島々清しゃ

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島々清しゃ
Sound of Waves
第29回東京国際映画祭のオープニングセレモニーに出席した安藤サクラ(2016年)
監督 新藤風
脚本 磯田健一郎
製作 新藤次郎
出演者 伊東蒼
安藤サクラ
金城実
山田真歩
渋川清彦
角替和枝
でんでん
音楽 磯田健一郎(音楽監督)
撮影 山崎裕
編集 渡辺行夫
制作会社 近代映画協会
製作会社 「島々清しゃ」製作委員会
配給 東京テアトル
公開 日本の旗 日本 2017年1月21日
上映時間 100分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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『島々清しゃ』(しまじまかいしゃ、英題:Sound of Waves)は、2016年に製作され、2017年1月21日に公開された日本映画。沖縄県の慶良間諸島を舞台に、鋭敏な聴覚を持つ少女と東京から訪れた女性ヴァイオリニストが、音楽を通して交流する姿を描いたドラマ映画である。監督は新藤風、脚本・音楽監督は磯田健一郎が務め、伊東蒼と安藤サクラが主演した[1][2][3]。

題名は沖縄の作曲家普久原恒勇による同名の沖縄民謡に由来する。映画監督新藤兼人の孫である新藤風にとって、2006年公開の『転がれ!たま子』以来、約11年ぶりの長編監督作品となった[4][5]。

2016年に開催された第29回東京国際映画祭の「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、同映画祭でワールドプレミア上映された[2]。

あらすじ

沖縄県島尻郡座間味村の慶留間島。9歳の少女・花島うみ(伊東蒼)は、わずかな音程のずれにも敏感に反応し、頭痛を起こしてしまうほど鋭い聴覚を持っている。そのため、周囲の人々から変わり者として見られ、友人たちとの関係にも悩んでいた。

うみは三線の名手である祖父・花島昌栄(金城実)と暮らしている。母親のさんご(山田真歩)とは離れて暮らしており、自分が母親の歌を下手だと言ったことが、別居の原因になったと思い込んでいた。さんごもまた、音楽に優れた父親や娘に対して引け目を感じ、那覇で琉球舞踊を学んでいた[5]。

ある夏の日、島で開催されるコンサートのため、東京からヴァイオリニストの北川祐子(安藤サクラ)がやってくる。祐子もまた、都会での生活や人間関係に悩みを抱えていた。

うみは祐子との出会いをきっかけにフルートの練習を始め、島の子どもたちによる吹奏楽部に参加する。当初は周囲との関係がうまくいかず、演奏でも仲間と衝突していたうみだったが、祐子や子どもたちとの交流を通じて、次第に心を開いていく。

一方、祐子も、島で漁業を営む元サクソフォーン奏者の真栄田(渋川清彦)や昌栄の三線演奏、島の人々との交流を通じて、自身の抱える問題と向き合っていく。音楽を通じた交流は、うみと祐子だけでなく、周囲の人々にも変化をもたらしていく[6][7]。

キャスト

  • 花島うみ - 伊東蒼
    慶留間島に暮らす9歳の少女。音程のずれに敏感な聴覚を持ち、祖父の昌栄と暮らしている。
  • 北川祐子 - 安藤サクラ
    コンサートのため東京から島を訪れたヴァイオリニスト。うみとの交流を通じて、自身の抱える問題にも向き合う。
  • 花島昌栄 - 金城実
    うみの祖父で、三線の名手。
  • 花島さんご - 山田真歩
    うみの母親。娘と離れ、那覇で琉球舞踊を学んでいる。
  • 真栄田 - 渋川清彦
    島で漁業を営む元サクソフォーン奏者。
  • 吉田妙子
  • 角替和枝
  • でんでん

主要人物の配役は、日本映画データベース(JFDB)および映画専門媒体の作品情報で確認できる[2][3][7][8]。

スタッフ

製作

企画・脚本

本作の企画は、沖縄の作曲家普久原恒勇の楽曲「島々清しゃ」を題材として、磯田健一郎が脚本を執筆したことから始まった。磯田は、1999年公開の映画『ナビィの恋』で音楽監督を務めた人物であり、同作で助監督を担当していた新藤風に脚本を託した[5]。

新藤は映画監督新藤兼人の孫にあたり、長編映画『LOVE/JUICE』『転がれ!たま子』などを監督していた。しかし、『転がれ!たま子』以降は長編映画の監督から離れ、晩年の新藤兼人の生活や映画制作を支えることに時間を費やしていた。2012年に祖父が死去した後、映画監督としての活動を再開することに迷いを抱えていたが、磯田から託された脚本に触れ、再び映画制作に取り組むことになった[10][11]。

新藤によれば、磯田の脚本を改稿する際には、主人公うみとその家族の物語を中心に据え、自身の経験した親子三代の関係を反映させることを意識したという。また、困難に直面しながらも自分の望みに向かって進もうとするうみに対し、問題から逃れようとする大人たちを描くことで、自身の葛藤も投影したと説明している[12][5]。

また、新藤は公開後のインタビューで、祖父の死後に映画制作への自信を失っていたことや、沖縄での映画制作を通じて再び監督として活動する契機を得たことを振り返っている[10]。

撮影

撮影は2015年9月末から10月にかけて、沖縄県の慶良間諸島で行われた。主な舞台となったのは、座間味村に属する慶留間島である[10]。

新藤は撮影当時について、島の住民や自然環境の協力を得ながら映画を制作した経験を振り返っている。撮影に際しては、島の人々との関係を築きながら準備を進め、地域の環境を生かした映画制作が行われた[10]。

2017年1月の公開前イベントでは、新藤が慶留間島での撮影について、店舗などの施設が限られた小さな島であり、学校から島の人々の居場所が分かるような環境だったと振り返った。島の住民、スタッフ、出演者が協力した制作現場についても語っている[13]。

出演者と演奏

主人公の花島うみ役には伊東蒼、女性ヴァイオリニストの北川祐子役には安藤サクラが起用された。

伊東は、撮影に向けて劇中で演奏するフルートを練習した。2017年1月の公開前イベントでは、練習を始めた当初は音を出すことにも苦労したが、練習を続けるうちに演奏が楽しくなっていったと振り返っている[13]。

新藤は、第29回東京国際映画祭における作品の上映後、伊東の起用について、オーディションで演技を見たことが決め手になったと説明している[14]。

安藤は公開に際して行われたインタビューで、作品に参加した理由について、近代映画協会による製作や新藤監督への信頼、撮影地となった島の環境への関心などを挙げている。また、本作でヴァイオリニストを演じることも、役者としての新たな経験になったと語った[11]。

主人公の祖父・昌栄を演じたのは、沖縄民謡の歌手である金城実である。三線の名手という役柄で出演し、作品に沖縄の音楽文化を取り入れる役割を担った[2][13]。

音楽

本作では、脚本を担当した磯田健一郎が音楽監督を兼任した。沖縄の伝統音楽と西洋楽器による演奏は、物語を構成する重要な要素となっている[2][15]。

題名の由来となった「島々清しゃ」は、沖縄の作曲家普久原恒勇による楽曲であり、沖縄の島々の自然や故郷への思いを表現した作品である。新藤は、同曲に込められた故郷への愛情や郷愁を、映画の根底にある要素として描こうとしたと説明している[5][4]。

劇中には、三線、ヴァイオリン、フルート、サクソフォーンなどの楽器が登場する。うみが吹奏楽部での演奏に参加し、他者との関係を築いていく過程を通して、音楽による交流が描かれる[6][3]。

琉球民謡の楽器指導には金城盛長が参加し、映画にも出演した。2017年1月に行われた公開前イベントでは、金城や吹奏楽の楽器指導に携わった音楽家らによる「島々清しゃ」の合奏が行われ、伊東蒼がフルート、安藤サクラが三線、新藤風がコーラスで参加した[13]。

関連書籍

2017年1月18日、脚本・音楽監督を務めた磯田健一郎による書籍『沖縄、シマで音楽映画「島々清しゃ」ができるまで』が、編集室屋上から刊行された[16][17]。

同書は、磯田が企画の立ち上げから映画の完成に至るまでの制作過程を記録したもので、沖縄での映画制作、撮影地となる島の選定、出演者やスタッフの参加、音楽制作、子どもたちへの演奏指導などを題材としている。安藤サクラと磯田による対談も収録された[16][17]。

書籍には、映画の企画、撮影地の探索、音楽監督としての準備、撮影現場での経験などに関する章が設けられている[17]。

  • 磯田健一郎『沖縄、シマで音楽映画「島々清しゃ」ができるまで』編集室屋上、2017年1月18日。ISBN 978-4-9906105-6-2。

同書は、ジョージ・ワシントン大学図書館が公開する沖縄関連映画資料の収蔵情報にも掲載されている[18]。

公開・上映

東京国際映画祭

本作は2016年の第29回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、同映画祭でワールドプレミア上映された[2][19]。

映画祭では新藤風監督、脚本・音楽監督の磯田健一郎らが作品について語った。上映後の質疑応答では、企画の成立過程や出演者の起用、子どもたちへの楽器指導、沖縄での撮影などについて説明が行われた[20]。

また、出演者の安藤サクラや伊東蒼、新藤監督への取材も行われ、映画制作の経緯や撮影現場での経験が紹介された[14]。

劇場公開

2017年1月21日、テアトル新宿をはじめとする日本国内の映画館で公開された。配給は東京テアトルが担当した[15][4]。

公開前の2017年1月12日には、出演者らによる「島々清しゃ」の合奏を伴うイベントが行われた[13]。

公開当日には舞台挨拶が行われ、新藤監督や出演者が登壇した。公開に合わせて監督や出演者への取材も行われ、監督復帰に至る経緯、音楽を中心とした映画制作、沖縄での撮影経験などが報じられた[5][11][21]。

広島国際映画祭

2018年には広島国際映画祭の特別招待作品として上映された。同年11月25日、NTTクレドホール第1会場で上映が行われ、プロデューサーの新藤次郎がゲストとして紹介された[22]。

再上映

2025年6月28日には、東京テアトルが企画した伊東蒼の出演作品を上映する「odessa Midnight Movies vol.28 伊東蒼特集」において、本作が上映された[23]。

映像ソフト

2017年8月2日、クロックワークスからDVDが発売された。販売元はTCエンタテインメントで、規格品番はTCED-3600、JANコードは4562474187770である[6]。

DVDには本編100分のほか、映像特典として予告編が収録されている。画面サイズは16:9のビスタサイズで、日本語音声はドルビーデジタル5.1chサラウンドと2.0chステレオを収録し、日本語字幕にも対応している[6]。

脚注

  1. ↑ “島々清しゃ(公式サイト)”. 2019年7月3日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 “島々清しゃ”. JFDB 日本映画データベース. 2026年10月26日閲覧。
  3. 1 2 3 4 “島々清しゃ(しまじまかいしゃ)”. 映画.com. 2026年10月26日閲覧。
  4. 1 2 3 “島々清しゃ(しまじまかいしゃ)の作品情報・あらすじ・キャスト”. ぴあ映画. 2026年10月26日閲覧。
  5. 1 2 3 4 5 6 「新藤風監督11年ぶり新作映画「島々清しゃ」を語る」『日刊スポーツ』2017年1月27日。2026年10月26日閲覧。
  6. 1 2 3 4 “島々清しゃ”. クロックワークス. 2026年10月26日閲覧。
  7. 1 2 3 “島々清しゃ(しまじまかいしゃ)”. シネマトゥデイ. 2026年10月26日閲覧。
  8. ↑ “島々清しゃ(しまじまかいしゃ)”. UDCast. 2026年10月26日閲覧。
  9. ↑ “島々清しゃ(しまじまかいしゃ)”. allcinema. 2026年10月26日閲覧。
  10. 1 2 3 4 「新藤風監督「かけがえのない人」祖父兼人監督を語る」『日刊スポーツ』2017年1月29日。2026年10月26日閲覧。
  11. 1 2 3 「安藤サクラ、「百円の恋」から「次の一歩を踏み出せた」 新藤風監督「島々清しゃ」で好演」『映画.com』2017年1月20日。2026年10月26日閲覧。
  12. ↑ 「新藤風11年ぶり監督作は「島々清しゃ」 沖縄舞台に伊東蒼×安藤サクラ主演」『映画.com』2016年7月15日。2026年10月26日閲覧。
  13. 1 2 3 4 5 「安藤サクラ&伊東蒼、沖縄民謡「島々清しゃ」合奏に挑戦」『映画.com』2017年1月12日。2026年10月26日閲覧。
  14. 1 2 「安藤サクラ、新藤風監督作「島々清しゃ」は「体が愛おしさを感じる作品」」『映画.com』2016年11月2日。2026年10月26日閲覧。
  15. 1 2 “島々清しゃ”. テアトルシネマグループ. 2026年10月26日閲覧。
  16. 1 2 「安藤サクラ出演「島々清しゃ」、音楽監督兼脚本家が制作過程つづった書籍発売」『映画ナタリー』2017年1月17日。2026年10月26日閲覧。
  17. 1 2 3 “沖縄、シマで音楽映画―『島々清しゃ』ができるまで”. 紀伊國屋書店ウェブストア. 2026年10月26日閲覧。
  18. ↑ “Films - Okinawa Collection Recent Acquisitions” (英語). George Washington University Libraries. 2026年10月26日閲覧。
  19. ↑ “東京国際映画祭 出品作品上映情報!”. 東京国際映画祭. 2026年10月26日閲覧。
  20. ↑ “【MOVIEブログ】2016東京国際映画祭 Day6”. cinemacafe.net (2016年10月31日). 2026年10月26日閲覧。
  21. ↑ 「安藤サクラ、伊東蒼ちゃんの涙につられてウルッ「もらい泣きしちゃいそう」」『映画.com』2017年1月21日。2026年10月26日閲覧。
  22. ↑ “島々清しゃ”. 広島国際映画祭. 2026年10月26日閲覧。
  23. ↑ “odessa Midnight Movies vol.28 伊東蒼特集”. テアトルシネマグループ. 2026年10月26日閲覧。

外部リンク