間島記念館
間島記念館(まじまきねんかん、文化財登録名:青山学院間島記念館)は、東京都渋谷区渋谷4丁目の青山学院青山キャンパスに所在する建築物である。1929年(昭和4年)に学院の中央図書館「間島記念図書館」として建設され、現在は青山学院ミュージアムなどに使用されている。2008年(平成20年)4月18日、国の登録有形文化財(建造物)に登録された[1][2][3]。
概要
間島記念館は、関東大震災後の青山学院復興事業の一環として建設された中央図書館である。校友会会長・学院理事であった間島弟彦が建設資金の寄付を申し出、その死後に妻の愛子が遺志を継いで完成した[2][4]。正面にコリント式円柱を並べた古典主義的な外観を特色とし、文化庁は「ローマ神殿を模す」正面構成を備えた「ネオ・ルネサンス様式の佳品」と評価している[1]。
沿革
青山学院では各学部ごとに図書室を備えていたが、学院全体の中央図書館の設置は長年の懸案であった。1923年(大正12年)の関東大震災で青山キャンパス内の多くの建物が被災したのち、復興計画の中で中央図書館の新築が進められた[5]。
間島弟彦は図書館建設費の寄付を承諾したが、1928年(昭和3年)に死去したため、愛子夫人がその遺志を継いで寄付を行った。これにより、1929年(昭和4年)10月に学院の中央図書館が竣工し、夫妻への敬意を表して「間島記念図書館」と命名された[6][2][5]。落成式は1929年10月17日に行われ、翌1930年(昭和5年)1月に開館した[5]。
戦前の間島記念図書館は、学院全体の中央図書館として利用され、青山学院の教育環境の充実を象徴する施設となった。1937年頃の閲覧室写真も残されており、復興期の青山キャンパスを代表する建築として位置づけられている[6][7]。
太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)3月には東京連隊区司令部の一部が館内に移転し、同年5月には司令部の大部分が2階全室および1階書庫を使用したとされる。一方で建物自体は戦災を免れ、1946年(昭和21年)4月の新学期には図書館として復帰した[5]。
戦後は利用者と蔵書の増加に対応するため、1955年(昭和30年)に大規模な増築工事が行われた。青山学院の公式説明によれば、この増改築により建物は4階建て・延面積3,278平方メートルの規模となった[6][4][8]。1977年(昭和52年)に大学図書館が新築されると、間島記念図書館の機能は一部書庫を除いて新館へ移され、建物名は「間島記念館」と改められた。1978年(昭和53年)には青山学院資料センターが開設され、学院史資料や明治期キリスト教関係図書などの収集・保存・公開の拠点となった[6][8][4]。
2008年(平成20年)4月18日、登録名称「青山学院間島記念館」として国の登録有形文化財(建造物)に登録された。登録基準は「造形の規範となっているもの」である[1]。2025年(令和7年)5月には、創立150周年記念事業の一環として、資料センターを改装するかたちで1階に青山学院ミュージアムが開館した[3][9]。
建築
間島記念館は、鉄筋コンクリート造3階建として竣工した。竣工当時の図書館は、書庫部分を4層とし、約10万冊を収蔵し得る能力を持ち、2階の大小閲覧室は約150人を収容できた。[6] 設計・施工は清水組が担当した[10]。
外観上の最大の特徴は、正面中央部の記念性の高い構成にある。文化庁の解説では、正面入口を基壇状に扱ってアーチ開口を設け、2階にコリント式円柱を並べ、その上にペディメントを掲げて「ローマ神殿を模す」とする。両翼部では縦長窓によって垂直性を強調し、上部コーニスをデンティルで飾ることで、整った比例感をもつ近代洋風建築に仕上げられている[1]。青山学院の公式説明でも、正面にコリント式円柱を連ねた構成を「本格的な古典主義的構成」とし、震災前の大講堂(弘道館)の面影を伝える建築としている[2][4]。
文化財としての評価
文化庁は、間島記念館を「ネオ・ルネサンス様式の佳品」と位置づけている[1]。また青山学院は、同館が「意匠的にすぐれた近代洋風建築であり、保存状態が極めて良好である」と評価されて登録に至ったとしている[2]。関東大震災後の復興事業を背景に成立した学校建築であり、戦前の中央図書館建築としての歴史性と、青山学院の景観を象徴する造形性の双方を備える点に、その文化財的価値がある[1][2]。
現況
現在の間島記念館には、1階に青山学院ミュージアム、2階にミュージアム事務室・博物館実習室・青山学院史研究所、3階に未来共創センターが入る[4]。青山学院ミュージアムでは、青山学院の歴史資料、近世・近代日本のキリスト教関係資料、明治期キリスト教関係資料、メソジスト関係の学校・教会資料などを収集・保存・展示している[3]。
脚注
- 1 2 3 4 5 6 “青山学院間島記念館”. 国指定文化財等データベース. 文化庁. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “青山学院の文化財建築物”. 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 3 “青山学院ミュージアム”. 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “キャンパスマップ( 青山)”. 青山学院大学. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 3 4 “大学新図書館棟に潜入! そして図書館の歴史【アオガクタイムトラベラー】”. アオガクプラス. 青山学院大学. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “青山学院資料センターだより 第29号” (PDF). 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “『 写真に見る青山学院150年』【激動の時代】”. 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- 1 2 “『 写真に見る青山学院150年』【復興と発展の時代】”. 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “5 月8日、青山学院ミュージアムがオープンします”. 学校法人青山学院. 2026年10月26日閲覧。
- ↑ “青山学院図書館(現 間島記念館)”. 施工実績. 清水建設. 2026年10月26日閲覧。
参考文献
- 学校法人青山学院『青山学院資料センターだより 第29号』2024年。
- 学校法人青山学院『写真に見る青山学院150年』。
- 青山学院大学「大学新図書館棟に潜入! そして図書館の歴史【アオガクタイムトラベラー】」。
- 文化庁「国指定文化財等データベース 青山学院間島記念館」。
外部リンク
座標: 北緯35度39分36.59秒 東経139度42分36.95秒 / 北緯35.6601639度 東経139.7102639度