北神

ウィキペディアから、無料の百科事典
北神
衛星都心として発展した北神地区を望む
衛星都心として発展した北神地区を望む
北神の位置(兵庫県内)
北神
北神
北緯34度49分15.7秒 東経135度13分17.6秒 / 北緯34.821028度 東経135.221556度 / 34.821028; 135.221556
国 日本の旗 日本
都道府県 兵庫県
市町村 神戸市
区 北区
テンプレートを表示
北区のうち、オレンジ色の地域が北神にあたる。

北神(ほくしん)は、兵庫県神戸市北区の地域通称。2019年(平成31年)4月、神戸市は同地域を管轄する北区役所北神支所を区内2つ目の区役所となる「北神区役所」に昇格し、北区から事実上の分区を行った。「北神区」とも呼称されるが[1] [注釈 1](後述)、正式な行政区ではない[2]。

概要

北神区役所が入居する北神中央ビル

1947年(昭和22年)から1955年(昭和30年)にかけて神戸市に編入された旧有馬郡南部の旧町村と、旧美嚢郡から1958年(昭和33年)に編入された旧淡河村に相当する地域がおおむね北神にあたる[3]。これは、北区全体から旧武庫郡山田村に相当する鈴蘭台地区と山田地区の2地区を除いた地域に相当する[4]。

2019年(平成31年)4月1日より北区から事実上の分区を行ったが、正式な行政区ではない[2]。

ただし、 神戸市の公式な行政文書の中でも、「北神区を含む全10区」と記載するなど、「北神区」を独立した1つの区としてカウントし「全10区」と表現している[1] [注釈 2]。また統計等でも、北区は「北本区」と「北神区」に分けて記載している[5]。

2021年1月現在の人口は84,270人。長年増加が続いていたが、2013年に減少に転じた。ただし、2019年より社会増減が増加に転じ、人口減少幅は小さくなっている[6]。

北神区の統計・データ

いわゆる「北神区」とされる地域(行政区としての北区から北本区を除いた地域)であり、北神区役所が管轄するエリアの統計・データは以下の通りである(2025年国勢調査)。

「北神」が指す地域の変遷

行政による区分では、現在では北区のうち旧有馬郡南部および旧淡河村に相当する北部地域(神鉄沿線では東大池より北)を指す[2]。このため現在行政上の地域区分では、北区のうち南部にあたる鈴蘭台エリアはもとより、中部にあたる山田地区も、行政による区分においては「北神」には含めない[2]。しかし北区全体を「北神」と称する例もあり[7]、実際に公式観光サイトでも本区エリアを含んで「北神」と称している[7]。

1990年代以前は北区全体を「北神」と呼称することが一般的であり、神戸市の開発計画・各種資料においても鈴蘭台地域をはじめとする北区全体を「北神」と称している[8]。このため北区の南部にあたる鈴蘭台・西鈴蘭台地域および山田地区における開発計画の総称を長らく「北神地域開発」としており[8]、なかでも神戸市主導の鈴蘭台ニュータウンの開発を「北神地区開発の拠点」と位置付けていた[8]。

この本区地域(鈴蘭台エリア・山田地区)をも含む「北神」の定義は1990年代までは一般的であり、神戸市発行の計画・資料では「神戸市第3次農漁業計画」(1989年)[9]、「神戸市エコポリス計画」(1990年)、「新修神戸市史」(1994年)でもこの定義を用いている。

このため行政での区分では本区地域を含まなくなった現在でも、広義では鈴蘭台エリア・山田地区を「北神」と呼称する例がみられる。また本区地域(鈴蘭台エリア・山田地区)への市営上水道供給ラインの名称は「北神水道」であり、山田地区と神戸都心を結ぶ神戸市営地下鉄の路線名称は「北神線」である。

そもそも「北神」は「神戸市北部」の略称として、北区成立以前の1960年代初頭から同地方で最初に大規模宅地開発計画が進んだ鈴蘭台地域を主に指して用いられた[8]用語であり、現在行政において定義されている地域以外(本区)を含んで用いても意味的な誤りはない。

分区計画

かつての計画

北区は1960年代以降の神戸電鉄沿線の大規模宅地開発の進捗によって、同地域の人口が急激に増加したことから[3]、1973年(昭和48年)8月1日に兵庫区から分離発足したものであった[3]。しかしその後もベッドタウン化が著しく、さらに1985年(昭和60年)からは日本最大級の複合機能都市「神戸三田国際公園都市」の入居が進み[10]、1973年(昭和48年)からの20年間で人口が2倍以上に増加した[11]。

このため北区のうち北神地区をさらに再分区する計画が以前から存在しており[12][13]、一時期は「有馬区」や「緑区」などの命名案も浮上していた。

事実上の分区へ

新たな行政区の設置は、住所や選挙区の変更などといった住民生活への影響を考慮する必要があり[14]、さまざまな議論を呼ぶことが確実であることが予想され[15]、現実的な選択肢ではなかった[15]。そこで神戸市長の久元喜造は、正式な行政区とはしない分区方法の検討を市民参画推進局に指示した[15]。

地方自治法第252条の20第1項・第3項をあわせて読めば、区には1つの事務所に1⼈の区⻑を置くというのが法の趣旨であると解されるが、この事務所を特定の1つの場所に置かなければならないということが規定されていないということに着目し[15]、事務所の⼀部の組織をある場所に、残りの組織を別の場所に置くことは許容されるのではないかという結論に至った[15]。また、事務所の名称は条例で定めることとされ(同条2項)、法令上の制限はないため[15]、現行の「北区役所」のほかに、北神地区の住所表示は北区のままとしながらも「北神区役所」を新たに設置して事実上の分区とするという方法を見出した[15]。

このような解釈の下に「神戸市区設置条例」「神戸市区の事務所の名称、位置及び所管区域等に関する条例」「神戸市区役所⽀所及び出張所設置条例」を統合して「神戸市区の設置等に関する条例」を新たに制定し[16][15]、その中で北区に北区役所と北神区役所という二つの区役所を設置する旨を規定した[16]。

これにより、2019年(平成31年)4月1日に北部8地区を管轄する「北神区役所」が設置され[14]、日本の政令指定都市では唯一、同一区内に2か所の区役所が存在し[14]、他区では1か所ずつ設置されている文化センターや図書館も2か所存在している。ただし、上記のとおり生活への影響を考慮して正式な行政区とはしておらず、住所表示は従来通り北区のままである[14]。

地理

歴史

沿革

神戸市における北区の位置
  • 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制が施行され、有馬郡湯山町、有野村、八多村、道場村、大沢村、美嚢郡淡河村、上淡河村が発足。
  • 1896年(明治29年)6月15日 - 湯山町が有馬町に改称。
  • 1902年(明治35年)5月1日 - 道場村大字上津谷村と大字宅原村が長尾村として分離独立。
  • 1919年(大正8年) - 道場村に神戸市が建設する千苅ダムが竣工。
  • 1947年(昭和22年)3月1日 - 有馬町、有野村が神戸市兵庫区に編入される。
  • 1951年(昭和26年)7月1日 - 八多村、道場村、大沢村が神戸市兵庫区に編入される。
  • 1955年(昭和30年)10月15日 - 長尾村が神戸市兵庫区に編入される。
  • 1957年(昭和32年)
    • 3月 - 兵庫消防署有馬出張所が設置される。
    • 7月1日 - 淡河村と上淡河村が合併し、改めて淡河村が発足。
  • 1958年(昭和33年)2月1日 - 淡河村が神戸市兵庫区に編入される。
  • 1964年(昭和39年)10月 - 兵庫消防署有馬出張所が移転する。
  • 1971年(昭和46年)3月 - 兵庫消防署道場出張所が設置される。
  • 1972年(昭和47年)6月1日 - 有野町唐櫃の一部が灘区に編入され、六甲山町の一部となる。
  • 1973年(昭和48年)8月1日 - 兵庫区から北区が分離する。
  • 1993年(平成5年)5月 - 北区役所北神行政サービスセンター(出張所)が設置される。
  • 1995年(平成7年)12月26日 - 神戸市立北図書館北神分館が開館する。
  • 1998年(平成10年)6月 - 有馬、八多、道場、長尾、大沢、淡河の各出張所が連絡所に再編される。
  • 2003年(平成15年)12月1日 - 北消防署北神分署が設置され、北消防署道場出張所が廃止される。
  • 2011年(平成23年)6月 - 神戸市立北神区民センターが設置される。
  • 2017年(平成29年)4月1日 - 北神行政サービスセンターが北神支所に昇格する。
  • 2019年(平成31年)
    • 4月1日 - 北神支所が北神区役所に昇格する。
    • 4月23日 - 北図書館北神分館が北神図書館に昇格する。
  • 2020年(令和2年)4月1日 - 各連絡所が出張所に再編される[17]。北神区民センターが北神区文化センターに改称される。

施設

官公署

  • 兵庫県有馬警察署
  • 神戸市北神区役所
    • 有馬出張所
    • 八多出張所
    • 道場出張所
    • 長尾出張所
    • 大沢出張所
    • 淡河出張所
  • 神戸市保健所北神保健センター
  • 神戸市北神ボランティアセンター
  • 神戸市立有馬斎場
  • 神戸市環境局淡河環境センター
  • 神戸市経済観光局北農業振興センター
  • 神戸市建設局北建設事務所
  • 神戸市北消防署北神分署
    • 有馬出張所
  • 神戸市水道局北神浄水事務所
  • 神戸市立北神図書館
  • 神戸市立北神区文化センター

病院

その他

教育

中学校

小学校

北区設置後の廃止校

交通

鉄道路線

岡場駅

史跡

脚注

注釈

  1. ↑ 「神戸市は、12月から令和5年1月にかけ、北神区を含む全10区で、協議会関係者に対して、中間報告書の内容を説明のうえ、意見交換を行った。」と記載がある。
  2. ↑ 例えば神戸市発行の地域福祉センターに関する検討委員会最終報告書では「神戸市は、12月から令和5年1月にかけ、北神区を含む全10区で、協議会関係者に対して、中間報告書の内容を説明のうえ、意見交換を行った。」と記載がある。

出典

  1. 1 2 “地域福祉センターに関する検討委員会最終報告書”. 地域福祉センターに関する検討委員会最終報告書. 神戸市. 2026年10月18日閲覧。
  2. 1 2 3 4 “神戸市北区の区役所は2つに 事実上の分区、19年4月に「北神区役所」開設”. 神戸経済ニュース. 神戸経済ニュース (2018年9月11日). 2026年5月4日閲覧。
  3. 1 2 3 『北区の歴史』神戸市北区まちづくり推進課、1994年3月、96-189頁。
  4. ↑ この2地区は本区と呼ばれることがある。
  5. ↑ “人口・人口動態データ集”. 人口・人口動態データ集. 神戸市. 2026年10月18日閲覧。
  6. ↑ “データでみる神戸”. 神戸市. 2021年12月28日閲覧。
  7. 1 2 “エリアガイド”. 神戸公式観光サイト Feel KOBE. 神戸公式観光サイト. 2026年5月10日閲覧。
  8. 1 2 3 4 『神戸の都市計画 1964』神戸市都市計画局計画課、1964年、36-40頁。
  9. ↑ 『神戸市農漁業ルネサンス計画 : 第3次神戸市農漁業基本計画』神戸市、1989年、14-16頁。
  10. ↑ 『兵庫のすばらしき建物たち』兵庫県住宅建築総合センター、1988年12月、104-107頁。
  11. ↑ 『北区の歴史』神戸市北区まちづくり推進課、1994年1月、182-183頁。
  12. ↑ 『新修神戸市史 行政編 1 (市政のしくみ)』神戸市、1995年3月、273頁。
  13. ↑ バブル期の神戸市にはそれを見据えた再分区計画があり、その最有力候補は郡名から「有馬区」であったが、再分区は実現しなかった。
  14. 1 2 3 4 “神戸市北区の区役所は2つに 事実上の分区、19年4月に「北神区役所」開設”. 神戸経済ニュース. 神戸経済ニュース. 2026年5月4日閲覧。
  15. 1 2 3 4 5 6 7 8 “意思決定の舞台裏 こうして北区に二番目の区役所ができた”. 神戸市長 久元喜造公式WEBサイト. 神戸市長 久元喜造公式WEBサイト. 2026年5月4日閲覧。
  16. 1 2 “神戸市区の設置等に関する条例”. 神戸市例規集. 神戸市. 2026年5月4日閲覧。
  17. ↑ “北神担当区長日記:「新年度」がはじまりました。(令和2年4月1日)”. 神戸市 (2020年4月1日). 2022年2月5日閲覧。

関連項目

外部リンク