ドワーフ (ダンジョンズ&ドラゴンズ)
| ドワーフ Dwarf | |
|---|---|
| 特徴 | |
| 属性 | 一般に“秩序にして善” |
| 種類 | 人型生物 |
| 統計 | Open Game License stats |
| 掲載史 | |
| 初登場 | 『Dungeons & Dragons』 (1974年) |
ドワーフ(Dwarf)は、ファンタジー・ロールプレイングゲーム(RPG)『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に登場する人型種族の一つ。プレイヤー・キャラクターとして選択可能な種族でもある。D&Dにおけるドワーフの概念は、ヨーロッパ神話のドワーフやJ・R・R・トールキンの小説『指輪物語』(1954-1955年)に由来し、1970年代初頭からD&Dおよびその前身である『チェインメイル』で使用されている。ドワーフの典型である「背が低くがっしりした種族」から派生する「亜種族」は、様々なルールセットやキャンペーン設定において、十数種類以上が存在する。
創作の起源
ドワーフの概念は、北欧神話[1]とゲルマン神話[2]に由来する。特にゲルマン神話『ニーベルングの指環』やグリム童話『ルンペルシュティルツヒェン』に登場するドワーフは、D&Dのドワーフの「祖先」と称されている。[3] 巨人と共に、ドワーフはD&Dの前身である『チェインメイル』に導入された最初の非人間種族の一つであり、このミニチュアゲームでは様々なサイズのミニチュアフィギュアが使用された[4]。 D&Dにおけるドワーフは、トールキンの描くドワーフ像に基づいている[5]。
出版物での歴史
Original Dungeons & Dragons
ドワーフは、1974年の今日「オリジナル」とも呼ばれる『Dungeons & Dragons』で、初めてプレイヤー・キャラクター種族として登場した[6]。そのデザインは、ポール・アンダースンの1961年の小説『魔界の紋章(Three Hearts and Three Lions)』のドワーフに強く影響を受けている。この初期のD&Dのドワーフは、ファイターとしてのみプレイでき、6レベルを超えて成長できなかった。1976年に最初のサプリメント『Greyhawk』が発売されると、レベル制限なくシーフもプレイできるようになった[7]。
Dungeons & Dragons Basic set
1981年の『D&D Basic Set[注 1]』の改訂版から、その後の全ての改訂版でも、ドワーフなどの亜人種は独自のクラスとして扱われるようになった。ドワーフの最大レベルは12に制限されていた[注 2]。
Advanced Dungeons & Dragons第1版
『Advanced Dungeons & Dragons[注 3]』の登場により、ドワーフは『プレイヤーズ・ハンドブック(『PHB』)』(1978)でプレイヤー・キャラクター種族として復活し、オリジナルの『モンスター・マニュアル(『MM』)』(1977)ではモンスターとして詳述された[8][9][10]。オリジナルの『Unearthed Arcana』(1985)では、複数のドワーフ亜種族がキャラクター種族として紹介されている[11]。
Advanced Dungeons & Dragons第2版
1989年、最も一般的なドワーフの亜種族であるヒル・ドワーフが[3]、『AD&D第2版』の『PHB』にキャラクター種族として[12]、『Monstrous Compendium Volume Two』ではモンスターとして登場する[13]。ドワーフは『Dwarves Deep』(1990)において、フォーゴトン・レルム世界の種族として詳述されている[14]。複数のドワーフ種族が、『The Complete Book of Dwarves』(1991)において、プレイヤー・キャラクター種族として詳述されている[15]。
Dungeons & Dragons第3版以降
ドワーフは、D&D第3版[注 4]『PHB』(2000)[16]、第3.5版『PHB』(2003)[17]、第4版『PHB』(2008)[18]、第5版『PHB』(2014)においてキャラクター種族として登場する[19]。arctic dwarf、グレイ・ドワーフ、ゴールド・ドワーフ、シールド・ドワーフ、urdunnir、wild dwarfは全て『Races of Faerûn』(2003)で詳述されている[20]。 ドワーフは『石の種族(Races of Stone)』(2004)で詳述されている種族の一つである[21]。ドワーフ(ドワーフ・ボルターおよびドワーフ・ハンマラーを含む)は、第4版『MM』(2008)にモンスターとして登場する[22]。
解説
ドワーフの平均身長は4フィート(約120cm)で、がっしりとした体躯をしている[23]。男のドワーフは濃い髭を生やす。D&Dに大きな影響を与えた『指輪物語』では、女のドワーフも同様に顎鬚を生やしていた[24]。 R・A・サルヴァトーレら一部の作家も、作品内で同様の描写を採用している。これはゲームメカニクスにも反映されたが、公式ルールにおける立場は具体的でなく、ドワーフの文化や血統によって異なる場合が多かった。『The Complete Book of Dwarves』によれば、deep dwarvesの女性は「他のドワーフ女性(通常は髭を剃っている)とは異なり、顎鬚を長く伸ばしている」とされる[25]。 さらに特定のキャンペーン設定では、女性ドワーフの顔面の毛の扱いに大きな差異が見られる。グレイホークでは全ドワーフ(女性含む)が顎鬚を生やしているが、剃る女性は一部のみ[26][27][28][29]、フォーゴトン・レルムでは顎鬚を生やすこともできるが通常は剃る[30]、エベロンでは全く髭を生やさない。ただし各版(特に後期の版)のイラストでは、ドワーフの女性は髭のない姿で描かれることが多い。第4版のプレビュー資料『Wizards Presents: Races and Classes』において、アーティストのウィリアム・オコナーは、デザインチームから女性ドワーフの描写方法を変えるよう具体的な指示を受けた経緯について語っている[31]。ロブ・ハインソーは同書で、オコナーのアートが「ドワーフの女性像に新たな麗しい視覚的表現をもたらした。力強く、官能的で、土着的でありながら女性的。ひげを生やそうなどとは誰も思いつかないようなエキゾチックな美しさだ」と述べている[32]。しかしこれは第4版ルールには反映されず、アートのみに反映され、キャンペーン設定によっても依然として差異があった。
ポール・アンダースンの『魔界の紋章』は、スコットランド訛りのドワーフ、ヒューギというキャラクターが登場し、D&Dに大きな影響を与えた[1]。この訛りが、ドワーフの描写で最も一般的なものである[1]。ドワーフは、ヒューマンに比べ小柄で頑強な体格に由来した能力やボーナスにより、戦闘指向のプレイヤーにとってより有用な傾向がある[23]。ドワーフはまた、毒や魔法に対する抵抗力があり、暗闇でも目が利く[注 5]。傾斜したトンネルなど、地下にある様々な採掘関連の構造物を感知することができる[12]。地下の通路を感知するドワーフの能力も、アンダースンの本から直接引用されている[3]。
ドワーフは一般的に「善」の属性を持つ[33]。イラン・ミッチェル=スミスは、ドワーフは、エルフやハーフリングなど、プレイヤーが使用できる他の種族と同様、「主観性、そして究極的には人間性」によって定義される存在であり、一種の「怪物のような他者」として扱われる他の多くのクリーチャーとは対照的であると述べている[34]。
ドワーフは通常、彼らの創造主であると信じているモラディンを崇拝している[35]。彼らの伝説によると、モラディンは宝石と金属を使ってドワーフを自分の姿に似せて作り上げ、彼らに命を吹き込んだという。多くのキャンペーン設定において、ドワーフ・パンテオンは指導者モラディンに加え、アバソー、“真なる銀”ベアオナー、“銀鬚”クランゲディン、“輝くマント”ダグマレン、ドゥマソイン、ムアマン・ドゥアサル、ヴァーガダインで構成され、ラドゥグエルはドゥエルガルの神である[11][36]。『石の種族』では、ハンセアスを含む複数の神格が紹介された[21]。他のキャンペーン設定では、異なるドワーフの神格が存在する場合がある。
ドワーフはノームと良好な関係を築いており、ノームはしばしばドワーフの近縁種族と見なされる[37]。ドワーフはヒューマン、ハーフエルフ、ハーフリングを受け入れている。ドワーフは平均的なヒューマンより長生きするため、ヒューマンと深く知り合うことは稀であり、むしろヒューマンの家族全体と友好関係を築くことを好む[16]。ドワーフはハーフオークを信用せず、エルフを評価しない[38]。エルフとはオーク、ゴブリン、邪悪な巨人、トロルとの戦いにおいてのみ同盟を結ぶ[39]。
デセック文字
1987年に『Forgotten Realms Campaign Set』と共に発売された『Cyclopedia of the Realms』初版では、ドワーフは「デセック(Dethek)」と呼ばれるルーン文字のような文字を使用し、これは直接「共通語」に翻訳されると記述されている。彼らは朽ちるものには書かず、金属や石に刻むことを好むとされている。本は金属板を綴じて作られる。彼らが文字を刻む石板は共通語で「ルーンストーン」と呼ばれ、ダイヤモンド形で厚さ約1インチ、非常に硬い岩石でできていると記述されている。刻まれた文字は縁に沿って螺旋状に配置され、外縁から中心に向かって読む[40]。
単語は空白で区切られ、文は線で区切られる。大文字には上部に線が引かれる。文字が彩色される場合、人名や地名は通常赤で強調され、本文は黒で塗られるか無地の溝のまま残される。五進法に基づく数字体系も存在し、氏族・部族・種族を表す表意文字も用いられる。浮き彫り加工された石板は、様々な用途の印章として使用されることもある[40]。
亜種族
D&Dの出版物の歴史を通じて、十数種以上のドワーフの亜種が紹介されてきた。ヒル・ドワーフが標準的なドワーフ種族である[3]。マウンテン・ドワーフはより地下深くに住み、ヒル・ドワーフより肌が白い[12]。Aleithian dwarvesは深部に住むサイオニック能力を持つドワーフで、竜神Sardiorを信仰する[41]。 D&D第1版、第2版、第3版では、エイザーはドワーフと外見が似ていたが、血縁関係はなかった。第4版では、巨人やタイタンによるドワーフの奴隷化から生まれた種族とされている。Badlands dwarvesは不毛の荒野での生活に適応し、水を見つける天性の才能と、暑さや渇きへの耐性を発達させた[42]。Deep dwarvesは地下に棲み、暗視能力に優れるが、光に敏感である。標準的なドワーフより魔法や毒への耐性が高い。Dream dwarvesは周囲の世界(「大地の夢」と呼ぶ)と繋がった思索的なドワーフである[21]。ドゥエルガル、またはグレイ・ドワーフ[43]は、アンダーダークに住む"邪悪で貪欲な"[3]亜種族である。「ドゥエルガル(duergar)」という名称は北欧神話に由来する。Bleeding Coolの編集者ギャヴィン・シーハンは、『モルデンカイネンの敵対者大全(Mordenkainen's Tome of Foes)』におけるドゥエルガルの詳細な背景設定を称賛し、「彼らには独自の目的と、"刺激的で恐ろしい"行動の背後には理由がある」と述べ、「彼らの伝承は魅力的で興味深い」と評し、彼らを「決して容易に対処できない存在」であると断言した[44]。Frost dwarvesは異次元のドワーフで、無限の階層なす奈落界アビスに住む。かつてはフロスト・ジャイアントに奴隷化されたドゥエルガルであった[45]。Glacier dwarvesは寒冷な氷河地帯に住み、blue iceと呼ばれる特殊な鉱物を採掘する。氷と魔法の氷を用いた工芸に優れた技能を持ち、寒冷な気候に耐性がある[46]。Seacliff dwarvesは海辺の高い崖を住処とし、優れた水泳能力を持つ[47]。
特定の世界設定において
ダーク・サンの惑星アーサスでは、ドワーフの身長は5フィート(約152cm)未満、体重は約200ポンド(約91kg)に達する。各ドワーフは「focus」と呼ばれる一つのものに執着して追い求め、その達成には少なくとも1週間を要する[48]。アーサスのドワーフは地下に住まないが、一部の共同体は長く失われたドワーフの要塞の発掘に専念している。身体的には、アーサスのドワーフは同種の中でも特異で、体毛が全く生えていない。アーサスのドワーフは人間と交配してmulsを生み出すことができ、mulsはドワーフの力と耐久性を持ちながら人間の体格を持つ不妊の子である[49]。
ドラゴンランスにおいて、ドワーフは三つの異なるグループに分けられ、さらに氏族へと細分化される。丘(Hill)ドワーフは「ネイダー」と呼ばれる単一の氏族で構成される。彼らは山(mountain)ドワーフと非常に似ているが、他の種族や文化に対してやや開放的である。ランスの英雄の一人であるフリント・ファイアフォージはネイダーである[50]。山ドワーフは複数の氏族から成り、そのうちの二つがハイラー氏族とデアワー氏族である。どぶ(Gully)ドワーフ、またはアガー(「苦悩する者たち」)はノームとドワーフの子孫と考えられている。どぶドワーフはマーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンによる『ドラゴンランス戦記』で初めて言及され、「哀れな連中(miserable lot)」と表現されている[51]。複数の氏族が共同生活を送っており、族長または特定の強力な指導者の支配下にある。追い詰められると凶暴な戦士となることで知られる。概して愚鈍で、雑用職に就くことが多い。「小さく、汚く、まとまりの無い民」と評される一方、心は持ち合わせているとされる[52]。平均的などぶドワーフが数えられる最大数は2だが、3まで数えられるほど賢くなった者もいる[53]。通常のドワーフより小柄である。彼らは自分の土地を持たず、廃墟となった都市や下水道、都市の汚い場所に住んでいる[54]。ブロガーのグレアム・バーバーは、彼らを「知性のない亜人種」として「言語すら持たないほど深刻な知的障害を持つ」という描写をステレオタイプだと批判した[55]。どぶドワーフはD&Dのゲームにおいてプレイヤー・キャラクターとして使用可能であった。意図的に他のキャラクターより弱く設定されていたため、「弱者としての立場を楽しむ」少数のプレイヤーにのみ支持されていた[56]。
フォーゴトン・レルムのフェイルーン大陸には、いくつかの主要なドワーフの亜種族が存在する。シールド・ドワーフ(マウンテン・ドワーフ)は、フェイルーン北部で支配的なドワーフである[30]。このドワーフは、世代にわたる人口減少のため、宿命論的傾向が強い[30]。ゴールド・ドワーフ(ヒル・ドワーフ)は、フェイルーン南部で支配的なドワーフである。彼らは北部の同族よりも概して明るい性格である[30]。主にグランド・キャニオンのような、峡谷を囲む地下の深き領域とその周辺に居住する。Arctic dwarves(Inugaakalikuritとも呼ばれる)はフェイルーン最北端に生息し、他のドワーフより小柄で強靭、かつ寒さに耐性を持つ。Urdunnir(orecutter dwarves)は金属や石を自在に加工する魔法能力を持ち、石中を歩くこともできる。orecutter dwarvesはフェイルーンの深いジャングルに生息する背の低い原始的なドワーフである。グレイ・ドワーフ(ドゥエルガル)は主にアンダーダークに住み、光を嫌う。シールド・ドワーフであるブルーノー・バトルハンマーはミスラル・ホールの王であり、単身でシマーグルームという名のシャドウ・ドラゴンを倒すなど、故郷を怪物たちから奪還した[57]。彼らの神には“深き”ドゥエラ、ゴーム・ガルシン、“輝く斧”ヘーラ、マーサモア・ドゥーイン、サード・ハーなどが含まれる。
ワールド・オブ・グレイホークにおいて、フラン人と呼ばれるヒューマンの集団はドワーフを「dwur」と呼ぶ。彼らはフラネス全域に分布し、特にLortmils、Principality of Ulek、Glorioles、Iron Hills、煌霧山脈、Ratikに多く居住する。オブミ卿はこの世界における著名なドワーフであり、アイウーズの配下でBoneshadow組織の一員である[14]。
スペルジャマーにおけるドワーフは、蜂の巣状にトンネルが掘られた巨大な小惑星で活動している[58]。
小説
ドワーフを主役にしたD&D小説には以下のものがある。
- ドラゴンランス
- Dragons of the Dwarven Depths (2006年7月) 著者:マーガレット・ワイス、トレイシー・ヒックマン (ISBN 0-7869-4099-9)
- The Last Thane 著者:ダグラス・ナイルズ
- Dark Thane 著者:ジェフ・クック
- The Dwarf Home trilogy 著者:ダグラス・ナイルズ
- The Dwarven Nations trilogy 著者:ダン・パーキンソン
- The Gates of Thorbardin 著者:ダン・パーキンソン
- Gully Dwarves 著者:ダン・パーキンソン
- Kender, Gully Dwarves, and Gnomes (1987年8月) 著者:マーガレット・ワイス、トレイシー・ヒックマン他[注 6] (ISBN 0-88038-382-8)
- フォーゴトン・レルム
- The War of the Spider Queen 監修:R・A・サルヴァトーレ[注 7]
- The Icewind Dale Trilogy 著者:R・A・サルヴァトーレ
遺産
J.R.R.トールキンの作品に次ぎ、D&Dにおける主要なプレイヤー・キャラクター種族としての存在が、現代文化におけるドワーフの概念普及に大きく寄与したとされる[59][60][61]。
D&Dにおけるドワーフの描写は、『World of Warcraft』のドワーフのインスピレーション源として引用されている[62]。
脚注
注釈
- ↑ 非常にシンプルだった『OD&D』にルールが追加されていくうち、次第にまとまりが無くなってきたため、改めて整理された簡素で入門的なルール。現在では『Classic D&D』とも呼ばれる。より複雑で上級者向けの『AD&D』と、2つの路線での展開が続いた。
- ↑ ハーフリングは8、エルフは10、ヒューマンは36
- ↑ 非常にシンプルだった『OD&D』にルールが追加されていくうち、次第にまとまりが無くなってきたため、改めて整理された複雑で上級者向けのルール。より簡素で入門的な『Basic set』と、2つの路線での展開が続いた。
- ↑ D&Dの権利を有していたTSRがWizards of the Coastに買収された後、『AD&D第2版』を基に作られた。大幅な変更が多数あり、実質『AD&D第3版』であったが、これ以降は単に『D&D第~版』とだけ呼ばれるようになった。
- ↑ 初期の版では「infravision」、第3版以降では「darkvision(暗視)」。
- ↑ 『Dragonlance Tales』シリーズの2作目にあたり、様々な作家による10本の短編集。
- ↑ 様々な作家による6冊のシリーズで、サルヴァトーレが全体を監修している。
出典
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