寝具

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寝具(しんぐ、英: bedding[1])は、寝るために用いる用具[注 1]の総称[3]。夜具(やぐ)ともいう[3]。

布団あるいはマットレスやベッド、毛布、タオルケット、敷布(シーツ)、夜着、かい巻、枕(まくら)、寝巻(寝間着、ねまき)、蚊帳、そのほかハンモックや寝袋(シュラーフザック)など、寝るために必要なものすべてが寝具に含まれる[3]。

通常は複数組み合わせて使う。家庭で使う寝具は、欧米式の組み合わせ方と、畳の部屋で使われる伝統的な和式では組み合わせかたが異なる。日本では「布団派 vs ベッド派」などと言うが、日本でも欧米式の構成を使う人の割合が増えてきており、2020年代にすでに僅差だがベッド派が過半数になっており、年令が若い層ほどベッド派が多い[4]ので、今後はさらにベッド派が多数派になってゆく。

(欧米式であろうが、和式であろうが) 寝具に求められる性能として、保温性、吸放湿性、フィット性(敷寝具の硬さや枕のフィット性)、体圧分散や寝姿勢保持のためのクッション性や支持性がある[5]。寝具と体との間の温湿度を寝床内気象といい、温度は夏は25℃、冬は15℃、湿度は50%RH程度が理想とされている[5]。


種類、分類

寝具の分類法も多様である。

布団(ふとん)やマットレス、毛布などの主寝具、カバーやシーツなどの従寝具、枕などその他の3つに分けられることもある[6]。また、布団や枕など寝床を構成する個々の用具を「狭義の寝具」、布団カバーや枕カバー、こたつなどの快適な寝床を構成するための補助的用具(補助寝具)を含めて「広義の寝具」と分類することもある[7]。

主寝具
  • 布団 ─ 布団は主寝具に分類される寝具で[6]、掛寝具に分類される掛け布団(あるいは肌布団)や敷寝具に分類される敷き布団がある[7]。
和式の組み合わせでは
  • 敷き布団 ─ 身体の荷重を支えるだけの支持性やクッション性を要する。掛け布団と同様に保温性と吸透湿性も必要[6]。
  • 掛け布団 ─ 睡眠中の人体からの放熱を防ぐ保温性、人体からの発汗による湿気を抑える吸透湿性、寝返りが容易にできるだけの軽さを要する[6]。暑い時期には掛け布団を省略し、使わない場合もある。
欧米式の組み合わせでは
  • 分厚いマットレス ─ 基本的にはベッドのフレームに乗せて使う。欧米人にとっては、分厚いマットレスこそが寝具の中核的な存在である。分厚いマットレスの内部のスプリング(ばね)などの質や数やその配置が肝心だと欧米人は考えている。[注 2](なお、和式の敷き布団の下に敷くペラペラのマットレスとは根本的に厚みや内部構造が異なるものである。)
  • ベッドのフレーム ─ 分厚いマットレスを上に置いて使う。主に木製で、他に鉄製なども。
  • 毛布 ─ 主寝具に分類される寝具で[6]、掛寝具に分類される[7]。西欧のベッドスタイルでは不可欠な掛寝具で、日本でも第二次世界大戦後に広く普及した[6](洋風寝具にも日本式寝具にも挙げられる)[7]。
  • 掛け布団
従寝具
  • カバー類(布団カバー、枕カバー) ─ 主寝具の布団などを保護して衛生的に使用できるようにするためのもの[6]。布団カバーや枕カバー(ピローケース)があり[6][7]、補助寝具に分類されることもある[7]。
  • ベッドシーツ (Bed sheet) ─ 敷き寝具を保護して清潔に使用できるためのもの。綿(コットン)素材や、コットンと合成繊維の混紡のものが主流。そのほか、保温性を高めたフラノシーツやボアシーツもある[6]。
  • 枕 ─ 充填素材として、そば殻、合繊綿、ポリエステルフィルムチップ、ポリエチレン樹脂などが用いられる[6]。寝具の中でも特にまくらにこだわりを持つ人や、枕が自分に合っていないと感じ悩む人は多い[8][9]。"万人に合う枕"というものは無く、各人の骨格、肩周りの構造、筋肉のつきかた等により、適する枕の形状、サイズ、材質がかなり異なる。まくらを数種類、あるいは10種類以上試してようやく自分に合う枕が見つかるなど多くの人が試行錯誤をするので、枕専門店が存在しているほどであり、「旅行に枕だけは愛用のものを持参する。でないと眠れないので」という人もいる。
他
  • ねまき ─ 眠るために着る服
  • 蚊帳(かや)
  • キャノピー(天蓋)─ ベッド上の空間を外部空間と区切る布、およびその布を支えるためのフレームである。冷気や視線や虫を遮り、安眠を助ける。ヨーロッパの宮殿や豪邸などの巨大な部屋で使う。天蓋つきのベッドをキャノピーベッド(canopy bed)という。これも寝るため用具であり、寝具に含まれる。近年は、(映画などで見て憧れる人がいるのか)庶民的な部屋で使うための、天井から吊って使う簡易キャノピーも販売されている。
  • 抱き枕

その他の寝具

  • ハンモック ─ 南米・ブラジルでは寒い地域ではベッドを使うが、赤道寄りの暑い地域では、普段からハンモック(ブラジルポルトガル語でrede de dormir(ヘージ・ジ・ドルミール)略してrede (ヘージ))で眠る人も多く、ハンモックは日常の寝具である。赤道寄りの地域ではホテルなどでもハンモック部屋とベッド部屋が用意されていて、好みで選べるようになっていることも多い。その地域では、通常の住宅の壁に建築当初からハンモックをかけるための頑丈なフックが2つセットで設置されている(二人寝る部屋では2セット、3人寝る部屋では3セット設置されている)。ハンモックは通気性が高く熱帯地域では特に快適なうえに、フワフワと空中に浮かんだような心地よさがある。ベッドと異なり "脚" が無いので、ムカデや蜘蛛などが知らぬ間に地面伝い床伝いに上がってくるのを防いでくれることも、南米のように植物や昆虫が特に多い地域で暮らす人々にとっては大きなメリットである。
  • 寝袋(シュラフ) ─ キャンプでも、登山でも、災害発生時の避難所でも使われる。"キャンプ用マットレス"を組み合わせて使うことが一般的。キャンプ用マットレスは、軽量で薄いものであり、発泡系の素材(EVA樹脂、ポリエチレンなど)のもの、インフレータブル系(空気を送り込んでふくらますもの)などがある。アルミ蒸着フィルムのシートが、保温性が高いことを活かし、"キャンプ用毛布"として使われることも多い。

ギャラリー

歴史


歴史関連項目

紙衾

人以外の寝具

ペットないしコンパニオンアニマルの犬や猫では人間からペット用の寝具を与えられる場合もある。各動物の種の習性にあわせた、また犬種、猫種、一匹ごとの習性、好みに合わせた寝具がある。

  • ネコの場合 ─ ペットショップやホームセンターや通販などで "ネコ用ベッド"が販売されている[10][11][12]。オープン型(上が開いている円形や長方形)、ドーム型、ハンモック型、"爪とぎ一体型"などがある。ネコは基本的には丸くなって眠る習性があるので、その姿勢をとりやすい形状のものを好む。
  • イヌの場合 ─ 同様の店舗で販売されており、伸びて寝るのが好きなイヌにはマット型、丸まってあごを乗せたいイヌにはカドラー・ソファ型、狭い場所や隠れるのが好きなイヌにはドーム・テント型などがある。ネコの寝具とちがいイヌのものは汚れがちなので、洗いやすいことを前面に出した製品もある。
人以外の関連項目

脚注

注
  1. ↑ ある事をするために使う道具や器具。[2]
  2. ↑ 欧米人にとっては、「ベッドのフレーム」はそれを床から離して適度な高さに保持するための2次的道具、という概念構造になっている。転居した直後でベッドのフレームまでは運搬できなかった人や貧乏学生などは、マットレスを直接、部屋の床に置いて済ませる場合もある。
出典
  1. ↑ “寝具って英語で何と言うの?”. 2026年10月29日閲覧。
  2. ↑ 『用具』 - コトバンク
  3. 1 2 3 「寝具」『日本大百科全書(ニッポニカ)』。コトバンクより2026年10月29日閲覧。
  4. ↑ {{Cite web|url=https://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/28405/index.html
  5. 1 2 中村 勤「睡眠と寝具の快適性」『繊維学会誌』第6巻第14号、繊維学会、2008年、414-418頁。
  6. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 三輪 恵美子「寝床の科学 8 寝具・寝装品」『1996』第37巻第4号、一般社団法人日本繊維製品消費科学会、1996年、168-173頁。
  7. 1 2 3 4 5 6 多田千代「寝具―健康の視点より―」『民族衛生』第45巻第5号、日本民族衛生学会、1979年、170-183頁。
  8. ↑ “約12万人を対象に「枕に関するアンケート調査」を実施。約6割が使用中の枕に不満あり。自分に合う枕が見つからない「枕難民」を救う、枕選びに役立つ調査結果を公開。”. 2026年10月29日閲覧。
  9. ↑ “【 寝具と睡眠 】に関するアンケート調査(第6回)”. 2026年10月29日閲覧。
  10. ↑ “ネコ用ベッド”. 楽天市場. 2026年10月29日閲覧。
  11. ↑ “ネコ用ベッド”. Amazon. 2026年10月29日閲覧。
  12. ↑ “ネコ用ベッド”. 2026年10月29日閲覧。

関連項目

シノワズリデザインの19世紀のパーケール(英語版)生地。パーケールは主にベッドカバーに用いられてきた。