岩瀬成子
岩瀬 成子(いわせ じょうこ、1950年(昭和25年)8月25日 - )は、日本の児童文学作家。山口県玖珂郡玖珂町出身[1]。山口県岩国市在住[1]。
来歴
山口県立岩国商業高等学校卒業後、公務員として働く。今江祥智の講演を聞いて、京都の聖母女学院短期大学の聴講生として児童文学を学ぶ[1]。1975年、岩国に帰郷後、在住。1977年岩国市内の「ほびっと」をモデルにした作品でデビュー[1]。
1978年『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で産経児童出版文化賞[2]、小学館文学賞[2]、IBBYオナーリスト賞を受賞、『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』で路傍の石文学賞を受賞[2]。2008年、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞を受賞。2014年、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。2015年、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞を受賞[2]。2021年、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞[2]。2022年、『わたしのあのこあのこのわたし』で児童福祉文化賞を受賞。2022年、2024年、JBBYより国際アンデルセン賞に推薦され、JBBY賞を受賞。『真昼のユウレイたち』がミュンヘン国際児童図書館「ホワイト・レイブンズ2024」に選ばれる。2026年、『わたし、わかんない』で産経児童出版文化賞タイヘイ賞を受賞。『わたし、わかんない』がミュンヘン国際児童図書館「ホワイト・レイブンズ2026」に選ばれる。
現実に戸惑いながらもゆれ動く子どもの内面的な気もちの変化を独特の文体で書くことに定評がある。とりわけ学校や社会、家族や地域(基地の街)における今日的な問題とともに子どもの現在を浮きぼりにする作品が注目されている。
著書
- 『朝はだんだん見えてくる』理論社 1977年1月 国立国会図書館書誌ID:000001354444
- 『わたしねこ』理論社 1979年9月 000001433037
- 『小さな獣たちの冬』小学館 1980年6月 000001461489
- 『アトリエの馬』学校図書 1981年11月 000001573736
- 『額の中の街』理論社 1984年3月 000001661998
- 『あたしをさがして』理論社 1987年9月 ISBN 4-652-01417-1
- 『ポケットのなかの<エーエン>』理論社 1988年11月 ISBN 4-652-01227-6
- 『日曜日の手品師』教育画劇 1989年6月 ISBN 4-905699-74-6
- 『アイスクリーム・ドリーム』理論社 1991年2月 ISBN 4-652-07212-0
- 『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』PHP研究所 1991年12月 ISBN 4-569-58519-1
- 『もうちょっとだけ子どもでいよう』理論社 1992年7月 ISBN 4-652-04214-0
- 『子どもたちの森』あかね書房 1993年6月 ISBN 4-251-03721-9
- 『ステゴザウルス』マガジンハウス 1994年3月 ISBN 4-8387-0513-1
- 『迷い鳥とぶ』理論社 1994年8月 ISBN 4-652-00490-7
- 『イタチ帽子』文渓堂 1995年2月 ISBN 4-89423-052-6
- 『やわらかい扉』ベネッセコーポレーション 1996年1月 ISBN 4-8288-2518-5
- 『どうぶつふうせん』ほるぷ出版 1996年7月 ISBN 4-593-56041-1
- 『アルマジロのしっぽ』あかね書房 1997年10月 ISBN 4-251-06171-3
- 『夜くる鳥』PHP研究所 1997年10月 ISBN 4-569-68055-0
- 『大きい家 小さい足』理論社 1997年11月 ISBN 4-652-07158-2
- 『金色の象』偕成社 2001年7月 ISBN 4-03-744440-2
- 『さらわれる』BL出版 2002年9月 ISBN 4-89238-762-2
- 『二十歳だった頃』晶文社 2002年11月 ISBN 4-7949-6550-8
- 『月夜の誕生日』金の星社 2004年3月 ISBN 4-323-07044-6
- 『となりのこども』理論社 2004年12月 ISBN 4-652-07748-3
- 『小さな小さな海』理論社 2005年7月 ISBN 4-652-00748-5
- 『かくれんぼ』福音館書店 月刊たくさんのふしぎ 2005年12月
- 『そのぬくもりはきえない』偕成社 2007年11月 ISBN 978-4-03-643040-6
- 『「さやか」ぼくはさけんだ』佼成出版社 2007年12月 ISBN 978-4-333-02311-0
- 『だれかないてる』佼成出版社 2008年3月 ISBN 978-4-333-02316-5
- 『白雪姫』(原作:グリム)フェリシモ 2009年9月 ISBN 978-4-89432-496-1
- 『オール・マイ・ラヴィング』ホーム社 2010年1月 ISBN 978-4-8342-5162-3 / 小学館文庫 2016年12月 ISBN 978-4-09-406378-3
- 『ねずみじょうど』フェリシモ 2010年5月 ISBN 978-4-89432-520-3
- 『まつりちゃん』理論社 2010年9月 ISBN 978-4-652-07977-5
- 『だれにもいえない』毎日新聞社 2011年5月 ISBN 978-4-620-20030-9
- 『ピース・ヴィレッジ』偕成社 2011年10月 ISBN 978-4-03-643090-1
- 『なみだひっこんでろ』岩崎書店 2012年5月 ISBN 978-4-265-06298-0
- 『とっとこトマちゃん』WAVE出版 2013年4月 ISBN 978-4-87290-904-3
- 『あたらしい子がきて』岩崎書店 2014年2月 ISBN 978-4-265-05491-6
- 『くもりときどき晴レル』理論社 2014年2月 ISBN 978-4-652-20049-0
- 『きみは知らないほうがいい』文研出版 2014年10月 ISBN 978-4-580-82232-0
- 『ともだちってだれのこと』佼成出版 2015年5月 ISBN 978-4-333-02705-7
- 『ぼくが弟にしたこと』理論社 2015年11月 ISBN 978-4-652-20131-2
- 『マルの背中』講談社 2016年9月 ISBN 978-4-06-220063-9
- 『ちょっとおんぶ』講談社 2017年5月 ISBN 978-4-06-195780-0
- 『春くんのいる家』文渓堂 2017年6月 ISBN 978-4-7999-0162-5
- 『ともだちのときちゃん』フレーベル館 2017年9月 ISBN 978-4-577-04574-9
- 『地図を広げて』偕成社 2018年7月 ISBN 978-4-03-643180-9
- 『もうひとつの曲り角』講談社 2019年9月 ISBN 978-4-06-516880-6
- 『おとうさんのかお』佼成出版 2020年9月 ISBN 978-4-333-02832-0
- 『ネムノキをきらないで』文研出版 2020年12月 ISBN 978-4-580-82416-4
- 『わたしのあのこあのこのわたし』PHP研究所 2021年2月 ISBN 978-4-569-78969-9
- 『ひみつの犬』岩崎書店 2022年10月 ISBN 978-4-265-84034-2
- 『ジャングルジム』ゴブリン書房 2022年12月 ISBN 978-4-902257-44-1
- 『ひとりかもしれない』フレーベル館 2023年5月 ISBN 978-4-577-05190-0
- 『真昼のユウレイたち』偕成社 2023年6月 ISBN 978-4-03-643250-9
- 『ぼくのねこポー』PHP研究所 2024年3月 ISBN 978-4-569-88162-1
- 『まだら模様の日々』かもがわ出版 2024年4月 ISBN 978-4-7803-1321-5
- 『わだかまってばかり日記-本と共に-』理論社 2025年1月 ISBN 978-4-652-20661-4
- 『わたし、わかんない』講談社 2025年4月 ISBN 978-4-06-538952-2
アンソロジー
- 『こどもの世界童話館』サンケイ出版 1980年12月 000001496547 「ナガレ」収録
- 『きょうはこの本読みたいな 5』偕成社 1990年8月 ISBN 4-03-539050-X 「トラがいる」収録
- 『新潮現代童話館 2』新潮文庫 1992年1月 ISBN 4-10-100231-2 「台風がきている」収録
- 『児童文学 新しい潮流』双文社出版 1997年4月 ISBN 4-88164-068-2 「ダイエットクラブ」収録
- 『山口の童話』リブリオ出版 2001年5月 ISBN 4-89784-819-9 「白の手帳」収録
- 『冬ものがたり』偕成社 2008年11月 ISBN 978-4-03-539340-5 「カルシウム」収録
- 『冬の本』夏葉社 2012年12月 ISBN 978-4-904816-07-3 [3] 「歩く人」収録
- 『100万分の1回のねこ』講談社 2015年7月 ISBN 978-4-06-219601-7 / 講談社文庫 2018年12月 ISBN 978-4-06-513998-1 「竹」収録
- 『あまからすっぱい物語 2』小学館 2016年6月 ISBN 978-4-09-289749-6 「猫の意見」収録
- 『靴のおはなし 2』ループ舎 2019年8月 ISBN 978-4-9909782-1-1 「靴音」収録
- 『24時間のキョーフ 2』フレーベル館 2020年6月 ISBN 978-4-577-04874-0 「白い髪を三つあみにしたものすごく大きなおばあさん」収録
- 『1話ごとに近づく恐怖百物語 1』文溪堂 2022年12月 ISBN 978-4-7999-0480-0 「ガミガミさんの古ダヌキ」収録
『朝はだんだん見えてくる』
概要
デビュー作。1977年、初版が理論社から刊行。1978年、日本児童文学者協会新人賞を受賞。イラストは長新太。1980年9月10日〜16日、劇団民藝により劇化されて、東京・砂防会館ホール公演(脚本=大橋喜一、演出=高橋清祐、出演=日色ともゑ ほか)[4]。2005年新版が理論社から刊行。
あらすじ
米軍基地のある町に住む中学3年生の奈々の夏休みから2学期の終わりまでの成長や模索を描いている。ジャズ喫茶で知り合った少年のオートバイに乗って街を駆け抜けたり、反戦喫茶に出入りしたり、基地反対デモに参加したりするなどして、親、教師ら大人とのギャップに苦しみながら、自分らしい生き方を探す。
解説
作品の中に描かれた反戦喫茶は、1972年頃、ベ平連の活動家が経営していたという実在の喫茶店「ほびっと」をモデルにしている。作者は実際にこの喫茶店に出入りし、その体験からこの作品を生み出した。
脚注
- 1 2 3 4 “「夢もて」と追いつめる大人 新学期、ダメと思わないで:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2021年4月2日). 2023年11月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月14日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “令和2年度 第36回坪田譲治文学賞”. 岡山市. 2023年11月14日閲覧。
- ↑ “小西、曽我部、直枝、堀込高樹、前野健太ら執筆「冬の本」”. ナタリー. ナターシャ (2012年12月11日). 2026年8月7日閲覧。
- ↑ 1976年〜1985年年表 旧「ベ平連」運動の情報ページ