妙田寺
妙田寺(みょうでんじ)とは静岡県沼津市井田にある日蓮宗の寺院である。開祖・大運阿闍梨日調により1570年(元亀元年)に創立された。山号は井立山。清雲寺(伊豆市土肥)の旧末寺である。法縁は池上中道不二庵法類の柳嶋法縁だったが、1977年発行の小西法縁名鑑に妙田寺の名前があり、昭和の時代に小西法縁へと変わった[1]。
古くはすぐ傍の井田神社の管理や祭祀を担った別当寺だったと伝わる[2]。1800年に編纂された江戸時代の地誌『豆州志稿[3]』に「社傍に井立山妙田寺あり往昔当社の別当なるべし」との記載がある[4]。明治時代になると1868年に政府が「神仏分離令」を発令、妙田寺と井田神社は「別当寺」としての主従関係を解消し、別々の宗教施設となった。寺の境内に虫歯の神様「虫歯守護九頭龍大善神」を祀る[5]。
別当を務めた井田神社
井田神社は平安時代の927年に編纂された『延喜式神名帳』にも記載されている式内社で、伊豆国の神階帳にある那賀郡の「従四位上ゐたの明神」に相当する高い位の神社である。従四位上は30段階の神階の中で上から10番目に当たる。祭神は大己貴命、大国主命の別称である。
明治時代の教部省が編纂を始め1879年に完成した『延喜式神名帳』の注釈・調査報告書『特選神名帳』によると、井田神社は古くは「大古久明神」と呼ばれ、妙田寺が創立された1570年に社殿を修造。1607年の棟札には「井田荘七箇の鎮守 井田明神」と記されており、村の産土神だったとされる。昔から農漁商工業の守護神として村人から崇拝されていたと考えられる。また式社考証に見られる池明神(明神池)こそが格式高い神社という一文は村の老人の説を鵜吞みにした誤りで、井田明神が井田神社に鎮座していることに議論の余地はないと記されている。井田神社は明治時代の1873年には「村社」という社格に列せられた[4]。
戦後の歴代住職
井田小学校創立百周年記念像
妙田寺の山門横は小学校の正門跡地であり、1973年(昭和48年)に井田小学校創立百周年記念像が建立されている。井田地区の小学校は1873年(明治6年)に戸田村宝泉寺に第46番小学巴江学舎が開校し、同校の第一支校として松江学舎が妙田寺に置かれたのが始まりである。
松江学舎はその後1891年(明治24年) 井田尋常小学校として独立開校。戦後1947年(昭和22年)戸田村立井田小学校と改称。1984年(昭和59年)戸田村立戸田小学校に統合された[10]。また同校は2005年(平成17年)に戸田村が沼津市に編入合併され沼津市立戸田小学校に改称。2021年(令和3年)沼津市立戸田小中一貫学校となった[11]。
井田の散策コース
妙田寺は井田神社と共に観光向けの井田散策コース上で度々紹介される。環境省が富士伊豆箱根国立公園内に整備した『西伊豆歩道・井田コース』の案内版には『煌めきの丘』『松江古墳』『明神池』『井田海水浴場』『妙田寺』『井田神社』の名称が表示されている。順番に歩くと距離は1.2kmほどだが長く急な階段や坂もあり、片道40分~1時間位と推測される[12][13]。
- 煌めきの丘…富士山や明神池、井田集落が一望できるビュースポット。夕日も絶景。1~2月頃、集落の菜の花が見頃[14]。
- 井田松江古墳群(いたすんごうこふんぐん)…昭和29年以降29基の円墳が数えられ平成7年に静岡県指定史跡となった[15]。
- 明神池…1周650m、春には桜の花が見られる。海の入り江の湾口が閉ざされ淡水に変わった海跡湖で鯉などが生息[16]。
- 井田海水浴場…砂浜ではないため海水の透明度が高く、井田ブルーとも称される穴場的なマリンスポット。海水浴やシュノーケル、釣り等が楽しめる。環境省のデータを元にした「水がきれいな海水浴場ランキング2020」で沖縄の与那覇前浜と並んで全国1位に選ばれている[17][18][19]。
井田集落
妙田寺がある井田地区は人口50名の小さな集落だが[20]、静岡県と県内市町が認定する「ふじのくに美しく品格のある邑」に「夢むら井田」として登録され、井田村おこし実行委員会の景観作りへの積極的な取組と、植栽活動など継続的な企業との協働活動が評価され令和6年度連合奨励賞を受賞した[21]。
令和5年には休耕田を活用して、菜の花で「井田」の文字を描いた「井田の菜の花畑」が「ぬまづの宝100選」に選定されている。菜の花は毎年初春、1月上旬から2月下旬に見頃を迎え「井田菜の花まつり」が開催される[22]。
交通アクセス
近隣の日蓮宗寺院
脚注
- 1 2 『小西法縁名鑑』小西法縁会、1977年11月25日、215-216頁。
- ↑ “アーツカウンシルしずおか ARTS COUNCIL SHIZUOKA”. アーツカウンシルしずおか ARTS COUNCIL SHIZUOKA. 2026年10月5日閲覧。
- ↑ “豆州志稿 復刻版 詳細”. hagoromo-syuppan.sakura.ne.jp. 下田市史編纂委員 高橋廣明 (2003年). 2026年10月5日閲覧。
- 1 2 “式内社 井田神社”. humizuki.com. 2026年10月5日閲覧。
- ↑ “沼津市の寺社史蹟巡りー13、日蓮宗妙田寺、井田海岸 - おじん0523のヒロ散歩:楽天ブログ”. 楽天ブログ. 2026年10月5日閲覧。
- ↑ “日蓮宗新聞社 : 山梨1 本山本遠寺晋山式”. news-nichiren.jp. 2026年10月14日閲覧。
- ↑ “本法寺別院 歴史”. mito-honpouji. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “日蓮宗新聞社 : 東京東 田島教也上人本葬儀”. news-nichiren.jp. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “強面の住職に会いに行ってきました!”. あうたび (2016年9月20日). 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “廃校を訪ねて..............井田小学校跡 (2014年7月2日)(静岡県沼津市) - び・び・びのびいすけ”. biisuke0822.blog.fc2.com. 2026年10月8日閲覧。
- ↑ “沼津市立戸田小中一貫学校 | 沿革”. swa.numazu-szo.ed.jp. 2026年10月8日閲覧。
- ↑ “明神池・煌めきの丘・松江古墳(西伊豆歩道 井田コース)”. あの人が語る伊豆の魅力「いずみーる」. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ D, Kaycom (2021年2月17日). “西伊豆井田で昔話の世界へ!井田ブルーの海と絶景で癒されよう | 静岡県”. トラベルjp 旅行ガイド. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ fuji_admin (2019年7月12日). “35.煌めきの丘 | 日本富士山協会”. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ 沼津市. “井田松江古墳群(いたすんごうこふんぐん)”. 沼津市ホームページ. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “明神池(みょうじんいけ)”. 環境省. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “井田海水浴場[沼津市]|静岡新聞アットエス”. @S[アットエス]. 2026年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年10月6日閲覧.
- ↑ 尚子, 下川 (2021年7月28日). “美しき“井田ブルー” 沼津「井田海水浴場」の透明度が凄い! | 静岡県”. トラベルjp 旅行ガイド. 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “水がきれいな海水浴場ランキング2020【全450カ所・完全版】”. ダイヤモンド・オンライン (2020年8月4日). 2026年10月6日閲覧。
- ↑ “沼津市の町別 世帯・人口一覧( 令和8年4月1日 現在 )”. 沼津市ホームページ. 沼津市 (2027年4月1日). 2026年10月10日閲覧。
- ↑ “夢むら井田(沼津市)”. ふじのくに美しく品格のある邑づくり(静岡県). 2026年10月10日閲覧。
- ↑ “【沼津市】井田の菜の花!”. しずおか農山村サポーター むらサポ. 2026年10月10日閲覧。
- ↑ “井田|静岡県公式ホームページ”. 静岡県公式ホームページ. 2026年10月10日閲覧。
- ↑ 沼津市. “デマンド型(予約制)乗合タクシー戸田・江梨線「ふじみgo!」”. 沼津市ホームページ. 2026年10月5日閲覧。
- ↑ “ホーム | 日蓮宗 戸田 法性山 三光寺”. 日蓮宗 戸田 法性山 三光寺. 2026年10月8日閲覧。
- ↑ “静岡県 沼津市|日蓮宗全寺院マップ|寺院めぐり|日蓮宗ポータルサイト”. www.nichiren.or.jp. 2026年10月8日閲覧。