シノケファレ

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シノケファレ
生息年代: 92 Ma
Sinocephaleの頭蓋推定図 (発見部位は白い部分)
地質時代
白亜紀後期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
目 : 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目 Marginocephalia
下目 : 堅頭竜下目 Pachycephalosauria
科 : パキケファロサウルス科 Pachycephalosauridae
亜科 : パキケファロサウルス亜科 Pachycephalosaurinae
属 : シノケファレ属
Sinocephale
学名
Sinocephale
Evans et al., 2021
シノニム
  • Stegoceras bexelli (Bohlin, 1953) Kuhn, 1964
種

シノケファレ(Sinocephale)は白亜紀後期に現在の中国内モンゴル自治区に生息していたパキケファロサウルス科恐竜の属の1つである。 名前は、中華人民共和国を表す Sino + 頭を表す cephale に由来する。堅頭竜類の化石は北米(カナダ・アメリカ)と東アジア(モンゴル・中国)でのみ見つかっているが、本属は東アジアで最初に発見された堅頭竜類である[1]。ホロタイプ標本は失われたが石膏によるレプリカが残っていたため研究できた珍しいケースであり、ザヴァケファレが発見されるまでは9200万年前と最も古い堅頭竜類とされていた[2]。

種と分類

この属はシノケファレ・ベクセリ[3](Sinocephale bexelli)という単一の種のみが存在する。種小名は発見者である Gerhard Bexel への献名[1]。

シノケファレ・ベクセリの標本は1929~30年の中国・スウェーデン合同調査隊によって内モンゴルの白亜紀後期の地層から採集された不完全なドーム状頭頂骨であり、1953年に Bohlin により報告された際には(現在では獣脚類とされる)トロオドン属の新種として Troodon bexelli と命名された[4]。発表に先立ち、スウェーデンで研究されたこの標本はその他の多数の脊椎動物化石と共に中国科学院古脊椎動物古人類学研究所(IVPP)に返還されたが、その後これらの標本の大部分は紛失したとされている[5]。その後、1964年にステゴケラス属に移管されている[6]。しかし標本が失われていることから、北米の属であるステゴケラスの一種と見なすことは反対意見も多く、疑問名として研究対象から外されていた[7]。

2021年に Evans たちがアメリカ自然史博物館に保存されていたホロタイプ標本の石膏キャストをプラストタイプ(複製標本)として再評価したところ、他の堅頭竜類とは明らかに異なる形質的特徴が確認できることなどから、有効な種として認識され独自の属であるシノケファレが与えられた[5]。なお、Evans らは、シノケファレ・ベクセリの系統的位置を評価するため既存の51個の形質リスト[8]のうち9つを用いて系統解析を行っている。その結果得られた最大節約法による厳密合意樹において、シノケファレはアクロトルス、スファエロトルス、パキケファロサウルス族等とによって形成されるパキケファロサウルス亜科内のクレード内に位置づけられることが分かった。このようにステゴケラスとは系統的に異なる位置にあることが新属の設立理由でもある。厳密合意樹を以下に記載する[5][9][10]。


プシッタコサウルス・モンゴリエンシス

インロング・ダウンジ

堅頭竜類

ワンナノサウルス・ヤンシエンシス

パキケファロサウルス科
パキケファロサウルス亜科


生態・形態

周飾頭類は、頭骨を上方から見たときに頭骨後部の骨が隠れてしまうくらいに頭頂骨後部が棚状に発達することが特徴である[11]。シノケファレの標本も、頭頂骨後部が大きく棚のように張り出す他、ドーム状の頭頂骨、閉鎖した上側頭窓などのパキケファロサウルス科の特徴を備えている。さらにシノケファレの固有派生形質と考えられているのが頭頂骨後に肥大化した一次結節が存在しない点である。通常、堅頭竜類においては、ドーム状の頭部の周囲をこぶ・とげのような結節が並んでいる。そして頭頂骨の後正中突起は、このような結節列のうち最も内側にある肥大化した結節とつながっているのが通常である(スファエロトルス、フォラミナケファレ、ホマロケファレ、ステゴケラスなど)。しかしシノケファレの頭頂骨部は後正中突起が大きく広がっているにも関わらず、この領域に目立った結節列が存在しない。これらがシノケファレ・ベクセリを定義づける形質であると考えられている[5]。

産地・年代

シノケファレの標本は、中華人民共和国内モンゴル自治区のツォンドリエン・フドゥク(Tsondolien-Khuduk)から採集されたと記録されている[1]。 しかし歴史的にツォンドリエン・フドゥクの位置については混乱が多かった。デイヴィッド・ワイシャンペル(英語版)らは、採取した地層は 民和層(Minhe Formation)であるとした[12]ため、それ以降パキケファロサウルス類を研究する多くの研究者がこの見解を踏襲してきた[7]。しかし、民和層が地表に露出しているのは、中国の甘粛省および青海省における黄河以南の西寧盆地と民和盆地のみである。標本を報告した Bohlin の地図は当該産地が黄河の北側の内モンゴル自治区に位置することを明確に示していることや産地の堆積物が赤煉瓦色をしていたこと等から、産地は民和層ではなくウラン・スハイ層(Ulansuhai Formation)であると結論づけられた[5]。

ウラン・スハイ層の年代は、下位の玄武岩の放射年代測定により白亜紀後期、すなわち約9200万年前(92 Ma)以降(チューロニアン期)に限定されると考えられている[5]。

参照

  1. 1 2 3 Fossil reptiles from Mongolia and Kansu.
    Bohlin (1953)
  2. ↑ “Nature掲載で“身バレしたVTuber”でも話題──最古のパキケファロサウルス類「ザヴァケファレ・リンポチェ」発見 その謎とは?”. 2026年9月5日閲覧。
  3. ↑ 和名は以下の図録の記載に準じた。
    福島県立博物館 (2026)
  4. ↑ トロオドンとステゴケラスの混乱については、w:Stegoceras(英語版Wikipedia)に詳細が記載されている
  5. 1 2 3 4 5 6 Description and revised diagnosis of Asia's first recorded pachycephalosaurid, Sinocephale bexelli gen. nov., from the Upper Cretaceous of Inner Mongolia, China
    Evans et al. (2021)
  6. ↑ “Sinocephale bexelli - The Paleobiology Database”. 2026年9月26日閲覧。
  7. 1 2 A taxonomic review of the Pachycephalosauridae (Dinosauria: Ornithischia)
    Sullivan (2006)
  8. ↑ Ontogeny and variation of the pachycephalosaurine dinosaur Sphaerotholus buchholtzae, and its systematics within the genus
    Wookruff et al. (2021)
  9. ↑ なお、50%多数決ルールでの合意樹は英語版Wikipediaを参照のこと。
  10. ↑ カナ転写表記は属名はWikipedia日本語版の見出しを採用。
    種小名は恐竜学名辞典松田 (2017)による (記載の無い種については、大恐竜展公式図録福島県立博物館 (2026)に準拠した)。
  11. ↑ 恐竜学入門 -かたち・生態・絶滅- 第4版
    藤原・松本 (2025)
  12. ↑ The Dinorouria Second Edition
    Weishampel (2004)

参考文献