カーボンクレジット

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カーボンクレジット(英語: Carbon Credit)とは、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出量を削減または吸収した実績を“クレジット”と呼ばれる取引可能な形に数値化したものを指す。企業や組織が自らの温室効果ガス排出量削減義務を果たす際に、排出削減量が不足する場合、他者が保有するカーボンクレジットを購入して相殺(オフセット)する仕組みとして利用される。

カーボンクレジットは、気候変動対策や炭素価格の形成を目的とした国際的な枠組みや各国の排出取引制度において重要な役割を担っている。国連の気候変動枠組条約(UNFCCC)やパリ協定、各地域の排出量取引制度(ETS: Emissions Trading System)などに基づき、排出量削減の促進や資金調達手段として活用されている。[1]

「パリ協定は、2015年12月の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月に発効し、2020年から本格的に運用が開始されます。

パリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑えるよう努力を続けることを目的に掲げています(パリ協定第2条)。」[2]

背景

温室効果ガスの排出削減に関しては、1997年に採択された京都議定書が大きな転機となった。京都議定書では、先進国を中心に排出削減目標(数値目標)が設定され、それを達成するために排出取引制度(Emission Trading)やクリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)が開始。

これらの仕組みでは、自国内での削減だけでなく、他国・他地域で実施された削減プロジェクトによる削減量(=カーボンクレジット)を購入して自国の削減量としてカウントすることが認められており、それが「排出権取引」または「カーボンクレジットの取引」という形で市場が存在。[3]

歴史

カーボンクレジットの起源は、温室効果ガス排出削減に向けた国際的な取り組みの中で整備された制度にさかのぼる。

1997年に採択された京都議定書では、先進国に対して排出削減目標が設定され、その達成手段として「クリーン開発メカニズム(CDM)」や「共同実施(JI)」といった柔軟な仕組みが導入された。

これらの制度は、排出削減プロジェクトを実施した国や事業者に排出削減量を「クレジット」として付与し、それを他の主体が購入・活用することで削減義務を満たせる仕組みとして整備されたものである。

その後、2005年にEU(欧州連合)が排出権取引制度(EU ETS)を開始した。

京都議定書の第一約束期間(2008–2012年)を経て、第二約束期間やパリ協定(2015年採択)へと枠組みが変わる中で、カーボンクレジットの取扱いも各国の制度設計や市場状況に応じて変化してきた。

近年では、各国・地域独自の排出取引制度やボランタリークレジット(自主的に削減量を取引する市場)も台頭しており、カーボンクレジットは気候変動対策の一手段として活用されている。[4]

仕組み

  • 排出量削減プロジェクトの実施
  • 削減量の検証
    • 第三者認証機関によるプロジェクトの監査・測定・報告
    • 削減・吸収された温室効果ガスの量を数値化し、信頼性を確保
  • クレジットの発行
    • 検証後、排出削減量や吸収量がカーボンクレジットとして発行される
    • プロジェクトのオーナーがクレジットを取得
  • 取引・利用
    • 企業や団体が自社の排出削減義務やカーボン・ニュートラル目標達成のためにクレジットを購入し、排出量をオフセットする
    • 市場を介してクレジットの価格が形成

主な種類

  1. 京都メカニズムに基づくクレジット
    • CDM (クリーン開発メカニズム): 途上国で行われた排出削減プロジェクトによるクレジット
    • JI (共同実施): 京都議定書の参加国間で実施された排出削減プロジェクトによるクレジット
  2. ボランタリークレジット (Voluntary Carbon Credit)
  3. 国内制度に基づくクレジット

日本におけるカーボンクレジット

  • J-クレジット制度 日本国内での排出削減・吸収プロジェクトを対象に、環境省[8]・経済産業省・農林水産省[9]などが連携して認証を行い、クレジットを発行する制度[10]
    • J-クレジット制度で認められる主な方法論
      • ボイラーの導入または更新
      • ヒートポンプの導入
      • 空調設備の導入または更新
      • 照明設備の導入または更新
      • コージェネレーションの導入
      • ポンプ・ファンの導入または更新
      • 太陽光発電設備の導入
      • 水力発電設備の導入
      • 風力発電設備の導入
      • バイオマスボイラーの導入
      • 適切な森林管理(定期的・計画的な間伐等)の実施 これらの方法論は、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を算定するための基準となります。2024年12月時点で、J-クレジット制度では72の方法論が承認されています。なお、新しい方法論の提案も可能で、事務局への提案と運営委員会の承認を経て、新規方法論を作成することができます。[11]

日本における主な取引所

日本には現在、主に2つのカーボンクレジット取引所が存在しています。

  1. 東京証券取引所(JPX)カーボン・クレジット市場 東京証券取引所は2023年10月11日に正式にカーボン・クレジット市場を開設。
  2. 日本カーボンクレジット取引所 日本GXグループ株式会社が運営する民間企業国内初のカーボンクレジット取引所で、2023年9月29日にオープン。

日本における主なマーケットプレイス

日本には複数のカーボンクレジットのマーケットプレイスが存在しています。

  1. CarbonEX アスエネ株式会社とSBIホールディングスが共同設立したカーボンクレジット取引所。国内外のボランタリーカーボンクレジット、J-クレジット、非化石証書などを取り扱う。
  2. e-dash 三井物産のスタートアップ事業として設立され、CO2排出量可視化ツール「e-dash」の一環として提供されるカーボンクレジット購入サービス。

参考文献・ウェブサイト

ウェブサイト

脚注

  1. ↑ “経済産業省 資料 「カーボン・クレジット・レポート」”. 経済産業省. 2025年3月13日閲覧。
  2. ↑ “資源エネルギー庁 エネルギー白書 日本政府の方針(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略と「国が決定する貢献(NDC)」)”. 2025年3月13日閲覧。
  3. ↑ “経済産業省 資料 「カーボン・クレジット・レポート」”. 経済産業省. 2025年3月13日閲覧。
  4. ↑ “経済産業省 資料 「カーボン・クレジット・レポート」”. 経済産業省. 2025年3月13日閲覧。
  5. ↑ “Home” (英語). Verra. 2025年3月13日閲覧。
  6. ↑ “Gold Standard” (英語). Gold Standard (2024年12月5日). 2025年3月13日閲覧。
  7. ↑ “環境省 資料「我が国における主なクレジットの概要」”. 2025年3月13日閲覧。
  8. ↑ “トップ”. 環境省. 2025年3月13日閲覧。
  9. ↑ “農林水産省ホームページ”. www.maff.go.jp. 2025年3月13日閲覧。
  10. ↑ “J-クレジット制度|J-クレジット制度とは温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度です。”. japancredit.go.jp. 2025年3月13日閲覧。
  11. ↑ “方法論 | J-クレジット制度”. japancredit.go.jp. 2025年3月13日閲覧。
  12. ↑ “2050年カーボンニュートラルの実現に向けて”. 環境省. 2025年3月13日閲覧。