ブルーブロブ

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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、M81, M82,NGC 3077の間に存在するブルーブロブ

ブルーブロブ(英語: blue blob)とは銀河間空間に存在する恒星系の一種である。ブルーブロブは複数の星団や星形成領域で構成されたおよそ数kpcの集団で、年老いた恒星が見られないことが特徴である。ブルーブロブは銀河間空間の中に孤立して存在しており、隣の天体までの距離は数百kpcに及ぶこともある`[1]`。2025年までに11個のブルーブロブが確認され知られており、すべておとめ座銀河団に存在している。近傍の銀河からラム圧によって剥ぎ取られたガスが銀河間空間を漂っているうちにスターバーストを起こして形成されたと考えられていることから、ラム圧矮小銀河と呼ばれることもある[2]。

発見

最初に発見されたブルーブロブはSECCO 1(英語版)で、興味深い天体として2015年に発見が報告された[3]。 SECCO 1はその後2016年の研究でブルーブロブ(または現在そう呼ぶに相応な天体)であることが詳細観測で示された[4]。 SECCO 1は2007年にアレシボ天文台が行った、電波で銀河間の中性銀河ガスをサーベイでも見つかっておりAGC 226067とカタログされていた。その後もおとめ座銀河団でさらに4個のブルーブロブが発見された[2]。

市民科学プロジェクトでの捜索

クラウドソーシング形式の市民科学プロジェクトを多数ホストするウェブプラットフォーム、ズーニバース内にあるプロジェクト「Blobs and Blurs」では、ろ座銀河団とおとめ座銀河団の画像から低輝度矮小銀河と共にブルーブロブの捜索を行った[5]。 プロジェクトではボランティアが、VLTサーベイ望遠鏡で行われたろ座ディープサーベイ、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で行われた次世代おとめ座銀河団サーベイ、ビクター・M・ブランコ望遠鏡で行われたDECamレガシーサーベイの可視光画像から青い塊状の天体を探し、ブルーブロブに特有の特徴である紫外線放射を示すかどうかを同じ領域のGALEXによる紫外線画像と見比べることでそれがブルーブロブかを見分ける[6]。

プロジェクトの終了後2025年に発表された研究ではボランティアが発見した候補を精査した結果、おとめ座銀河団で34個のブルーブロブ候補を発見し、特に13個は高い信頼度でブルーブロブであることを示したうえで、そのうちの6個をホビー・エバリー望遠鏡を用いた分光観測により実際のブルーブロブであることを確認したことが報告された[7]。

2026年からは可視光画像としてNSFヴェラ・C・ルービン天文台が撮影した画像を用いた後継プロジェクト「Rubin: Blobs and Blurs」(日本語版タイトル:銀河の青さを知る人よ:ルービン)が行われている[8]。

特性

M81・M82周辺のブルーブロブを拡大する様子

ブルーブロブには若い青い恒星で満たされた複数の星形成領域の塊や、星団、HII領域が含まれている。質量は非常に小さく、せいぜい太陽の5万倍から10万倍程度しかない。ブルーブロブ内で最も年老いた恒星集団も1.6億年より若く、最も若い集団だと5000万年程度である。しかしスターバーストが起こる前から存在していた古い恒星があるかもしれず、それらはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で検出できる可能性がある[2]。

金属量

ブルーブロブは星形成に必要な水素ガスを豊富に含まないが、その小さい質量に反して非常に高い金属量が観測されており[9]、[O/H]の値は8.3から8.7でありこれは大マゼラン雲や天の川銀河のような大きな銀河の金属量に相当する。ブルーブロブと同程度の質量をもつ矮小銀河より明らかに高い値であるため、その形成過程の説明は難しい。ただし高い金属量を示す物質を供給できる源としてあり得るのがおとめ座銀河団内の大型の銀河しかないため、ブルーブロブは単独で形成されたのではなく他の銀河の物質から誕生したと考えられる[2]。

形成仮説

ブルーブロブが単独で誕生せず他の銀河から生まれたメカニズムとして、大型の銀河(特におとめ座銀河団でできた新しい銀河)が銀河団中心に落ちていく際に銀河団ガスによってラム圧剥離を受けた結果、高い金属量のガスや恒星集団が剥がれ落ちてブルーブロブとなったと考えられる[10]。そのためブルーブロブはラム圧矮小銀河とも呼ばれる。銀河間空間を漂っている際に、金属豊富なガスは急速に爆発的な星形成(スターバースト)を起こし、若く青い星々で構成された今の姿になったと考えられる[2]。

出典

  1. ↑ “HST Proposal 15183”. Space Telescope Science Institute. 2026年10月23日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 Jones, Michael G.; Sand, David J.; Bellazzini, Michele; Spekkens, Kristine; Karunakaran, Ananthan; Adams, Elizabeth A. K.; Battaglia, Giuseppina; Beccari, Giacomo et al. (2022-08-01). “Young, Blue, and Isolated Stellar Systems in the Virgo Cluster. II. A New Class of Stellar System”. The Astrophysical Journal 935: 51. arXiv:2205.01695. Bibcode:2022ApJ...935...51J. doi:10.3847/1538-4357/ac7c6c. hdl:10261/283719. ISSN 0004-637X.
  3. ↑ Adams, E. A. K.; Cannon, J. M.; Rhode, K. L.; Janesh, W. F.; Janowiecki, S.; Leisman, L.; Giovanelli, R.; Haynes, M. P. et al. (2015-08-01). “AGC 226067: A possible interacting low-mass system”. Astronomy and Astrophysics 580: A134. arXiv:1507.01855. Bibcode:2015A&A...580A.134A. doi:10.1051/0004-6361/201526857. ISSN 0004-6361.
  4. ↑ Beccari, G.; Bellazzini, M.; Magrini, L.; Coccato, L.; Cresci, G.; Fraternali, F.; de Zeeuw, P. T.; Husemann, B. et al. (2017-02-01). “A very dark stellar system lost in Virgo: kinematics and metallicity of SECCO 1 with MUSE”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 465 (2): 2189–2197. arXiv:1611.02876. Bibcode:2017MNRAS.465.2189B. doi:10.1093/mnras/stw2874. ISSN 0035-8711.
  5. ↑ “Research” (英語). Zooniverse. 2026年10月23日閲覧。
  6. ↑ “FAQ” (英語). Zooniverse. 2026年10月23日閲覧。
  7. ↑ Dey, Swapnaneel; Jones, Michael G.; Sand, David J.; Mazziotti, Nicolas; Janowiecki, Steven; Zeimann, Gregory R.; Bennet, Paul (2025-04-10). “Citizen Science Identification of Isolated Blue Stellar Systems in the Virgo Cluster”. The Astrophysical Journal 983 (1): 2. doi:10.3847/1538-4357/adbbd8.
  8. ↑ “私たちの研究について”. Zooniverse. 2026年10月23日閲覧。
  9. ↑ “Strange star systems blue blobs”. Space.com. 2026年10月23日閲覧。
  10. ↑ Carpineti, Alfredo (2022年6月22日). “New "Blue Blob" Class Of Stellar System Might Have Experienced A Galactic “Belly Flop”” (英語). IFLScience. 2026年10月23日閲覧。