おんな牢秘抄

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『おんな牢秘抄』(おんなろうひしょう)は山田風太郎の時代小説。『週刊実話特報』(双葉社)1959年(昭和34年)4月15日創刊号から同年12月10日号に連載された。本作を原作としたVシネマ、テレビドラマ、漫画も製作されている。

大岡越前守の娘が身分を偽って女牢に潜入し、6つの怪事件の真相を究明すると共に、無関係に思われた事件の背後に潜んでいた陰謀を暴き出す。

あらすじ

時は、八代将軍・徳川吉宗の治世。小伝馬町の女牢に公方様殺害を企てた罪で「武州無宿お竜」を名乗る新入りが入牢してくる。お竜は、女牢を仕切っていた牢名主である老女にかけあい、牢内の「御作法」を改めさせる。お竜は、殺しの罪で死罪が申し渡されていた6人の女囚、お玉、お路、お関、お半、おせん、お葉と接触して、彼女らの冤罪を晴らしていく。

一見、無関係に見えた6つの殺人事件は、やがて天下を揺るがす天一坊事件へとつながって行く。

主な登場人物

霞(かすみ)
主人公。大岡越前守の娘。美女であり、剣の腕も立ち、体術も使える(牢内で牢名主の手下に組み伏せられても、これを脱することができるほど)。
越前守に6人の女死刑囚の口書を見せられ「この女たちが救えるか」と挑発されたことが話の発端でもある。
巨摩主水介(こま もんどのすけ)
同心。霞とは互いに恋仲であるが、身分違いを自覚しており、結婚には踏み切れないでいる。
姫君お竜
女掏摸。霞と主水介に捕まり、容姿が霞と似ていたことから、霞がお竜を騙って女牢に潜入する。
物語が進み、霞本人に危機が及んだ際に、お竜は霞の身代わりとなり命を落とす。
6人の女囚
女牢にいる女囚。いずれも人殺しの咎で死罪を申し渡されている。
お玉
旅芸人一座の娘。玉乗りの芸を披露していた。一座の仲間である蓮蔵と夫婦であったが、新入りで、灯したロウソクの上を歩いて渡る女・美紀之介に寝取られてしまう。毒蜘蛛を使って美紀之介と蓮蔵を殺害した罪で捕まった。
お路
御家人の御新造。夫が連れてきた流れ者・十平次と不義の仲になり、十平次を殺した罪で捕まった。
お関
新興宗教の教祖・玄妙坊を殺した罪で捕まった。
お半
娘と2人で暮らしていたが、20年前に別れた男・弥五郎と再会し、弥五郎の連れ・秀之助ともども同居を始めるが、弥五郎が娘に襲い掛かろうとし、再会そのものが偶然ではなく母娘を襲うために仕組んだものと知り、弥五郎を毒殺したとして捕まった。
おせん
吉原の振袖新造(花魁の見習い)であった娘。源氏名は千弥。
太夫の誰袖(たがそで)が先客の対応中だったため、美貌の侍・南条外記の相手をしたが、それが原因で外記ともども折檻部屋へ閉じ込められる。その翌日、誰袖太夫と客が死体で発見される。主水之介はこれが心中ではなく殺人だと踏んだが、おせんと外記は互いをかばうような自白をし、吟味の結果、おせんが犯人として罪に服すことになった。
お葉
切支丹牢屋敷の近所の旗本の家に奉公していた娘。
お紺
「天牛のお紺」との異名持つ女牢の牢名主。本物のお竜の実の祖母でもあった。

書誌情報

  • 東都書房、1960年1月
  • 講談社〈ロマン・ブックス〉、1961年10月
  • 双葉社〈双葉新書 / 時代小説全集16〉、1964年11月
  • 講談社〈山田風太郎全集11〉、1972年5月
  • 角川書店〈角川文庫〉、1984年3月
  • 角川書店〈角川文庫 / 山田風太郎ベストコレクション〉、2012年9月

歌舞伎

1960年7月に新宿第一劇場で新作歌舞伎として公演されている。脚色、演出は巌谷槇一。

テレビドラマ

姫君捕物控

『姫君捕物控』(ひめぎみとりものひかえ)として1972年にTVドラマ化され、日本テレビ系列で放映された。全13話。放送時間は毎週土曜22:30 - 23:00(JST)。

キャスト

  • 霞 / 武州無宿・お竜 - 加賀まりこ
  • 巨摩主水介 - 前田吟
  • 大岡越前守 - 二谷英明(1・6・13)
  • お紺 - 春川ますみ(1・2・7・12)
  • お熊(女囚・御用聞きの女房) - 姫ゆり子(1 - 12)
  • 天一坊(宝沢) - 団次郎(6・13)
  • 山内伊賀亮 - 高松英郎(6・13)
  • 赤川大膳 - 勝部演之(11・13)
  • 天忠 - 天草四郎(11 - 13)
  • お伝(女囚) - 桜井啓子(1・2・11)[1]
  • お甲(女囚) - 山辺信子(1 - 7・11・12)
  • お勘(女囚) - 上手由美(1 - 7・11・12)
  • 銀次(岡っ引) - 土方弘(5・6・9・10・12)
  • 六造(牢番) - 伊吹新(1 - 5・7・12)
  • 牢同心 - 沢美鶴(1・3・5・7・9・12)
  • 瓦版屋 - 山本祐三(1・6・13)
  • ナレーター - 久保晴生
ゲスト
  • お玉(6人の女囚・1人目) - 有川由紀(1・2)
  • 蓮造(「蓮」の入れ墨) - 鳴門洋二(1)
  • 蓑屋長兵衛 - 小栗一也(1・2)
  • 美紀之介 - 水上竜子(1)
  • 安藤対馬守 - 雪丘恵介(1)
  • 小金 - 森節子(1・2)
  • 車佐助 / 浪人 - 津野哲郎(1・2)
  • 新助(牢屋下男) - 福原秀雄(1・4)
  • 松三(蓑屋の手代) - 近江大介(2)
  • お半(6人の女囚・2人目) - 根岸明美(3・4)
  • 秀之助(「法」の入れ墨) - 林浩(3)
  • デブ亀(亀五郎、香具師の親分) - 見明凡太朗(3・4)
  • 助八(デブ亀の手下) - 高城淳一(3・4)
  • お波 - 千草かのこ(3・4)
  • 弥五郎 - 水川国也(3・4)
  • おつる(妊婦の女囚) - 西原泰江(3・4)
  • (仁王門一家の姉御) - 大八木洋子(3・4)[2]
  • 男性(鉄火場の客) - 佐藤了一(4)
  • 男性(鉄火場の客) - 佐々木時義(4)
  • おせん(6人の女囚・3人目) - 矢野純子(5・6)
  • 門兵衛(「経」の刺青) - 嵯峨善兵(5)
  • 伊三郎 - 大塚国夫(5・6)
  • 利助(鳶職) - 澄川透(5)
  • 親方(鳶の親方) - 泉田洋志(5)
  • 隣人(利助の隣人) - 高田栄子(5)
  • - 八代康二(6)
  • - 英原穣二(6)
  • お関(6人の女囚・4人目) - 二本柳敏江(7・8)
  • 淀屋(「妙」の入れ墨) - 河野弘(7)
  • 和三郎 / 乾坤堂 - 睦五郎(7・8)
  • お邦 - 松風はる美(7・8)
  • 千代吉 - 藤田陽一(7・8)
  • お浜(千代吉の母) - 若原初子(7・8)
  • お新(新入り女囚) - 重盛輝江(7)
  • 駕籠屋 - 伊吹大(7)
  • 駕籠屋 - 明石大蔵(7)
  • 小路(6人の女囚・5人目) - 長谷川峯子(9・10)
  • 袖香(「華」の刺青) - 小畑通子(9・10)
  • 南条外記 - 清川新吾(9・10)
  • 仙造 - 穂積隆信(9・10)
  • お六(置屋の女中) - 戸田春子(9・10)
  • 瓦版屋 - 岡部正純(9・12)
  • 染弥 - 望月真理子(9・10)
  • 若者(事件の通報者) - 土屋靖雄(9)
  • お葉(6人の女囚・6人目) - 京春上(11・12)
  • 清太郎(「無」の入れ墨) - 北町史朗(11)
  • 喜三郎 - 服部哲治(11・12)
  • 番頭(肥前屋の番頭) - 湊俊一(11) 
  • (首斬り役人) - 荒井岩衛(11)
  • 直助(大膳の手下) - 吉原正皓(11)
  • 地回り - 宮崎茂(11)
  • 地回り - 望月隆政(11)
  • 地回り - 湯槙大治郎(11)
  • 村上(越前守の家来) - 向精七(13)
  • 家臣(伊賀亮の家臣) - 内田勝正(13)
  • 酒井雅楽頭 - 伊丹慶治(13)
  • (エキストラ) - 演技集団 日活芸能(1 - 13)


役名は時代劇専門チャンネルの字幕放送から引用。

スタッフ

放送日程

放送日放送回サブタイトル脚本監督
1972年
7月1日
1 無作法ご免 真弓典正 高橋繁男
7月8日 2 無作法ご免 その2
7月15日 3 手前生国は 馬越安彦
7月22日 4 手前生国は その2
7月29日 5 読経無用 高橋繁男
8月5日 6 読経無用 その2
8月12日 7 娘占い師 小山内美江子 木俣和夫
8月19日 8 娘占い師 その2
8月26日 9 刺青芸者 西山正輝
9月日 10 刺青芸者 その2
9月日 11 女の花道 真弓典正
9月日 12 女の花道 その2
9月日 13 女人殺法 髙橋繁男

Vシネマ

1995年に『美女奉行 おんな牢秘抄』(むすめぶぎょう おんなろうひしょう)(1995年3月24日)、『美女奉行 おんな牢秘抄II』(1995年9月21日)に、Vシネマが製作され、キングレコードより販売された。

美女奉行 おんな牢秘抄

出演
スタッフ
  • 監督 - 新村良二
  • プロデューサー - 新井義巳(キングレコード)、明石渉(G・カンパニー)
  • 原作 - 山田風太郎「おんな牢秘抄」(角川文庫刊)
  • 脚本 - 中本博通
  • 音楽コーディネーター - 中尾洋一(キングレコード)
  • 音楽 - 中川幸太郎
  • 撮影 - 安田雅彦
  • 照明 - 中山利夫
  • 美術 - 家木一実
  • 録音 - 広瀬浩一
  • 編集 - 園井弘一
  • 調音 - 鈴木信一
  • 効果 - 上床隆幸
  • 装飾 - 草川啓
  • スクリプター - 桝形知子
  • スチール - 梶谷博文
  • 殺陣 - 諸鍛冶裕太
  • 衣裳 - 松竹衣裳
  • 美粧 - 八木かつら
  • 装置 - 新映美術工芸
  • 小道具 - 高津商会
  • 現像テレシネ - imagica
  • VTR編集 - キッズカンパニー
  • 助監督 - 山下智彦
  • 進行 - 落合民生
  • 製作主任 - 丹羽邦夫、岡原伸幸
  • ロケ協力 - 京都 大覚寺
  • 制作協力 - 松竹株式会社、京都映画株式会社
  • 制作 - G・カンパニー
  • 製作・著作 - キングレコード株式会社

美女奉行 おんな牢秘抄II

出演
  • 霞 - 貴石彩子
  • 大岡越前 - 大和田伸也
  • 巨摩主水介 - 真矢武
  • お文 - 愛染恭子
  • お涼 - 渋澤夏子
  • お園 - 菅野美寿紀
  • 谷口孝史
  • その他 - 土平友厚、JAPAN ACTION CLUB
スタッフ
  • 監督 - 原田徹
  • エグゼクティブプロデューサー - 新井義巳(キングレコード)
  • プロデューサー - 明石渉(G・カンパニー)
  • 原作 - 山田風太郎「おんな牢秘抄」(角川文庫刊)より
  • 脚本 - 胡桃哲
  • 撮影 - 藤原三郎
  • 照明 - 中山利夫
  • 美術 - 家木一実
  • 録音 - 田原重綱
  • 編集 - 園井弘一
  • 調音 - 林基継
  • 効果 - 上床隆幸
  • 装飾 - 中込秀志
  • スクリプター - 桝形知子
  • スチール - 富士谷隆
  • 殺陣 - 清家三彦
  • 衣裳 - 松竹衣裳
  • 美粧 - 八木かつら
  • 装置 - 新映美術工芸
  • 小道具 - 高津商会
  • 現像テレシネ - imagica
  • VTR編集 - キッズカンパニー
  • 助監督 - 佐野陽一
  • 進行 - 橋本博
  • 製作主任 - 黒田満重
  • 浮世絵 - ふがく
  • ロケ協力 - 御室 仁和寺、京都 大覚寺
  • 制作協力 - 松竹株式会社、松竹京都映画
  • 制作 - G・カンパニー
  • 製作・著作 - キングレコード株式会社

漫画

『花かんざし捕物帖』(はなかんざしとりものちょう)のタイトルで島崎譲の作画によりウェブコミック配信サイトMiChao!(講談社)に2006年から2009年に連載された。

  • 島崎譲 『花かんざし捕物帖』 講談社〈KCデラックス〉、全6巻[3]
    1. 2007年10月23日発売 ISBN 978-4-06-372378-6
    2. 2008年8月6日発売 ISBN 978-4-06-375562-6

関連項目

脚注

  1. ↑ 第7話にも出演、クレジットなし。
  2. ↑ 「大谷木洋子」の誤字クレジット。本編字幕で役名テロップなし。
  3. ↑ 3巻以降は書籍では発売されておらず、電子書籍でのみの販売となった。なお、電子書籍版はフルカラーとなっている。

外部リンク