デッドリー・プリモニション2

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デッドリー・プリモニション2:
ア・ブレッシング・イン・ディスガイズ
Deadly Premonition 2:
A Blessing in Disguise
ジャンル オープンワールドミステリーアドベンチャー
対応機種
開発元
発売元 日本の旗 トイボックス
オーストラリアの旗 任天堂 (Switch)
世界の旗 Rising Star Games
プロデューサー 金沢十三男
ディレクター 末弘秀孝
シナリオ
音楽 大久保サトシ
美術
シリーズ デッドリー・プリモニション
発売日
  • Switch:
  • 世界の旗 2020年7月10日
  • Windows:
  • 世界の旗 2022年6月11日
ゲームエンジン Unity
テンプレートを表示

『デッドリー・プリモニション2: ア・ブレッシング・イン・ディスガイズ』(Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise)は、2020年7月10日に発売されたホラーミステリーアドベンチャーゲーム。

「最も評価の割れたサバイバルホラーゲーム」としてギネス世界記録に登録された『レッドシーズプロファイル』の続編である。

概要

前作は日本以外では『Deadly Premonition』(デッドリー・プリモニション)のタイトルで発売されており、日本においても完全版以降はそちらのタイトルが用いられるようになった。本作は完全に「レッドシーズプロファイル」が外され、『デッドリー・プリモニション』のナンバリング二作目として発売されている。サブタイトル「A Blessing in Disguise」は「形を変えた天の恵み」の意味で、一見不幸に見える出来事が予期せぬ恩恵をもたらすことを指す慣用句である。

監督は前作同様にSWERYこと末弘秀孝が務め、脚本も同じく末弘と合田健二が執筆した。アートディレクターは今井秋芳が担当している[1]。日本での販売では前作の完全版以降と同様にトイボックスで、開発はトイボックスと末弘が代表を務めるWhite Owlsとナウプロダクションが行った。欧米ではパッケージ版が発売されているが、日本は前作完全版以降同様にダウンロード販売のみとなっている。

2019年9月5日のNintendo Directで発表され、先行して同日に前作のSwitch移植版が発売された[1]。

2022年にはWindows版(Steam配信)が発売された。前作のSteam版と違って日本語にも対応している。配信開始当初はSteamページの設定ミスによって日本語非対応だったが修正された[2]。

ゲーム内容

今作のストーリーは「現代パート」と「過去パート」の2つに分類される。「現代パート」は前作から9年後の2019年の舞台に、捜査官「アリヤ」の立場となって「ザック」の尋問を行うアドベンチャーパート。「過去パート」はザックの回想という形で14年前(前作から5年前)の2005年を舞台に捜査をするアクションパートとなっており、本作は前作の前日談と後日談の両方の性質を持つ。

ゲームは主に過去パートで進行し、前作同様にプレイヤーはザックの立場となりながらも主人公「ヨーク」を操作し、アメリカの片田舎で起きた殺人事件の真相を追い求める。基本的なシステムは同じで空腹度、汚れ、髭の伸び具合などは健在。「現世」の他にも敵の徘徊する「常世」で戦いながら証拠を集めるゲーム進行も同様だが、変更点も多数存在する。

今作の主な舞台はルイジアナ州にあるアメリカ南部の田舎町「ル・カレ」[3]。前作を超える9キロメートル四方のフィールドとされるが、メインのル・カレ自体は2キロメートル四方も無いような小さなエリアとなっている。今作では設定や世界観にブードゥー教の要素が見られる。

前作からの変更点

  • 山間で入り組んだ地形だった前作のグリーンベイルとは対照的に、今作のル・カレは平坦で開けた町並みとなっている。
  • 自動車は廃止され、代わりにスケートボードが登場[注釈 1]。屋外であればいつでも乗れ、カスタマイズも可能。当然、燃料の心配はなくなったが耐久度は健在であり、壊れると乗れなくなる。修理、カスタマイズは特定の場所で可能。
  • 今作では事件に関わる常世は「特異点」(シンギュラリティ)とも呼ばれ、同じく敵と戦いながら進み、事件のプロファイリングを行う。前作同様、深夜0時から早朝6時までは町全体が常世化し、「赤い影」という敵が徘徊するようになる。
  • 近接武器や銃火器の種類の廃止。武器はゴム弾を撃つ拳銃「Mr.アリゲーター」のみとなった。ゴム弾であるため、前作と異なり街中でも発砲が可能となり、野生動物のハンティングやアイテムを吊り下げたUFOを撃ち落とす要素が追加された。
  • 常世(特異点)ではMr.アリゲーターが「精神銃」に変化し、クリーチャーを倒せるようになる。精神銃は集中力を消費してロックオンショットが可能であり、集中力は時間経過や飲み物で回復する。使用する弾はMr.アリゲーターと同じ。
  • 眠気度は廃止されたが、眠らないと睡眠不足のステータス異常が発生するので睡眠は必要である。
  • 服の汚れに加えて主人公の悪臭度が追加。前者は前作同様にクリーニングで、後者はシャワーを浴びて解消する。汚れや臭いを取るアイテムも存在する。
  • 各所にあるドラム缶に火を点けると、野生動物や赤い影が寄ってこないセーフエリアとなる。野宿をすると風邪や悪寒のステータス異常に罹る可能性があるが、セーフエリアではその心配も無い。
  • ゲームはクエスト形式となり、本編となるメインクエスト、住民から直接受注するサイドクエスト、保安官事務所の掲示板から受けるフリークエストに分類された。一方、サイドクエストは前作と違って受注場所や依頼人が開示されなくなり、住民の現在地も参照できなくなった。
  • 前作は1日の終わりやチャプター終了時のみ手当の支払いと差し引きが行われたが、今作では影響する行動を取ると罰金や報奨として即座に行われる。
  • ファストトラベルに特定のアイテムが必要だった前作と異なり、タクシーを呼ぶことで無条件に行える(有料)。タクシーはホテルの他、各所にある風船から呼び出せる。
  • アイテムや証拠の場所、正しい選択肢を見極める「ヴィジョン」の追加。発動には集中力を消費する。ヨークだけでなくアリヤも使用可能。
  • 装備して恩恵を得る「呪具」の追加。ただし、主人公自身が身につけるのではなく自室にある祭壇に祀る形で装備する。
  • 実績、トロフィーに相当するスタンプが追加。
  • トレーディングカードは廃止された。

あらすじ

プロローグ

2018年12月31日。ニューオーリンズ付近の田舎町「ル・カレ」で氷漬けの少女の遺体が発見された。それから88時間後。FBI捜査官のアリヤ・ディヴィス、サイモン・ジョーンズはボストンの古びたアパートを訪れた。そこで二人を待ち受けていたのは、多くの難事件を解決してきた元FBI捜査官のフランシス・ザック・モーガン。アリヤは事情聴取と称して尋問を開始するが、彼の掴み所のない態度に手間取り、やがてザックが14年前に解決した事件を持ち出す。

記録によると、2005年のル・カレ。カトリーナが襲う少し前のその町でザックは重大事件に遭遇し、地元警察から捜査権を奪った末に数人の犠牲者を出しながらも犯人を特定したという。例の氷漬けの死体はその事件の被害者リース・クラークソンのものであり、14年間行方不明だった。アリヤはザックの運命を変えた2010年の「グリーンベイル事件」、そして二つの事件を結ぶ「レッドツリー」の写真を見せる。興味を示したザックは14年前の事を語り始める。その当時、彼には親友にして心から通じ合えるもう一人の自分「ヨーク」がいた。

殺人事件

2005年、ヨークはFBI捜査官としてアメリカ南部で出回っている新興ドラッグ「S・R」(サンルージュ)を追っており、ニューオーリンズが出所だと睨んで休暇がてらル・カレを訪れていた。ル・カレでは地主P・J・クラークソンの孫娘であるリースが殺害されるという事件が起きており、S・Rとの関連性を感じたヨークは捜査権を保安官から奪おうとするが、その際に保安官の娘である生意気な少女パトリシア・ウッズと出会い、ある「契約」を結ばされる。その後、彼女の父である保安官メルヴィン・ウッズから捜査権をあっさり譲り受け、強引に協力を申し出たパトリシアを連れてヨークは捜査を開始する。

リースの遺体は市内の冷凍倉庫に安置されていたのだが消失しており、ヨークはそこで「3メートルはある巨人」が死体を運び去ったという信じ難い結論を出すが、その場で一番大きい従業員のエイブリー・スミスも2メートル程度であった。死体の行方は分からなかったがクラークソン家が事件に関わっている手掛かりを掴み、ヨークは捜査を進める。やがて行き着いたサトウキビ農場の管理小屋では、向こう側の世界「常世」への道「特異点」が発生しており、乗り込んだヨークはそこで犯人はリースの母のガリーナである事実を知り、「赤い木」によって魔女と化したガリーナを倒す。しかし逮捕されたガリーナは翌日、留置所で惨殺されていた。

プロフェッサーR

ヨークはリース殺害現場にいたとされる「スタイリッシュな女性」こと「プロフェッサーR」を追い、良くも悪くも個性的な住民に振り回されながらも着実に情報を得ていく。プロフェッサーRはクラークソン家の元長兄であり、今はレナという女性であった。そしてレナこそがS・Rを製造した張本人であり、妹のガリーナを操っていた黒幕だった。レナと対面したヨークはその悪行を咎めるが、睡眠薬を盛られて倒れてしまう。

レナはクラークソンの血を浄化するという目的のため、父を殺すべくクラークソン家に向かう。追ったヨークは特異点を突破し、魔女となって待ち受けていたレナを倒す。しかし結局、レナは多くの謎を残したまま父と共に爆死。同時にメルヴィンは寝たきりの妻・キャンディと共に姿を消し、パトリシアはただ一人残されていた。

豊穣の女神

メルヴィンの行方と事件の真相を追い、ヨークはパトリシアと捜査を続ける。やがてプロフェッサーRの研究室を発見したヨークは彼女の計画を知るも、何者かに殴られて気を失い、パトリシアを連れ去られてしまう。ヨークはこれまでの情報から、メルヴィンがレナの共犯者であり、今もその意志を継いで行動している事、そしてその為にパトリシアを連れ去った事に気付く。キャンディはクラークソン家の長女であり、実の弟であるレナとの間に生まれたのがパトリシアだった。

メルヴィンの待つ舟屋に乗り込むと、そこには異常に肥大化したキャンディとトランス状態になったパトリシアがいた。メルヴィンはレナの計画を完遂するべくパトリシアの命と引き換えに、キャンディを「豊穣の女神」に転生させようとするが直後に落雷によって舟屋は炎上。それでも計画を諦めないメルヴィンだったが、パトリシアの言葉で家族を愛する心を思い出し、「娘」をヨークに託してキャンディと共に死亡する。両親を失い、咽び泣くパトリシアをヨークはただ抱き止めて撫でることしか出来なかった。

こうしてル・カレの事件は収束したが、直後にハリケーン・カトリーナが襲来。ル・カレも多大な被害を受け、多くの命が失われ、事件の証拠もまた全て吹き飛ばされてしまった。その後、パトリシアはクラークソン家に引き取られ、やがて家督を継いだという。そして2010年のグリーンベイル事件で、ヨークとザックは離れ離れになってしまった。

最終決戦

2019年。ザックへの尋問を続けるアリヤだったが、真の目的は行方不明になったパトリシアを探すことであり、あまりに不審な点が多いザックこそが誘拐の、そして一連の事件の真犯人と睨んでいたのだ。その証拠を掴むべく隙を突いて寝室を調べるも怒ったザックに襲われ、やむなくサイモンが彼を拘束。しかし、実はパトリシアの誘拐犯にしてリースの遺体を持ち去った犯人はエイブリーである事が判明し、ザックは真意を明かす。彼は最初から真相に気付いており、自分の命が尽きる前にパトリシアを救い出そうとしていた。彼女を救えるのは自分だけだと解放を訴えるザックだが、話を信じきれないアリヤは拒む。しかし、尋問を受けながらザックは水面下でサイモンに向けて手を打っており、意思を理解して汲み取ったサイモンはザックに協力。アリヤを一時拘束してザックはル・カレへと飛び立つ。

常世と化した冷凍倉庫に乗り込んだザックはエイブリーと対面。赤い木の力で魔人へと変貌したエイブリーをなんとか倒したザックだが、病魔によって体が限界を迎える。その時、捕らわれていたパトリシアが突如ザックを罵り、彼が最も聞きたくなかったエミリー・ワイアットの名を言い放つ。絶望の淵に追い落とされたザックの前にグリーンベイルで倒したはずのフォレスト・ケイスンが現れ、追い詰められたザックは憎き仇敵の手を取ってしまい、怪物に変貌する。操られるままパトリシアを殺そうとするザックだったが、駆けつけたアリヤの銃撃で元の姿に戻る。正気に戻ったパトリシアはザックに駆け寄る[注釈 2]が、ケイスンに操られたアリヤがザックに向けて発砲する。咄嗟にそれをパトリシアが庇った時、奇跡が起き、ヨークが現世に現れた。困惑するパトリシアの前でヨークとザックは融合。ケイスンは傀儡のアリヤと共に襲い掛かるも、再び一つとなったヨークとザックの前に敵は無く、敗れたケイスンは今度こそ完全に消滅する。

エピローグ

ケイスンは倒したものの、ザックの命も消えかけていた。パトリシアはザックを助けるようにヨークに訴え、彼女の「ルール違反」を聞き入れたヨークはザックの病魔を消し去り、彼に礼を伝えるようパトリシアに頼んで消えていった。こうして14年に及ぶル・カレの事件、そして「赤い種子」を巡る長き因縁は本当の終結を迎えた。後日、ザックとリモート通話をするパトリシアはやる気に満ち、夏になったら遊びに行くと告げて通話を終える。そしてザックもまた、人生への希望に満ち溢れていた。

登場人物

主人公

フランシス・ヨーク・モーガン
声:ジェフ・クレイマー
本作の主人公の一人。ザックの別人格にして無二の親友。過去パートでは前作に続いて操作キャラクターとなる。FBI捜査官として優れた洞察力と身体能力を持ち、独自のプロファイリングで事件を紐解くことに定評がある。しかし前作の数年前の時点から空気を読まない飄々とした態度は健在で、エキセントリックな面や変人ぶりも同様。前作よりも若い時期だからかデリカシーのない無遠慮で失礼な発言も多いが、犯罪を憎む意思は強い。社会的弱者に対しての偏見を激しく嫌悪するなど彼らへの理解も深い一方で「自由と同じく罪と罰も等しくのしかかる」と語っており、どのような境遇であってもそれを免罪符とすることは決して許さない。映画とコーヒーをこよなく愛する。
ル・カレの事件の後はパトリシアをダニエルに任せてすぐに町を後にし、その5年後のグリーンベイル事件で現世を去った。しかし最終局面にて再び現出し、ザックと共にケイスンを倒して全ての因縁に決着を付けた。戦いの後は一度はザックの死を受け入れて去ろうとするが、パトリシアの訴えに「ルール違反は1度だけだ」と応え、ザックの命を救った。その後はザックへの感謝と別れの言葉を残して完全に現世から消えたと思われたが、エピローグではザックがパトリシアとの通話の傍らでヨークともチャットをしている様子が映る。
フランシス・ザック・モーガン
声:ジェフ・クレイマー
本作の主人公の一人。元FBI捜査官であり、ヨークの無二の親友にして本来の人格。数々の難事件を解決した伝説的捜査官として知られるが、グリーンベイル事件の後、2年の療養休暇を経て復帰したものの自身の希望から内勤に転属。40代を迎えてすぐに引退したが、現在ではステージIVの進行性悪性腫瘍によって余命幾許も無い状態にあり、生気の失せた顔色と痩せ細った体から死人のような印象すら与える。「聖域」と呼ぶ場所に固執したり「マイ・フェアリー」と呼ぶ何かに語りかけるなど、理解し難い行動や真意の読めない言動を繰り返し、アリヤの痛烈な追求も全く堪える様子もなく躱し続ける。過去パートはザックの回想という形で語られ、過去においては前作同様にプレイヤーはザックの立場でヨークの捜査を体験する。最終エピソードでは再び操作キャラとなる。
グリーンベイル事件の後、相棒ヨークと共に「向こう側の世界を見る」能力も失い、それまでのような捜査が出来なくなった。何とか能力を取り戻そうと手を尽くしたものの上手くいかず、FBIを辞職して独自に「赤い種子」に関する情報を集めていた。しかし気付いた時には癌が進行しており、絶望するが、皮肉にも生命の危機が切っ掛けで能力を取り戻す。やがて赤い種子とS・Rが同じルーツだと気付き、再びル・カレに赴いたもののバッジも拳銃も持たず、病魔にも犯された身では何も成せず、無力感に苛まれながら帰るしかなかった。グリーンベイル事件でエミリーを救えなかったトラウマとヨークを失った喪失感、そして蝕む病魔によって自ら死を望むほどだったが、パトリシアを救うという最後の仕事を終わらせるまではと必死に延命処置を行っていた。
アリヤへの情報提供者の正体でもあり、「F・K」[注釈 3]と名乗ってS・Rについてクラークソン家を調べるように情報を送っていた。その結果、アリヤはリースの遺体を発見し、エイブリーの暴走を招く結果となった。それを見抜き、自らパトリシアを救い出すべく尋問の裏で密かに手を打っていた。
冷凍倉庫では病魔の進行とケイスンの策略に追い詰められるが、再び現れた親友ヨークと協力して宿敵ケイスンを倒した。その後、体が限界を迎えるもヨークによって救われ、エピローグでは生気に満ちた健康体となっていた。

FBI捜査官

アリヤ・ディヴィス
声:メラ・リー
FBI特別捜査官。観察眼と頭脳に優れた優秀な捜査官で正義感も強いのだが、負けん気が強いあまり礼儀知らずな態度を取ることも多い。また、頭脳明晰が過ぎる故に頭で理解できないものを理解しようとしないなど常識に捕らわれ過ぎるきらいがあり、理に適わない人間の感情などは読み違える場合も。プライドも高く、他人の性差別的な言動にも非常に敏感。隠しているがプログレッシブ・ロックのファンであり、特にピンク・フロイドは熱弁するほど好き。ザックのアパートを訪れて尋問する。現代パートは基本的に彼女の視点で体験するが、移動パートは一定方向にしか動けず、尋問時には調べるポイントを選ぶのみというノベルゲームに近い形式となる。
13歳の時にハリケーン・カトリーナに被災しており、家と両親を失っている。その際に弟と身を寄せていた避難所で同じように家族を亡くした大学教授と出会い、様々な教えを受けたこと。加えて、その教授の愛読書であったニーチェの著書を読むうちに現在の人格が形成されていった。その後、祖母の家に引き取られて育ったものの弟もS・Rに蝕まれたことで、S・R撲滅に躍起になっている。
ザックのそれまでの経歴や事件解決の手腕があまりに現実離れしていたことなどから、彼自身が一連の事件に深く関わっていると睨んでおり、リースの遺体消失もパトリシアの誘拐も全て彼の仕業だと考えていた。最終的にザックの説得にも耳を貸さず自白を迫るが、サイモンの協力を得たザックに逆に制圧される。その後は全ては納得しないまでも真実を受け入れてル・カレに追いかけ、怪物化していたザックの暴走を止める。しかしケイスンに操られてしまい、ラストボスの一人となるが、最終決戦でアリヤを死なせてしまうとゲームオーバーとなる。
ケイスンが倒されると正気に戻り、エイブリーを逮捕。事件解決への貢献が認められ、FBI本部への移動と念願のS・R捜査班への配属が決定した。また、弟は回復の兆しが見えてきたらしい。
サイモン・ジョーンズ
声:クリストファー・コーリー・スミス(英語版)
FBI特別捜査官でアリヤの相棒。シカゴ出身。情報分析が専門で現場は不慣れで、アリヤに振り回されるなど頼りなさげな姿が目立つも、かつては捜査の鬼と恐れられた敏腕捜査官だった。また、年齢と経験を重ねているだけにアリヤとは対照的に柔軟な発想が可能であり、時には的を得た発言もする。現在では4年半に渡ってザックの家を監視するという閑職に甘んじており、いつもナンプレで暇を潰していた。無類のピザ好きで、映画の趣味もザックと気が合う。
アリヤが頭からザックを犯人と決めて掛かる一方、彼の話の筋が通った部分を受け入れており、ザックにも優秀さを見込まれて密かな取引を持ち掛けられ、真犯人とされるエイブリーを独断で監視させていた。最後は真意を明かしたザックの話に困惑しながらも「ピザ」を根拠にザックを信じ、協力した。
事件後は分析官としてボストン支局に返り咲き、最新鋭のコンピューターと自室も与えられたものの大きな事件を任される訳でもなく、またもナンプレで暇を潰す日々だという。

ウッズ家

パトリシア・ウッズ
声:カサンドラ・リー・モリス(英語版)
ル・カレに住む地元保安官の娘。2005年時点で10歳。愛称は「パティ」。年不相応に知己に富み、大人びた言動と物怖じしない態度でヨークすら唸らせるが、非常にませた性格で生意気な言動も目立つ。惨殺死体すらも「ドラマで見慣れている」と言うほど肝が据わっているが、一方でアニメや童話の世界を信じているなど子供らしい一面も。父には「クレバー・リトル・ガール」の頭文字を取って「CLG」と呼ばれているが、本人はしっくりこないと思っている。ヨークの路上喫煙を注意した際に「世の中にあるすべての悪いことから君を助けることを約束する」という契約を結ばれたことを機に一方的にヨークの相棒を名乗り、捜査を手伝おうとするが、ヨークのあまりの変人ぶりについていけなくなる場面も見受けられる。『フルハウス』『フレンズ』『ビバリーヒルズ青春白書』など、上の年代のドラマを好む。母の連れ子であり、父とは血が繋がっていない。
クラークソン家の長女であるキャンディと、長男であったレナの近親相姦によって生まれた私生児。2005年時点では茶髪に染めているが、本来は金髪である。自身の血については知っており、メルヴィンが儀式を行おうとした際には自分が犠牲になってまで両親を救おうとした。しかしメルヴィンとヨークによって逃がされ、両親が死亡したことで身寄りをなくし、ダニエルの養子となる形でクラークソン家に戻る。その後は成人を迎える前に家督を継いだが、2018年には部屋に閉じこもりがちだったという。また、成長後はストーカーにも悩まされており、2018年の年末に行方不明となる。
少女時代から生前のリースと面影が似ており、リースの遺体を奪われたエイブリーによって新たな女神とするべく誘拐された。冷凍倉庫の奥にて、20代になった姿でザックと対面するもケイスンの策略に利用される。しかし彼女の行動がヨークの復活という奇跡を起こし、最終決戦では少女時代に書いた契約書が強力な武器となる。ケイスンとの決着後は死に逝くザックを救うように[注釈 2]ヨークに懇願し、かつての契約を破棄して「私があなた達を世の中の悪いものから守る」と結び直すと訴え、承諾させた。
メルヴィン・ウッズ
声:オギー・バンクス(英語版)
ル・カレの地元保安官でパトリシアの父である黒人男性。事ある毎にキャッチフレーズを付ける癖があるなど、ノリが軽く調子のいい性格。娘のパトリシアの方がしっかりしているように見えるほどで、保安官としても優れているとは言い難く、殺人事件は荷が重いとしてヨークにあっさり捜査権を引き渡す。娘とは気が合わないようにも見えるが実際は互いに深い愛情を持っており、パトリシアがヨークと行動する様も温かく見守っている。
実はプロフェッサーRの共犯者であり、事件の黒幕の一人。ひょうきんな道化を演じながら、事件の裏ではリースの遺体を祭壇に祀ったり、ガリーナを口封じに殺害するなど暗躍していた。少年時代からレオナルドだった頃のレナに憧憬を抱いていたが、やがて別人となって戻ってきたレナに一瞬で心を奪われ、全てを捧げることを決意。キャンディを誘惑して手の内に引き摺り込み、結婚した後もレナの計画に全面的に協力していた。レナの死後も彼女の計画を完遂させるべく、パトリシアを殺して「豊穣の女神」を完成させ、自身が南部の王となろうとしたが、自ら犠牲になろうとするパトリシアの姿に正気を取り戻し、舟屋の崩落からパトリシアを守る。最後はヨークにパトリシアを託し、家族を愛していると告げてキャンディと共に川底へと沈んでいった。その後、キャンディ共々亡骸はカトリーナによってどこかへ飛ばされてしまった。
キャンディ・ウッズ
パトリシアの母でメルヴィンの妻。町一番の美人とされるが、現在は重い病気で寝たきりになっているという。
実はクラークソン家の長女。元より家督には興味がなく、性にも奔放な性格であったためにメルヴィンとの恋愛の末に家を出た。しかしそれ以前に実弟であるレナ(当時はレオナルド)と関係を持ち、娘のパトリシアを出産している。
定期的にS・Rを受け取るなど、レナとの歪んだ愛情による関係が続いていた。レナの崇拝する「豊穣の女神」の正体でもあるが、民衆を導く偶像に仕立て上げられているに過ぎず、長年メルヴィンにS・Rを摂取させられ続けた影響で自力では起き上がれないほどに肥満化し、呼吸器なしでは呼吸すらままならない状態となっている。事件終盤にはメルヴィンによって「赤い木」の蕾に入れられるが、変異する前に舟屋に雷が落ちて炎上。最後はメルヴィンと共に川底に沈んでいった。

クラークソン家

リース・クラークソン
ケイリー・ミルズ(英語版)
14年前にル・カレで起きた殺人事件の被害者であり、ル・カレの地主であるクラークソン家の孫娘。享年16歳。元女優の母譲りの美貌の持ち主だが、瞳の色は父譲りであった。死の直前、「ものすごく大きな人影」にストーキングされていたらしい。遺体は小川の橋の下に作られた祭壇にバラバラの状態で祀られていた。ル・カレには遺体安置所が無く、やむなくクラークソン・フードデリバリーの冷凍倉庫に安置されていたがヨークが来る数日前に行方不明になり、2018年の年末になってクラークソン・フードデリバリーの冷凍倉庫にて氷漬けの状態で発見された。
S・Rによって心身を蝕まれており、自ら身を差し出すような形で殺された。四肢を切断された際も意識ははっきりしていたという。
エイブリーによって「女神」と神聖視されており、ストーキングも遺体を持ち去ったのも彼の仕業である。その後、14年に渡って冷凍倉庫の地下に密かに祀られていたが、「F・K」のタレコミを受けたアリヤがS・Rの性質(精製には極寒の環境が必要)から冷凍倉庫を捜索したことで発見に至った。事件解決後は改めて葬儀が執り行われた。
ダニエル・E・クラークソン
声:ベン・プロンスキー(英語版)
リースの父で、通称「ダニー」。フロリダ出身の元タレント事務所社長で、クラークソン家には婿養子で来た。クラークソン・フードデリバリーの冷凍倉庫の経営責任者を務めている。粗暴な性格だが妻子は大切に思っており、その態度もヨークに言わせれば「婿養子なのにクラークソン家っぽく振る舞っている」との事。ガリーナが逮捕された後は彼女の無罪を主張しては真犯人を見つけて殺すと嘯き、養親父であるクラークソンに兵隊を貸すように頼むも、クラークソン家としての覚悟を示すように言われ、右腕を無理矢理ワニに喰わされた。
クラークソンの死後は酔っ払って自暴自棄になるも、ヨークに「もう虎の威は借れない」と知らされて泣き、再び会った時には別人のように穏やかに改心していた。メルヴィンの死後はパトリシアの養父となる。他者を補佐する事に手腕を発揮するタイプであり、成長したパトリシアに家督を譲った後は補佐に専念するようになり、2018年には町の住人からも「隻腕のダニー」と呼ばれて尊敬されている。2005年当時の資料には「女を口説くしか能が無い優男」と記録されており、サイモンも「最初に殺されそうなタイプ」と評しているが、2018年の彼に会ったアリヤは「実力者としての威厳を感じた」と語っている。
ガリーナ・クラークソン
声:ケイト・ヒギンス(英語版)
クラークソン家の末娘。リースの母で、ダニエルの妻。元女優の美女だが、赤い派手なドレスを着込んで遊び回っている。非常に口が悪く粗暴な態度を取り、「人形」と呼ぶ何かに固執している。カリフォルニアでの活動中、映画にも何本か出演した経験があるが名前が出ないばかりか服もまともに着せてもらえないような役ばかりであり、そればかりか衣装や台本を切り裂かれる虐めを3年間も受け続けた末にスタイリストのミスで髪を切られている。挙句、自称大物プロデューサーに騙されてポルノ映画に出演させられかけた後に地元に帰ってきた。この経験からハサミに対してトラウマを持っている。
実はリース殺害事件の犯人。「新しい世界」を作る計画と称して実の娘を惨殺し、祭壇に祀った。彼女が言う「人形」とはリースの事である。その様はヨークに「これまでのどんな凶悪犯罪よりも悍ましく醜悪、そして最低の事件」と言わしめた。サトウキビ農場の管理小屋に発生した特異点の奥で「赤い木」の蕾に入った胎児のような姿となり、ヨークを待ち受ける。
蕾から出ると巨大な右腕を持つ「魔女ガリーナ」へと変貌する。ヨーク曰く「その姿ならハリウッド映画に(主人公に倒される醜悪なモンスターとして)引っ張りだこ」。ヨークとの戦いに敗れて元の姿に戻り、逮捕されるも心身喪失状態ということで留置所に拘留される。しかしその翌日、四肢をバラバラにされた無惨な死体となって発見された。後にメルヴィンによって殺害されていたことが明らかになる。
ザックの推理では、リースを本当に愛していたが故にクラークソン家を継がなければならない彼女の将来を案じ、恐怖した結果、赤い木に付け込まれて凶行に及んだとされる。
フィリップ・J・クラークソン
声:デイヴィッド・ロッジ
クラークソン家の家長。左目に眼帯を付けた強面で、老いても尚、周囲を威圧する存在感を感じさせる。ダニエルに覚悟の証として右腕を差し出すように命じるなど、常軌を逸した面がある一方、クラークソン家の腐敗と没落は痛感しており、100年続いた家も自分の代で終わると予感している。
最後は息子であったレナに屋敷を襲撃され、致命傷を負わされながらもレナの苦しみを理解できなかった事、接し方が分からず上手く愛してやれなかった事を謝罪するが最後の言葉を言い終わる前にとどめを刺された。
プロフェッサーR / ヘレナ・ドーマン
声:ビリー・カメッツ(英語版)
クラークソン家に対抗する活動を行っている人物で、ヨーク曰く「スタイリッシュな女性」。通称「レナ」。トランスジェンダーであり、かつてはクラークソン家の長兄レオナルド・クラークソン(通称・レニー)であった。子供の頃から体と心の乖離を感じていたが閉鎖的な田舎故に差別と嘲りを受けて育ち、特に父親からは「身を焼き尽くすような憎悪」を受けていた。その境遇から後継ぎの座とレオナルドとしての自分を捨ててクラークソン家を飛び出し、海外に留学。「レナ」となって帰ってきたが、それでもル・カレの住民には腫れ物を触るような扱いを受けていた。ヨークの中にあるザックの存在に気付いているかのように振る舞う。
S・Rの元締めであり、作り出した張本人であり、ル・カレで起きた一連の事件の黒幕。ある"セールスマン"に啓示と共に与えられた「赤い魂」と呼ばれる力を使って世の中を変えることを目論み、「豊穣の女神」を祭り上げてルイジアナ州を支配するべく行動している。同時にクラークソン家の血を「呪い」と呼ぶほど憎悪し、その浄化と称して今回の事件を起こした。ヨークは彼女の境遇そのものには理解を示しながらも、数々の犯罪行為には怒りをぶつけている。
最後は生家であるクラークソン家に乗り込み、常世の奥にてクラークソン家の紋章であるトンボのような「魔女レナ」と化してヨークと対峙。自身の思想を全否定するヨークに怒りと共に襲い掛かるも敗北する。その後は瀕死のクラークソンの前で爆弾を見せつけるが、死に際の父に謝罪されながらも「もう計画は止められない」と言い、血の涙を流しながら爆死した。クラークソン家の跡取りらしいカリスマ性と炎や薬品に関する知識が豊富だったが、それらは犯罪にしか使われなかった。
実はレオナルドだった頃に姉であるキャンディと肉体関係を持っており、その結果生まれたのがパトリシアである。ガリーナがリースを殺したように自身が娘のパトリシアを殺し、ガリーナと共にクラークソンを殺し、最後は二人で命を断つという「親による子殺し」「子による親殺し」「自らの死」によって血の浄化を成し遂げようとしていた。しかし実はこれらは啓示を与えたケイスンの「南部を赤の王国に変える」という思惑によるものであり、実態に気付いたレナは密かに計画が破綻するように仕向けていた。最期まで気がかりとしていたのは娘のパトリシアであり、彼女のその後の人生を憂うと同時にエイブリーが暴走する可能性を懸念し、ヨーク(ザック)を「道化の王」と呼んで希望を託していた。

ル・カレの住民

デヴィッド・ジャワラ
声:ジョン・エリック・ベントレー
ル・カレのホテル「カーサ・パインアップル」のシェフ兼ベルボーイ兼コンシェルジュ。業務に応じて人格が変わる多重人格者であり、ヨークは「仕事が人格を作る」として「奇妙だが理解は出来る」と語っている。しかし人格間で記憶の共有や情報交換は一切せず完全に別人として振る舞うので、話を聞きたい人格以外の時に会っても全く話にならない。
アレクサス・ジャワラ
声:サンドラ・ベントン
デヴィッドの妹で、ボウリングレーンを備えた飲食店「レストラン アレクサス」の店長。「少しでも古き良き時代を思い出せたら」と考えて昔の写真を店内に飾っている。生前のリースからストーカーについて相談を受けていた。
ミセス・カーペンター
声:フィルセ・サンプラー
迷信深い老婆。亡き夫との約束と言ってレストラン アレクサスに一つしかないボウリングのレーンを10年以上占有し続けており、頼まれても決して他人に使わせようとしないという厄介な人物。その迷信深さは家の植木や愛犬の尻尾までボウリングのピンの形に刈り込んでしまうほど。
ザ・ミラー
声:カーク・ソーントン
ブードゥショップ「エジリ・フレーダ」の店主。店の雰囲気と同様に怪しい人物であり、訪れたヨークに奇妙なオブジェを売りつけるが、それが役に立つ。店では装備用の呪具が変えたり、集めた素材で新たな呪具が作れる。
エイブリー・スミス
声:アーメン・テイラー
クラークソン・フードデリバリーの従業員で、2メートルを超える巨漢。知的障害を持ち(メルヴィン曰く「頭の中は幼稚園児みたいなもん」)、好きな女性に構ってもらいたいあまり加減を知らない「イタズラ」をしては、事情を知らない人間に通報された経験があるが、メルヴィンはいい奴と評している。本人曰く「偉い先生」の研究を手伝っているという。
実はリースの遺体を持ち去った犯人であり、生前のリースを付け回していたストーカーの正体。「赤い魂」による肉体的特徴の強化で一時的に3メートルを超える大男になれる[注釈 4]。惚れ込んだリースを「女神」と崇拝しており、彼女に言われるがまま協力していた。しかしリースの死後は喪失感のあまり制御不能に陥ったため、レナにリースの遺体を与えられた。その後は不凍液でもあるS・Rの原液をリースの体液と入れ替えて冷凍し、14年にも渡って愛で続け、同時にS・Rの密造流通を続けていた。しかしアリヤによって遺体が発見・回収されたことで、今度はリースと面影の似ているパトリシアを新たな「女神」とするべく誘拐した[注釈 5]。
良くも悪くも純粋な性格を利用された格好となったため、冷凍倉庫でザックに自首を勧められるが、拒否して自らS・Rの原液を浴び、ザックに襲い掛かる。敗北すると今度は赤い木の蕾に入り、10メートルを超える巨大な少年の姿をした「魔人エイブリー」と化すがまたも敗北して元の姿に戻る。戦いの後はアリヤによって逮捕され、S・Rの密造、リースの遺体遺棄、パトリシアの誘拐など計11の罪で起訴されてそれらを全面的に認め、懲役381年の刑となった。
レイヴン・ヤッホー
声:モーガン・ベリー(英語版)
「スピードウィッチ」と呼ばれる走り屋の女性。ジャズバーではドラムを担当している。登録型配車サイトを立ち上げ、一般人の運転手を登録させて依頼人に最も近い運転手を向かわせるという、「どんな公共機関よりも便利でどこのタクシー会社よりも早い」(本人談)事業を立ち上げようとしている。しかし肝心のサイトも適正料金も決まっておらず、そもそもそれが適法か否かもよく判っていない有様であり、現在は自分が実際に客を乗せて空気感を掴もうという運営云々以前の状態である。ヨーク曰く「押しの強い白タクにしか思えない」。ヨークの噂を聞きつけ、捜査への協力を申し出る。作中ではタクシーとして有料のファストトラベルとなり、各地に運んでくれる。
タイローン・サンダース
声:ボウ・ビリングスリー(英語版)
医療施設も兼ねたル・カレ福音教会の神父で、医者も兼任している。ジャズバーではピアノ担当。ミセス・カーペンターを「憐れな人物」と呼んで救いの手を差し伸べようとしている。しかし自身も「主の導き」と嘯いて住人達にそれぞれ手製の楽器を手渡しているが、それを作るために相手の都合もお構いなしに(理由も知らせずに)材料を集めさせるなど、非常に厄介な人物である。作中でもプロフェッサーRに接触しようとしたヨークを強引に従わせ、しばらく捜査をストップさせられる羽目になる。住人にも尊敬されていないばかりか「会うと面倒なことになる」と評判であり、あまりの奔放ぶりは真面目に付き合っていたヨークすら溜め息を吐いたほど[注釈 6]。
エマ・サンダース
声:ケイト・ヒギンス
タイローンの養女であるスケボーマニアの高校生。ジャズバーではウッドベース担当。リースの親友であった。一人称は「ボク」。スケボーはトリックだけではなくメンテナンスにも長けており、彼女の元を訪れると修理やカスマイズが可能。
チャック・トンプソン
声:ディノ・トンプソン
小人症の漁師。湿地帯でザリガニの養殖を行っている。リースの遺体の第一発見者。レオナルドだった頃のレナと親友であり、彼女が出ていってからはクラークソン家はどんどん駄目な方向に向かっていると語る。以前から不審な密漁船に悩まされており、正体を探るべくその後を追った結果、リースの死体を発見した。ヨークに対しても当たりが強く、やがて協力を拒むようになるが、水切りが上手い人間は信用するという考えの持ち主であったため、ヨークが腕前を示したことで彼に船を貸す。
ザビエル・ジョンソン
声:ダミアン・ポルティエ
ジャズバー「OWL'S NEST」のバーテンダー。自由の国アメリカの住人として、「自由」の名の下に常にブリーフ一丁で白いカウボーイブーツとテンガロンハットのみを着用したほとんど裸の格好で過ごしている。ジャズバーではサックス担当。

その他

ウンガン
声:不明
ル・カレのホテルの絵に浮かび上がった精霊の紳士。骸骨を模した化粧と装飾が特徴的であり、「神託」(オラクル)としてヨークに謎かけじみたヒントを与える。現在では自身の姿が見える人間がほとんどいなくなったらしい。「ウンガン(英語版)」という名は本来はブゥードゥー教における指導者・神官を意味する。
マイ・フェアリー
ザックが語りかける謎の存在。まるで周りを飛び回っているかのようにザックは語るも、誰にも何も見えない。ザックには大人の女性の姿をした妖精として見えているが幻などではなく、実際にザックの手錠を外す活躍を見せている。エピローグではザックは彼女をエミリーと呼んだ。
フォレスト・ケイスン
声:ジョー・ヘルナンデス
「赤の世界」の使者であり、「赤い種子」にまつわる全ての事件の糸を引く諸悪の根源。グリーンベイル事件の際にザックに倒されたはずだが、再び現れる。プロフェッサーRに啓示と「赤い魂」を与え、S・Rの製造や一連の事件を起こすように唆した張本人でもあり、ル・カレの事件においても真の黒幕である。本来であればキャンディを豊穣の女神とし、「大王」に仕立てたメルヴィンに南部を「赤の王国」に変えさせるはずであった。しかし手駒であったレナに反逆され、ヨーク(ザック)によって計画が阻止されたことでル・カレに見切りをつけて離れていた。その後、グリーンベイルでジョージを唆し、前作の事件を起こした。
エイブリーを倒したザックに「パトリシアにエミリーの名前を出して罵倒される幻」を見せて精神的に追い詰め、怪物に変異させてパトリシアを殺すように仕向けるが、赤の世界が見えずとも嗅覚だけで追ってきたアリヤに目をつけ、彼女を操り人形に変える。人間に戻ったザックをアリヤに撃たせるも、再び現れてザックと融合したヨークに敗北。恐れ慄きながら爆発四散し、完全なる死を迎えた。
前作に続いてラストボスとなるが今作では異形形態にはならず、操ったアリヤに攻撃させて自身はその背後を嘲るように飛び回る。アリヤが死亡するとゲームオーバーであるため、彼女に当てないようにケイスンのみを攻撃しなければならない。

敵

野生動物
ル・カレの町に出没する野生動物。リスはアイテムを盗む程度だが、キラービーやアリゲーター、野犬などは人を襲う。
カピターノ
特異点に出現する最初の敵。猫背のような体形でハサミを凶器とするクリーチャー。ヨークを認識するとハサミを鳴らしながら突進してくる。体力は低く1体1体は脅威ではないが、時には何体も出現して多方向から攻撃してくる場合もあるため油断は禁物。飛び掛かりから突き刺す麻痺攻撃を持つ上位種・ブルチネッラもいる。
パンタローネ
大きな扉に鎖で巻き付けられたクリーチャー。ばら撒いた南京錠は蜘蛛か蟹のように足が生えて歩き出し、ヨークに近付いては自爆しようとする。扉を背負う形となっているため背後からの攻撃はほとんど効果がない。
コロンビーナ
女性型のクリーチャーで、天井から奇襲する。這いずるような体勢で動きは鈍いが、ステータス異常を与える煙を放ってくる。また、床から巨大な枝を生やして攻撃してくる。
赤い影
常世化した町に出現するクリーチャー。前作の真夜中の町に出現するシャドウ同様、地面からいくらでも這い出してくる。特異点に登場する上記の敵が半透明状になったもので、能力自体は元と同じだが落とす素材アイテムは異なる。夜になると現れ、人々を向こう側の世界に連れ去ると言い伝えられている。

キーワード

ル・カレ(Le carré)
本作の主な舞台。アメリカ南部、ルイジアナ州ニューオーリンズ付近の、ミシシッピ川沿いにある田舎町[3]。カレ(carré)とはフランス語で「正方形」を意味し、文字通り不自然なほどに正方形で象られた町となっている。気候、文化には南部の特色が濃く、飲食店では本格的なクレオール料理が食べられる。住民には良くも悪くも個性的な者が多い。一方で田舎特有の閉鎖的な空気もあり、外界とは異なった価値観、世間一般では差別や偏見とされるような考えも根付いている。2005年に猟奇殺人事件に見舞われ、それから間もなくハリケーン・カトリーナで甚大な被害を被った。
S・R (サンルージュ)
2005年当時、アメリカに広く出回っていたドラッグ。赤い粉が特徴。強力な幻覚症状と依存症を引き起こすが、成分はありふれたものでしかなく、同じ成分で再現を試みても必ず失敗する。その出所はル・カレとされており、2005年の事件で根絶されたと思われたが2019年になってもルイジアナ州の狭い範囲に蔓延し続けていた。元凶はプロフェッサーR(レナ)だが、その精製方法は「赤い魂の指導者」(ケイスン)によってもたらされたものであり、前作の事件で鍵となった「赤い種子」(レッドシーズ)と同質の存在。レナ曰く、身体を内側から別物に作り変え、力を得た魂を作り出すという。
クラークソン家
ル・カレの地主一族。ル・カレの全てを掌握しており、あらゆる事に関してクラークソン家の許可が要るほど。町にあるサトウキビ農場、食品加工会社、街はずれの給水塔に至るまでがクラークソン家の所有物である。100年前に前家長のアイザック・クラークソンがこの地にを訪れ、力で人々を支配し、ルイジアナ南西部一帯の表・裏社会全てを手中に収めるほどの帝国を築き上げた。一族を裏切った者は見せしめに四肢を切断する「切断された根」という罰を受ける。全盛期から衰退したとは言え、現在でも「クラークソン・ギャング」とも呼ばれる私兵を抱え、実質的に町を支配している。しかしその私兵も没落の程を示すようにろくに訓練を受けておらず、ヨークには「束になって掛かってきても私たちには敵わないだろう」と言われている。
道化の王
レナが後を託した人物。「道化の王があの男を止めてくれる」と語っていたことから、メルヴィン(道化の王)が計画を妨害するヨーク(あの男)を止めるという意味だと推理されていたが、実は「道化の王」はヨーク(ザック)自身を指しており、「あの男」とは自分の死後に制御不能となるであろうエイブリーであった。

主題歌

  • オープニングテーマ「Deep South」
作詞:アンディ・ウェラー、作曲/編曲:大久保サトシ、唄:キエロン・カシェル
  • エンディングテーマ「Pourtant, la vie continue」
作曲:大久保サトシ、作詞/唄:サブライム

開発

末弘は前作と全く異なる体験を作ることを望んだが、プロデューサーや開発チームは前作と同じようなゲームを望み、意見が分かれた。開発時、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の最中でリモートワークを行なっていたのだが、末弘は開発最終段階で「音信不通」にされたと語っている。末弘は2000件もの修正要望を提出したが全く対応されず、そればかりか販売元、開発元の誰とも話す機会がなく、発売すらもファンからのメッセージで知るような状況だったという[4]。

評価

評価
集計結果
媒体結果
Metacritic56/100 (Switch)[5]
54/100 (PC)[6]
レビュー結果
媒体結果
デストラクトイド8/10[7]
ゲーム・インフォーマー5/10[8]
GameSpot5/10[9]
Hardcore Gamer3.5/5[10]
IGN5/10[11]
NintendoLife7/10[12]

本作もまた賛否両論の評価を受け、前作に及ばないという意見が多かった[4]。ストーリーやキャラクターは称賛され、Gamerは「完璧な続編」とまで称えた[13]が、パフォーマンスなど技術的な面やゲームプレイ面では全体的に批判を受けた[10][11][14]。

IGNは前作が「酷過ぎて逆に良い」とするなら本作を「ただ平均的で、技術的に粗削り」と評した[11]。GameSpotは前作と比較して「お気に入りの焙煎所から仕入れたコーヒーとは違うが、おそらく期待していたよりも苦い味」と表現しており、結末について主人公らの立場では満足のいくものだが、単純に作中の事件として見ると物足りず、プレイヤーにとっては「パフォーマンスの問題が散見される体験となる」と指摘した[9]。デストラクトイドは「ストーリーのコンセプトを楽しむにはある種の忍耐と寛容さが必要」として問題点は認めたが、最終的に「時間とお金を掛ける価値はある」と結んだ[7]。

ザ・ヴァージは「前作以上に深刻な欠陥を抱えたゲーム」と評し、前作の長所である脚本やユーモアのセンスの点では妥当な続編だとしたが、「短所を強調するのではなく改善して欲しかった」と述べた[14]。

関連項目

脚注

注釈

  1. ↑ ヨークが乗ってきた車は途中で盗難に遭い、犯人が代わりに置いていったのがスケボーであり、ル・カレまでそれで来た。
  2. 1 2 プレイヤー視点ではヨークとして捜査していたが、実際にル・カレで捜査を行っていたのはヨークの人格が表層化したザックである。パトリシアや他のル・カレの住民も最初からザックとして認識しており、彼らはヨークとは会った事もなかった。
  3. ↑ ザックとサイモンの御用達であるピザ屋「フランクリンズ・キッチン」から取られており、サイモンがザックを信じる根拠になった。
  4. ↑ ザックは強化ではなく「ドラッグの過剰摂取による肉体細胞の奇形化」だと吐き捨てている。
  5. ↑ ザック曰く、遺体を包む氷はエイブリーからすれば「俗世から守る結界」であり、そこから取り出されて埋葬された遺体は最早「穢されて」おり、後で墓から回収しようなどとは考えなかったとされる。
  6. ↑ 当の楽器もパトリシアに「バカバカしい」「大人の真剣な遊び」と吐き捨てられている。

出典

  1. 1 2 “『レッドシーズプロファイル』の続編『Deadly Premonition 2』がSwitch向けに発表。2020年発売予定。前作のSwitch版は本日配信開始【Nintendo Direct 2019.9.5】”. ファミ通.com (2019年9月5日). 2019年9月6日閲覧。
  2. ↑ Hidetaka SWERY SueHERO [@Swery65] (2022年6月12日). “日本の皆様、Deadly Premonition2ですが、日本語対応しております。と、いうかそもそも日本語で作って英語にローカライズされた作品です。Steamページの設定ミスのようです。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。”. X(旧Twitter)より2026年9月12日閲覧.
  3. 1 2 Deadly Premonition 2/デッドリー・プリモニション2:ようこそ、ル・カレへTOYBOX Inc.
  4. 1 2 “Hidetaka 'Swery' Suehiro still wants to work in an office”. Games Industry.biz (2022年11月24日). 2026年9月12日閲覧。
  5. ↑ “Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise for Switch Reviews”. Metacritic. 2026年9月12日閲覧。
  6. ↑ “Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise for PC Reviews”. Metacritic. 2026年9月12日閲覧。
  7. 1 2 Carter, Chris (2020年7月12日). “Review: Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise”. デストラクトイド. 2020年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年9月12日閲覧。
  8. ↑ Cork, Jeff (July 8, 2020). “Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise – Chasing Its Own Shadow”. ゲーム・インフォーマー 2026年9月12日閲覧。.
  9. 1 2 Indovina, Kurt (2020年7月9日). “Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise Review”. GameSpot. 2026年9月12日閲覧。
  10. 1 2 LeClair, Kyle (2020年7月8日). “Review: Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise”. Hardcore Gamer. 2020年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年9月12日閲覧。
  11. 1 2 3 Ogilvie, Tristan (2020年7月8日). “Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise Review”. IGN. 2026年9月12日閲覧。
  12. ↑ “Review: Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise - A Fun Game, in Disguise” (2020年7月8日). 2026年9月12日閲覧。
  13. ↑ “ギネスブックに載ったカルトゲーム、10年越しの続編「Deadly Premonition 2: A Blessing In Disguise」レビュー”. Gamer (2020年8月10日). 2026年9月12日閲覧。
  14. 1 2 Byford, Sam (2020年7月20日). “Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise review”. ザ・ヴァージ. 2026年9月12日閲覧。

外部リンク