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3-オキソプロパン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
3-オキソプロパン酸
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 1741700
ChEBI
ChemSpider
Gmelin参照 164397
KEGG
UNII
性質
C3H4O3
モル質量 88.062 g·mol−1
密度 1.258 g/cm3
沸点 237.3 °C (459.1 °F; 510.4 K)
危険性
GHS表示:[1]
急性毒性(低毒性)
Warning
引火点 111.6 °C[2]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

3-オキソプロパン酸若しくはホルミル酢酸はジカルボン酸であるマロン酸の片方のカルボキシ基をホルミル基に置換した化合物(セミアルデヒド)であり,最も単純なβ-ケトカルボン酸である。別名マロン酸セミアルデヒド。

自然界での生成

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自然界では、3-オキソプロパン酸は代謝中間体として生成する。これは、例えば、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAとニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の可逆的酸化によって形成される[3]。他にもアミノ基転移酵素によるβ-アラニンの異化やマロニルCoAレダクターゼによるマロン酸(マロニルCoA)の還元によっても生成される。

シュードモナス・フルオレッセンス種の細菌株は、唯一の炭素源とエネルギー源としてプロピオール酸で生存することが知られており,水和によって本物質を経由したのち,アセチルCoAを産出する[4]。また、ウラシルを唯一の窒素源として増殖する大腸菌株の代謝中間体としても発生する[5]。

3-オキソプロパン酸は、他のさまざまな有機酸(特にシュウ酸)とともに大気中のエアロゾル中にも存在する。この化合物は、北極圏、インド、東京[6]のエアロゾル分析でも発見されている。

合成

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ギ酸エチルと酢酸エチルをナトリウムエトキシドなどの塩基で反応させるとエチルエステルが得られ、これを加水分解して得る(クライゼン縮合)[7]。

また,リンゴ酸を濃硫酸中100 ℃で反応させると得られる[8]。

反応

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本物質は不安定であり,容易に二酸化炭素を放出してアセトアルデヒドを生ずる[7]。

上記の通り脱炭酸が起こりやすいため,以下の反応は主にエステルを経由するか、リンゴ酸と一緒に硫酸で煮沸して系中で本化合物を発生させる必要がある。

尿素との反応ではウラシルを生ずる[8]。

フェノールとの反応ではクマリンを生ずる(ペヒマン縮合)[9]。

グアニジン塩酸塩との反応では人工核酸のハチモジDNAの塩基の1つであるイソシトシンを生ずる[10]。

リンゴ酸からイソシトシンの合成

活性メチレン化合物であり,2位の炭素と結合した水素は脱プロトン化を起こしやすい。そのため、3-オキソプロパン酸のエステルはクネーフェナーゲル縮合やハロアルカンによる2位のアルキル化反応が可能である[7]。

出典

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  1. ↑ “安全データシート”. BLD Pharm. 2025年6月17日閲覧。
  2. ↑ “3-oxopropanoic acid” (英語). chemsrc.com. 2025年6月17日閲覧。
  3. ↑ Den, Halina; Robinson, William G.; Coon, Minor J. (July 1959). “Enzymatic Conversion of β-Hydroxypropionate to Malonic Semialdehyde”. Journal of Biological Chemistry 234 (7): 1666–1671. doi:10.1016/S0021-9258(18)69904-1. PMID 13672942 2025年6月17日閲覧。.
  4. ↑ Yamada, Esther W.; Jakoby, William B. (March 1960). “Aldehyde Oxidation”. Journal of Biological Chemistry 235 (3): 589–594. doi:10.1016/S0021-9258(19)67910-X 2025年6月17日閲覧。.
  5. ↑ Kim, Kwang-Seo; Pelton, Jeffrey G.; Inwood, William B.; Andersen, Ulla; Kustu, Sydney; Wemmer, David E. (15 August 2010). “The Rut Pathway for Pyrimidine Degradation: Novel Chemistry and Toxicity Problems”. Journal of Bacteriology 192 (16): 4089–4102. doi:10.1128/JB.00201-10. PMC 2916427. PMID 20400551.
  6. ↑ Kawamura, Kimitaka; Yasui, Osamu (1 March 2005). “Diurnal changes in the distribution of dicarboxylic acids, ketocarboxylic acids and dicarbonyls in the urban Tokyo atmosphere”. Atmospheric Environment 39 (10): 1945–1960. Bibcode:2005AtmEn..39.1945K. doi:10.1016/j.atmosenv.2004.12.014. ISSN 1352-2310 2025年6月17日閲覧。.
  7. 1 2 3 K.P.C.Vollhardt、N.E.Schore 著、大嶌幸一郎 訳「23章-エステルエノラートとクライゼン縮合」『Organic Chemistry Structure and Function』(8版)化学同人、2020年。ISBN 978-4-7598-2030-0。
  8. 1 2 Davidson, David; Baudisch, Oskar (1 September 1926). “The Preparation of Uracil from Urea”. Journal of the American Chemical Society 48 (9): 2379–2383. Bibcode:1926JAChS..48.2379D. doi:10.1021/ja01420a020. ISSN 0002-7863 2025年6月17日閲覧。.
  9. ↑ J. A. Joule, K. Mills (2000). Heterocyclic Chemistry (4th edition ed.). Oxford, UK: Blackwell Science
  10. ↑ William T. Caldwell , Harry B. Kime (1940). “A New Synthesis of Isocytosine”. J. Am. Chem. Soc. 62 (9): 2365–2365. doi:10.1021/ja01866a028.
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