フェラーリ・ルーチェ

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フェラーリ・ルーチェ
F222
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
デザイン LoveFrom
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアクーペ
パワートレイン
モーター 永久磁石同期モーター(4基)
最高出力 システムトータル
:1,050 PS/772 kW

フロントアスクル
:286 PS/210 kW
リアアスクル
:843 PS/620 kW
最大トルク システムトータル
:990 N・m

フロントアスクル
:280 N・m
リアアスクル
:710 N・m
サスペンション
前 ダブルウィッシュボーン式
後 ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,961 mm
全長 5,026 mm
全幅 1,999 mm
全高 1,544 mm
車両重量 2,260 kg
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フェラーリ・ルーチェ(Ferrari Luce)は、イタリアの自動車メーカーであるフェラーリの生産する4ドアBEVクーペである。

概要

ルーチェは、2026年5月26日夜(イタリア・現地時間)、ローマに位置する複合施設の「チッタ・デッロ・スポルト(イタリア語版)」にて、BEVの4ドアクーペとして世界初公開された[1]。

右発表以前に、「Elettrica(エレットリカ)」という仮称のもと2025年秋にシャシやコンポーネントが、2026年2月には内装がそれぞれ公開されていた。名称が「ルーチェ」であることもこの内装と同じく発表された[2][3]。同車の名称の「Luce」はイタリア語で「光」や「照らすこと」を意味している[4]。

フェラーリ社としては、初の量産型BEVモデルであり、プロサングエに続いて4ドアを採用し、5シーターというのも初めてのことである。このルーチェは、同車の掲げるマルチエネルギー戦略の集大成として位置づけられており、それと同時に内燃機関モデルを置き換えるものではないともされている[1][5]。

また、ルーチェのもう一つの特徴として、Appleの元チーフ・デザイン・オフィサーであるジョニー・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が率いるデザイン会社「LoveFrom」がデザインを担当した[1][5]。

受注は2026年中に欧州市場で開始しており、納車は同年10〜12月頃に行われる。他の市場においては順次開始される予定である。価格については、イタリア国内で55万0000ユーロからと設定されている[6][7][8]。

日本市場においては、2026年9月25日に東京ミッドタウンで開催された「Ferrari Festival Tokyo 2026」にて発表された[注釈 1]。日本国内向けの価格は、7623万円(税込)である[7][9][10]。

デザイン

ルーチェのスタイリングは、前述のとおり、フェラーリ自社のスタイリング・センターとアメリカに拠点を置く「LoveFrom」が共同で担当した。工業デザイナーであるジョニー・アイブ氏は初代iPhoneなどのデザインを手掛けており、マーク・ニューソン氏も同じくApple出身のデザイナーである[11][12][13]。

今までのフェラーリは、通常ならダウンフォースに重きを置くが、ルーチェに関しては、フロントにエンジンを搭載しない分自由なプロポーションにすることが可能となり、空力性能と機能性を最重視している。フェラーリ社は、今までのどの市販車よりも低い空気抵抗を実現していると謳っており、Cd値は0.254とされている。この空気抵抗の低減を実現しているのは、空気を逃がすためのフロントドアのストレーキおよびリアフェンダーやシェル上のグラスエリアの他に、フロントの可動式冷却フィンとリアウィングであり、同時に車内空間の確保も行われている。開発時には、プロサングエの2.5倍もの数値流体力学(CFD)計算が行われている[11][12][14][15]。

また、全体のプロポーションとしては、全長×全幅×全高=5,026×1,999×1,544mmで、ホイールベースは2,961mmとなっており、プロサングエと比較すると、全長は53mm短く、全高は45mm低い値である。運転席からフロントアクスルまでの距離は296 GTBと同じである[12][14]。

そして、スタイリングに関して、ルーチェはスムーズな曲面に覆われるような外観を有しており、他のフェラーリのラインナップとは一線を画す。全体のデザインとしては、内側に「パッセンジャーセル」(ガラスハウス)と呼ばれる黒いガラスのキャビンがあり、外側にカラーの部分があり、2ピース構造を想起させるものとなっている。これを見ると12チリンドリと似ている。その他の特徴としては、前後ライトパネルや「360モデナ」および「458イタリア」をオマージュしたヘイロー型テールライト、観音開きのドアなどが挙げられる。また、フェラーリとしては最大の23インチ(フロント)と24インチ(リア)のホイールが採用され、デザインは2種類から選択可能である[1][5][11][12][15][16][17]。

内装に関しては、近年様々なメーカーの車種でみられるようなディスプレイなどの電子機器が過度に多用されていないという特徴がある。また、トグルスイッチやダイヤルといった物理スイッチの復活もルーチェ独自のトピックである。キャビン全体の容積はプロサングエとほとんど同じだが、センタートンネルやリアトランスアクスルがないため、室内空間が確保されている。そして、素材としては、リサイクルされたアルマイト加工アルミニウム、コーニング製ゴリラガラス、プレミアムレザーなどが使用されている。運転席のデジタルディスプレイには、3つの円形のメーターのようなものがあるが、これは小さなディスプレイを埋め込んだかたちで、真ん中は速度とバッテリ残量、左右には利用可能な出力と回生レベルなどが表示される。中央に配置されたディスプレイは、物理スイッチも組み込まれており、助手席側にも動かすことが可能である。なお、メーターなどはサムスン・ディスプレイ(英語版)と共同開発したOLEDが採用されている。ハンドルは、ナルディのウッド製3本スポークを再解釈した3本スポーク形状を採用している[1][5][12][14][15][18]。

イタリアのサルビーニ副首相が同車のデザインについてX上でに「全く見えない。これがイノベーションだというのか。エンツォ・フェラーリが何と言うか分かったものではない」と言及した[19]。

メカニズム

プラットフォームは、BEVのために専用開発された新たなものを採用している[1]。

シャシには、総容量112kWhのバッテリが装備されており、そのセルは韓国のSK On社がサプライヤーとなっている。床下に設置されるバッテリモジュールは交換可能であり、これはリアサブフレームが独立していることから実現している。また、バッテリの製造に関しては、自社のBEV生産工場である「e-ビルディング」で設計し、セルのアッセンブリー以降の工程をフェラーリが自ら行っている。また、このバッテリ以外にも、F80から派生したアクティブサスペンションシステムやプロサングエおよびF80のユニットを進化させたアクティブダンパーを備えた四輪操舵システムなどもシャシを構成している[14][20][21][22]。

アーキテクチャに関しても新開発であり、プラットフォームと同じく新開発のVCU(ビークル・コントロール・ユニット)が搭載されており、モーター用の800V、アクティブサスペンション用の48V、補機用の12Vの3系統が存在する。これらのネットワークが管理され、パワーデリバリーやエネルギー回生が集中制御されている。また、充電は最大350kWにまで対応している[1][14]。

パワートレインついては、各ホイールに1基ずつF80由来の同期型永久磁石モーターを搭載していおり、計4基のモーターで全輪を駆動する(AWD)。また、そのそれぞれのホイールには、駆動および回生用のアクチュエータに加え操舵角用アクチュエータ、上下動制御用アクチュエーターが装備されている。フロントモーターは最大3万0000rpmまで回転可能だが、リアモーターは、最大回転数は2万5000rpmにとどまる。そして、このパワートレインの最高出力は1,050PSで、最大トルクは990N・mであると公表されている[1][5][8][14][20]。

パフォーマンスに関しては、0-100km/h加速は2.5秒、0-200km/h加速6.8秒、最高速は310km/hとされており、航続距離(一充電走行距離)は530km以上とされている[17]。

車名

先述のとおり車名の「ルーチェ(Luce)」はイタリア語で「光」を意味するが、この名前を巡っては、過去に同名のセダン(マツダ・ルーチェ)を発売していたマツダとの関係が一時問題視され、マツダが「ルーチェ」の使用を差し止める可能性が取り沙汰された[23][24][25]。

事実として、フェラーリ社は、2025年9月にWIPOに「FERRARI LUCE」の国際登録出願している。2026年2月9日には、欧州で商標の出願を行っている。また、マツダは、ルーチェの発表3週間後の2026年3月4日に日本において、商標「LUCE/ルーチェ」を再出願している[24][26][27][28]。

2026年3月、フェラーリ社が声明を発表し「われわれの権利と対立する‌第三⁠者の権利は確認されなかった」として、車名の使用には問題がないことをアピールしている[29][23][24]。

脚注

注釈

  1. ↑ 25日はプレスプレビューの日であった。一般向けは、9月26日から10月4日までの9日間である。

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 webCG 編集部 (2026年5月26日). “フェラーリが初のフル電動モデル「Luce(ルーチェ)」を世界初公開 【ニュース】”. webCG. webCG Inc.. 2026年5月26日閲覧。
  2. ↑ “Ferrari Elettrica” (英語). www.ferrari.com. Ferrari S.p.A. (2025年10月9日). 2026年5月27日閲覧。
  3. ↑ “FERRARI LUCE: REVEALING INTERIOR & INTERFACE DESIGN – AND THE NAME THAT LAUNCHES A NEW SEGMENT FOR FERRARI” (英語). www.ferrari.com. Ferrari S.p.A. (2026年2月9日). 2026年5月27日閲覧。
  4. ↑ webCG 編集部 (2026年2月10日). “フェラーリが新型BEVの車名を「ルーチェ」とすると発表 あわせてインテリアも公開 【ニュース】”. webCG. webCG Inc.. 2026年5月27日閲覧。
  5. 1 2 3 4 5 森脇稔 (2026年5月26日). “フェラーリ初の電動4ドア、「ルーチェ」発表…0-100km/hを2.5秒で駆け抜ける1050馬力の新世代EV”. レスポンス(Response.jp). 株式会社イード. 2026年5月27日閲覧。
  6. ↑ ゲンロクWeb (2026年5月26日). “フェラーリ初のフル電動4モーターAWD「ルーチェ」がワールドプレミア「日本での販売価格7623万円」【動画】”. Motor Fan. 株式会社 三栄. 2026年9月27日閲覧。
  7. 1 2 “フェラーリ・ジャパン、初のEV「ルーチェ」発表 日本でもルーチェとして投入予定 納車時期は未定 価格は7623万円”. 日刊自動車新聞. 株式会社 日刊自動車新聞社 (2026年5月27日). 2026年9月27日閲覧。
  8. 1 2 Matt, Prior (2026年5月26日). “電動アクスルのリアルサウンドを車内へ伝達 フェラーリ初のEV『ルーチェ』正式発表(2) 4基のモーターで合計1050ps”. AUTOCAR JAPAN. 株式会社ACJマガジンズ. 2026年5月27日閲覧。
  9. ↑ 稲垣邦康 (2026年9月25日). “「Ferrari Festival Tokyo 2026」開催へ──“跳ね馬”がより身近に”. GQ JAPAN. 合同会社コンデナスト・ジャパン. 2026年9月27日閲覧。
  10. ↑ 山本真義 (2026年9月25日). “フェラーリ、7623万円のEV「ルーチェ」を国内披露”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社. 2026年9月27日閲覧。
  11. 1 2 3 Lorenzo, Curatti (2025年5月25日). “This Is Ferrari's First EV: The Luce”. Motor1.com (英語). 2026年5月27日閲覧.
  12. 1 2 3 4 5 Matt, Prior (2026年5月26日). “フェラーリ初のEV『ルーチェ』正式発表(1) 元アップルのデザイナーによる革新的スタイル 価格は55万ユーロに?”. AUTOCAR JAPAN. 株式会社ACJマガジンズ. 2026年5月27日閲覧。
  13. ↑ Modelli, Nuovi (2026年5月25日). “Ferrari Luce elettrica: design, caratteristiche e perché è la più divisiva di sempre - VIDEO” (イタリア語). Quattroruote.it. 2026年6月8日閲覧。
  14. 1 2 3 4 5 6 “Ferrari Goes Electric: The Luce Is Here!” (英語). Car and Driver (2026年5月25日). 2026年5月27日閲覧。
  15. 1 2 3 稲垣邦康(GQ) (2026年5月26日). “新型フェラーリ・ルーチェ、ついに登場!──GQ新着カー”. GQ JAPAN. 2026年5月27日閲覧。
  16. ↑ Aaron, Brown (2026年5月25日). “Ferrari's First All-Electric Car, the Luce, Brings Radical Change to Maranello” (英語). Road & Track. 2026年5月27日閲覧。
  17. 1 2 “FERRARI LUCE: A NEW CHAPTER FOR THE MARANELLO MARQUE” (英語). www.ferrari.com. Ferrari S.p.A. (2026年5月26日). 2026年5月27日閲覧。
  18. ↑ “【フェラーリ新型EVルーチェ】初公開のインテリアは洗練された物理スイッチ多数「デザイナーで納得」”. Motor Fan|自動車情報のモーターファン. 2026年5月27日閲覧。
  19. ↑ “フェラーリ株急落、新EVに厳しい声…イタリア副首相までもがSNSに投稿”. ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (2026年5月27日). 2026年6月25日閲覧。
  20. 1 2 西川 淳 (2025年10月9日). “フェラーリが次世代フル電動モデルの主要技術やスペックを発表 【ニュース】”. webCG. webCG Inc.. 2026年5月28日閲覧。
  21. ↑ Jan Götze (2025年10月14日). “マラネロ初の電気自動車 フェラーリは初の電気自動車「フェラーリ エレトリカ(Ferrari Elettrica)」の開発に全力を注いでいる 初公開は2026年!”. AUTO BILD JAPAN Web. グランドスラム株式会社. 2026年5月28日閲覧。
  22. ↑ 吉岡 卓朗 (2024年6月22日). “フェラーリがフル電動車の開発を宣言「本社新施設のe-ビルディング落成式で明かに」”. Motor Fan|自動車情報のモーターファン. 株式会社 三栄. 2026年5月28日閲覧。
  23. 1 2 フェラーリ、EV「ルーチェ」巡る商標問題否定 マツダが過去に同名車 - ロイター・2026年3月17日
  24. 1 2 3 Mihalascu, Dan (2026年3月18日). “Ferrari Says It Owns 'Luce' Name Globally — But Mazda Controls It in Japan”. Autoblog (英語). 2026年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年9月27日閲覧.
  25. ↑ “Mazda Could Block Ferrari from Using 'Luce' Name for Maranello's 1st EV, At Least in 1 Market” (英語). Road & Track (2026年3月13日). 2026年9月27日閲覧。
  26. ↑ “1908096- FERRARI LUCE” (英語). www3.wipo.int. 2026年9月27日閲覧。
  27. ↑ “FERRARI LUCE - Il marchio consiste in un'impronta raffigurante la dicitura FERRARI LUCE in caratteri di fantasia, l’espressione verbale LUCE,” (英語). www.tmdn.org. EUIPN (n.d.). 2026年9月27日閲覧。
  28. ↑ “商標照会:商願2026-023117”. J-PlatPat. 独立行政法人工業所有権情報・研修館 (n.d.). 2026年9月27日閲覧。
  29. ↑ なお、マツダが「ルーチェ」の名称を用いていたのは日本国内のみであり、国外ではレシプロエンジン車に「Mazda 929」、ロータリーエンジン車に「Mazda RX-4」という別の名称が付けられた。

関連項目

外部リンク