の大きさの円が描き入れられたフリップブック画像を調べて、いくつかの簡単な基準に基づいた分類を行う。バージョン2.0での円盤候補からの除外基準として、ターゲットが2MASS画像の中心の十字線から移動するかどうか、2種以上の画像間で十字線から移動するかどうか、パンスターズ・スカイマッパー・2MASSの画像で円形に写っているかどうか、WISE画像に描かれた円の範囲を超えて写っているか、複数の画像で描かれた内側と外側の円の間まで光っているかといったものがある。理想的なターゲット天体は「よい候補」として後述の上級グループによって精査され、DDOI(debris disk of interest)と呼ばれる候補リストに加えられる。特に複数の画像で対象天体以外の天体が内側の円の中にのみ存在する画像については、特に有望として注意が払われる[14]。
選出された円盤候補は最終的にハッブル宇宙望遠鏡やその後継機であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって観測される予定となっている。このような天体は、将来的に科学論文で発表されるトピックにもなりうる。
上級ユーザーグループ
ズーニバースにアカウント登録して参加したボランティアは、300件の画像について分類すれば「上級ユーザー」「スーパーユーザー」と呼ばれ限定のユーザーグループに参加することができる。このグループに属するユーザーは、ボランティアによって有望な円盤候補と分類された候補を公開前に精査したり、過去の文献と比較したり、フォローアップ観測で得られたデータの解析に参加できる[15][16]。 この仕組みは、たとえばギャラクシー・ズーのPeas Corpsなど他の市民科学プロジェクトでも組織されているユーザーグループとよく似ている[17]。
発見成果

ディスクディテクティブプロジェクトは、ピーターパンディスクと呼ばれる円盤を持つ天体を最初に発見した。2020年1月に開催されたアメリカ天文学会の第235回会合で4個のピーターパンディスクの発見について発表された。このうち3天体ははと座アソシエーションやりゅうこつ座アソシエーションに属する可能性が高いとされ、残り1天体は運動星団に属する可能性が高いとされている。4つとも主星は若いM型星である[18][19]。
この発見の他に、プロジェクトでは白色矮星の伴星を持つデブリ円盤の最初の発見例であるHD 74389や[20]、ピーターパンディスクという分類名がつく前の同種のM型矮星の円盤の発見例であるWISE J080822.18-644357.3など[21]の成果を挙げている。 プロジェクトが2016年に最初に発表した論文では、HD 74389を含む37個の新しい円盤を持つ天体と、4個のBe星を発見し[20]、2018年に発表したプロジェクトから3番目の論文では213個もの円盤を持つ候補天体を発見した[16]。WISE J080822.18-644357.3も含めるとディスクディテクティブで発見された新しい円盤やその候補は251個に達する。また、3番目の論文ではHD 150972 (WISEA J164540.79-310226.6) がさそり–ケンタウルス座アソシエーションの一員であることや、候補のうち12天体について共動連星系であること、31個が太陽系から125パーセク以内の近傍にあるため太陽系外惑星の直接撮像が狙えることが明らかにされている[16]。
さらにこのプロジェクトでは、カメレオン座イプシロン星アソシエーションの一員である褐色矮星、WISEA J120037.79-784508.3にクラス2タイプの星周円盤を発見した。この天体は太陽系から102パーセク(333光年)という近傍に位置し、褐色矮星の質量はおよそ13-80 MJと低質量のため主星の明るさが抑えられるので円盤の研究対象として理想的である。したがって大型望遠鏡や宇宙望遠鏡でより詳細な観測ができる。この天体はとても若く年齢がおよそ370万年と推定されているため、比較的近距離にあることと合わせて褐色矮星形成の将来の研究のベンチマークにもなりうる[22]。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRI装置で行われた観測では、ディスクディテクティブによって最初に発見されたWISEA J044634.16-262756.1 B周囲の円盤が炭素を豊富に含むことが分かった。2025年に論文発表されたこの研究では、この円盤が長寿命なガスに富んだピーターパンディスクであると分かり、多くの炭化水素を含む14種の分子が検出された[23]。
偽陽性率と応用
このプロジェクトでは、分類の偽陽性率やフォローアップ画像、文献レビューに基づいて、AllWISEに含まれる高品質な円盤候補の総数と、複数のカタログデータにおける偽陽性率の下限を推定している。ディスクディテクティブで分類対象となった149,273件の画像のうち7.9±0.2%が円盤候補である可能性が高いとされ、残りの除外された画像については、全体の90.2%はウェブサイトによるボランティアの分類で除外され、1.35%が先行文献との比較で、0.52%が高解像度の追跡観測(Robo-AOやDupont/Retrocam)で除外されている。この試算の結果、AllWISEには ~21,600個の高品質な円盤候補が含まれ、そのうち 4-8%では高精度なサーベイ画像の高解像度画像で天体背景に十分明るい赤外超過を見ることができる[16]。
このプロジェクトでは、ミクルスキ宇宙望遠鏡アーカイブ(MAST)で利用可能なデータベースを公開している。このデータベースではプロジェクトの複数のボランティア間で良い候補であると分類された割合である"goodFraction"のほか、科学者チームによる注釈、機械学習による分類、相互照合されたカタログ情報、スペクトルエネルギー分布のフィッティングなども含まれている[24]。
マサチューセッツ工科大学の研究グループはディスクディテクティブの分類結果を使用して機械学習を訓練した結果、デブリ円盤のボランティアユーザーによる分類結果と97%の割合で一致させることができた。そしてその機械学習アルゴリズムを用いて367個の、フォローアップ観測する価値のある円盤候補を発見した[25][26]。
脚注
出典
- ↑ “Projects”. Citizen Science Alliance. 2011年11月19日閲覧。
- ↑ “Zooniverse”. 2026年7月8日閲覧。
- ↑ Sinai Nick and Smith Gayle. “Second Open Government National Action Plan”. The White House Blog. 2013年12月16日閲覧。
- ↑ “NASA-Sponsored 'Disk Detective' Lets Public Search for New Planetary Nurseries” (2014年1月30日). 2026年7月11日閲覧。
- ↑ “Disk Detective: Team”. 2026年7月11日閲覧。
- ↑ “Disk Detective”. NASA. 2014年9月13日閲覧。
- ↑ @diskdetective (2019年4月20日). “There are only 10 days left to finish Disk Detective 1.0 before we shut down and we need your help now!Come to http://DiskDetective.org and help us classify the rest of the partly classified sources before April 30! Please retweet!! #citizenscience”. X(旧Twitter)より2019年11月15日閲覧.
- ↑ @diskdetective (2019年4月30日). “We are at 100%. Now a new chapter begins”. X(旧Twitter)より2019年11月15日閲覧.
- ↑ “Disk Detective: Archive”. diskdetective.org. 2019年11月15日閲覧。
- ↑ Silverberg, Steven (2020年7月14日). “Welcome to Disk Detective v2.0!”. 2022年10月14日閲覧。
- ↑ “NASA Releases New WISE Mission Catalog of Entire Infrared Sky”. NASA. 2012年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月14日閲覧。
- 1 2 “【やじうまPC Watch】NASAの系外惑星探査に誰でも協力できるサイトが公開”. PC Watch. 2014年2月4日.
- ↑ “Disk Detective 2.1 is Live! Come Join the Search!”. NASA. 2020年10月26日閲覧。
- 1 2 “Disk Detective: Classify”. 2026年7月8日閲覧。
- ↑ “Our Third Paper: The Advanced Users' Story” (英語). Disk Detective (2018年12月4日). 2019年11月15日閲覧。
- 1 2 3 4 Silverberg, Steven M.; Kuchner, Marc J.; Wisniewski, John P.; Bans, Alissa S.; Debes, John H.; Kenyon, Scott J.; Baranec, Christoph; Riddle, Reed et al. (2018-11). “Follow-up Imaging of Disk Candidates from the Disk Detective Citizen Science Project: New Discoveries and False Positives in WISE Circumstellar Disk Surveys” (英語). アストロフィジカルジャーナル 868 (1): 43. arXiv:1809.09663. Bibcode:2018ApJ...868...43S. doi:10.3847/1538-4357/aae3e3. ISSN 0004-637X.
- ↑ Cardamone, Carolin; Schawinski, Kevin; Sarzi, Marc; Bamford, Steven P.; Bennert, Nicola; Urry, C. M.; Lintott, Chris; Keel, William C. et al. (2009-11-01). “Galaxy Zoo Green Peas: discovery of a class of compact extremely star-forming galaxies” (英語). 王立天文学会月報 399 (3): 1191–1205. arXiv:0907.4155. Bibcode:2009MNRAS.399.1191C. doi:10.1111/j.1365-2966.2009.15383.x. ISSN 0035-8711.
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- 1 2 Kuchner, Marc J.; Silverberg, Steven M.; Bans, Alissa S.; Bhattacharjee, Shambo; Kenyon, Scott J.; Debes, John H.; Currie, Thayne; Garcia, Luciano et al. (19 July 2016). “Disk Detective: Discovery of New Circumstellar Disk Candidates through Citizen Science”. アストロフィジカルジャーナル 830 (2): 84. arXiv:1607.05713. Bibcode:2016ApJ...830...84K. doi:10.3847/0004-637X/830/2/84.
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- ↑ Schutte, Maria C.; Lawson, Kellen D.; Wizniewski, John P.; Kuchner, Marc J.; Silverberg, Steven M.; Faherty, Jacqueline K.; Gagliuffi, Daniella C. Bardalez; Kimon, Rocio et al. (2020-08-03). “Discovery of a Nearby Young Brown Dwarf Disk”. アストロノミカルジャーナル 160 (4): 10. arXiv:2007.15735v2. Bibcode:2020AJ....160..156S. doi:10.3847/1538-3881/abaccd.
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- ↑ silverbergastro (2019年9月9日). “The Disk Detective Database” (英語). Disk Detective. 2019年11月15日閲覧。
- ↑ “Computer searches telescope data for evidence of distant planets”. MIT News (2018年3月30日). 2019年11月15日閲覧。
- ↑ Nguyen, T.; Pankratius, V.; Eckman, L.; Seager, S. (2018-04). “Computer-aided discovery of debris disk candidates: A case study using the Wide-Field Infrared Survey Explorer (WISE) catalog” (英語). Astronomy and Computing 23: 72–82. Bibcode:2018A&C....23...72N. doi:10.1016/j.ascom.2018.02.004. ISSN 2213-1337.