Psychological Bulletin

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Psychological Bulletin 
略称 (ISO) Psychol. Bull.
学術分野 心理学
言語 英語
編集者 ステファン・G・ホフマン(Stefan G. Hofmann)
詳細
出版社 アメリカ心理学会
出版国 アメリカ合衆国
出版歴 1904年 - 現在
出版間隔 月刊
分類
ISSN 0033-2909 (印刷物用)
1939-1455 (ウェブ用)
LCCN 05019164
CODEN PSBUAI
OCLC 1681351
外部リンク
プロジェクト:出版/Portal:書物
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『Psychological Bulletin』(サイコロジカル・ブレティン)は、アメリカ心理学会(APA)が刊行する月刊の心理学の査読付き学術雑誌である[1]。心理学の研究を統合するレビュー(英語版)を掲載し、質的(叙述的)なものと量的(メタ分析的)なものの両方を扱う[1][2]。2026年10月時点で、退任する編集長はブレア・T・ジョンソン(Blair T. Johnson)、後任の編集長はステファン・G・ホフマン(英語版)(Stefan G. Hofmann)である[1]。

概要

出版社であるAPAの説明によれば、本誌は科学的心理学における研究の統合(research synthesis)を掲載する。研究の統合とは、関連する、あるいは同一の仮説を扱った多数の個別研究から全体的な結論を導き、過去の研究を要約するものである。研究の統合では通常、著者が、対象とする関係についての知見の現状、過去の研究の長所と短所、研究で未解決のまま残された重要な問題を評価し、それによって今後の研究の方向を示す[1][2]。統合の形式は、システマティック・レビュー、メタアナリシス、メタレビュー、メタ統合など様々であり、異なる研究領域を結びつける統合は特に価値があるとされる。どの形式であっても方法の透明性が優先され、厳密で網羅的な質的レビューが掲載の対象となる場合もある。心理科学と社会の接点にある主題や、応用的な心理療法・プログラム・介入の評価も歓迎され、解説的な論文も掲載されることがある[2]。

独自の理論的論文は、研究の要約を含んでいても姉妹誌の『Psychological Review(英語版)』に投稿するよう求められている。一方、研究の統合は、統合的な理論の提示を含む場合でも本誌に投稿するものとされる。かつて本誌に投稿されていた方法論の論文は、現在は『Psychological Methods(英語版)』の対象である[3][2]。2010年1月時点の誌サイトも、本誌を科学的心理学の問題についての評価的・統合的な研究レビューと解釈を掲載する雑誌と説明していた[3]。

編集長のドロレス・アルバラシン(英語版)(Dolores Albarracín)は、2015年の第141巻第1号の巻頭論説で、本誌の主な目標を、心理学の分野における科学的証拠を、まとまりがあり、信頼に足り、理論に基づいた完全なかたちで統合することと述べた。また、本誌は記述的・相関的・実験的のいずれであっても一次研究を掲載する場ではなく、投稿された一次研究の論文は、誌の対象に合わないとして査読に回されずに不採択となっているとした[4]。同じ論説でアルバラシンは、ロバート・スタンバーグ(英語版)が1991年の論説で本誌の役割を心理学者の「継続教育」になぞらえ、心理学全体の動向に通じておくための最良の手段と説明したことを引いている[4]。

歴史

創刊

本誌は1904年に、ジョンズ・ホプキンズ大学の心理学者ジェームズ・マーク・ボールドウィン(英語版)らによって創刊された[5]。その直前にボールドウィンは、10年前にジェームズ・マッキーン・キャッテルと共同で創刊した『Psychological Review』について、キャッテルの持ち分を買い取っていた。1943年に『Psychological Review』の50巻を記念して書かれたハーバート・S・ラングフェルド(英語版)の論文によれば、1903年にボールドウィンがジョンズ・ホプキンズ大学に移った際、キャッテルの提案で2人の間で持ち分の非公開の競売が行われ、ボールドウィンが『Psychological Review』を手に入れた。翌1904年にはハワード・C・ウォーレンが同誌の共同編集者となり、同じ年に、ウォーレンとボールドウィンを編集者として本誌が創刊された[6]。

それまで『Psychological Review』に掲載されていた文献の論評(Discussions and Literature)と学会の議事録(Proceedings)は、1904年に本誌へ移された[6]。アメリカ国立医学図書館の目録によれば、本誌の第1巻は1904年1月に刊行され、1904年から1938年までの号は、Psychological Review系の刊行物の文献欄を担っていた[7]。

所有者の変遷

本誌の所有権はウォーレンに移り、ウォーレンは最終的に本誌をアメリカ心理学会に譲渡した。APAは現在も本誌を所有している。ラングフェルドによれば、パリに移ったボールドウィンは1910年に、Psychological Review Publication Companyの資産の持ち分を手放すことを決め、ウォーレンがそれを買い取って同社の雑誌の単独の所有者となった。ウォーレンは1925年に同社を当初の取得価格でAPAに譲ることを申し出た。APAはこれを受け入れ、代金の3分の2が支払われた時点でウォーレンは残額を免除した[6]。アメリカ国立医学図書館の目録では、本誌は1926年からAPAによって発行されているとされる[7]。

刊行頻度

アメリカ国立医学図書館の目録によれば、本誌は1904年から1945年までは月刊、1946年から1963年までは隔月刊で、1964年から1970年代のある時期までは再び月刊であった。同目録は、その後の刊行頻度を隔月刊と記録している[7]。2010年1月時点の出版社の誌サイトでも、本誌は1月から始まる隔月刊とされていた[3]。2026年10月時点では月刊である[1]。

方法論の論文と『Psychological Methods』

『Psychological Methods』の最初の20年の歴史をまとめたリサ・L・ハーロウ(Lisa L. Harlow)によれば、統計学と研究方法論の論文は、1978年までのおよそ35年間、本誌の使命の一部として掲載されていた。APAの出版・通信委員会(Publications and Communications Board)は1978年に統計・方法論の専門誌を新たに創刊する可能性について議論を始め、1979年には検討委員会を設けたが、合意が得られなかったため、本誌の中に「Quantitative Methods」の部門を設けることになった。方法論の論文の発表の場を確保しつつ、本誌の幅広い読者に届けるためである。その後約15年を経て新誌の具体的な計画が始まり、『Psychological Methods』の第1号は1996年3月に刊行された[8]。

誌面の主題と方法

アルバラシンの2015年の論説は、本誌の創刊以来の各年から3本ずつ無作為に抽出した332本の論文に、78の主題領域が含まれていたとしている。挙げられた例には、薬物とアルコールの使用、保健・精神保健の治療と予防、心血管疾患、言語学・言語・発話、人事上の態度と職務満足、認知過程、注意、リハビリテーションがある。同じ標本では、メタアナリシスを用いた論文の割合が編集期を追うごとに増えていた[4]。

編集体制

アルバラシンは2015年の論説で、本誌が100年余りにわたって19人の編集者のもとで刊行されてきたと記している。また、自身が本誌に論文を発表した編集期として、ナンシー・アイゼンバーグ(英語版)、ハリス・クーパー(英語版)、スティーヴン・P・ヒンショー(英語版)の各編集期を挙げている[4]。2010年1月時点の誌サイトでは、編集長はヒンショーであった[3]。

アルバラシンの後任の編集長の任期は2021年から2026年までとされ、候補者には、2021年に刊行される号に向けて2020年1月から原稿の受け付けを始めることが求められた[9]。2021年の第147巻第1号には、編集長に選ばれたブレア・T・ジョンソンの論説が掲載された[10]。2026年10月時点の誌サイトでは、ホフマンを編集長(Editor)、ジョンソンを退任する編集長(Outgoing Editor)としている[1]。

編集方針と運営

報告基準とデータの共有

アルバラシンは2015年の論説で、レビューの方法と効果量の算出を、読者が再現できる程度に詳しく報告するよう求め、APAのメタアナリシス報告基準(MARS)とPRISMAのチェックリストを示した。また、論文に関わるデータとプログラムの保存を本誌として支援し、過去のメタアナリシスの更新やメタアナリシスのメタアナリシスなどに長く使えるようにするとした[4]。同じ論説でアルバラシンは、本誌を心理学的現象の大きさと再現性をめぐる科学的議論の場とも位置づけ、個々の研究者を非難したり特定の形式の追試を理想化したりするよりも、よく行われた研究の統合が科学の累積に役立つと述べた[4]。

本誌は2017年6月30日を締め切りとして、「再現と再現可能性:研究の統合によって問われ、答えられる問い」(Replication and Reproducibility: Questions Asked and Answered via Research Synthesis)をテーマとする論文を募集した。この募集は、複数研究からなる一次研究の論文、Open Science Framework(OSF)やMany Labsによる体系的な追試の取り組み、メタアナリシスが、心理学の知見の確立にどこまで寄与できるかを考えるよう促すものであった。メタアナリシスやシステマティック・レビューの視点から明確な問いに取り組む論文を求め、特定の手法の検証や批判といった純粋な方法論の論文や、再現性についての論評は対象外とした[11]。2018年には、アルバラシンら7人の共著による論説が、当時の編集期の最初の4年間を振り返り、その後2年間の編集方針を示した[12]。

ジョンソンは2021年の就任論説で、投稿論文の厳密さと透明性を可能なかぎり高めることを目標に掲げた。ジョンソンは、研究の統合は科学を用いて科学の動向を理解するメタサイエンスの一形態であり、より強力な方法を用いることで誤差や偶然の影響を減らし、結論をより信頼できるものにできるとして、現代的な統合の方法の活用を促した[10]。

透明性と事前登録

2025年時点の投稿規定では、メタ分析の手法を用いる著者はMARSを参照しなければならず、すべてのシステマティック・レビューはPRISMAの基準に従うことが求められている[2]。APAはセンター・フォー・オープン・サイエンス(英語版)と共同で作成された「透明性と開放性の促進」(Transparency and Openness Promotion、TOP)ガイドラインを支持しており、2022年2月1日以降、本誌に投稿されるメタアナリシスを含む実証研究には、誌の方針に沿った透明な報告が求められている。著者は方法の節に「Transparency and openness」という小節を設け、TOPガイドラインへの対応を記述する。本誌は、引用、データ、分析コード、研究資料の透明性、報告基準、研究計画と分析計画の事前登録(英語版)の各項目について、TOPのレベル2を要件としている。データ、分析コード、研究資料については、利用可能かどうかと入手先、あるいは利用できない法的・倫理的理由を論文中に明記しなければならない。事前登録については、その有無と入手先を明記する[2]。

本誌は研究や分析計画の事前登録を推奨し、事前登録したかどうかを論文に記載することを求めている。また、研究の統合を対象とするレジスタード・レポート(英語版)を受け付けている。レジスタード・レポートでは、序論、理論的枠組み、仮説、方法(分析計画を含む)からなる第1段階の原稿が査読を受け、原則採択(in-principle acceptance)を得れば、提案どおりに実施される限り結果にかかわらず掲載の可能性がある。本誌の論文は大規模なデータベースを用いることが多いため、第1段階の原稿で研究のコーディングをほぼ終えていてもよいが、分析を行っていてはならない。第2段階では、結果と考察を含む完成稿が再び査読される[2]。

査読と論評

本誌は、著者の身元を査読者に伏せる査読方式をとっている[3][2]。論評(commentary)は、査読の過程で生じた論点を踏まえて担当編集者が依頼するのが通例で、長さは対象論文の半分を超えない。対象論文の著者には応答の機会が与えられ、その応答で本誌上の議論は終わる[2]。

近年の高被引用論文

2026年10月時点の出版社の誌サイトは、過去5年間に刊行された論文のうち被引用の多いもの(Most cited)として、次の5本を表示している[1]。

  • Schurz, Matthias; Radua, Joaquim; Tholen, Matthias G.; Maliske, Lara; Margulies, Daniel S.; Mars, Rogier B.; Sallet, Jerome; Kanske, Philipp (2021). “Toward a hierarchical model of social cognition: A neuroimaging meta-analysis and integrative review of empathy and theory of mind” (英語). Psychological Bulletin 147 (3): 293–327. doi:10.1037/bul0000303.  - 共感と心の理論に関する脳機能イメージング研究のメタアナリシス。
  • Bleidorn, Wiebke; Schwaba, Ted; Zheng, Anqing; Hopwood, Christopher J.; Sosa, Susana S.; Roberts, Brent W.; Briley, D. A. (2022). “Personality stability and change: A meta-analysis of longitudinal studies” (英語). Psychological Bulletin 148 (7–8): 588–619. doi:10.1037/bul0000365. PMID 35834197.  - パーソナリティの安定性と変化に関する縦断研究のメタアナリシス。
  • Barroso, Connie; Ganley, Colleen M.; McGraw, Amanda L.; Geer, Elyssa A.; Hart, Sara A.; Daucourt, Mia C. (2021). “A meta-analysis of the relation between math anxiety and math achievement” (英語). Psychological Bulletin 147 (2): 134–168. doi:10.1037/bul0000307.  - 数学不安と数学の学力の関係についてのメタアナリシス。
  • Spiegel, Jamie A.; Goodrich, J. Marc; Morris, Brittany M.; Osborne, Colleen M.; Lonigan, Christopher J. (2021). “Relations between executive functions and academic outcomes in elementary school children: A meta-analysis” (英語). Psychological Bulletin 147 (4): 329–351. doi:10.1037/bul0000322.  - 小学生の実行機能と学業成績の関係についてのメタアナリシス。
  • Agostini, Maximilian; van Zomeren, Martijn (2021). “Toward a comprehensive and potentially cross-cultural model of why people engage in collective action: A quantitative research synthesis of four motivations and structural constraints” (英語). Psychological Bulletin 147 (7): 667–700. doi:10.1037/bul0000256.  - 人々が集合行動に参加する動機と構造的制約についての量的な研究の統合。

抄録・索引

2025年11月時点の出版社の投稿規定は、本誌の抄録・索引サービスとして、MEDLINE、PsycINFO(英語版)、Science Citation Index Expanded、Social Sciences Citation Index(英語版)、Scopus、Current Contents(Life Sciences、Social & Behavioral Sciences)、Journal Citation Reports(Social Sciences Edition)などを挙げている[2]。アメリカ国立医学図書館の目録によれば、MEDLINEには1965年10月の第64巻第4号から収録されており、PubMedでも検索できる[7]。

評価

2026年10月時点の出版社の誌サイトでは、本誌のインパクトファクターを19.9、5年インパクトファクターを31.8と表示し、「Psychology」分野で93誌中2位、「Psychology - Multidisciplinary」分野で222誌中3位としている[1]。

関連項目

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 “Psychological Bulletin” (英語). American Psychological Association. 2026年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “Psychological Bulletin: Submission guidelines” (英語). American Psychological Association. 2025年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 “Psychological Bulletin” (英語). American Psychological Association. 2010年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 Albarracín, Dolores (2015). “Editorial” (英語) (PDF). Psychological Bulletin 141 (1): 1–5. doi:10.1037/bul0000007. PMID 25581286 2026年10月12日閲覧。.
  5. ↑ Benjamin, Ludy T. A Brief History of Modern Psychology. Malden, MA: Blackwell Pub., 2007, pp. 70–1, ISBN 978-1-4051-3205-3.
  6. 1 2 3 Langfeld, Herbert S. (1943). “Fifty volumes of the Psychological Review” (英語). Psychological Review 50 (1): 141–155. doi:10.1037/h0058176.
  7. 1 2 3 4 “Psychological bulletin” (英語). NLM Catalog. National Library of Medicine. 2026年10月12日閲覧。
  8. ↑ Harlow, Lisa L. (2017). “The making of Psychological Methods” (英語). Psychological Methods 22 (1): 1–5. doi:10.1037/met0000141. PMC 5380468. PMID 28252997 2026年10月12日閲覧。.
  9. ↑ “Call for Editor Nominations – Psychological Bulletin” (英語). APA Division 15: Educational Psychology (2018年12月3日). 2026年10月12日閲覧。
  10. 1 2 Johnson, Blair T. (2021). “Toward a more transparent, rigorous, and generative psychology” (英語). Psychological Bulletin 147 (1): 1–15. doi:10.1037/bul0000317. PMID 33464105.
  11. ↑ “Call for Papers: Replication and Reproducibility” (英語). Psychological Bulletin. American Psychological Association. 2015年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年10月12日閲覧。
  12. ↑ Albarracín, Dolores; Cuijpers, Pim; Eastwick, Paul W.; Johnson, Blair T.; Roisman, Glenn I.; Sinatra, Gale M.; Verhaeghen, Paul (2018). “Editorial” (英語). Psychological Bulletin 144 (3): 223–226. doi:10.1037/bul0000147. PMID 29553772.

外部リンク