ウベラバスクス

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ウベラバスクス
復元図
地質時代
後期白亜紀カンパニアン - マーストリヒチアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 四肢動物上綱 Tetrapoda
綱 : 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜型下綱 Archosauromorpha
階級なし : 偽鰐類 Pseudosuchia
上目 : ワニ形上目 Crocodylomorpha
階級なし : 中正鰐類 Mesoeucrocodylia
亜目 : ノトスクス亜目 Notosuchia
科 : ペイロサウルス科 Peirosauridae
属 : ウベラバスクス属 Uberabasuchus
学名
Uberabasuchus
Carvalho et al., 2004
タイプ種
Uberabasuchus terrificus
Carvalho et al., 2004

ウベラバスクス[1](学名:Uberabasuchus)は、ブラジルのミナスジェライス州でバウル盆地から化石が発見された、ペイロサウルス科(英語版)に属する後期白亜紀に生息したワニ形類の属。タイプ種はUberabasuchus terrificus。左右にやや狭い吻部、三角形の上眼窩骨で保護された大型の丸い眼窩、後側の深い溝に囲まれた前眼窩窓が特徴とされる[2]。記載論文のCarvalho et al. (2004)の系統解析ではマハジャンガスクス(英語版)との姉妹群に置かれ[2]、Pochat-Cottilloux et al. (2023)の系統解析ではモンテアルトスクスやパタゴスクス(英語版)などとの多分岐をなしている[3]。

発見と命名

ウベラバスクスのタイプ種のホロタイプ標本CPPLIP nº 630はブラジルのミナスジェライス州ウベラバ郡にて、バウル盆地のSerra do Veadinhoシーケンスで発見された。Serra do Veadinhoはバウル層群(英語版)Marília層に属しており、当該の層準の層序年代は上部白亜系カンパニアン階~マーストリヒチアン階と推定されている。産地の岩層は粘土質砂岩である[2]。

発見されたホロタイプ標本は下顎を伴う頭蓋骨・軸骨格・附属肢骨格が関節して保存されており、尾椎が欠損している。保存状態の良さと姿勢から、本標本の個体は鉄砲水に巻き込まれて堆積物へ急速に埋没したと見られている[2]。本標本はCarvalho et al. (2004)により新属新種Uberabasuchus terrificusとして命名された。属名は標本がブラジルのミナスジェライス州ウベラバ郡から産出したことに由来し、種小名は捕食動物であることから恐ろしさに言及したものである[2]。

特徴

ウベラバスクスのホロタイプ。標徴形質である吻部先端の突起を確認できる。

ウベラバスクス属は頭蓋骨の特徴に基づいて記相が定められている。具体的な形質状態としては、吻部の先端に細い前側突起が存在すること、大型の第4歯骨歯を受け止める溝が上顎骨と前上顎骨との間に存在すること、5本存在する前上顎骨歯のうち前側2本が小型かつ密であり後側3本が大型かつ疎であること、前眼窩窓の後側に溝が存在すること、眼窩が円形であること、上側頭窓が楕円形で眼窩よりも小型であり頭蓋天井(英語版)の大型の窪みに囲まれていること、板状骨が下顎結合に加わること、下顎が上下に高く左右に薄いこと、角骨が下顎枝の下縁の三分の二以上を構成すること、下顎窓が三角形で眼窩中央まで前側に伸びること、下顎窓が下側頭窓と一直線に並ぶこと、歯骨歯が少なくとも10本(推定11~12本)であることなどがある[2]。加えて、吻部の外側の縁が背側から見て直線状であること、後関節突起にmedial shelfが存在しないことが固有派生形質とされる[2]。

この他の頭蓋骨の細かい特徴はモンテアルトスクスやガスパリニスクス(英語版)やロマスクスといったペイロサウルス科(英語版)の他の属と類似が多く見られる[4]。ウベラバスクスは異歯性を持ち、これは顎の歯の形状からより大型の獲物を捕らえることに適している可能性が指摘されている[2]。

分類

ウベラバスクスはペイロサウルス科の新属として記載・命名された。19の内群と4の外群を用いた記載論文Carvalho et al. (2004)の系統解析では、本属はマハジャンガスクス(英語版)との姉妹群とされ、共にマハジャンガスクス族に置かれた[2]。その後89分類群を用いてワニ形類の包括的系統解析を実施したAdams (2013)の系統樹では、ウベラバスクスはモンテアルトスクスとの姉妹群をなし、またこの2属からなる分岐群がペイロサウルス+ロマスクスの2属からなる分岐群とハマダスクスとの間で多分岐の関係にある[5]。なおAdams (2013)の系統樹においてマハジャンガスクスはこれら5属よりもさらに基盤的な位置で分岐しており、カプロスクスと姉妹群の関係にある[5]。

Pochat-Cottilloux et al. (2023)による系統解析では、ウベラバスクスはモンテアルトスクスおよびマハジャンガスクスなどの属と多分岐をなした[3]。またペイロサウルス科自体が多系統群として系統樹上に反映されている[3]。

古環境

ウベラバスクスのホロタイプ標本が産出したMarília層は、粗粒砂岩と泥岩と炭酸塩岩から構成されている。砂岩は石英と長石および変堆積岩(千枚岩や片岩)・火山岩(粗面岩・玄武岩)・堆積岩の断片から構成されている。炭酸塩岩の比率が高いこと、砂岩のセメント化が顕著であることから、堆積物は炭酸塩に富む地下水による影響を受けたと推測されている。Goldberg and Garcia (2000)は本層の堆積期間に乾燥化が進行したとし、小規模な湖沼を伴う広範な氾濫原を形成する網状流路により本層が堆積し、不純物の多い石灰岩や泥灰岩が湖底堆積物や古土壌として乾季に堆積したと推測している[2]。ウベラバ地域において乾燥は特にマーストリヒチアン期において顕著であったとされ、雨季と長い乾季を伴う気候が続き、小規模な湖や一時的な河川によって動植物相が維持されていたとされる[2]。

本層から産出した植物化石・藻類化石には、車軸藻植物門の造卵器、広義のシダ植物の胞子嚢果、針葉樹の幹がある。無脊椎動物では腹足類や二枚貝、脊椎動物では魚類・カエル・カメ・トカゲ・ワニ形類・恐竜の化石、また糞石や卵化石も知られている[2]。

出典

  1. ↑ 小林快次『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』北海道大学出版会、2013年7月25日、14頁。ISBN 978-4-8329-1398-1。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Ismar de Souza Carvalho; Luiz Carlos Borges Ribeiro; Leonardo dos Santos Avilla (2004). “Uberabasuchus terrificus sp. nov., a New Crocodylomorpha from the Bauru Basin (Upper Cretaceous), Brazil”. Gondwana Research 7 (4): 975-1002. doi:10.1016/S1342-937X(05)71079-0.
  3. 1 2 3 Pochat-Cottilloux, Y.; Perrier, V.; Amiot, R.; Martin, J.E. (2023). “A peirosaurid mandible from the Albian–Cenomanian (Lower Cretaceous) of Algeria and the taxonomic content of Hamadasuchus (Crocodylomorpha, Peirosauridae)”. Papers in Palaeontology 9 (2). doi:10.1002/spp2.1485.
  4. ↑ C. F. C. Geroto; R. J. Bertini (2019). “New material of Pepesuchus (Crocodyliformes; Mesoeucrocodylia) from the Bauru Group: implications about its phylogeny and the age of the Adamantina Formation”. Zoological Journal of the Linnean Society 185 (2): 312-334. doi:10.1093/zoolinnean/zly037.
  5. 1 2 Adams, T. L (2013). “A new neosuchian crocodyliform from the Lower Cretaceous (Late Aptian) Twin Mountains Formation of north-central Texas”. Journal of Vertebrate Paleontology 33 (1): 85-101. doi:10.1080/02724634.2012.713277.