テカギイカ科

ウィキペディアから、無料の百科事典
テカギイカ科
生息年代: 鮮新世 - 現世[1]
テカギイカ属の一種 Gonatus sp.
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 軟体動物門 Mollusca
綱 : 頭足綱 Cephalopoda
上目 : 十腕形上目 Decapodiformes
目 : 開眼目 Oegopsida
科 : テカギイカ科 Gonatidae
学名
Gonatidae
Hoyle, 1886[2]
タイプ属
Gonatus
Gray, 1849
英名
armhook squid

テカギイカ科 (Gonatidae) はイカの下位分類群の一つ。太平洋の冷たい亜寒帯海域に広く分布し、豊富に生息している。少なくとも1種は南極海で、2種は北大西洋から知られる。ニセテカギイカ属は、ニセテカギイカ (Eogonatus tinro) のみが分類され、触腕に鉤がなく、歯舌に5列の歯があるため独自の属とされた。アロザイムとミトコンドリアDNAの分子研究によると、テカギイカ属に分類されることが示されているが[3]、ヤワラタコイカのシノニムとする場合もある[4]。

形態

ドスイカの口と腕

形態学的に大きな違いは無い。腕の吸盤は一般的な2列ではなく4列に並んでいる。ほとんどの種で、中心の2列の吸盤は鉤状に変化しており、不規則な多数の小さな吸盤の列で覆われた触腕掌部には、中央に大きな鉤が付いている場合があるが、複数のより小さな鉤が付いている場合もある。ドスイカでは、雌のみが鉤を持つ。触腕を欠くものもいる。ヒカリテカギイカのみが発光器を持ち、眼の腹側周辺部に位置する[5]。

筋肉質で円筒形の体を持ち、非常に柔らかく、赤茶色から紫がかった茶色の皮膚を持つ。腕は太く、鰭は菱形から心臓形で[5]、外套膜の長さの約 50 %から約30 %と、形や大きさは様々である。体長が11 - 40 cm、ほとんどの種は25 cm以下と、中型のイカである。雌の方が大型である。

生態

水深1,328 mで撮影されたテカギイカ
ホッカイテカギイカ

遠洋性で、大陸棚に生息し、種によっては水深4,500 m以上の深さでも遊泳する。習性についてはあまり研究されていないが、日周鉛直運動を行うと考えられている。日中は深海に潜り、夜になると浮上して星の明かりを頼りに餌をとる。テナガタコイカは腕が奇妙に反り返っており、底生生物であると考えられる。

生殖周期についてはほとんどわかっていない。生殖が観察されている種のほとんどは、海底に卵を産みつけ、卵が自然に孵化するまで放置する。モントレー海底渓谷では、テカギイカの雌5匹が、成長中の卵2,000 - 3,000個が入った膜嚢を引きずっているのが観察されている。この行動がテカギイカ科の他の種にも当てはまるのか、この種に特有のものなのかは不明である。

獲物には底生生物と遠洋性生物が含まれ、カジカ上科やポラック属の幼魚などの小魚、オキアミや端脚類などの甲殻類、その他のイカなどを捕食する。共食いも知られる[6]。

テカギイカ科は主にクジラに捕食され、ツチクジラ、イッカク、コビレゴンドウ、イシイルカ、マッコウクジラはテカギイカ科を捕食することが知られている。その他の捕食者には、大型の海鳥、キタオットセイ、ゾウアザラシ、ソコダラ亜科、オヒョウ、サケ科などの大型魚類が含まれる。南の海域では、ウェッデルアザラシやニュージーランドオットセイ、ならびに数種のアホウドリやペンギンに捕食される。

分類

分類には混乱があるが、4または5属に19から21種が分類されている[5]。

脚注

  1. ↑ “Statoliths of Cenozoic teuthoid cephalopods from North America | The Palaeontological Association”. www.palass.org. 2024年6月11日閲覧。
  2. ↑ MolluscaBase: “Gonatidae Hoyle, 1886”. World Register of Marine Species (2024年). 11 June 2024閲覧。
  3. ↑ P. Jereb; C.F.E. Roper, eds (2010). Cephalopods of the World an Annotated and Illustrated Catalogue of Cephalopod Species Known to Date Volume 2 Myopsid and Oegopsid Squids. Food and Agriculture Organization Rome. p. 222. ISBN 978-92-5-106720-8
  4. ↑ “Eogonatus Nesis, 1972.”. Tree of Life Web Project (2014年). 12 June 2024閲覧。
  5. 1 2 3 奥谷喬司. “新編 世界イカ類図鑑”. 12 June 2024閲覧。
  6. ↑ Seibel, BA; Robison BH; Haddock SH (December 15, 2005). “Post-spawning egg care by a squid”. Nature 438 (7070): 929. Bibcode: 2005Natur.438..929S. doi:10.1038/438929a. PMID 16355206.
  7. ↑ Alexeyev, D. O.; Katugin, O. N.; Bizikov, V. A. (2022-04-01). “Taxonomic status of squids of the genus Berryteuthis Naef, 1921 (Gonatidae, Oegopsida) inhabiting the Sea of Japan”. Ruthenica, Russian Malacological Journal 32 (2): 53–59. doi:10.35885/ruthenica.2022.32(2).1. ISSN 2307-7336.

外部リンク