クリスチャン・シオニズム

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ユニオンフラッグ・アルスターの旗と共にイスラエル旗を掲げる北アイルランドのユニオニストの教会

クリスチャン・シオニズムは、神がアブラハムと結んだ「アブラハム契約」に基づき、シオン・エルサレムがアブラハムの子孫に永久の所有として与えられたとするキリスト教の教理の一つ。全教派で認められている・信じられている訳ではなく、むしろ信じている者は一部であり[要出典]、キリスト教プロテスタントの福音派の一部や、ドイツルーテル教会のマリア福音姉妹会[1]、末日聖徒イエス・キリスト教会などで信じられている教理である。この教理を信じる人をクリスチャン・シオニストと呼ぶ。近代シオニズムは、19世紀後半頃からアメリカのディスペンセーション主義の神学者達が主張するようになった。

この立場では、イスラエル(パレスチナ)を神がユダヤ人に与えた土地と認める。さらに、イスラエル国家の建設は聖書に預言された「イスラエルの回復」であるとし、ユダヤ人のイスラエルへの帰還を支援する。キリストの再臨と世界の終末が起こる前に、イスラエルの回復がなされている必要があると考え、イスラエルの建国と存続を支持する。

教理の根拠とされる聖書の箇所

以下に挙げる箇所はクリスチャン・シオニズムの主張に拠るものであり、キリスト教の全教派・全思潮において、以下のような釈義が行われる訳ではない。

アブラハム契約と呼ばれる。神がアブラハムの子孫に与えたと聖書に書かれている土地は次の通りである。

「その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、カイン人、ケナズ人、カドモニ人、ヘト人、ペリジ人、レファイム人、アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

— 創世記15:18-21、新共同訳聖書

「そしてわたしは、あなたの子孫を空の星のように増し加え、あなたの子孫に、これらの国々をみな与えよう。こうして地のすべての国々は、あなたの子孫によって祝福される。」

— 創世記26:4、新改訳聖書

聖書には神はアブラハムの子孫にイスラエルの地に関する永久の所有権を与えたとする記述がある。

「私に仰せられた。『わたしはあなたに多くの子を与えよう。あなたをふやし、あなたを多くの民のつどいとし、またこの地をあなたの後の子孫に与え、永久の所有としよう。』」

— 創世記48:4、新改訳聖書

日本におけるクリスチャン・シオニズムの祈り

神が中田重治監督に与えたとされる「イスラエルの回復のために祈れ」とのビジョンに従って、基督聖協団の森五郎らは、イスラエル再建前の1931年からイスラエルの回復を祈り続けてきた。その娘谷中さかえは、1948年のイスラエル共和国の成就の報を聞き、涙を流してイエスの名を讃えた[2][3]。

シオニズムの歌

詩篇137篇「バビロンの川のほとり、そこで、私たちはすわり、シオンを思い出して泣いた。[4]」や、黄金のエルサレム、イスラエル国歌ハティクバがシオニズムの歌である。これらは、クリスチャン・シオニストの聖会で歌われる。

クリスチャン・シオニズムの活動

ルベン・ドロンはユダヤ人がイスラエルに帰還(アリーヤー)することによって、イスラエルの地は祝福されると教えている[5]。トム・ヘスはアメリカは現代のバビロンであるので、アメリカ在住のユダヤ人はアメリカを脱出してイスラエルに帰還するように呼びかけている[6]。グスタフ・シェラーは、イスラエルへのユダヤ人帰還運動、「出エジプト作戦」を展開している[7]。

議論

ユダヤ人入植地(入植反対者による「占領地」)のパレスチナ人への「返還」には反対の立場を取り、エルサレムの分割統治にも反対の立場を取る。

反対者からは、パレスチナ和平の障害となる、と言われる政治勢力であるが、イスラエル・アメリカ政界では有力な圧力団体や票田の一つであり、イスラエルの「リクード党」や「シャス」等右派・宗教政党の主張とも親和性が強く、アメリカの歴代大統領によってユダヤ・キリスト教(英語版)というキリスト教の価値観との繋がりを強調する言葉がたびたび使用されている。キリスト教右派の支持を受けたジョージ・W・ブッシュ第43代アメリカ合衆国大統領がユダヤ人を選民と発言した際はアラブ人の反発を招いてる[8]。

キリスト教再建主義の富井健は、イスラエルに関する正しい理解は、ディスペンセーション神学ではなくピューリタン神学に求めるべきであるとし[9]、イスラエルの回復を主張した神学者として、トマス・アクィナス、ジャン・カルヴァン、アイアン・H・マーレイ、ウィリアム・パーキンス、J・ファン・デン・ベルク、ウィレム・ヴァンゲメーレン、ファン・デン・ベルク、ジョナサン・エドワーズ、チャールズ・ホッジ、チャールズ・スポルジョン、C.E.B.クランフィールド、ジョージ・E・ラッド、カール・ラーナー、ユルゲン・モルトマン、ヘルマン・リッダボス、ジョン・マーレー、ミラード・エリクソン、ウェイン・グルーデムを紹介している[10]。

著名なクリスチャン・シオニスト

脚注

  1. ↑ バジレア・シュリンク『輝くエルサレムを見よ-選ばれた民への神の真実-』カナン出版
  2. ↑ 神戸市:KOBEの本棚 第22号
  3. ↑ 聖書に約束されたイスラエル
  4. ↑ 新改訳聖書
  5. ↑ ルベン・ドロン『新しいひとりの人』中川健一訳 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
  6. ↑ トム・ヘス著『我が民を去らせよ』ハーベスト・タイム
  7. ↑ グスタフ・シェラー『出エジプト作戦』マルコーシュ・パブリケーション社
  8. ↑ Bush hails Israel's "chosen people" as Arabs lament | Reuters, Thu May 15, 2008
  9. ↑ イスラエルに関する2つの極端を捨てよう
  10. ↑ イスラエルの回復を支持した著名な神学者たち
  11. ↑ “The Origins of the U.S.-Israeli Relationship: Truman and the Jewish State | The Washington Institute” (英語). www.washingtoninstitute.org. 2025年1月15日閲覧。
  12. ↑ Nelson, Louis (November 18, 2016). "Steve Bannon hails Trump's 'economic nationalist' agenda". Politico.
  13. ↑ Wilson, Jason (2024年11月25日). “Trump Pentagon pick attacks UN and Nato and urges US to ignore Geneva conventions” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077 2025年1月26日閲覧。
  14. ↑ “Pete Hegseth Says 'I Robustly Support Israel' After Protester Calls Him 'Christian Zionist' During Confirmation Hearing” (英語). The Latin Times (November 13, 2024). 2025年1月14日閲覧。

関連項目