東洋文庫
Toyo Bunko | |
|---|---|
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東洋文庫新本館(2011年1月) | |
| 施設情報 | |
| 正式名称 | 公益財団法人東洋文庫 |
| 専門分野 | 東洋学 |
| 事業主体 | 公益財団法人東洋文庫 |
| 建物設計 | 三菱地所設計 |
| 延床面積 | 7,106.26[1][2] m2 |
| 開館 | 1924年(2011年建替) |
| 所在地 |
〒113-0021 東京都文京区本駒込2丁目28番21号 |
| 位置 | 北緯35度43分52.8秒 東経139度44分54.9秒 / 北緯35.731333度 東経139.748583度座標: 北緯35度43分52.8秒 東経139度44分54.9秒 / 北緯35.731333度 東経139.748583度 |
| ISIL | JP-1007765 |
| 統計・組織情報 | |
| 蔵書数 | 1,059,817冊[3](2023年3月31日時点) |
| 来館者数 | 47,514人[4](2022年度) |
| 年運営費 | 4億6771万8342円[5](2022年度) |
| 館長 | 斯波義信(文庫長) |
| 公式サイト | 東洋文庫ミュージアム |
| 法人番号 | 7010005002991 |
| 地図 | |
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| プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 | |
公益財団法人東洋文庫(とうようぶんこ)は、東京都文京区に所在する東洋学の専門図書館、研究所である[6]。英語名称はThe Oriental Libraryであるが、Toyo Bunkoとしても知られている。
東洋史と文化に関する文献資料を収集した東洋学専門図書館であり、EU東洋学研究コンソーシアム[注釈 1]、フランス極東学院、台湾中央研究院、ハーバード燕京研究所などの海外の東洋学関連研究機関と提携している[7]。1961年から2003年までは東洋文庫にユネスコ東アジア文化研究センターが附置されていた[7]。
沿革
東洋文庫の基礎は、1917年に三菱財閥の第3代総帥岩崎久弥が、当時中華民国の総統府顧問を務めていたジョージ・アーネスト・モリソンの所蔵する、中国に関する欧文文献の膨大なコレクション(モリソン文庫)を購入したことに始まる[8]。岩崎久弥はモリソン文庫に加えて和書・漢籍をはじめとする東洋諸言語文献を収集し、日本を含めた東洋全域を網羅するコレクションを構築したうえで、1924年に東京本駒込の地に民間の図書館兼研究所である財団法人東洋文庫を設立した。初代理事長には、同年まで大蔵大臣だった井上準之助が就任している[9]。設立後、久弥自身は文庫の運営に一切関わろうとはしなかったが、必要な図書費や研究費の支援は惜しみなく行った。三菱の海外支店をつうじて代金の支払いが確実になされるため、東洋に関する良書や貴重書が現れるや、世界中の書店が先を争って文庫に購入を持ちかけた。
東洋文庫はこうして東洋学関係図書の収集、研究書の出版、国際交流などを行って地歩を確立したが、第二次世界大戦後の混乱期には支援者である三菱財閥の解体により経営が困難となり、蔵書は散逸の危機に瀕した。この窮地に対して、1947年に理事長に就任した幣原喜重郎元首相の尽力により、国会が支援に乗り出し、1948年に同じく三菱財閥の支援下にあった静嘉堂文庫とともに、発足したばかりの国立国会図書館の支部とされた。これにより国会図書館は東洋文庫内に支部東洋文庫を置き、文庫の図書館部門の閲覧業務を請け負うことになった。
1948年8月1日、国立国会図書館は財団法人東洋文庫との契約に基づいて支部東洋文庫を設置し、同日に支部静嘉堂文庫も置いた[10]。国立国会図書館が開館したのは同年6月5日であり、支部東洋文庫は開館から2か月足らずで設置された[10]。同年8月26日の組織規程制定では、組織は1局6部1分館2支部図書館となり、二つの支部図書館を所管する支部図書館部が置かれた[10]。支部化の背景には、戦後の経営不振によって蔵書の管理・利用に支障が生じ、文化保存と学術研究の双方から対応を要する状態となったことがあった[11]。図書部は国立国会図書館の支部図書館として運営され、研究部は財団の管理下に置かれていたことが、1967年の国会資料に記されている[11]。この体制では、国立国会図書館が図書館部門の閲覧業務を担い、財団法人東洋文庫が研究活動を継続した[11]。
1967年には、図書部の収集・整理費と研究部への公的支援のあり方が国会質問の対象となった[11]。質問主意書は、図書部の予算が閲覧維持に偏り、年々収集される図書・雑誌の取得費を文部省や民間財団の援助に依存していると指摘し、蔵書充実と整理について国立国会図書館が責任を負うべきかを政府に問うた[11]。研究部についても、財団管理の研究組織に対する助成のあり方が論点とされ、支部図書館と財団研究部を分けた運営体制が国会質問で取り上げられた[11]。
この支部化に際して図書館運営を担ったのが岩井大慧である[12]。岩井は1924年の設立時から東洋文庫副主事として勤務し、1948年には国立国会図書館へ移籍して支部東洋文庫長を務めた[12]。東洋史学者として研究・教育にも従事しながら、東洋文庫の図書館部門を国立国会図書館の組織として運営する職責に就いた[12]。1965年の退職時には、自ら収集した東洋史関係書610冊を東洋文庫へ寄贈した[12]。岩井は支部東洋文庫長を務める一方、1945年から駒沢大学文学部教授でもあり、退職後に残った旧蔵書のうち和書1,572冊と洋書201冊は駒沢大学図書館が収蔵した[12]。
支部東洋文庫の設置目的は、戦後の混乱で経営危機に陥った東洋文庫の蔵書散逸を防ぎ、一般公衆の利用に供することと説明されている[13]。契約締結から半世紀余が経過すると、国立国会図書館と財団法人東洋文庫は両者を取り巻く状況の変化を理由に関係見直しを協議し、2007年3月には2009年3月31日を限りとして支部東洋文庫を廃止する方向で合意したことが国会へ報告された[13]。
後に静嘉堂文庫は、経済的に自立して支部図書館を廃止したため、東洋文庫のみが施設内に国立国会図書館の支部を残した状態が長らく続いていたが、2009年3月末日をもって支部契約は終了した。
2023年時点では、2013年から特定公益増進法人に認定された公益財団法人であり[14]、その必要資金は自己資産や三菱グループからの寄付金及び国等の補助金でまかなっている。
井上準之助以降の歴代理事長には、著名な人物として、白鳥庫吉、幣原喜重郎、細川護立、斯波義信がいる。評議員会、理事会、部長会等での意志決定を経て、通常の業務は図書・研究・普及展示・総務の各部職員がとりおこなっている。
1961年からはユネスコの要請によってユネスコ東アジア文化研究センターが付置され、2003年にセンターが終結するまでアジア文化やアジア研究の動向を世界に紹介する業務を行ってきた。
2011年10月20日、東洋文庫ミュージアムを併設した新本館がオープンした[15][16]。
2024年に設立100周年を迎え[17]、記念事業の一環として同年末から東洋文庫ミュージアムを休館して改修、2026年1月21日にリニューアルオープンした[18]。
図書館活動
図書資料館としての東洋文庫は、漢籍、和書、欧文資料のほか、チベット語、タイ語、アラビア語、ペルシア語、トルコ語などのアジア諸言語文献を蔵書としている[19]。内訳は、漢籍40%、洋書30%、和書20%、その他アジア言語10%となっている。特に現地語文献については多くの言語において早い時期から組織的な収集を行っており、日本有数の蔵書点数を有する。
全種類の資料をあわせた所蔵総数は約95万点であり、5件の国宝と、7件の重要文化財を含む[19]。
また特色あるコレクションとしては、中国関係欧文資料を中心とするモリソン文庫、モリソンの子息が収集した東南アジア関係資料を中心とするモリソン2世文庫、岩崎久弥旧蔵の和古書コレクションを中心とする岩崎文庫をはじめとして、文庫長であった榎一雄などの国内外の研究者・収集家による蔵書群も収蔵されている[20]。
図書の閲覧資格は大学学部生以上である。かつては継続利用の場合は閲覧証を必要としたが、のちに本人確認書類の持参・提示により、継続的な閲覧が可能となった(研究者や研究機関の紹介状を必要とする閲覧証の発行も継続している)。アジア地域の歴史・文化の調査研究を目的とした研究者の利用が多く、閲覧は無料で行われているが、資料の館外貸出はしていない。文献の複写サービスも行っているが、資料の保存を第一の目的としているので、利用者の側からみると制約が多く、また費用も比較的高価である。ホームページ上で書誌データと画像資料の一部をみることができる。
研究活動
研究部門は2003年に再編され、伝統的な地域・時代ごとの研究グループを擁する歴史・文化研究と、アジア広域に関する研究を行う超域研究の2本立て、5研究部門に分かれている。研究部門の各研究班は、研究員の個人的研究のほか、研究チームによる共同研究を行う。
研究部門には約250名もの研究員を数えるが、大半は外部の研究者が無給で委嘱された兼任研究員である。
研究の成果を発表するための出版活動も行っており、所蔵資料の校訂・研究や研究班・研究員による研究成果を反映した英文・和文の研究書などが東洋文庫から出版されている。定期刊行物として、東洋学専門の学術誌『東洋学報』を年4回発行しており、1926年より英語によって世界に日本の東洋学研究を紹介することを目的として『Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko(東洋文庫欧文紀要)』を発行している[21]。
また、研究成果を地域と社会へ向けて還元するサービス活動として『東洋学講座』(年2回)などの公開講演会などを行っている。
歴代理事長
- 出典:(人物, 歴代理事長)
指定文化財

国宝
重要文化財
その他
報道
TV
- NHK
- ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪 - 2023年9月20日に放映[23]。
関連項目
脚注
注釈
- ↑ European Consortium for Asian Field Study(ECAF)
出典
- ↑ 「財産目録」『東洋文庫年報 2022年度』公益財団法人東洋文庫、2024年3月24日、175頁。
- ↑ 『財産目録』(2022年度)公益財団法人東洋文庫、1-2頁。
- ↑ 「II 図書事業」『東洋文庫年報 2022年度』公益財団法人東洋文庫、2024年3月24日、5頁。
- ↑ 『事業報告書』(2022年度)公益財団法人東洋文庫、58頁。
- ↑ 『正味財産増減計算書内訳表』(2022年度)公益財団法人東洋文庫。
- ↑ “文京区 東洋文庫”. 文京区役所. 2020年5月23日閲覧。
- 1 2 “人物”. 東洋文庫. 2024年6月8日閲覧。
- ↑ “東洋文庫ミュージアム「東方見聞録展」 歴史的文書の実物、間近で”. 産経新聞. 2017年9月6日. 2020年5月23日閲覧.
- ↑ “井上準之助”. 東洋文庫. 2024年6月8日閲覧。
- 1 2 3 “国立国会図書館小史”. 国立国会図書館. 2026年7月31日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “東洋文庫に対する国立国会図書館及び文部省の運営並びに援助方針に関する質問主意書”. 衆議院 (1967年8月4日). 2026年7月31日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “人物”. 公益財団法人東洋文庫. 2026年7月31日閲覧。
- 1 2 “第166回国会 衆議院 議院運営委員会図書館運営小委員会 第1号”. 国立国会図書館 (2007年3月23日). 2026年7月31日閲覧。
- ↑ 人物.
- ↑ “2011年10月20日に東洋文庫ミュージアムがオープン”. PRONWEB. 2010年12月2日. 2010年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2010年12月11日閲覧.
- ↑ “東洋文庫”. PROJECTS. 三菱地所設計. 2022年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月18日閲覧。
- ↑ “【書評】アジア最大の東洋学の宝庫:牧野元紀・編著『東洋文庫の100年 開かれた世界屈指の学問の殿堂』”. nippon.com (2025年6月27日). 2025年8月19日閲覧。
- ↑ “『東洋文庫ミュージアム』がリニューアルオープン。世界に誇る「知の殿堂」が、より開かれた場所へ”. チバテレ+プラス. 2026年4月15日閲覧。
- 1 2 “所蔵図書”. 東洋文庫. 2024年6月8日閲覧。
- ↑ “(公財)東洋文庫(東京都) / Toyo Bunko (The Oriental Library) (Tokyo) | アジア諸国の情報をさがす”. 国立国会図書館リサーチ・ナビ (2018年1月31日). 2020年5月23日閲覧。
- ↑ “Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko(The Oriental Library)”. 東洋文庫リポジトリ. 2023年10月10日閲覧。
- ↑ 『榎一雄著作集 第九巻 東洋学・東洋文庫』(汲古書院、1994年)、後編に収録
- ↑ NHK Eテレ「ザ・バックヤード」に取材していただきました!本日放映です。ぜひご覧いただけますと嬉しいです
東洋文庫自身によるガイドブック
- 『東洋文庫八十年史』全3巻(1-沿革と名品・2-寄稿と各論・3-資料編)、東洋文庫編集、東洋文庫、2007年。ISBN 978-4809702167
- 『記録された記憶―東洋文庫の書物からひもとく世界の歴史』山川出版社、2015年(図版解説)。ISBN 978-4634640757
- 『アジア学の宝庫、東洋文庫―東洋学の史料と研究』勉誠出版、2015年。ISBN 978-4585200307
- 『G・E・モリソンと近代東アジア―東洋学の形成と東洋文庫の蔵書』 岡本隆司編(東洋文庫 監修)勉誠出版、2017年。ISBN 978-4585221890
- 『岩崎文庫の名品―叡智と美の輝き』山川出版社、2021年(図版解説)。ISBN 978-4634640924
- 『東洋文庫の100年』 牧野元紀 編著(東洋文庫 監修)平凡社、2025年3月。ISBN 978-4582839760
- 『東洋文庫百年史』 牧野元紀 編著(濱下武志 監修)東洋文庫、2025年。ISBN 978-4809703607。doi:10.24739/0002000742
- 『東洋文庫の世界ー知への情熱、一〇〇年の軌跡』平凡社〈別冊太陽〉、2025年12月(東洋文庫 監修、図版解説)。ISBN 978-4582923292
外部リンク
- 公式ウェブサイト 公益財団法人 東洋文庫
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- 東洋学のおこりと東洋文庫斯波義信、学習院大学国際研究教育機構研究年報 (1), 35-39, 2015-02
