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アドベ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アドベ壁の表面(スペイン、パレンシア県 Bahillo)
ニューメキシコ州チャミサル (Chamisal) でのアドベ壁の表面の改装

アドベ(スペイン語: Adobe)またはアドービ(英語発音)とは、砂、砂質粘土とわらまたは他の有機素材で構成された天然建材である。これらの有機素材を木製の型枠を使って日なたで干すことでレンガの形にして使われ、ヨーロッパのコブ(英語版)や日干しレンガによく似ている。アドベの構築物は非常に耐久性に富み、地球上に現存している最古の建築物によく使われている。アドベ建築物は熱を吸収してから非常にゆっくりと放出するため、建築物の内部は涼しいままに保たれ、暑くて乾いた気候に適している。

【2種類の表記】百科事典、国語辞典などに「アドベ」と表記されている(1-7参照)。しかし近年の書籍、サイト、英和辞書は「アドービ」と表記されることが多い(①~㉔参照)。

4によると、中南米の考古学ではスペイン語読みの「アドベ」とのこと。「アドービ」表記はアメリカに関する記述が多い(①~㉑)。

【「アドベ」「アドービ」両方の記載がある資料】

(1) 書籍「図解インテリア・ワードブック」渡辺優、建築資料研究社、1996年、153 ページ

(2) 東建コーポレーション 「アドベはスペイン語読みで、英語読みではアドービとも呼ばれ」

【アドービ表記】

①「B14 地球の歩き方 ダラスヒューストンデンバー グランドサークルフェニックスサンタフェ 2026~2027」地球の歩き方編集室、2025年、p325

② ハーマンミラー(1923年創業のオフィス家具メーカー)サイト「モダニズムの同志」2025年5月1日

③ ELLE(雑誌、株式会社ハースト婦人画報社)サイト、「アメリカ建築様式25、歴史と文化を感じる住宅のルーツを探る」、2025/02/03

④ VOGUE JAPAN(雑誌)サイト「クリスマスデコレーションが美しい世界の人気スポット26」、2024年12月13日

⑤ 総合的な教育支援の広場(成田滋、兵庫教育大学名誉教授)、2024年3月20日

⑥ 「コン・ティキ号探検記」、トール・ヘイエルダール, 水口志計夫、河出書房新社、2023年、p12

⑦ 「世界の家の窓から 77ヵ国201人の人生ストーリー」主婦の友社、2022年、55 ページ

⑧ GINZA Magazine(雑誌、株式会社マガジンハウス)「ジョージア・オキーフのアビキューの家【お手本インテリアvol.3】」2022年5月2日

⑨「アメリカのありふれた町で」東理夫、山と溪谷社、2021年、p237

⑩「スチーム・ガール」エリザベス・ベア、東京創元社、2017年

⑪ 「ジョージア・オキーフとふたつの家―ゴーストランチとアビキュー」KADOKAWA、2015年(アメリカ、ニューメキシコ州の家に関する記述)

⑫『国立民族学博物館研究報告』35巻3号、伊藤敦規「博物館標本資料の情報と知識の協働管理に向けて」2012年、p476

⑬「大追跡(上)」クライブ・カッスラー、 扶桑社、2012年

⑭「オン・ザ・ロード」ジャック・ケルアック、青山南、河出書房新社、2010年、p214

⑮「エデンの東(下)」ジョン・スタインベック、早川書房、2005年、p109、11行目(アメリカが舞台の小説)

⑯「川と文化: 欧米の歴史を旅する」秋山紀一、池田智,、関口宏道、玉川大学出版部 、2004年、p171(アメリカ、ニューメキシコ州に住むプエブロ・インディアンに関する記述)

⑰「旺文社新英和中辞典」2000年、p43

⑱「理化学英和辞典」研究社、1998年、p16「adobe アドービ粘土」

⑲『東京都立大学法学会雑誌 第38巻』、1997年、p20

⑳『Peace Studies』第6号、1982年「特集1 国際紛争の構造と解決」北沢方邦(信州大学教授)、p33

㉑ 岡山県、津山市サイト「サンタフェ市の紹介」(アメリカ、ニューメキシコ州)

㉒「知を探究する教養メディア imidas(イミダス)現代人のカタカナ語辞典」集英社

㉓「ランダムハウス英和大辞典」小学館 「adobe」

㉓「新英和大辞典」研究社「adobe」

【アドベ表記】

1 「コンサイス カタカナ語辞典 第5版」三省堂、2020年

2「大辞林 第四版」三省堂、2019年、p63

3「広辞苑 第7版」岩波書店、2018年、p70

4 「世界大百科事典」平凡社

5 「エルサルバドルを知るための66章【第2版】」明石書店、2024年、p70

6 朝日新聞 2006年02月01日

7 外務省 ペルー共和国「初等教育改善計画」(阪神淡路大震災のプレハブ住宅を再利用)

日干しの土で作られた建築物は、中東や北アフリカ、そしてスペイン(通常ムデハル様式)で一般的だが、アドベは数百年もの間、アメリカ合衆国南西部(プエブロ)、中央アメリカ、そして南米のアンデス山脈の地域の、アメリカ大陸の先住民によって使われてきた(ただ、しばしば多量の石もプエブロの建築物の壁に使われている)。このレンガの製作法は、16世紀にメキシコとペルーを探険したスペイン人によって輸入された。通常のレンガのサイズのものから、大きいもので1、2ヤード(0.91~1.82m)の長さのものまであるのが特徴である。

アドベ (Adobe) という単語は、4000年間もの間発音と意味に驚くほど小さな変化をきたしながら伝えられている。紀元前2000年の中期エジプト語の単語"dj-b-t"が「泥の(または日干しの)レンガ」を意味し、中期エジプト語が後期エジプト語、民衆文字(デモティック)、最終的にはコプト・エジプト語(およそ紀元前600年)へと変化するにつれ、"dj-b-t"は「トベ」("tobe"、「泥のレンガ」)になった。これはアラビア語の"トゥーブ"(طوب、"レンガ")に発展し、これにアラビア語の定冠詞「アル」(ال)をつけた「アットゥーブ」(الطوب)が古スペイン語に取り入れられ、"泥のレンガ"という意味のアドベ(adobe)となった。英語の語彙には、18世紀初めにスペイン語から導入されて現在に至っている。

現代の用法においては、用語"アドベ"は、北アメリカの砂漠気候地帯、とりわけニューメキシコ州でのプエブロの伝統建築を模倣した一般的な建築物のスタイルを意味するようになった。なお、アメリカ合衆国の南西部にはアドベ以外の素材に「スタッコ仕上げ」(stucco)を施してアドベ建築と外見を合わせた「にせアドービ」(fake adobe)も存在する。

アドベの素材

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粘土とわらをブロックの型枠に混ぜこんでいく
型枠を外して日干しで乾燥させるとアドベの完成

アドベレンガは、水を混ぜた粘土(通常、砂を含む)と、わらか動物の糞などの有機素材で作られている。わらはレンガを固め、均等に乾燥させやすくする働きがある。糞も同じ利点があり、他に昆虫を退けるために加えられる。

アドベレンガ

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アドベレンガはフタなしの枠で作られる。36cm(14インチ)×25cm(10インチ)が最適のサイズだが、他の使いやすいサイズも許容される。枠に土とわらや糞を混ぜたものを詰めて成形し、すぐに枠を取り外す。数時間乾燥させた後、レンガを立てて十分に乾燥させる。日陰でゆっくりと乾燥させると、アドベレンガにひびが入りにくい。

レンガの製作よりもわらを少なめにした同様の混合物は、内面と外壁のモルタルとしばしば漆喰のために使用される。いくつかの古代の文化では、雨の害から守るために漆喰用に石灰をベースにしたセメントが使用されている。

アドベ(レンガ)で作られたこれまでで最大の構造物はアルゲ・バムで、2003年12月26日の地震によって重大な被害(最大80%)を受けた。他の大きなアドベ構築物の例としては、ペルーの1億個のサインされたレンガを使って建造されたモチェ文化の神殿である太陽のワカ(Huaca del Sol)や、チャン・チャンとタンボ・コロラド(Tambo Colorado)の遺跡がある。

熱的性質

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アドベ壁は、重要な蓄熱材として利用することができる。北半球では、南向きのアドベ壁は室内の加熱と冷却を加減するため非断熱のままにしておいてよい。アドベ壁は暑い日中の間は内部を十分に涼しいままにしておけるくらい厚いのが理想的だが、厚すぎると逆に夜間に壁を通して外に熱することが難しくなる。また熱を効率よく蓄えるため、外壁をガラスで覆っておくこともできる。受動的ソーラー建築設計(passive solar building design)では、このような壁はトロンブ壁(Trombe wall)と呼ばれている。アドベ壁は熱量を蓄える質量の密度が比較的高いため、このタイプの建築物は熱帯性の気候においてもっとも利便性がある。温帯気候の地域では地面と壁から熱が逃げるため、アドベ壁を使った温度調節はあまり効果的ではない。

外部リンク

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脚注

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関連項目

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