ColBase

ウィキペディアから、無料の百科事典
ColBase
URL colbase.nich.go.jp
タイプ 文化財所蔵品の統合検索データベース
ジャンル 文化財、デジタルアーカイブ
運営者 国立文化財機構
設立者 国立文化財機構
営利性 非営利
登録 不要
開始 2017年3月27日
現在の状態 運営中
ライセンス
政府標準利用規約第2.0版に準拠
テンプレートを表示

ColBase(コルベース)は、独立行政法人国立文化財機構が運営する、文化財の所蔵品情報を横断検索するためのデータベースおよびデジタルアーカイブである。正式名称は「国立文化財機構所蔵品統合検索システム」。2017年3月27日に公開された[1]。東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館の4館と、東京文化財研究所、奈良文化財研究所の2研究所の所蔵品、および皇居三の丸尚蔵館の収蔵品を検索できる[2]。

作品の名称、作者、制作年代、所蔵機関、文化財指定などの情報と画像を公開し、ジャパンサーチなどの外部データベースにもメタデータを提供している[3][1]。掲載情報や画像には、出典表示を条件に商用利用や改変を認める利用規約が適用されている[4]。

沿革

国立文化財機構の各国立博物館では、所蔵品の情報を館ごとに管理し、それぞれのウェブサイトで公開していた。東京国立博物館の場合は、所蔵品全体に対するデータ整備が進んでいなかったため、公開対象が「名品ギャラリー」や「画像検索」などに限られていた。4館の所蔵品を一括して検索・閲覧できるシステムの構築は2014年から検討され、2016年の開発を経て、2017年3月27日にColBaseが一般公開された。公開に際しては、個々の作品情報の整備状況にかかわらず基本データを広く収録する方針が採られた[1]。

2017年7月に国立文化財機構内に文化財活用センターが設置されると、ColBaseの運営は「e国宝」とともに同センターの所管となった。展示解説用に作成されていた外国語データも取り込まれ、2017年末には一部の作品情報が日本語・英語・中国語・韓国語の4言語に対応した[1]。

2020年2月20日には、検索機能と画面構成を改善するとともに、各館のデータ更新を反映する仕組みを導入したリニューアル版が公開された[1][5]。

その後、収録対象は国立博物館4館から研究所および皇居三の丸尚蔵館へ広がった。東京文化財研究所は2024年3月、同研究所のガラス乾板データベースについてColBaseとの連携を開始した[6]。

収録情報

収録情報は、作品名、作者、時代・世紀、制作地、出土地、材質・形状、法量、員数、文化財指定、所蔵機関、解説文、画像などからなる。作品名や作者による検索のほか、分類、文化財指定、所蔵機関などを条件とする詳細検索に対応している[3][7]。

2020年7月時点の収録作品情報は約13万7,000件で、そのうち約1万6,000件に画像があり、画像の総数は約4万6,000枚だった[1]。2024年2月時点の収録情報は約14万件である[7]。収録対象は各施設の所蔵品で、寄託作品は含まれない。公開画像は、作品の著作権保護期間が満了し、デジタル画像が用意されたものを対象としている。外国語データの収録は一部の作品に限られる[2]。

収録レコードはTab-Separated Values(TSV)形式のデータセットとして一括ダウンロードできる。データセットには機関管理番号、文化財指定、分類、年代、各言語の名称・解説、画像の権利区分、ColBaseの詳細ページのURL、ジャパンサーチの識別子などが収録され、原則として毎週更新される[3]。

メタデータの管理

ColBaseは、各館が管理する所蔵品データを統合して提供する仕組みを採る。2020年のリニューアルでは、各館の更新情報を取り込むため、Open Archives Initiative Protocol for Metadata Harvesting(OAI-PMH)によるメタデータ収集機能が導入された。交換するメタデータには、国際博物館会議(ICOM)の国際ドキュメンテーション委員会(CIDOC)が策定した博物館資料の記述形式LIDO(Lightweight Information Describing Objects)が採用された[1]。

同リニューアルでは、作品詳細ページのURLを、従来のハッシュ値を用いた形式から、所蔵館を表す文字列と機関管理番号を組み合わせる形式へ変更した。これに伴って連携先でリンク切れや画像表示の不具合が生じ、登録データの再投入などによる対応が行われた[1]。

国立国会図書館サーチ・文化遺産オンラインとの連携

2018年3月、ColBaseは国立国会図書館サーチおよび文化遺産オンラインとの連携を開始した。国立国会図書館サーチにはOAI-PMHでメタデータを提供し、記述形式には国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)を用いた。文化遺産オンラインには、ColBaseの独自APIを通じてデータを提供した[1][8]。

ジャパンサーチとの連携

国立文化財機構はジャパンサーチの構想段階から検討に参加し、試験公開版の開発にColBaseのデータを提供した。2018年8月には作品のメタデータを試験投入し、2019年2月の試験公開版の一般公開に先立ってサムネイル画像のURLを加えたデータを登録した。これにより、ColBaseの所蔵品情報は、他の博物館・図書館・文書館などのデータとともにジャパンサーチから横断検索できるようになった[1]。

2023年に公表された『「デジタルアーカイブ活動」のためのガイドライン』では、ColBaseが同一組織内の複数機関のデータを集約する一元的なデータベースの例として、国立美術館所蔵作品総合目録と並んで掲載された[9]。

利用条件

ColBaseのコンテンツは、政府標準利用規約第2.0版に準拠する条件で公開されている。利用規約はクリエイティブ・コモンズの「表示4.0国際」(CC BY 4.0)と互換性があり、出典を表示することで複製、公衆送信、翻訳、改変、商用利用ができる。画像の編集・加工を行った場合は、その旨の表示も求められる。利用申請や利用料金は不要である[4][7]。

利用規約では、第三者が権利を持つコンテンツには別途権利処理が必要であること、ロゴやシンボルマークなどが利用規約の対象外であることも定めている[4]。

評価と利用状況

評価

2020年のリニューアル後には、検索機能や公開画像の品質向上が認められた一方、多言語データの整備状況、画像閲覧機能、権利関係の表示方法などが課題として指摘された[5]。2023年に公表された日本学術会議の分科会記録では、人文学資料のデジタル公開に関する議論の中で、ColBaseに画像が掲載されていない資料や冊子資料の一部しか画像化されていない例が取り上げられた[10]。

2022年、ColBaseは第1回デジタルアーカイブジャパン・アワードを受賞した。大規模なアーカイブ機関として先駆的にオープンな利用条件を設定したこと、ジャパンサーチとの連携によって博物館資料の利活用を促進したこと、メタデータ整備のモデルを提示したことが受賞理由となった[11]。2023年の『「デジタルアーカイブ活動」のためのガイドライン』付属事例集にも、オープン化の取組事例として掲載された[12]。

2025年5月に策定された『デジタルアーカイブ戦略2026-2030』では、国立文化財機構の文化財情報公開の基盤としてColBaseが位置づけられ、所蔵品の撮影画像の登録拡大、多言語メタデータの更新、オープンな利用条件の維持が重点施策に盛り込まれた[13]。

画像の利用状況

2024年4月1日から2025年3月31日までの画像ダウンロード記録と利用目的アンケートの分析では、画像のダウンロードが月平均約5,800回に達した。アンケートで最も多い利用目的は「教育、学習」であり、検索エンジンではGoogleからの流入が最多だった。作品ごとのダウンロード回数は1回のみのものが大半を占め、期間中に最も多くダウンロードされた作品でも313回だった[14]。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 村田良二 2020.
  2. 1 2 “ColBaseについて”. ColBase. 国立文化財機構. 2026年11月3日閲覧。
  3. 1 2 3 “データセット”. ColBase. 国立文化財機構. 2026年11月3日閲覧。
  4. 1 2 3 “利用規約”. ColBase. 国立文化財機構. 2026年11月3日閲覧。
  5. 1 2 岡田一祐 2020.
  6. ↑ 小山田智寛 (2024年3月). “ColBase、ジャパンサーチとのデータベース連携”. 東京文化財研究所. 2026年11月3日閲覧。
  7. 1 2 3 小田千奈津 (2024年3月29日). “ColBaseを活用しよう!”. 文化庁広報誌 ぶんかる. 文化庁. 2026年11月3日閲覧。
  8. ↑ デジタルアーカイブジャパン推進委員会実務者検討委員会『第二次中間取りまとめ』(レポート)内閣府知的財産戦略推進事務局、2019年4月。2026年11月3日閲覧。
  9. ↑ デジタルアーカイブジャパン推進委員会実務者検討委員会『「デジタルアーカイブ活動」のためのガイドライン』(レポート)内閣府知的財産戦略推進事務局、2023年9月、23頁。2026年11月3日閲覧。
  10. ↑ 日本学術会議言語・文学委員会人文学の国際化と日本語分科会『日本の人文知の更なる共有のために―言語研究・文学研究の視点から―』(レポート)日本学術会議、2023年9月4日、7頁。2026年11月3日閲覧。
  11. ↑ “デジタルアーカイブジャパン・アワード2022”. ジャパンサーチ. 2026年11月3日閲覧。
  12. ↑ “事例集”. ジャパンサーチ (2023年9月). 2026年11月3日閲覧。
  13. ↑ デジタルアーカイブ戦略懇談会・デジタルアーカイブ推進に関する検討会『デジタルアーカイブ戦略2026-2030』(レポート)首相官邸、2025年5月、22頁。2026年11月3日閲覧。
  14. ↑ 川合加容子, 小田千奈津 & 敦賀菜月 2025.

参考文献

  • 村田良二「ColBaseとジャパンサーチの連携」『デジタルアーカイブ学会誌』第4巻第4号、2020年、338–341頁、doi:10.24506/jsda.4.4_338。 
  • 岡田一祐 (2020年2月29日). “ColBase リニューアル”. 人文情報学月報. 2026年11月3日閲覧。
  • 川合加容子、小田千奈津、敦賀菜月「「ColBase:国立文化財機構所蔵品統合検索システム」に掲載されている文化財撮影画像の利用状況」『デジタルアーカイブ学会誌』第10巻第1号、2025年、e1–e10、doi:10.24506/jsda.10.1_e1。 

外部リンク