釣合梁

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釣合梁(つりあいばり)とは複数の車輪に掛かる荷重や衝撃を分散させる装置。イコライジングビーム、あるいは単にイコライザーとも呼ばれる。

本項では客車や電車が用いた釣合梁式台車ついても扱う。

概要

機関車の動輪と従輪を結ぶ釣合梁。橙色の部分はリンケージで結ばれている。
機関車の動輪と従輪を結ぶ釣合梁。橙色の部分はリンケージで結ばれる。

広大な国土に鉄道を建設したアメリカでは路盤の質を落として少しでも安く、早くレールを敷設することが急務であった。そのため線路は凸凹で、各所に急曲線が存在した。この条件に合わせた機構として釣合梁が考えられた。車輪のサスペンションに取り付けると複数のバネが一体として働くため台枠に掛かる衝撃を分散でき、バネの損傷に繋がる過負荷を防止する。また、各車輪がレールに与える圧力を均等に調整でき、浮き上がりによる脱線や荷重抜けによるスリップを防止する[1][2]。

自動車でもタンデムアクスルの大型トラックなどに釣合梁を用いたものがある[3]。

歴史

状態の悪いアメリカの線路でも脱線しないよう、蒸気機関車は先輪を備えて軸重を分散し、ヨーロッパ式の堅牢な板台枠ではなくしなりを持たせた棒台枠が考案された。また、客車や貨車にはボギー台車が採用され、柔らかいバネを使う客車には車軸が浮き上がって脱線しないよう釣合梁が取り付けられた[4]。

1837年、ジョセフ・ハリソン・ジュニア(英語版)がボギーの先台車を用いた車輪配置 4-4-0の蒸気機関車を考案、初めて釣合梁を備えた車両となり[2][5]、翌年には特許を取得[6]した。ハリソンはこの特許をボールドウインに売却し、1842年にフレキシブルビームと呼ぶ新しい釣合梁が登場した[7]。これは曲線通過時に起こる動輪の荷重抜けを無くして駆動力を向上させるもので、台車枠と釣合梁を中央で縦方向にピン接合することで車軸の左右動を可能にしていた[8]。ボールドウインは自社で製造するすべての機関車に釣合梁を採用し、アメリカの鉄道工学の発展に寄与した[2]。

釣合梁式台車

ペックハム社の釣合梁式M.C.B.台車(1902年)
ペックハム社の釣合梁式M.C.B.台車 (1902年)
南オーストラリア鉄道が採用したコモンウェルス・ボギー台車。オイルダンパーやボルスターアンカーが取り付けられている。
南オーストラリア鉄道が採用したコモンウェルス・ボギー台車。オイルダンパーやボルスタアンカーが取り付けられている。

釣合梁を使用した鉄道車両のボギー台車には機関車の先台車や電気機関車用の台車など様々な形式のものが存在するが、そのなかで揺れ枕を備えたスイングボルスタータイプのものを特に釣合梁式台車と呼ぶ[9]。アメリカではこの形式の台車がマスターカービルダー協会によって高速鉄道用の標準台車に制定され、客車や電車に広く使われた。代表的なものにボールドウィンA形があり、日本の電車にも影響が及んだ。

構造

この形式の台車は上下に可動する軸箱上に頑丈な釣合梁を取り付け、釣り合いばねを介して台車の側枠に取り付けられる。台車の側枠と車体は揺枕と揺れ枕バネで連結され、ボギー台車は心皿とセンターピンによって自由に回転する[9]。

利点

釣合梁が車軸の平行度と軸距を保つため軸ばね式台車と比べると軸箱守の摩耗が少なく、また車輪に伝わる衝撃がテコの原理で分散されて乗り心地が良くなる利点がある[9]。

欠点

釣合梁はバネ下重量にかかる死重であり、走行中レールに余分な応力を掛ける。また、制動時には慣性によって余計なテコの作用を引き起こし、車輪を飛び上がらせる傾向がある。そのほか、側面からの点検や内側ブレーキシューの交換に難がある[9]。

関連項目

釣合梁
釣合梁式台車

脚注

出典

参考文献