ハビエル・スビリ

ウィキペディアから、無料の百科事典
ハビエル・スビリ
生誕 1898年12月4日
ギプスコア県サン・セバスティアン
死没 (1983-09-21) 1983年9月21日(84歳没)
マドリード州マドリード
時代 20世紀の哲学
地域 西洋哲学
テンプレートを表示

ハビエル・スビリ・アパラテギ(スペイン語: Xavier Zubiri Apalategi、1898年12月4日 - 1983年9月21日)は、スペイン・ギプスコア県サン・セバスティアン出身の哲学者。

経歴

ミゲル・デ・ウナムーノと同じくバスク地方出身であり、1989年にギプスコア県サン・セバスティアンに生まれた。ホセ・オルテガ・イ・ガセット、フリアン・マリアス(英語版)、ペドロ・ライン・エントラルゴ(英語版)などと同じくマドリード・コンプルテンセ大学出身(マドリード学派)である[1]。スビリの哲学は「物質主義的で開放的なリアリズム」[2]や「現代科学に完全に適合した言語で古典的形而上学の再構成を試みた」[3]とされている。これはスビリの教育的背景に起因している。スビリはマドリードとローマで哲学や神学を学び、ベルギー・ルーヴェンの大学院で深く哲学を学んで現象学についての論文を執筆した[4]。

マドリード・コンプルテンセ大学の教授だった1929年にはドイツのアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクに赴き、エトムント・フッサールやマルティン・ハイデッガーとともに学んだ。1930年にはベルリンに移り、物理学・文献学・生物学を学んだ。ベルリンではHarnack Houseに招待され、ヴァイマル共和政において学術活動を展開していた偉大な人物たちと交流した。アルバート・アインシュタイン(1923年にすでにマドリード・コンプルテンセ大学で会っていた)[5]、マックス・プランク、ヴェルナー・イェーガー、アーウィン・シュレーディンガーなどである。

マドリード市民墓地にあるスビリの墓石

1936年にスペインでスペイン内戦が勃発すると、スビリはフランス・パリに引っ越した。ルイ・ド・ブロイ、フレデリック・ジョリオ、イレーヌ・キュリー、エリー・ジョセフ・カルタン(英語版)、エミール・ベンヴェニステ(英語版)などの講座に参加して知的探究活動を継続し、1939年にフランスがドイツに宣戦布告する直前にスペインに帰国した[6][7]。1942年にはスペインにおける学術的立場から正式に退いたため、スビリの哲学はスペインやラテンアメリカ諸国以外ではほとんど知られていない。スビリのこの決断には、フランコ体制下のスペインにおいては学問的自由がなかったことが関係している[8]。

ただし家族や友人の支援があったことから、スビリは学術的な仕事を継続することができた[9]、スペイン第二共和政下のスペインにおいて、スビリはホセ・ベンガミンが編集長を務める『クルス・イ・ラジャ』誌やオルテガ・イ・ガセットが編集長を務める『レビスタ・デ・オクシデンテ』誌などに寄稿した。しかしマドリード・コンプルテンセ大学の教授職を退いた後、権威ある査読雑誌にスビリの文章が掲載されることはほとんどなかった。1946年10月2日にはアメリカ合衆国のプリンストン大学を訪れ、フランス語で「The real and mathematics- A philosophical problem」という題名の講義を行ったことが記録されている[10]。

スビリは民主化後の1983年9月21日に死去し、マドリードのマドリード市民墓地(英語版)に埋葬された。

評価

スビリは一連の著作群や研究論文を発表しており[11]、当初はスペインの学術界に受けれられなかったが、これはスペインがフランコ体制下であったことによって説明される[12]。しかし、スビリはイグナシオ・エリャクリア(英語版)などの哲学者と知り合ったことで、スビリの作品はラテンアメリカで広く知られるようになり、ラテンアメリカではその思想がさらに発展することとなった[13]。スビリの生涯と哲学の重要性については、近年になってスペインの学術界に認識され始めた[14][15]。

スペインの学術界では孤立していたものの、他国ではスビリの思想が認知されている。スビリの作品のいくつか、『On Essence』[16]、『Sentient Intelligence』[17]、『The Dynamic Structure of Reality』[18]、『The Fundamental problems of Western Metaphysics』[19]などは英語に翻訳されている。1979年、スビリは『Nature, History, God』(1954年)と『On Essence』(1962年)の著作によってドイツ政府からドイツ連邦共和国功労勲章を授与された[20]。スビリの作品はフランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語に翻訳されている[21]。

脚注

  1. ↑ “La evolución de la escuela de Madrid (1939-1978): Zubiri, Marías y Laín Entralgo” (スペイン語), José Luis Cañas Fernández, (2012) 2013年10月15日閲覧。
  2. ↑ “Voluntad de Liberacion” (スペイン語), Hector Samour, (2003) 2013年10月15日閲覧。
  3. ↑ “La filosofía natural de Zubiri” (スペイン語), José Luis González Quirós, (1997) 2013年10月18日閲覧。
  4. ↑ “Le problème de l'objectivité d'après Ed. Husserl” (フランス語), Xavier Zubiri, (1921–1922) 2013年10月15日閲覧。
  5. ↑ “Conología del viaje de Einstein a España” (スペイン語), Quark, Ciencia, Medicina, Comunicación y Cultura. Publicación del Observatorio de Comunicación Científica de la Universitat Pomeu Fabra, (May–August 2005) 2013年10月18日閲覧。
  6. ↑ “Xavier Zubiri: La soledad sonora” (スペイン語), Jordi Corominas and Joan Vicens, (2006) 2013年10月18日閲覧。
  7. ↑ “Biografía de Xavier Zubiri” (スペイン語), Jordi Corominas and Joan Vicens, (2006) 2013年10月19日閲覧。
  8. ↑ “Zubiri, vasco universal” (スペイン語), Ignacio Ellacuría, (1980-10-10) 2013年10月19日閲覧。
  9. ↑ “Xavier Zubiri: La soledad sonora” (スペイン語), Jordi Corominas and Joan Vicens, (2006) 2013年10月15日閲覧。
  10. ↑ “Daily Princetonian, Volume 70, Number 105, 2 October 1946”, Official Notices, (1946-10-02) 2013年10月18日閲覧。
  11. ↑ “Xavier Zubiri: La soledad sonora, Chapter 14, 15 and 39 on "La República" (The Republic) (pp. 245-265), "Cruz y Raya" (the magazine) (pp. 265 - 287) and "El duro oficio de escribir" (The hard task of writing) (pp. 589-606), respectively” (スペイン語), Jordi Corominas and Joan Vicens, (2006) 2014年12月12日閲覧。
  12. ↑ “Zubiri tras el problema de toma de posición tras el comienzo de la guerra civil” (スペイン語), Javier Borrego Gutierrez, (2003), オリジナルのOctober 22, 2013時点におけるアーカイブ。 2013年10月18日閲覧。
  13. ↑ “Actualidad de Zubiri en América Latina” (スペイン語), Germán Marquínez Argote, (2006) 2013年10月18日閲覧。
  14. ↑ “Amigos y discípulos de Zubiri reivindican su gigantesca talla intelectual en su centenario” (スペイン語), El País, (1998-12-02) 2013年10月18日閲覧。
  15. ↑ “Zubiri, hombre, filósofo y fenomenólogo” (スペイン語), Javier San Martin, (2006) 2013年10月18日閲覧。
  16. ↑ “On Essence”, Xavier Zubiri, translated by A. Robert Caponigri, (1980) 2013年10月18日閲覧。
  17. ↑ “Sentient Intelligence”, Xavier Zubiri, translated by Thomas B. Fowler, Sc.D., (1999) 2013年10月18日閲覧。
  18. ↑ “The Dynamic Structure of Reality”, Xavier Zubiri, translated by Nelson Orringer, (2003) 2013年10月18日閲覧。
  19. ↑ “The Fundamental Problems of Western Metaphysics”, Xavier Zubiri, translated by Joaquín Redondo and Thomas Fowler, (2009) 2013年10月19日閲覧。
  20. ↑ (スペイン語) El Gobierno alemán condecora a Zubiri y a Laín, (1979-12-04) 2013年10月18日閲覧。
  21. ↑ “Traducciones de las obras de Zubiri a otros idiomas” (スペイン語), Funación Xavier Zubiri 2013年10月18日閲覧。

外部リンク