ゴブリン (ダンジョンズ&ドラゴンズ)
| ゴブリン Goblin | |
|---|---|
| 特徴 | |
| 属性 | 一般に“中立にして悪” |
| 種類 | 人型クリーチャー |
| 統計 | Open Game License stats |
| 掲載史 | |
| 初登場 | Dungeons & Dragons "white box" set (1974) |
ファンタジー・ロールプレイングゲーム(RPG)『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)におけるゴブリン(Goblin)は、邪悪な人型モンスター種族。低レベルのプレイヤー・キャラクターが戦うことが多い。
概要
D&Dのゴブリンは、主にJ・R・R・トールキンの中つ国で描かれたゴブリンに基づいている[1]。ゴブリンはゲーム内で「邪悪」で「最強の者が支配する残忍な社会となる」ものとして描かれている[2]。今度は、D&Dのゴブリンは、テーブルトップ・ウォーゲームの『ウォーハンマー ファンタジーバトル』など、後のゲームやフィクションでの描写に影響を与えた[3]。彼らは、ドイツのコボルトと比較されることもある[4]。トールキン作品のゴブリンとは異なり、D&Dのゴブリンはオークとは別の種族であり、代わりに「ゴブリン類(goblinoids)」と呼ばれる関連種族の一部であり[3]、これにはホブゴブリンやバグベアなどが含まれる。
出版物での歴史
ゴブリンは、最初の『Dungeons & Dragons[注 1](『OD&D』)』に登場する前に、 ウォー・シミュレーションゲーム『Chainmail』の、「fantasy supplement」で初登場した。
Original Dungeons & Dragons
ゴブリンは、『OD&D』の「white box[注 2]」セット(1974)という、ゲームの最初の版で最初に導入されたモンスターの1つであり、そこでは単に小さなモンスターとして説明されていた[5]。
Dungeons & Dragons Basic set
『D&D Basic Set[注 3]』(1977年、1981年、1983年)には、ゴブリンの独自のバージョンが含まれていた[6][7][8]。ゴブリンはガゼッタ『The Orcs of Thar』(1989)に、プレイヤー・キャラクター種族として登場した。ゴブリンは後に、『Dungeons & Dragons Game』セット(1991)、『Dungeons & Dragons Rules Cyclopedia』(1991)[9]、『Classic Dungeons & Dragons Game』セット(1994)、『Dungeons & Dragons Adventure Game』セット(1999)にも登場した[10]。
Advanced Dungeons & Dragons第1版
ゴブリンは、『AD&D[注 4]第1版』の『モンスター・マニュアル(『MM』)』(1977)に登場し[11]、部族社会を持ち、陰鬱な環境に住んでいると描写されている。また、コンピュータゲーム『Pool of Radiance』(1988)にも登場しており、そこでの描写は直接『MM』からとられている[12][13]。
ゴブリンの神話とその姿については、『ドラゴン』#63(1982年7月)のロジャー・E・ムーアの記事「The Humanoids」で詳述されている[14]。
ジョセフ・クレイによる『ドラゴン』#141(1989年1月号)掲載の記事「Hey, Wanna Be a Kobold?」では、コボルド、ズヴァート、ゴブリン、オークが、新クラスの「Shaman」と「Witch Doctor」と共に、プレイヤー・キャラクター種族として紹介された[15]。
Advanced Dungeons & Dragons第2版
ゴブリンは、『Monstrous Compendium Volume One』(1989)に初登場し[16]、『Monstrous Manual』(1993)に再録されている[17]。
ゴブリンは『The Complete Book of Humanoids』(1993)で、プレイアブル・キャラクター種族として詳しく説明されている[18]。この本では、ゴブリンはウィザードにはなれないと記されている[19]。ゴブリンは後に『Player's Option: Skills & Powers』(1995)[20]とモジュール『Reverse Dungeon』(2000)でも、プレイアブル・キャラクター種族として紹介されている[21]。
goblynは、レイヴンロフト・キャンペーン設定の関連クリーチャーであり、モジュール「Feast of Goblyns」(1990)および『Monstrous Compendium Ravenloft Appendix』(1991)に登場した。
バースライト設定のCerilian goblinは『Birthright Campaign Setting』セット(1995)に登場し、『Monstrous Compendium Annual Three』(1996)に再録された。
Dungeons & Dragons第3版
ゴブリンは、『D&D第3版[注 5]』(2000)の『MM』に登場する[22]。
ゴブリンと戦うための戦術は、『ドラゴン』#275(2000年)のブルース・コーデルによる記事「Vs. Goblins」で説明されている[23]。
Dekanter goblinは、『フェイルーンのモンスター(Monsters of Faerun)』(2000)で登場した。『Races of Faerûn』(2003)では、ゴブリンとDekanter goblinがフォーゴトン・レルムのキャンペーン設定におけるプレイヤー・キャラクター種族として登場した[24]。
ゴブリンのサイオニックな種族であるblueは、『Psionics Handbook』(2001)に登場した。
レイヴンロフトのgoblynは、『Denizens of Darkness』(2002)に登場した。
Dungeons & Dragons第3.5版
ゴブリンは、『第3.5版[注 6]』(2003)の改訂版『MM』に登場する。
blueは、『サイオニクス・ハンドブック(Expanded Psionics Handbook)』(2004)に登場した[25]。
air goblin、aquatic goblin、arctic goblin、desert goblin、jungle goblinは、『Unearthed Arcana』(2004)で登場した[26]。『モンスターマニュアルIII』(2004)では、forestkith goblinが登場した[27]。snow goblinは、『Frostburn: Mastering the Perils of Ice and Snow』(2004)で登場した[28]。dark goblinは『Tome of Magic』(2006)で登場した[29]。vrilとBehnieは『Drow of the Underdark』(2007)で登場した。
レイヴンロフトのgoblynはこの版の『Denizens of Dread 』(2004)で更新されたが、『ドラゴン』#339(2006年1月)の特集「Campaign Classics」にも再登場した。
Dungeons & Dragons第4版
ゴブリンは、『D&D第4版』(2008)の『MM』に登場しており、goblin cutter、goblin blackblade、goblin warrior、goblin sharpshooter、goblin hexer、goblin skullcleaver、そしてgoblin underbossが含まれている。バグベアとホブゴブリンも、第4版『MM』の「ゴブリン」の項目に掲載されている[30]。
Dungeons & Dragons第5版
ゴブリンは『D&D第5版』(2014) の、『Dungeons & Dragons Starter Set』(2014)に収録されているアドベンチャー『ファンデルヴァーの失われし鉱山(Lost Mine of Phandelver)』の、最初の部分に登場する[31]。ゴブリンは第5版『MM』にも登場し、ゴブリンのかしらも登場する[32]。『ヴォーロのモンスター見聞録(Volo's Guide to Monsters)』では、ゴブリン、ホブゴブリン、バグベアが「怪物」の項目でプレイ可能な種族として紹介されている[33][34]。ゴブリンは、『マジック:ザ・ギャザリング』とのクロスオーバー『Guildmasters' Guide to Ravnica』[35]、『Plane Shift: Ixalan』、『Plane Shift: Zendikar』でも、プレイアブル種族として紹介されている。『Mordenkainen Presents: Monsters of the Multiverse』でもプレイアブル種族として紹介されており、こちらではより詳細なバックストーリーや、ゴブリンの敵対バージョン、関連クリーチャーも紹介されている[36]。
解説
D&Dでは、ゴブリンは小型の人型モンスターである[37]。身長は約3ft~3ft0.5in(約91~93cm)、体重は40~45lbs(18~20kg)である。腕は膝まで届きそうだが、直立歩行をする。目は赤から黄色まで様々で、通常は鈍く生気がない。「ひどく醜い」と表現され[37]、尖った耳と広い口のある平らな顔に大きな鼻がある。口には小さいながらも鋭い牙がある。皮膚の色素は濃い赤からオレンジに黄色まで、ほぼあらゆる色合いである。同じ部族のメンバーは皮膚の色が同じになる傾向がある。
社会
ゴブリンは通常、その集団の中で最も強いゴブリンが率いる部族で生活している。これらの部族の規模は4~9人の集団から400人に及ぶ部族まで様々である[38]。大規模な部族の多くはオオカミやダイアウルフを乗騎として飼っていたり、ウォーグと同盟を結んで戦闘に参加したりしている。ゴブリンの部族は通常、文明地域の近くに定住し、食料、家畜、道具、武器、物資を略奪する。ゴブリンの一族のリーダーはゴブリン以外の種族(他のゴブリン類や全く異なる種族)であることが多い。そのようなリーダーはゴブリンを使い捨ての兵士として利用し、自らの目的を達成しようとしている。

ほとんどのキャンペーン設定では、戦争と支配の神である「マグルビイェト」がゴブリンの主神とされている。第5版の書籍『Monsters of the Multiverse』では、彼の背景が拡張され、「マグルビイェトはゴブリン類を征服し」彼らを本来の妖精の姿から堕落させたが、「彼らの本来の神聖な祖先ではなかった」とされている[36]。
ゴブリンが崇拝する他の神々には、奴隷、抑圧の神である「カーゴーバイヤグ」や、団結と領土の神である「バーグリヴェク」などがいる。
他のゴブリン種族の神々には、「Meriadar」(忍耐、寛容、瞑想、芸術と工芸の神)と「Stalker」(憎悪、死、冷気の神)、ホブゴブリンの神「ノモグギーヤ」(戦争と権威の神)、バグベアの神「フルゲック」(暴力と戦闘の神)、「グランクル」(狩猟、隠密、驚きの神)、「スキッガレット」(恐怖の神)、そして「bhukas」として知られるdesert goblinの女神「Kikanuti」がいる。
ゴブリンの亜種族
D&Dにおけるゴブリンの亜種族には、snow goblin、arctic goblin、jungle goblinなどがあり、それぞれ特定の環境に適応している[37]。
ンリブゴ
ンリブゴは、ゲームの説明によると生まれつき魔法の力を持つゴブリンの一種で、ダメージを受けると回復し、回復呪文によってダメージを受ける[39]。さらに、ンリブゴは範囲効果を投影し、その範囲内では意図したすべての行動がねじ曲げられ、まったく逆のことが起こる[注 7]。この亜種族の名前は「ゴブリン」を逆に綴ったもので、この効果の逆転を指している[注 8]。
Verdan
Acquisitions Incorporatedのサプリメントで登場したVerdanは、混沌とした魔法の力との繋がりにより、絶えず魔法の変異を起こすゴブリンの一族である[40]。Verdanは他のゴブリンよりも背が高く、外見も怪物らしくない。生涯を通じてランダムに起こる変異により、目の色、肌の色、髪の色、性別などが変化する。彼らは他のゴブリン類よりもはるかに長生きで、200年以上は悠々と生きる。彼らは遊牧民であり、移動を繰り返すため、他のゴブリン類に比べて意地悪や暴力に陥りにくい。
その他出版社
ゴブリンは、D&D3.5版のルールに基づいた、Paizo Publishingの『Pathfinder RPG』において、頻繁に登場する。『Pathfinder』のゴブリンは、Paizoの書籍『Classic Monsters Revisited』(2008)[41]と『ゴブリンズ・オブ・ゴラリオン』(2011)[42]で詳細に描かれているように、D&Dのゴブリンとは異なる性格をしており、評論家は彼らを「歩く混沌と狂気の塊」と評している[43]。
『Pathfinder』のゴブリンは、PaizoのフリーRPGデイ・モジュール『We Be Goblins!』(2011)、『We Be Goblins Too!』(2013年)、『We Be Goblins Free!』(2015)でも中心的な存在であり、これらのモジュールではゴブリンがプレイヤー・キャラクターとして登場している[44]。また、Dynamite Entertainmentのライセンスコミック『パスファインダー:ゴブリンズ!』にもゴブリンが登場する[43]。
その他メディア
ゴブリンは、D&Dに影響を受けたウェブコミック『Goblins』の主人公である[45]。ゴブリンは、D&Dに影響を受けた別の作品『The Order of the Stick』でも重要な役割を果たしている。主要な敵役であるRedcloakは、「Dark One」として知られる神に仕えるゴブリンのクレリックである[46]。
「Goblin Lair」は、書籍『Dungeon Master 4th Edition for Dummies』のサンプル遭遇の1つとして使用されている[47]。
評価
Screen Rantのスコット・ベアードは、2018年にゲームの「最強(そして最弱)モンスター10選」のリストを作成し、このモンスターを最弱の一つと評し、「ゴブリンはD&Dのチュートリアル戦闘としての役割を果たすため、戦闘では意図的に弱くなるように設計されている」と述べた。ベアードはまた、ゴブリンが初心者キャラクターにとって最も典型的な戦闘の選択肢であるとした[48]。
Bleeding Coolは、ゴブリンを「D&Dの多元宇宙における最も特徴的な種族の選択肢」の一つとし[34]、 Syfy Wireはプレイヤーの「お気に入り」の一つとみなした[49]。一方、Comic Book Resourcesはゴブリンを「プレイすべき10の強力なモンスター種族」リストに挙げ、「ファンタジーの世界ではどこにでも存在し、ヴァリエーションも豊富なので、キャンペーンに組み込めないことはまずないだろう。伝統的なゴブリンはインターネットの荒らしに相当し、小柄で怒りっぽく、いじめられる相手をいじめ、戦いがうまくいかなければ逃げる」と述べている[50]。
ポール・カルザグとローレンス・シックは、ゴブリンをAD&Dにおける「5つの主要なヒューマノイド種族」の1つとした[51]。
シリル・パストーは『Backstab』の中で、ゴブリンが最も低レベルのキャラクターに適した敵だとした[52]。
The A.V. Clubのレビュアー、ニック・ワンセルスキーは『ヴォーロのモンスター見聞録』におけるオークの描写を「思慮深い」と称賛した。彼は「オーク、ゴブリン、コボルドといった定番モンスターは[中略]しばしば単純にまとめられがちだが、本書の細部へのこだわりが、さもなくば簡単に忘れ去られるモンスターに、豊かな個性を与えている」と評している[53]。CGMagazineの寄稿者であるクリス・デ・フーグは、プレイヤー・キャラクター種族として、「モンスターベースの」ゴブリンを「より型破りな」選択肢の一つとみなした[54]。
脚注
注釈
- ↑ D&Dの最も古いルール。今日の目からは非常に簡素で曖昧なもので、後にいくつものサプリメントで補完されていった。現在では「オリジナル」とも呼ばれる。
- ↑ 箱入りだったOD&Dの装丁は、3刷までは"Woodgrain box”(木目色)と呼ばれるものだったが、4刷以降は白い箱となった。
- ↑ 非常にシンプルだった『OD&D』にルールが追加されていくうち、次第にまとまりが無くなってきたため、改めて整理された簡素で入門的なルール。現在では『Classic D&D』とも呼ばれる。より複雑で上級者向けの『AD&D』と、2つの路線での展開が続いた。
- ↑ 非常にシンプルだった『OD&D』にルールが追加されていくうち、次第にまとまりが無くなってきたため、改めて整理された複雑で上級者向けのルール。より簡素で入門的な『Basic set』と、2つの路線での展開が続いた。
- ↑ D&Dの権利を有していたTSRがWizards of the Coastに買収された後、『AD&D第2版』を基に作られた。大幅な変更が多数あり、実質『AD&D第3版』であったが、これ以降は単に『D&D第~版』とだけ呼ばれるようになった。
- ↑ 2000年の第3版発売後、ユーザーからの声などをフィードバックした改訂版として、2003年に発売された。
- ↑ ンリブゴを武器で攻撃する代わりに、仲間を攻撃してしまうかもしれないし、「ンリブゴ憑き」の影響下にある冒険パーティーは、宝の山を略奪する代わりに自分の富を加えてしまうかもしれない。
- ↑ 本来の英語版では、「Goblin」に対して「Nilbog」という名前になっている。
出典
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