藤垣裕子
| [[ファイル:|frameless|alt=]] | |
| 人物情報 | |
|---|---|
| 生誕 |
林 裕子 1962年4月19日(64歳) |
| 国籍 |
|
| 出身校 | 東京大学教養学部基礎科学科 |
| 学問 | |
| 研究分野 | 科学技術社会論 |
| 研究機関 | 東京大学 |
| 学位 | 学術博士 |
| 主な業績 | 東京大学初の女性総長に就任 |
藤垣 裕子(ふじがき ゆうこ、1962年4月19日 - )は、日本の科学論・科学技術社会論研究者、東京大学大学院総合文化研究科教授。今後、文部科学大臣の承認を経て、2027年4月より東京大学第32代目総長[1]。
来歴
東京都出身。旧姓・林[2]。
桜蔭高等学校を経て1985年に東京大学教養学部基礎科学科卒業、1990年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了、「情報処理技術者における作業関連ストレスとワークロード」で学術博士。
1990年に東京大学教養学部助手、1996年10月に科学技術庁科学技術政策研究所主任研究官、2000年に東京大学総合文化研究科広域システム科学系助教授、2007年に准教授、2010年に教授に昇任。
2013年 東京大学総長補佐
2015年 東京大学大学院総合文化研究科・副研究科長 同教養学部・副学部長
2016年 東京大学 教育研究評議員
2021年に東京大学理事・副学長に就任[3]。
次期総長予定者への選出
2026年9月28日、藤井輝夫の任期満了に伴う次期東京大学総長予定者に選出された[4]。任期は2027年4月1日から2033年3月31日までの6年間で、文部科学大臣による任命を経て第32代総長に就任する予定であり、就任すれば同大学初の女性総長となる[4][5]。
総長選考過程で教職員らを対象に行われた2回目の意向投票では、染谷隆夫(1107票)に次ぐ第2位(553票)であったが、学内外の委員による学長選考・監察会議(議長:国谷裕子)における面接や所信表明などを経た総合的な判断の結果、藤垣が選出された[6]。意向投票で1位でなかった候補者が総長に選ばれるのは戦後初[7]。
国谷議長は選出理由として、文理融合や学内外のコミュニケーションを通じた多様な知の発展、より開かれた大学への変革を実現する能力を挙げた。また、科学技術を社会に伝えるコミュニケーション力、学術への信頼を回復する意志と能力、分断を乗り越える力などを評価したと説明し、候補者が女性であることは議論の対象にならなかったとしている[8][9]。
なお、国立大学の学長選考について文部科学省は、学長選考会議が主体的に選考することを求めており、意向投票を行う場合でもその結果をそのまま選考結果とすることは適切でないとの考えを示している[10]。2004年の国立大学法人化以降、新潟大学(2025年)や京都大学(2026年)などでも、意向投票の結果と異なる候補者が選出された例がある[9]。
選考をめぐる議論
最多得票者の半数以下の得票であった候補者が選出されたことや、その選考過程を巡り、議論が起きた。関芳弘文部科学相は閣議後記者会見で、「今回なぜそのような判断をしたのか、学内にしっかりと説明する必要がある」と述べた[9]。元衆議院議員で弁護士の山尾志桜里は、自身のXで「『総合的に勘案』という曖昧説明では女性優遇にしか見えず、これでは東大初の女性総長が『女子枠総長』になってしまいます」と投稿し、「もし性別が理由でないのなら、東大はより具体的に選出理由を語るべきではないでしょうか」と述べた[11][12]。学内からは落合陽一らが、意向投票の位置付けについて疑問を示した一方[13]、元東京大学教授の田中純は、この決定を選考・監察会議が大学の現状に抱く危機感の表れと受け止めつつ、「意向投票の結果を覆したことは賛否両論あってしかるべき」と述べている[14]。
また、選考期間中に東京大学新聞が候補者への取材を申し入れた際、藤垣は過去に自身の発言が不正確に報じられた経験を理由に辞退した、と同紙は伝えている[15]。
2026年10月20日、文部科学省は藤垣裕子氏の東京大学学長選出について次期学長選出にあたっての選考プロセスの開示を求め社会的責任と説明責任を果たすように文章で働きかけた。2004年の国立大学法人化以降で前例が無く、極めて異例の措置。文書では選考の結果を「客観的事実に基づき慎重かつ必要な審議を尽くし公正・公平に行われる必要がある」指摘している[16]。
著書
- 『ソフトウェア技術者の職業性ストレス』労働科学研究所出版部 労働科学叢書 1992
- 『専門知と公共性 科学技術社会論の構築へ向けて』東京大学出版会 2003
- 『科学者の社会的責任』 岩波書店 2018
共編著
- 『研究評価・科学論のための科学計量学入門』調麻佐志、平川秀幸、富沢宏之共著 丸善 2004
- 『科学技術社会論の技法』編 東京大学出版会 2005
- 『社会技術概論』小林信一,小林傳司共編著 放送大学教育振興会 2007
- 『科学コミュニケーション論』廣野喜幸共編 東京大学出版会 2008
- 『社会人のための東大科学講座 科学技術インタープリター養成プログラム』石浦章一,黒田玲子,長谷川寿一,松井孝典,村上陽一郎共著 講談社 2008
- 『Lessons from Fukushima: Japanese Case Studies on Science and Technology Studies』編 Springer, 2015
- 『大人になるためのリベラルアーツ 思考演習12題』石井洋二郎共著 東京大学出版会 2017
- 『東大教授が考えるあたらしい教養』柳川範之共著 幻冬舎 2019
- 『科学技術社会論の挑戦1 科学技術社会論とは何か』小林傳司,塚原修一,平田光司,中島秀人共著 東京大学出版会 2020
- 『科学技術社会論の挑戦2 具体的課題群』小林傳司,塚原修一,平田光司,中島秀人共著 東京大学出版会 2020
翻訳
- セオドア・M・ポーター『数値と客観性 科学と社会における信頼の獲得』みすず書房 2013
- ルート・ライデスドルフ『科学計量学の挑戦 コミュニケーションの自己組織化』富沢宏之共訳 玉川大学出版部 2001
参考
- 『駒場2001』
- J-GLOBAL
脚注
- ↑ 『TBS』令和8年9月30日。東京大学で初の女性総長誕生へ 次期総長に藤垣裕子教授(64)を選出 「象徴としての役割を果たしていきたい」 来年4月から6年間
- ↑ 『週刊朝日』1981年4月3日「東大合格者全氏名」
- ↑ 「藤垣裕子 (PDF)」(プレスリリース)、東京大学、2026年9月28日。2026年9月29日閲覧。
- 1 2 「次期総長予定者に藤垣裕子氏を選出 (HTML)」(プレスリリース)、東京大学、2026年9月29日。2026年9月29日閲覧。
- ↑ 前田伸也「東大新総長に初の女性 総合文化研究科教授の藤垣氏 投票は2位」『朝日新聞』朝日新聞社、2026年9月28日。2026年9月29日閲覧。
- ↑ 東大総長に初の女性、藤垣裕子教授 学内投票で2位、選考会議が決定 高校生新聞オンライン (2026年9月28日)
- ↑ 。〖速報・総長選考2026〗次期総長は藤垣裕子教授 意向投票で第2位 東大新聞オンライン (2026年9月28日)
- ↑ 東大次期学長の選出理由「分断越えるため」 議長、投票2位「能力を評価」 日本経済新聞 (2026年9月29日)
- 1 2 3 東京大学の次期学長・藤垣裕子教授「世界の学術を牽引、国際的・社会的な役割果たしたい」…初の女性学長 読売新聞オンライン (2026年9月29日)
- ↑ 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律…について(通知) 文部科学省 (2014年)
- ↑ 山尾志桜里(@ShioriYamao)のポスト X (2026年9月29日) 2026年9月30日閲覧。
- ↑ 東京大学・藤垣裕子教授が初の“女性総長”に選出も「何のための投票」ダブルスコアから謎の逆転でOGも強烈苦言 週刊女性PRIME (2026年9月30日)
- ↑ 落合陽一(@ochyai)のポスト X (2026年9月29日) 2026年9月30日閲覧。
- ↑ 田中 純|『磯崎新論』(@tanajun009)のポストX (2026年9月28日) 2026年9月30日閲覧。
- ↑ 〖総長選考2026〗候補者取材まとめ 東大新聞オンライン (2026年9月22日更新)(アーカイブURLを併記)
- ↑ 東京大学の学長選考、文科相「明確な説明ない」 経緯の検証求めるhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD200SU0Q6A021C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1792462813日本経済新聞社 2026年10月20日