RAMXEED
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 |
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜三丁目9番1 新横浜TECHビル |
| 設立 | 2020年3月31日 |
| 事業内容 | メモリLSI製品およびソリューションの設計・開発・販売 |
| 代表者 | 代表取締役社長 上田英久 |
| 資本金 | 1億円 |
| 外部リンク | https://www.ramxeed.com/jp/ |
| 特記事項:2025年1月に「富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社」から現社名へ変更。 | |
RAMXEED株式会社(ラムシード、英: RAMXEED Limited)は、強誘電体メモリ(FeRAM)および抵抗変化型メモリ(ReRAM)を中核とした不揮発性メモリLSI製品の設計・開発・販売を行う日本の半導体企業。本社は神奈川県横浜市港北区新横浜。富士通の半導体部門が長年にわたって蓄積したメモリ技術を受け継ぎ、2020年3月に富士通セミコンダクター子会社の富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社として設立され、2025年1月に現社名へ変更した。
1999年のFeRAM量産開始以来、FeRAMは車載・産業機器・インフラ・IoTなど幅広い分野において国内外の大手企業に採用されている。
概要
RAMXEEDは、富士通の半導体事業が長年積み重ねてきたメモリ開発の技術的知見を母体として誕生した不揮発性メモリ専門企業である。主力製品であるFeRAMの量産は1999年に開始し、以後20年以上にわたって製品を供給している。
製品は単体メモリ(FeRAM・ReRAM)のほか、FeRAMを内蔵したASIC・ASSPおよびバッテリーレス電子ペーパータグ・システムへと展開しており、車載・インフラ・産業機器向けに国内外の企業に採用されている。
沿革
前身(富士通時代)
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1995年 | FeRAM(強誘電体メモリ)の開発に着手 |
| 1999年 | FeRAMの量産を開始 |
| 2004年 | 当時世界最大容量となる1MビットFeRAMの開発に成功 |
| 2008年 | 富士通のLSI事業が富士通セミコンダクター株式会社として分社化[1] |
| 2013年 | 富士通セミコンダクターが大規模な事業再編を発表 |
| 2019年 | ReRAMとして当時最大容量となる8MビットReRAMを開発 |
富士通セミコンダクターメモリソリューション〜RAMXEED
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年3月31日 | 不揮発性RAM事業の専門会社として富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社を設立 |
| 2020年4月 | 電源電圧1.8V対応の2MビットFeRAMを開発 |
| 2020年7月 | EEPROMの高性能互換となる4MビットシリアルSPI FeRAMを開発 |
| 2021年7月 | 車載グレード対応(125℃動作)の4MビットFeRAMの量産を開始 |
| 2021年11月 | 100兆回の書き込みを保証する8MビットFeRAMを開発[2] |
| 2022年1月 | 54Mバイト/秒のデータ書き換えが可能な8Mビット Quad SPI FeRAMを開発 |
| 2023年8月 | 125℃動作・I2Cインターフェース対応の512KビットFeRAMを開発 |
| 2024年8月 | 社名変更(RAMXEED株式会社)を発表[3] |
| 2025年1月 | RAMXEED株式会社に社名変更 |
| 2025年2月 | FeRAM搭載ASSPチップセットをスマートコンタクトレンズ向けに開発・採用[4] |
| 2025年6月 | 総務省「令和7年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発」に採択[5] |
| 2026年2月 | UHF帯RFIDの新国際規格「ISO/IEC 18000-65」の承認・発行に貢献[6] |
| 2026年8月 | 125℃での10年データ保持を保証するFeRAM製品ファミリ「RAMXEED ULTIMATE」を展開[7] |
事業・製品
FeRAM(強誘電体メモリ)
FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)は、強誘電体材料を記憶素子に用いた不揮発性メモリである。以下に主要な不揮発性メモリとの特性比較を示す。
| 特性 | FeRAM | EEPROM | フラッシュメモリ | SRAM |
|---|---|---|---|---|
| 不揮発性 | ○ | ○ | ○ | ✕(揮発性) |
| 書き込み速度 | 約120ns | 約10ms | 約10μs(セクタ消去別途要) | 約55ns |
| 書き換え回数(上限) | 1014回 | 106回 | 105回 | 無制限 |
| 書き込み前消去動作 | 不要 | 必要(バイト単位) | 必要(セクタ単位) | 不要 |
| データ保持用電池 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 書き込み電圧 | 2V | 14V | 9V | - |
- 高速書き込み:EEPROMと比較して書き込み速度は約7万倍高速。消去動作が不要なためSRAMに近い書き込みが可能
- 低消費電力:昇圧回路が不要なため、EEPROMと比較して書き込み時の消費電力を約92%削減
- 高耐久性:最大100兆回(10^14回)の書き込みを保証する製品あり(EEPROMの1億倍)
- 広動作温度範囲:-40℃〜+125℃(車載グレード対応品)
同社のFeRAM量産実績は1999年の開始以来、累計46億個以上の出荷に達しており、産業・車載・インフラ・民生の多分野で採用されている。
製品系列の技術的特性(2026年時点)
RAMXEEDのFeRAM単体メモリ製品は、以下のインターフェース・スペック範囲をカバーしている。[8]
- インターフェース:SPI(Standard / Dual SPI / Quad SPI)、I2C、パラレル(×8 / ×16)
- 最大容量:8Mビット(SPI・パラレル各インターフェースにて)
- 容量範囲:4Kビット〜8Mビット
- 動作電圧:1.65V〜5.5V(製品により異なる)
- 最大動作周波数:108MHz(Quad SPI品)、3.4MHz(I2C品)
- 書き込みサイクルタイム:120ns(パラレル品)
- 動作温度:-40℃〜+125℃(車載グレード品、AEC-Q100準拠)
- 書き換え回数:最大100兆回(10^14回)保証品あり
- パッケージ:SOP-8、DFN-8、TSOP-44、TSOP-48、FBGA-48、WL-CSP等の標準パッケージに対応
容量については、1999年の量産開始当初の256Kビットから2021年の8Mビット品まで段階的に拡大している。インターフェースの選択肢はEEPROM・SRAMと共通の標準規格(SPI・I2C)に準拠しており、既存の不揮発性メモリからの置き換え設計への適用が技術的に可能な構成となっている。
RAMXEED ULTIMATEは、125℃動作環境下で10年間のデータ保持を保証する最上位製品ファミリとして2026年に展開した。
主な用途
FeRAMおよびReRAMは、従来のフラッシュメモリやEEPROMでは対応が困難な高速書き込み・高耐久性・低消費電力を必要とする幅広い分野で採用されている。主な採用分野と技術的採用理由は以下の通りである。[9]
- 車載:BMS(バッテリーマネジメントシステム)、EDR(イベントデータレコーダー)、カーインフォテイメント、デジタルタコグラフ。BMSではEVの充放電サイクルに連動した頻繁な書き込みに対応するため100兆回の書き換え耐久性が活用される。EDRでは衝突直前の1/100秒単位のデータを確実に記録するため高速書き込み性能が求められる。デジタルタコグラフではFeRAMの不揮発性により従来必要とされていたスーパーキャパシタが不要となり小型化が実現される [出典21]。
- インフラ:電力メーター(スマートメーター)、流量計、UPS(無停電電源装置)、BESS(電力貯蔵システム)、EVチャージャー、PVインバータ。流量計では毎秒1回の書き込みを想定した場合、10^14回の書き換え回数が100年超の耐用年数に相当する。PVインバータではミリ秒単位の電流・電圧ロギングへの対応が可能である [出典22]。
- 産業機器:PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、ロボット制御、計測器(温調器)。瞬間的な電源喪失時にもデータが保持されるため、工場の稼働継続性に寄与する。
- 医療機器:放射線滅菌管理用RFIDタグ、補聴器(ReRAM採用)。放射線環境下でも動作する強誘電体の特性を活用した滅菌管理タグが医療現場で採用されている [出典23]。補聴器向けReRAM製品は累計2,500万個以上の出荷実績を持つ [出典24]。
- IoT・セキュリティ:無線給電センシングIC(バッテリーレス・配線不要)、偽造対策IC、認証IC。
- 工場・店舗・物流:スマートファクトリー向け高性能RFID、電子ペーパー棚札(バッテリーレス動作)、物品管理システム。
- 金銭処理:ICカード用チップ、券売機(高頻度書き込みによるデータ保護)。
ReRAM(抵抗変化型メモリ)
ReRAM(Resistive Random Access Memory)は、抵抗変化を利用した不揮発性メモリである。同社は2019年にReRAMとして当時最大容量となる8Mビット品を製品開発するなど、高容量・高性能なReRAM製品を展開している。
ASIC / ASSP(FeRAM搭載カスタムIC)
単体メモリに加えて、FeRAMを内蔵したASIC(特定用途向け集積回路)およびASSP(特定用途向け標準製品)を展開する。主な製品・用途は以下の通り。
| 製品カテゴリ | 用途 |
|---|---|
| RFID用IC | 工程管理・医療滅菌管理向け(無線給電対応) |
| ロータリーエンコーダ用メモリIC | バッテリーレスロータリーエンコーダー用バイナリカウンタ搭載FeRAM |
| 認証IC | セキュリティ向け認証チップ |
| ICカード用IC | FeRAM内蔵のICカード向けチップ |
| スマートコンタクトレンズ用チップセット | 超小型FeRAM搭載ASSP(2025年採用) |
電子ペーパータグ
FeRAM技術を活用したバッテリーレス動作の電子ペーパータグ・システムを展開。製造工場・物流業界での棚札・在庫管理用途に対応しており、電池交換不要で動作する。パートナー企業との協業により普及を進めている。
業界内でのポジション
FeRAM市場の概況
Global Market Insightsの調査(2024年)によると、FeRAMの世界市場規模は2024年時点で約4億7,400万米ドルと推定されており、2034年には8億5,200万米ドルへ拡大する見通し(年平均成長率6.1%)。[10]
主要競合企業
| 企業 | 概要 |
|---|---|
| Infineon Technologies(Cypress FeRAM部門) | 2024年時点で市場シェア約28%を持つ最大手。[10]もともとFeRAM専業ベンチャーのRamtron InternationalをCypressが2012年に買収し、さらにInfineonが2020年にCypressを買収して継承。2027年にFeRAM事業はWinbondに売却予定。 |
| Texas Instruments | FeRAM内蔵マイクロコントローラ(MSP430シリーズ等)を中心に展開 |
QYResearchの調査(2025年)によると、2023年時点でRAMXEED(旧富士通)とInfineon(Cypress)の2社が合計で市場シェアの約90%を占めるとされており、少数の主要メーカーによる寡占構造が続いている。[11]
理念・ブランド
理念体系(Purpose / Vision / Value)
RAMXEEDは「Our Memory,Your Future」をブランドスローガンに掲げ、以下の理念体系を公表している。[12]
| 区分 | 内容(同社公表) |
|---|---|
| Purpose(存在意義) | 「夢のある未来を、メモリの技術で叶える。」 |
| Vision(目指す姿) | 「独自技術で選ばれる、未来共創パートナー。」 |
| Value(価値観) | Specialty & Challenge / Leadership & Teamwork |
社名の由来
「RAMXEED」は、メモリを意味する「RAM」の技術を基軸に、無限の可能性を追い求め、共創しながら成長し続ける会社を表している。「XEED」には、成功(SUCCEED)・超越(EXCEED)という意味が込められており、「X」は無限の可能性と共創を象徴する。
コーポレートカラー
コーポレートカラーには色の三原色の一つである「マゼンダ」を採用している。
拠点
国内拠点
| 拠点名 | 所在地 | 機能 |
|---|---|---|
| 本社(新横浜TECHビル) | 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜三丁目9番1 新横浜TECHビル | 登記上の本社、設計部門 |
| 新横浜中央オフィス | 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目100番45 新横浜中央ビル11階 | コーポレート部門・営業部門 |
| 会津事業所 | 〒965-0037 福島県会津若松市中央3丁目2-11 クロススクエア会津2階 | 技術・開発拠点 |
品質・環境への取り組み
品質マネジメント
ISO 9001などの品質マネジメント規格に基づいた品質管理体制を構築している。車載向け製品については業界規格に準拠した品質基準を適用している。
環境保護活動とSDGsへの取り組み
環境保護活動およびSDGs(持続可能な開発目標)への対応を方針として掲げている。
環境コンプライアンス
以下の環境規制に対応した製品設計・調達管理を実施している。
- RoHS指令(有害物質使用制限指令)
- REACH規則(化学物質の登録・評価・認可・制限)
- 紛争鉱物規制への対応
関連項目
脚注・出典
- ↑ “「半導体事業再編は苦渋の決断」、富士通セミコンの従業員数は2000人以下へ”. EE Times Japan. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ cptstaff (2021年11月17日). “100兆回の書込みを保証する8MビットFeRAMを開発”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ cptstaff (2024年8月20日). “社名変更のお知らせ”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ ramxeed1 (2025年2月26日). “FeRAM搭載ASSPチップセットを開発, スマートコンタクトレンズに採用”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ ramxeed1 (2025年6月25日). “総務省「令和7年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発」採択のお知らせ”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ ramxeed1 (2026年2月16日). “電池交換不要センサーによる無線センシングを実現 ― UHF帯RFIDの新国際規格「ISO/IEC18000-65」が承認・発行 ―”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ ramxeed1 (2026年8月7日). “125℃温度下での10年データ保持を保証するFeRAM製品ファミリ『RAMXEED ULTIMATE』を展開”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “会社概要・沿革”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “Applications アーカイブ”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 “Ferroelectric Random Access Memory Market Size Report, 2034” (英語). Global Market Insights Inc.. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “FeRAM-世界市場シェアとランキング、全体売上高と需要予測 2025-2031/QYResearch/調査レポート|市場調査レポートの依頼・購入”. www.dri.co.jp. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “RAMXEEDの理念体系”. RAMXEED(ラムシード). 2026年10月26日閲覧。