American Psychologist

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American Psychologist 
略称 (ISO) Am. Psychol.
学術分野 心理学
言語 英語
編集者 ハリス・クーパー(Harris Cooper)
詳細
出版社 アメリカ心理学会
出版国 アメリカ合衆国
出版歴 1946年 - 現在
出版間隔 年9回
分類
ISSN 0003-066X (印刷物用)
1935-990X (ウェブ用)
LCCN 49005284
CODEN AMPSAB
OCLC 1435230
外部リンク
プロジェクト:出版/Portal:書物
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『American Psychologist』(アメリカン・サイコロジスト)は、アメリカ心理学会(APA)が刊行する心理学の査読付き学術雑誌である[1]。本誌は心理学者に広く関心を持たれる論文を掲載しており、その中には科学、実践、教育、政策にわたる実証研究の報告や学術的な総説が含まれる。また、心理学の分野で関連する主題について特集号を組むこともある[2][3]。編集長はハリス・クーパー(英語版)(デューク大学名誉教授)である[4][5]。

概要

出版社の誌情報によれば、本誌は1946年に創刊されたアメリカ心理学会の旗艦誌であり、幅広い関心を集める時宜にかなった論文を掲載する。掲載論文には実証研究の報告、メタアナリシス、その他の総説があり、主題は心理科学、実践、教育、政策に及ぶ。心理学という専門職とその社会との関係の両面で、国内外に重要な問題を扱うことが多く、論文はすべての心理学者と一般の人々が読めるような文体で書かれるとしている[1]。2026年9月時点で、刊行は年9回で、1月に始まる[5]。

投稿規定によれば、本誌が扱う論文の種類には、心理学に広く関わる影響力の大きい実証研究(大規模な多施設介入試験やメタアナリシスなど)、本誌に過去に掲載された実証研究の追試(題名で追試であることを明示する)、心理学者に広く関心のある主題についての歴史研究、見解の分かれる主題を扱う「Topics in Focus」(論文とともに招待されたコメントと著者の応答を掲載する)、掲載論文へのコメント(Commentaries)がある。アメリカ心理学会の代議員会(Council of Representatives)が同会の方針として採択した実践ガイドラインも、本誌に掲載される[3]。特定の主題に3、4本の論文をあてる特集欄や、より多くの論文を収める特集号も組まれ、特集号では原則として公募が行われる[3]。

歴史

本誌の第1巻第1号は1946年1月に刊行された[6]。創刊号には、デール・ウルフル(Dael Wolfle)の論考「The reorganized American Psychological Association」(再編されたアメリカ心理学会)が掲載されている[7]。図書館の書誌には、本誌の標記として「The professional journal of the American Psychological Association」が記録されている[8]。本誌には、同会の第54回から第75回までの年次大会(1946年 - 1967年)の議事抄録や、各地域の心理学会の会合の議事録も収められた[8]。

1996年1月号は創刊50周年記念号として刊行され、レイモンド・D・ファウラー(英語版)が巻頭の論説を執筆した[9]。2000年1月号は、マーティン・E・P・セリグマンとミハイ・チクセントミハイによる序論「Positive Psychology: An Introduction」を巻頭に置き、15本の論文でポジティブ心理学を扱う「千年紀の号」(millennial issue)となった[10]。

創刊60周年にあたる2006年、ノーマン・B・アンダーソン(英語版)は本誌の編集方針を示した論説で、本誌は1946年1月の創刊号以来アメリカ心理学会の旗艦誌として独自の役割を果たしてきたとし、掲載論文の質によって心理学で最も影響力があり広く引用される刊行物の一つになったと述べた[11]。

2015年9月、アメリカ心理学会の理事会はアン・E・カザック(英語版)を編集長に任命した。同会の発表によれば、カザックは同会の最高経営責任者(CEO)を兼ねない初めての編集長であり、同会の職員ではない初めての編集長であった。カザックは就任にあたり、本誌の強みを生かしつつ、広く重要な主要な実証論文にも重点を置くよう誌面の範囲を広げると述べた[12]。2016年1月号の就任論説でカザックは、この号が本誌の編集体制と指導体制の歴史的な変化を示すものであり、本誌の使命と掲載する論文の種類もそれに合わせて見直されると述べている[2]。

2017年11月号は、アメリカ心理学会の創立125周年を記念する特集号として、同会の歴史と心理学における役割を扱った[13]。

編集体制

デューク大学の発表によれば、1946年の創刊以来、本誌の編集長はアメリカ心理学会のCEOが務めるのが慣例であった[14]。2006年の論説でアンダーソンは、新しい編集方針がチャールズ・キースラー(英語版)(1976年)、マイケル・パラック(1981年)、レナード・グッドスタイン(1987年)、ファウラー(1993年)ら歴代の編集者の方針を土台にしていると述べている[11]。

近年の編集長は次のとおりである。

  • アン・E・カザック:2016年 - 2021年[15]
  • ハリス・クーパー:2022年1月1日 - (2021年1月1日から次期編集長として新規投稿を担当)[14]

クーパーは、CEOではない2人目の編集長である[14]。クーパーはPsychological Bulletinの編集長などを務め、アメリカ心理学会の論文報告基準(Journal Article Reporting Standards, JARS)を作成した最初のタスクフォースの委員長でもあった[4]。2026年2月時点の編集委員会には、編集長の下に副編集長(associate editors)と、表紙の美術作品を担当するアート・エディター(art editors)が置かれており、前編集長のカザックもアート・エディターの一人である[4]。

編集方針と運営

カザックは任期を終える2021年の退任論説で、在任中の編集上の変化、投稿数や編集にかかる期間、インパクトファクターなどの指標、心理学と出版とアメリカ心理学会とより広い社会の変化が編集にどう反映されたかを記録した[15]。在任中の2018年1月号には、量的研究と質的研究のそれぞれについて改訂された論文報告基準(JARS)を示す2本の報告が掲載された[16][17][18]。

クーパーは2022年の就任論説で、本誌の論文に求める三つの原則として、学術的に厳密であること、基礎と応用の両方の観点に目を配ること、研究の実施方法を開かれた透明な形で報告することを挙げ、あわせて自由で開かれた探究の重要性を強調した[19]。クーパーは、方法の記述をより透明にし、データ共有をより開かれたものにし、居住地や経済状況にかかわらず研究が読めるようにすることを目標として掲げている[4]。

投稿規定によれば、アメリカ心理学会はセンター・フォー・オープン・サイエンス(英語版)が策定した透明性と開放性の促進(Transparency and Openness Promotion, TOP)ガイドラインを支持しており、本誌に投稿される実証研究(メタアナリシスを含む)は、TOPガイドラインの8項目のうち7項目で「要求」の水準を、データの透明性については「開示」の水準を満たさなければならない。著者は方法の節に「Transparency and Openness」という小節を設け、データ、分析コード、研究資料の公開の有無と場所を記す[3]。研究の事前登録は推奨されており、論文には事前登録の有無と、ある場合はその参照先を記載しなければならない[3]。また、公開データ、公開資料、事前登録に対するオープンサイエンス・バッジを自己申告に基づいて授与している[3][1]。このほか、再現性に関わる取り組みとして追試研究の投稿を受け付けており[3][1]、実証研究の考察には結果の一般化の限界を論じる「Constraints on generality」の小節を設けることが求められる[3]。著者の貢献はCRediT(Contributor Roles Taxonomy)に従って記載され、論文には一般向けの「公共的意義の声明」(public significance statement)を付ける[3]。

査読は編集長と副編集長が担当する。投稿論文はまず編集長または担当編集者が読み、誌の範囲との適合、重要性、投稿規定の遵守、文章の質をもとに査読に回すかどうかを判断する。査読は著者と査読者の双方を匿名とする方式で行われる[3]。2026年7月時点の出版社の誌情報ページでは、不採択率を52.1%、最初の判定までの平均日数を48日、オンライン先行公開までの平均日数を62日と表示している[1]。

出版社の誌サイトの「Most cited」欄

2026年9月時点で、アメリカ心理学会の誌サイトの「Most cited」欄は、過去5年間に掲載された論文として次の5本を挙げている(同欄の掲載順)[5]。

  • ケヴィン・M・ニフィンほか「COVID-19 and the workplace: Implications, issues, and insights for future research and action」第76巻第1号(2021年)[20]
  • アンバー・ゲイル・サルメイヤー、チェチーリア・トスカネッリ、ジェフリー・ジェンセン・アーネット「The neglected 95% revisited: Is American psychology becoming less American?」第76巻第1号(2021年)[21]
  • ジューン・グルーバーほか「Mental health and clinical psychological science in the time of COVID-19: Challenges, opportunities, and a call to action」第76巻第3号(2021年)[22]
  • ハンネス・ツァッハー、コート・W・ルドルフ「Individual differences and changes in subjective wellbeing during the early stages of the COVID-19 pandemic」第76巻第1号(2021年)[23]
  • ニコール・T・ブキャナン、マリソル・ペレス、ミッチェル・J・プリンスタイン、イディア・B・サーストン「Upending racism in psychological science: Strategies to change how science is conducted, reported, reviewed, and disseminated」第76巻第7号(2021年)[24]

抄録・索引

出版社の誌情報ページが挙げる抄録・索引サービスのうち、主なものは次のとおりである[1]。

アメリカ国立医学図書館の目録では、MEDLINEとPubMedの収録範囲を第20巻第10号(1965年10月)以降としており、Index MedicusとOLDMEDLINEにも本誌が収録されていると記載している[6]。

評価

2026年9月時点の出版社のページでは、本誌のインパクトファクターを6.6、5年インパクトファクターを12.0と表示し、心理学(総合)分野の222誌中11位としている[5]。

関連項目

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 “American Psychologist: Journal information” (英語). American Psychological Association. 2026年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  2. 1 2 Kazak, Anne E. (2016). “Opening editorial 2016: Changes in scope and structure” (英語). American Psychologist 71 (1): 1–2. doi:10.1037/a0039995. PMID 26766761.
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “American Psychologist: Submission guidelines” (英語). American Psychological Association. 2024年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  4. 1 2 3 4 “The American Psychologist editorial board” (英語). American Psychological Association. 2026年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  5. 1 2 3 4 “American Psychologist” (英語). American Psychological Association. 2026年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  6. 1 2 3 “The American psychologist” (英語). NLM Catalog. アメリカ国立医学図書館. 2026年10月12日閲覧。
  7. ↑ Wolfle, Dael (1946). “The reorganized American Psychological Association” (英語). American Psychologist 1 (1): 3–6. doi:10.1037/h0061125.
  8. 1 2 “The American psychologist.” (英語). Wellcome Collection. 2026年10月12日閲覧。
  9. ↑ Fowler, Raymond D. (1996). “1996 editorial: 50th Anniversary Issue of the American Psychologist” (英語). American Psychologist 51 (1): 5–7. doi:10.1037/0003-066X.51.1.5.
  10. ↑ Seligman, Martin E. P.; Csikszentmihalyi, Mihaly (2000). “Positive psychology: An introduction” (英語). American Psychologist 55 (1): 5–14. doi:10.1037/0003-066X.55.1.5.
  11. 1 2 Anderson, Norman B. (2006). “Editorial policies of the American Psychologist” (英語). American Psychologist 61 (1): 1–9. doi:10.1037/0003-066X.61.1.1. PMID 16435972.
  12. ↑ “Anne E. Kazak, PhD, ABPP, Named Editor-In-Chief of American Psychologist” (英語). American Psychological Association (2015年9月8日). 2022年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  13. ↑ VandenBos, Gary R.; Hogan, John D.; Kazak, Anne E. (2017). “125th anniversary of the American Psychological Association—Accomplishments and challenges: Introduction to the special issue” (英語). American Psychologist 72 (8): 719–721. doi:10.1037/amp0000235. PMID 29172575.
  14. 1 2 3 “APA names Harris Cooper next editor-in-chief of American Psychologist” (英語). Department of Psychology & Neuroscience, Duke University (2020年11月30日). 2026年10月12日閲覧。
  15. 1 2 Kazak, Anne E. (2021). “Editor's vale dictum: American Psychologist 2016–2021” (英語). American Psychologist 76 (9): 1355–1362. doi:10.1037/amp0000946. PMID 35266728.
  16. ↑ Kazak, Anne E. (2018). “Editorial: Journal article reporting standards” (英語). American Psychologist 73 (1): 1–2. doi:10.1037/amp0000263. PMID 29345483.
  17. ↑ Appelbaum, Mark; Cooper, Harris; Kline, Rex B.; Mayo-Wilson, Evan; Nezu, Arthur M.; Rao, Stephen M. (2018). “Journal article reporting standards for quantitative research in psychology: The APA Publications and Communications Board task force report” (英語). American Psychologist 73 (1): 3–25. doi:10.1037/amp0000191.
  18. ↑ Levitt, Heidi M.; Bamberg, Michael; Creswell, John W.; Frost, David M.; Josselson, Ruthellen; Suárez-Orozco, Carola (2018). “Journal article reporting standards for qualitative primary, qualitative meta-analytic, and mixed methods research in psychology: The APA Publications and Communications Board task force report” (英語). American Psychologist 73 (1): 26–46. doi:10.1037/amp0000151.
  19. ↑ Cooper, Harris (2022). “Opening editorial 2022” (英語). American Psychologist 77 (1): 1–4. doi:10.1037/amp0000957. PMID 35357850.
  20. ↑ Kniffin, Kevin M.; Narayanan, Jayanth; Anseel, Frederik et al. (2021). “COVID-19 and the workplace: Implications, issues, and insights for future research and action” (英語). American Psychologist 76 (1): 63–77. doi:10.1037/amp0000716.
  21. ↑ Thalmayer, Amber Gayle; Toscanelli, Cecilia; Arnett, Jeffrey Jensen (2021). “The neglected 95% revisited: Is American psychology becoming less American?” (英語). American Psychologist 76 (1): 116–129. doi:10.1037/amp0000622.
  22. ↑ Gruber, June; Prinstein, Mitchell J.; Clark, Lee Anna et al. (2021). “Mental health and clinical psychological science in the time of COVID-19: Challenges, opportunities, and a call to action” (英語). American Psychologist 76 (3): 409–426. doi:10.1037/amp0000707.
  23. ↑ Zacher, Hannes; Rudolph, Cort W. (2021). “Individual differences and changes in subjective wellbeing during the early stages of the COVID-19 pandemic” (英語). American Psychologist 76 (1): 50–62. doi:10.1037/amp0000702.
  24. ↑ Buchanan, NiCole T.; Perez, Marisol; Prinstein, Mitchell J.; Thurston, Idia B. (2021). “Upending racism in psychological science: Strategies to change how science is conducted, reported, reviewed, and disseminated” (英語). American Psychologist 76 (7): 1097–1112. doi:10.1037/amp0000905.

外部リンク