ないものねだりの君に光の花束を

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ないものねだりの君に光の花束を
著者 汐見夏衛
イラスト まかろんK
発行日 2020年6月18日
発行元 KADOKAWA
ジャンル 小説
国 日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
文庫版
ページ数 272(四六判)
336(文庫版)
コード ISBN 978-4-04-109134-0
ISBN 978-4-04-113873-1(文庫判)
ウィキポータル 文学
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『ないものねだりの君に光の花束を』(ないものねだりのきみにひかりのはなたばを)は、汐見夏衛による日本の小説[1]。2020年6月にKADOKAWAより刊行された単行本を加筆修正の上[2]、2023年11月に同社より角川文庫として刊行された[3]。

全てにおいて平凡であることがコンプレックスの女子高生・染矢影子と大人気アイドルグループのメンバーであり成績も性格も完璧で学校でも人気者の男子・鈴木真昼が隣の席になり一緒に図書委員をすることになったことから、お互いの隠れた面も知っていき、真昼に対するSNSでの誹謗中傷や幼い頃の辛い過去などを2人で乗り越えていく姿が描かれる。

2026年11月に映画版が公開予定[4]。

あらすじ

女子高生・染矢影子は全てにおいて「普通」であることがコンプレックスで、自らのことを「永遠の脇役」と称している。同じクラスには、鈴木真昼という男子がいて、人気アイドルグループ「chrome(クロム)」のセンターで、成績も性格も完璧で学校でも人気者という、影子からは「永遠の主人公」と思えるほど対極の存在と思えた。

影子は最初は彼と距離を置きたいと考えていたが、席替えで隣同士になり、一緒に図書委員をすることになったことから少しずつ打ち解けていく。2人は好きな作家が同じであることが分かり、それをきっかけに真昼の性格が意外とひねくれていて毒舌であることとか[注 1]、真昼からは最初「おしとやかで物静か」だと思われていた影子も本当はひねくれた思いを持っていることを明かし、2人は「ソトヅラ同盟」だなと笑い合う。

11月になって、司書の先生から図書室を来月のクリスマス仕様の飾り付けをしたいからと、真昼と影子が買い出しを頼まれ、その時に影子が真昼にクリスマスの話を持ちかけるが、真昼はクリスマスには嫌な思い出しかないと答える。

そんなある日、「chromeのセンター鈴木真昼、万引きで補導」などと、真昼が小学生の頃に深夜のコンビニでお菓子を数点万引きして警察に引き渡されたことがあるとテレビやネットのニュースで報道され、凄まじい速度でSNSで拡散されて炎上していく。

それから3週間後、クリスマスを目前にした時期に、今度は10年前の凄惨な幼児虐待死事件がニュースとなる。両親の育児放棄の末に極寒の真冬の家に置き去りにされ、クリスマスイブの日に4歳の男児が栄養失調で亡くなるという事件があり、男児の兄が当時小学1年生だった真昼だと判明したことが報じられた[注 2]。

当時、真昼は弟の状態が普通じゃないと雪の中を泣きじゃくりながら近所を走り回ったが、誰も助けてくれず、ただ1人「スーツ着た優しそうなおじさん」が声を掛けてくれて、真昼の家へ行き救急車を呼んでくれた[6]。その際に娘に渡すはずのプレゼントの中からマロのキーホルダー[注 3]を真昼にクリスマスプレゼントと言って渡している[注 4]。万引き事件も空腹に耐えかねてのことだと報じられ、真昼に対する同情や憐れみの声が集まっていく。

このような状況の中、真昼は「虐待されていた可哀想な子」という目で見られていき、もう今までのように歌ったり演技をしたりできないと苦しそうに影子に話していく。影子が引け目を感じていた「普通」は、普通に親に愛されて暮らすことができなかった真昼がどれほど憧れ続けていたものであったかということにも気付いていく。

そんな時、真昼を励まそうとしての会話の中で、真昼がいきなり「どっか、遠くに行きたいな。誰も俺を知らないところ…」などと言い出し、彼のことを心配した影子が一緒に旅に出ることを決心する。真昼は仕事関係の本や資料などをバッグいっぱいにして行こうとする。影子にとっては羨ましくも思える、大勢の人から特別な希望と期待をかけられた荷物だったが、彼にとって重荷になるのなら、捨てて新しい場所へ行こうと真昼に言う。

2人は電車やバスを何度も乗り換えて、夕焼けの中、田んぼの真ん中にあるバス停で降りて暗くなった道を歩いて行く。目の前に現れた低く照明もない真っ暗なトンネルを進み、先の見えない闇の中で過呼吸気味になった真昼と影子は手を繋ぐ。安心したように真昼はトンネルの壁にもたれて寝息を立て始め、影子も隣で手を繋いだまま眠る。

ぐっすり眠ることができた2人は朝になって、手を繋いでまた歩き出し、長い暗闇が終わったトンネルの先にある真っ白な光に満ちた世界へ踏み出して行く。

登場人物

主要人物

染矢影子(そめや えいこ)
高校2年生。誰よりも「普通」であることにコンプレックスを抱いている。自身のことを「永遠の脇役」と称する。
真昼からは最初「おしとやかで物静か」だと思われていたが、実はそうではないと言われ、外面だけで生きているという真昼と「ソトヅラ同盟」を結成する。
鈴木真昼(すずき まひる)[注 5]
影子のクラスメイト。人気アイドルグループ「chrome(クロム)」のセンター。俳優としても活躍している。影子曰く「永遠の主人公」。影子と共に図書委員になる。
影子には次第に気が許せるようになっていき、自身の陰の一面や抱える苦悩を少しずつ打ち明けるようになっていく。

高校のクラスメイト

遠藤羽奈(えんどう はな)
影子の親しい友人。変に格好をつけたりせずに面と向かって思いを口にする。影子とは1年生の時にケータイ小説をきっかけに親しくなった。小説の投稿もしている。
山崎(やまざき)
真昼と親しい男子生徒。

影子の家族・関係者

影子の母
おしゃべりが好きで小言がちょっとしつこい。影子が大好きな三色そぼろのお弁当をよく作ってくれる。
影子の父
物静かだが、影子からの相談にはじっと耳を傾けてくれて控えめなアドバイスをくれる。影子が小学1年の時のクリスマスイブの夜、当時の真昼から助けを求められて親身に対応している[注 6]。

真昼の家族・関係者

真昼の父母
真昼と真昼の弟に打撲や火傷を負わせるなど虐待していた。息子たちには愛情はなく、真冬の極寒の家に2人を放置して弟を衰弱死させ、真昼も衰弱状態で警察に保護され施設に引き取られている。
真昼の弟
両親による暴行や育児放棄の末、家に置き去りにされ雪の降る極寒のクリスマスイブの日に4歳で亡くなる。
児童養護施設の施設長
両親から虐待され、育児放棄の末に置き去りにされた小学1年の時の真昼を引き取った施設の長。真昼という名前の名付け親で本人から頼まれて、真昼の光みたいに明るい人生になりますようにと願いを込めて名前を提案してくれた[9]。

書誌情報

コミカライズ

2025年8月6日から深津めえの作画によりKADOKAWAが運営する無料コミックポータルサイト『カドコミ』にて「Comic Aily」レーベルで連載中[10]。

映画

ないものねだりの君に光の花束を
監督 安藤尋
脚本 狗飼恭子
原作 汐見夏衛
製作 三宅亜実
小松重之
宮崎大
製作総指揮 植田泰生
春名慶
出演者 原菜乃華
作間龍斗(ACEes)
向井怜衣
八神慶仁郎
喜内優心
荒井啓志
小林和真
春本ヒロ
吉沢悠
戸田菜穂
眞島秀和
音楽 角銅真実
撮影 渡邉寿岳
編集 蛭田智子
制作会社 ジャングルドラム
製作会社 「ないものねだりの君に光の花束を」製作委員会
配給 ショウゲート
公開 日本の旗 2026年11月20日(予定)
上映時間 106分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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2026年11月20日に公開予定[4]。監督は安藤尋、主演は原菜乃華と作間龍斗(ACEes)[11]。

キャスト

主要人物(映画)

染矢影子(そめや えいこ)
演 - 原菜乃華
高校生。すべてにおいて普通で個性がないことがコンプレックス。
鈴木真昼(すずき まひる)
演 - 作間龍斗(ACEes)
影子のクラスメイト。大人気アイドルグループ「CHROME(クロム)」のメンバー。学校でも人気者。

影子と真昼の関係者

遠藤羽奈
演 - 向井怜衣[12][13]
影子のクラスメイト。CHROMEの大ファン。
長谷川幸次
演 - 吉沢悠[12][13]
真昼をスカウトしたCHROMEのマネージャー。映画オリジナルの人物。
染矢春枝[注 7]
演 - 戸田菜穂[12][13]
影子の母。口うるさいこともあるが、優しく影子を見守る。
染矢吾郎[注 7]
演 - 眞島秀和[12][13]
影子の父。影子のよき理解者として、彼女の幸せを願う。

その他(役名不詳)

スタッフ

脚注

注釈

  1. ↑ その作家は、人々の隠された心理を裏読み、深読みしてそれを小馬鹿にしたような調子で書く作風であることから、影子が思わずそう指摘したところ、真昼があっさりと自分は外面だけで生きていると認めている[5]。
  2. ↑ 真昼も極度の衰弱のため救急搬送されており、2人とも両親の虐待のため、全身に打撲や火傷を負っていた。
  3. ↑ 10年ほど前にはやった「マロミロ」という2匹の犬のキャラクターで、マロは白い犬の男の子、ミロは茶色い犬の女の子。
  4. ↑ 「スーツ着た優しそうなおじさん」は影子の父であったことが後に判明。真昼はその時にもらったマロのキーホルダーをずっと大事に持っており、マロと対になるミロのキーホルダーは影子が持ち続けていた。
  5. ↑ 戸籍上の名前は「一(いち)」。母から何の愛情もなく午前1時に生まれたからというだけの理由で名付けられ、しかも名前で呼ばれることはなく、いつも「お前」と呼ばれていた[7]。
  6. ↑ 目の前で幼い弟が亡くなり、雪の中で泣きながら助けを求めている真昼の家に行き、すぐに救急車を呼ぶなどしている[8]。
  7. 1 2 原作には名前は記載されていない。

出典

  1. 1 2 “ないものねだりの君に光の花束を汐見夏衛(著)”. 版元ドットコム. 版元ドットコム. 2026年5月19日閲覧。
  2. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、335頁。
  3. 1 2 “角川文庫 ないものねだりの君に光の花束を 汐見夏衛(著)”. 版元ドットコム. 版元ドットコム. 2026年5月19日閲覧。
  4. 1 2 ““特別な彼”がねだったのは“普通な私”──原菜乃華×作間龍斗「ないものねだりの君に光の花束を」11月20日公開決定!特報&ティザービジュアル披露”. 映画.com. 映画.com (2026年7月1日). 2026年7月1日閲覧。
  5. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、86-89頁。
  6. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、223-225頁。
  7. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、228-229頁。
  8. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、236-239、223-225頁。
  9. ↑ 汐見夏衛『ないものねだりの君に光の花束を』KADOKAWA〈角川文庫〉、2023年11月24日、229頁。
  10. ↑ “ないものねだりの君に光の花束を 深津めえ(著者) / 汐見夏衛(著者)”. カドコミ. KADOKAWA. 2026年5月23日閲覧。
  11. 1 2 “原菜乃華と作間龍斗がW主演、汐見夏衛の小説「ないものねだりの君に光の花束を」映画化”. 映画ナタリー. ナターシャ (2026年5月18日). 2026年5月21日閲覧。
  12. 1 2 3 4 “『ないものねだりの君に光の花束を』に向井怜衣、吉沢悠、戸田菜穂、眞島秀和が出演”. リアルサウンド映画部. blueprint (2026年6月10日). 2026年6月27日閲覧。
  13. 1 2 3 4 “原菜乃華×ACEes作間龍斗の共演作「映画ない花」に向井怜衣、吉沢悠、戸田菜穂、眞島秀和”. 映画ナタリー. ナターシャ (2026年6月10日). 2026年6月27日閲覧。
  14. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 “ないものねだりの君に光の花束を”. 映画.com. 映画.com. 2026年9月3日閲覧。
  15. 1 2 “原菜乃華×作間龍斗(ACEes)W主演『ないものねだりの君に光の花束を』本予告&本ビジュアル解禁”. タレントデータバンク. タレントデータバンク (2026年9月3日). 2026年9月3日閲覧。

外部リンク

小説
映画