使役(しえき)とは、「~させる」という表現形態を指す文法上の概念である。日本語では、態の一種と位置づけられる。動詞や助動詞、動詞の接尾辞によって構文が導かれる。
柴谷方良 (Shibatani 2001) は使役表現に必ず含まれているものとして三つの基準を挙げている。
この定義のもとには、使役者、被使役者、動詞、構文の意味によってさまざまなタイプの関係が含まれる。何人もの言語学者が(Comrie 1981, Song 1996, Dixon 2000 など)どのような要因が使役構文の使い分けに関わっているのか、通言語的に見られるのはどのようなパターンかということを詳細に検討している。
日本語では、助動詞の「せる、させる」を未然形に接続させる。 「せる」は五段動詞の未然形とサ行変格活用の未然形「さ」に接続し、「させる」は上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の未然形に接続する。
| 五段活用 | 上一段活用 | 下一段活用 | サ行変格活用 | カ行変格活用 |
|---|---|---|---|---|
| 書かせる | 見させる | 食べさせる | させる | 来させる |
「~せる」を「~す」と表すこともあるが、それは、五段活用のみであって、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用では表さない。
| 五段活用 | 上一段活用 | 下一段活用 | サ行変格活用 | カ行変格活用 |
|---|---|---|---|---|
| ○書かす | ×見さす | ×食べさす | ×勉強さす | ×来さす |
使役にも受け身はある。
| 五段活用 | 上一段活用 | 下一段活用 | サ行変格活用 | カ行変格活用 |
|---|---|---|---|---|
| 書かせられる | 見させられる | 食べさせられる | 勉強させられる | 来させられる |
五段活用で、「~せる」を「~す」と表す場合の受け身は「~せられる」ではなく、「~される」になる。
上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用では「~せられる」を「~される」とは表さないので、「食べさせられる」を「食べされる」、「来させられる」を「来される」、「終了させられる」を「終了さされる」と表すことはない。
| 五段活用 | 上一段活用 | 下一段活用 | サ行変格活用 | カ行変格活用 |
|---|---|---|---|---|
| ○書かされる | ×見さされる | ×食べさされる | ×勉強さされる | ×来さされる |
五段活用で、「さ」を接続させて、「書かさせる」「飲まさせられる」にしてしまうことをさ入れ言葉と言う。
英語には他の言語と同様に語彙的使役(lexical causative)と迂言的使役(periphrastic causative)がある。
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英語の場合、迂言的使役(periphrastic causative)の表現は、元来は自動詞を起源としたと考えられている迂言的使役動詞 (periphrastic causative verb) による文法上特色ある構文で表現される。迂言的使役動詞は、目的格補語に不定詞をとる文法的特色が学校文法等で強調されている。(目的語が不定詞の意味上の主語になる。) 迂言的使役動詞には、原形不定詞をとる動詞と、to-不定詞をとる動詞があり、前者はmakeであり、後者は compel や get が挙げられる。また、help にも同じ用法がある。
漢文法では主に使、遣、令、教等が使役の助字(助動詞)として用いられる。
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