ウエストウッドオオシカクワガタ
| ウエストウッドオオシカクワガタ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Rhaetus westwoodi Parry, 1862 |
ウエストウッドオオシカクワガタ Rhaetus westwoodii (Parry, 1862) は昆虫綱甲虫目クワガタムシ科オオシカクワガタ属に分類される昆虫の種の1つ[1]。オオシカクワガタ属 Rhaetus はウエストウッドオオシカクワガタの1種のみが分類されている属で[2]、その基本的形態はシカクワガタ属 Rhaetulus Westwood, 1871 に似る[1]。ウエストウッディオオシカクワガタ[3][4]、および単にオオシカクワガタ[5][6][7][8]とも呼称される。
ウエストウッドオオシカクワガタはヒマラヤ山脈東部に広く分布するクワガタムシであると考えられており[9]、シカクワガタ属などを含むシカクワガタ群の最大種である[2]。ウエストウッドオオシカクワガタはネパール東部、インド北東部、ブータン西部、中華人民共和国のチベット東南部(墨脱県)から記録されている原名亜種 R. w. westwoodii (Parry, 1862) と、ミャンマー北部から記録されている亜種カズミオオシカクワガタ R. w. kazumiae (Nagai, 2000) の2亜種が知られている[2]。同種はかつてフタマタクワガタ属 Hexarthrius の一種として記載されたが[注 1]、後に記載者である Parry が1864年にオオシカクワガタ属 Rhaetus を新属として創設、westwoodii は Rhaetus の一種に再分類された[10][11]。タイプ標本は大英博物館に保管されている[6]。形態的に、オオシカクワガタ属のオス成虫はフタマタクワガタ属とシカクワガタ属の中間のようだと評され[6][12]、フォルステリーフタマタクワガタ Hexathrius forsteri ともよく似ている[6]。
学名の属名はギリシャ神話でオリンポスの神々に戦いを挑んだ巨人族の一人であるレアトス Rhætus に由来する[1]。またシカクワガタ属 Rhaetulus の属名は、ラテン語で「小さい Rhaetus 」を意味する[13]。種小名は1800年代に多数の論文を発表したイギリスの昆虫学者ジョン・ウェストウッド John Obadiah Westwood に由来する[2]。かつての図鑑では種小名が westwoodi と表記されていた[2]。
特徴・分類
オオシカクワガタ属 Rhaetus のオスの成虫はその名の通り、大鹿の角のような大顎を持つ[7][8]。このように大顎が基部付近から斜め上に湾曲し、先端に向かって下方に湾曲する形状、そして前胸側縁が鋸歯状になる点は、オオシカクワガタ属やシカクワガタ属 Rhaetulus、クロツヤシカクワガタ属 Pseudorhaetus[注 2]、ペロッティシカクワガタ属 Weinreichius[注 3]、マキシカクワガタ属 Yumikoi の5属を内包するシカクワガタ群に共通する特徴である[15]。シカクワガタ群についてはフタマタクワガタ属 Hexarthrius に比較的近いグループとする学説もあれば、クワガタ属 Dorcus に近いとする学説もあり、2009年時点では分類的位置は不明である[15]。シカクワガタ群とフタマタクワガタ属それぞれの最大の相違点は触角の片状部の数で、シカクワガタ群の場合は触角の先端4節が、フタマタクワガタ属の場合は先端6節が幅広くなる点で区別できる[15]。フタマタクワガタ属の触角は6節もしくは5節だが、ウエストウッドオオシカクワガタはシカクワガタ属と同じ3節である[16]。
オオシカクワガタ属の大顎の基本的構成はシカクワガタ属と変わらないが、頭部が前胸幅より幅広くなる点、またメス成虫の頭部に目立った点刻が見られない点などの違いがみられるため、別属に分類されている[1]。一方でオオシカクワガタ属、シカクワガタ属、そしてクロツヤシカクワガタ属の3属はほとんどの種で雌雄の生殖器の特徴が共通するため、これら3属を同一属とみなし、3属の中で最も古く記載されたオオシカクワガタ属に一本化する学説もある[13]。クロツヤシカクワガタ属と同一属とみなす学説があるベトナムシカクワガタ属についても、同様にオオシカクワガタ属に含める考えがある[14][13]。オオシカクワガタ属の成虫は、触角の先端部4節が雌雄ともに片状で、第7節が細くなるという特徴があるが[7]、この点はシカクワガタ属や[17]、Pseudorhaetus にも共通する特徴である[14]。
ウエストウッドオオシカクワガタの成虫の体色は雌雄ともに黒色で、鈍い光沢がある[7]。オスの成虫はやや幅広くて平たい体を持ち、その頭部は逆台形状になっており、左右にごく緩やかな隆起部を有し、複眼の後方は基部寄りでわずかに膨らんだ形状になる[7]。オスの成虫は長く湾曲した大顎を有し、その先端付近には上方を向く内歯と、先端寄り1/3付近の大きな内歯があり、その前後にも鋸歯がある[11]。なお大顎やその内歯の形が左右非対称になるクワガタムシの種は珍しくはないが、オオシカクワガタのオスの場合は前胸背板側縁部の小突起や、小さくえぐれた部分があり、その形が左右で異なる個体が多く、特に前胸背板側縁の形が左右非対称になる種は非常に珍しいという[18]。またメス成虫の体はやや細長く、前胸背板は前方が幅狭く、前角は角張り、後角は斜めの裁断状になる[14]。
亜種
オオシカクワガタ属からはウエストウッドオオシカクワガタ R. westwoodii (Parry, 1862) の1種のみが知られ、同種は原名亜種 R. w. westwoodii と、亜種カズミオオシカクワガタ R. w. kazumiae (Nagai, 2000) の2亜種に分類されている[2]。カズミオオシカクワガタについてはカズミアエとも呼ばれ[19][20]、また原名亜種についてはインドオオシカクワガタ、カズミオオシカクワガタについてはカチンオオシカクワガタという和名も提唱されている[6]。
原名亜種はネパール東部、インド北東部、ブータン西部、中華人民共和国のチベット東南部(墨脱県)に分布する[2]。インドでは西ベンガル州ダージリン県、シッキム州などで記録がある[9]。またブータン西部サムチ州ドロカでも得られている[11]。同亜種の基産地は「Ind.Or.」となっているが、これは記載された1862年当時、インドから中国南部を経て東南アジア一帯までの範囲を指していた地域名であり、正確な基産地は不明である[2]。成虫の体長は、オスで50.0 - 96.1ミリメートル (mm)、メスで39.5 - 51.1 mmである[2]。むし社の調査によれば、オス成虫の最大個体は野生個体で97.1 mm、飼育個体で94.1 mmである[注 4][21]。原名亜種の場合、オスの複眼後方側縁が緩やかに膨らむ点、頭楯は五角形状でその先端部が尖っている点、大顎は光沢が強く、湾曲は丸みを帯びている点、先端部が上下の二股に分かれ、先端から1/3程度の場所にある内歯はやや小さくなる点、メスの前胸背板は前方で幅が狭くなり、丸みを帯びない点、その側縁はほとんど鈍鋸歯状にならない点で、後述の亜種 kazumiae と区別できる[14]。
カズミオオシカクワガタ R. w. kazumiae はミャンマー北部のカチン州プータオ北部 (N. Putao, Kachin, N. Myanmar.) で1996年6月に採集されたオス成虫1頭を基に[22]、2000年に記載された亜種で[5][23]、カチン州チュドラジやサガイン州などで得られている[23]。成虫の体長はオスで44.0 - 86.3 mm、メスで42.0 - 48.0 mmである[23]。むし社の調査によれば、オス成虫の最大個体は野生個体で86.3 mm、飼育個体で89.0 mmである[注 5][21]。原名亜種と比較すると、オスの大顎先端付近の上方を向く内歯がほとんど消失する一方、大顎先端寄り1/3付近にある大きな内歯がより長く、大顎先端がやや強く湾曲すること、大顎は点刻が粗くて光沢がやや鈍くなっている点、頭楯の先端付近は尖らずに台形状になっている点などが異なる[23]。大顎の湾曲は基部と先端部でやや角ばって湾曲する一方、中央部はほぼ真っ直ぐである[14]。またメスは原名亜種に比べてやや細身の体型で、前胸側縁の鋸歯が明瞭であり、前胸側縁後角がややへこむという特徴がある[24]。亜種名はクワガタムシに関する複数の論文を発表している吹抜清民の妻・加寿美(かずみ)に由来する[2]。
生態
原名亜種 westwoodi は標高1500メートル (m) 以上の高地に多く、成虫の活動期は主に6月から8月にかけてと考えられているが[2]、珍品であり、特にメスは得にくいという[9]。自然界では主に6月から7月に採集された記録が多い[12]。亜種カズミオオシカクワガタも原名亜種と同様、標高1500 m以上の山地帯に分布し、6月から8月が主な活動期である[23]。藤田宏 (2010) は、クワガタムシの「野外における珍品度」を星最大6個の6段階(星1個は「もっとも普通」、2個は「普通」、3個は「やや少ない」、4個は「少ない」、5個は「稀」、6個は「非常に稀」)で評価しているが[25]、オオシカクワガタについては原名亜種、亜種 kazumiae ともに星5つの「稀」と評価している[14]。
ウエストウッドオオシカクワガタはその希少性ゆえ、自然界における生物学、生態学、遺伝学、保全状況についてはほとんど知られていない[26]。原名亜種、カズミオオシカクワガタともに成虫はカシなどの樹液に集まるが、カズミオオシカクワガタについては採集できる樹種が少ないらしく[2]、それが要因で得られている個体数[23]、日本への入荷数ともに少ない[2]。成虫は雌雄のペアでいることが多いらしいが、灯火にはほとんど飛来しない[2]。ただしテナガコガネの一種であるマクレイテナガコガネと同時に観察されるケースがよくあるため、似たような条件のカシ類の大木に依存しているのではないかとする文献もある[27]。
飼育下における適温は18 - 23℃である[28]。ただし卵から孵化した直後の1齢幼虫は20℃以下では成長が止まる[29]。飼育下では成虫の寿命は約1年[28]、もしくは6か月から10か月である[3]。ただし、メス成虫の寿命は活動を開始してから2 - 3か月程度である[30]。
飼育下では、メスは産卵木の木口やマットとの境目部分をわずかにかじって産卵する場合が多いようである[31]。また飼育下では大型のオスは極めて凶暴な性格から、同居しているメスを挟み殺す可能性が指摘されている[31]。飼育下では卵が産卵されてから孵化するまでの期間は、22℃で管理した場合、22 - 30日である[32]。ウエストウッドオオシカクワガタの分布域にはクヌギが原生しておらず、同種の幼虫は自然界ではカシやブナ、フウの朽ち木を食べていると考えられる[30]。幼虫は1年1化(卵から孵化した翌年に成虫として羽化する)と2年1化(孵化の翌々年に羽化する)に分かれるが、五月女真之によれば、21℃で飼育したところ、メスのほとんどは1年1化であり、オスは30頭のうち1 - 2頭程度が1年1化、ほとんどのオスは2年1化である[29]。飼育下では、3齢幼虫は孵化から約1年で、オスは体重18 - 28グラム (g)、メスは7 - 12 gにまで成長するが、特に体重25 g超のオスは体長90 mm以上の大型の成虫として羽化する可能性がある[32]。3齢幼虫は蛹室を作成してから3 - 4週間程度で蛹化し、蛹はメスが蛹化から3週間程度、オスが3 - 4週間程度で羽化する[33]。新成虫の体は羽化から約1か月程度で固まるが、すぐには活動を開始せず、蛹室内で越冬する[34]。飼育下では羽化後、6か月から1年の休眠期間を要するとされ[20]、8月ごろに羽化した新成虫は翌年の4月ごろまで休眠する[34]。
人間との関わり
全身が黒光りしており、またやや細身ながら、大型のオス成虫(体長80 mm以上)は立体感のある湾曲した大顎の形状からかなり迫力があると評され、昆虫標本のコレクターや生きた昆虫の飼育者からは「幻のクワガタ」としてかなり人気がある[6]。ウエストウッドオオシカクワガタの標本はその魅力的な外見から、貴重なコレクションとして非常に需要が高く、体長80 mm以上の大型のオスで450 - 1999米ドル、体長約60 mmの小型のオスでも90 - 350米ドルといった価格で取引されているため、乱獲によって絶滅の危機に瀕する可能性が危惧されている[26]。中華人民共和国ではウエストウッドオオシカクワガタは金刚大鹿角锹と呼称され、光沢のある体、鎌状の大顎といった特徴的な外見に加えて、人工繁殖の難しさから非常に希少なペットとして取引されており、過去に数万元の高値で取引されたこともあるという[35]。
光に飛来する習性がないことから採集は困難であり、世界的に流通量は少ない[8]。現地では標高の高い地域で、採集者が夜に木に登ってオオシカクワガタを採集しているという[31]。2016年(平成28年)までにウエストウッドオオシカクワガタの生体(生きた個体)を展示したことがある日本の昆虫館は、伊丹市昆虫館と石川県ふれあい昆虫館の2館のみである[8]。日本で初めてウエストウッドオオシカクワガタの生体を展示した伊丹市昆虫館は2014年(平成26年)7月にウエストウッドオオシカクワガタを購入、同月から同年11月まで展示していた[36]。
日本における流通
日本では、ウエストウッドオオシカクワガタはウッディの通称で呼ばれ[3]、「クワガタムシ科の中でもっとも人気のある種」[9]「飼育者なら誰もが憧れる」とも評されている[37]。また飼育難易度の高さから、ウエストウッドオオシカクワガタのブリードに成功することは「トップブリーダーの証」とも言われているという[3]。藤田宏 (2010) はオオシカクワガタ属について「その格調高さはクワガタムシの最高峰の一つだろう」と評している[7]。日本には1990年代にダージリン経由で生きた甲虫や標本がまとまって輸入され、そのころにウエストウッドオオシカクワガタの生きた成虫のペアも輸入されたとのことだが、その個体は子孫を残すことはできず、しばらくはインドからの野外採集された昆虫の輸入は完全に途絶え、ウエストウッドオオシカクワガタは「幻の虫」になったという[38]。1998年ごろからネパール産の生きたウエストウッドオオシカクワガタの野外品が輸入されるようになり、2000年にはインド産のアンタエウスオオクワガタのブームに合わせるように、インドからも再びウエストウッドオオシカクワガタが輸入されるようになり、2001年には23ペアがインドから日本へ輸入されたが、2002年には6ペアに激減、2003年も10ペアの入荷にとどまったという[39]。
インド産のオオシカクワガタは1991年から1996年ごろまで標本として日本に輸入され、その後は一時輸入が途絶えたが、1999年ごろから標本や生きた個体がインドやネパールから輸入されるようになった[31]。2024年時点で、日本には生きた成虫が7月中旬から8月上旬にかけて入荷するが、入荷しない年もあり、また高額で取引されている[40]。日本への入荷量は採集人の数によって左右されるという[27]。また原産国の1つであるインドは原則として生きた動物の持ち出しが禁止されているため、日本への入荷量は極めて少ない[9]。2024年時点では、日本で流通しているウエストウッドオオシカクワガタの産地は、インドのアルナーチャル・プラデーシュ州ローワー・スバンシリ、および同州ディバンバレーが最も多く、それ以外にも同州ローワー・ディバンバレー産、インドのウエストベンガル州カリンポン産、中国のチベット・メトク産なども稀に見られる[37]。
2005年時点では、日本ではミャンマーから輸入されたウエストウッドオオシカクワガタの生きた成虫の雌雄ペアは50 - 60万円程度で取引されていた[41]。2008年時点では、日本におけるウエストウッドオオシカクワガタの生きた成虫(オス単独もしくはペア)の市場価格は体長70 mmで20万円、体長80 mmで30万円、体長90 mmで60万円が相場とされている[28]。同年時点で、年間のウエストウッドオオシカクワガタの日本国内への入荷数は多い年で、雌雄ペアが約50入荷する程度であり、同年時点でのクワガタムシ飼育市場では希少度、価格、飼育難易度のすべてが上位にあると評されている[28]。2013年時点で、日本の昆虫マニアの間では100万円以上の価格で取引されることもあると報じられている[42]。カズミオオシカクワガタは2009年時点で、シカクワガタの中でも最も入手難易度が高いと評されているが[23]、2024年時点では新たな採集方法が解明されたことで流通事情は改善されているという[2]。カズミオオシカクワガタ(カズミアエ)の方が原名亜種より入荷が安定しており、原名亜種より入手しやすくなっているとする文献もある[20]。
後述のように2000年代前半時点では累代飼育に成功した者がいないと言われていたが、2024年時点では累代飼育品が流通するようになっており、昆虫専門店、インターネットオークション、イベントなどで販売されるようになっている[37]。ただしウエストウッドオオシカクワガタの飼育法を執筆した五月女真之によれば、インターネットオークションでは幼虫詐欺(ウエストウッドオオシカクワガタの幼虫と称して販売されていたクワガタムシの幼虫を飼育したところ、別の種のクワガタムシが羽化してきたなど)が毎年問題になっているという[43]。
飼育
飼育難易度は高く、20℃以下の環境でないと飼育は難しいと評されている[28]。産卵時は21 - 23℃[30]、幼虫時は21℃、蛹や羽化直後の新成虫は20 - 22℃、冬眠中の新成虫は徐々に温度を下げていって12月までに8℃程度で温度管理するのが好ましいという[34]。
2002年時点では採卵はできても幼虫が育たないと報告されており、2004年時点では成虫まで飼育することに成功した者は何人かいたが、累代飼育はいまだに成功していないと言われていた[9]。2024年時点では累代飼育の方法が確立されており、産卵木の好みはフタマタクワガタ属のそれに近く、爪が刺さる程度の柔らかさの材ならばクヌギ・コナラのシイタケ原木栽培に用いた後のホダ木、カワラタケの菌で腐朽した朽ち木、バクテリア加工した朽ち木(バクテリア材)、ベトナム材などで効果が得られているという[44]。ただしカワラタケや霊芝の植菌材を用いる場合、菌の勢いが強すぎると産卵しないという[29]。一方でコナラやクヌギのホダ木では産卵率が悪く、ベトナム材(VN材)や天然カワラ材の方がメスの反応が良く、産卵数も見込めるとする文献もある[45]。またメスは産卵用の朽ち木を選り好みする傾向があり、飼育者は1年かけて朽ち木を厳選した上で飼育に臨んでいるという[3]。
幼虫は菌糸ビン、発酵マットの双方で飼育できる[46]。幼虫はカワラタケ系、ヒラタケ系のどちらの菌糸ビンでも飼育できるが、ヒラタケ系の菌糸ビンではカワラタケ(オス、メスとも孵化から1年で羽化する)に比べてオスの成長が遅く、メスが孵化から1年で羽化する一方、オスは2年程度かかることもあるという文献もある[32]。ウエストウッドオオシカクワガタの幼虫専用菌糸ビンとして、ブナのおがくずを素材に用いたオオヒラタケの菌糸ビンが流通しており、またフタマタクワガタ・シカクワガタ類と同様にブナ素材のカワラタケ菌糸ビンでも幼虫を育成することができる[30]。五月女真之によれば、ウエストウッドオオシカクワガタの原産地にはクヌギが自生していないため、クヌギよりブナの方が同種の幼虫の食性に適している可能性があるという[30]。2021年にカズミオオシカクワガタの最大個体(体長89.0 mmのオス成虫)を作出した佐々木大河は、温度は夏場は18 - 20℃、冬場は15 - 17℃に保ち、1齢幼虫期はブナマット、2齢幼虫から3齢幼虫にかけてはカワラタケの菌糸ビン(ランバージャック製のMAD)、3齢幼虫後半は再びマットで飼育したと述べている[47]。また「FE菌糸」という専用とも言われる菌糸ビンも販売されており、2016年に原名亜種の最大個体(体長94.1 mmのオス成虫)を発表したm1905はこの菌糸ビンを使い、18 - 20℃に保つことでその個体を羽化させたという[48]。
脚注
注釈
出典
- 1 2 3 4 土屋利行 2024, p. 94.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 土屋利行 2024, p. 95.
- 1 2 3 4 5 三森大輔 2022, p. 87.
- ↑ 『読売新聞』2025年12月11日西部朝刊第二宮崎版26頁「クワガタ、カブト 生体や標本 宮崎 県総合博物館で催し=宮崎」(読売新聞西部本社・宮崎総局)
- 1 2 永井信二 2000, p. 5.
- 1 2 3 4 5 6 7 鈴木貴夫 2002, p. 81.
- 1 2 3 4 5 6 藤田宏 2010, p. 228.
- 1 2 3 4 『北國新聞』2016年8月15日朝刊石川南版23頁「希少なオオシカクワガタ 生態展示、国内2例目 県ふれあい昆虫館 きょうから」(北國新聞社)
- 1 2 3 4 5 6 鈴木知之 2005, p. 149.
- ↑ Frederick John Sidney Parry (1864). “A catalogue of lucanoid Coleoptera”. The Transactions of the Entomological Society of London: 11 2025年11月30日閲覧。.
- 1 2 3 土屋利行 2009, p. 24.
- 1 2 西山保典 2000, p. 154.
- 1 2 3 4 土屋利行 2024, p. 92.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 藤田宏 2010, p. 229.
- 1 2 3 土屋利行 2009, p. 8.
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- ↑ 藤田宏 2010, pp. 228–229.
- ↑ 三浦徹 2014, p. 38.
- 1 2 3 三森大輔 2022, p. 89.
- 1 2 BE・KUWA編集部 2025, p. 117.
- ↑ 永井信二 2000, p. 8.
- 1 2 3 4 5 6 7 土屋利行 2009, p. 25.
- ↑ 土屋利行 2024, p. 26.
- ↑ 藤田宏 2010, p. 9.
- 1 2 Liu Jing; Shi-Ju Zhou; Yong-Jing Chen; Xia Wan (2018-10-01). “Mitogenome of the Monotypic Genus Rhaetus (Coleoptera: Scarabaeidae: Lucanidae)”. Journal of Entomological Science (Georgia Entomological Society) 53 (4): 503-513. doi:10.18474/JES17-122.1.
- 1 2 前田健 2014, p. 21.
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- 1 2 3 五月女真之 2024, p. 34.
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- 1 2 3 4 鈴木貴夫 2002, p. 82.
- 1 2 3 三浦徹 2014, p. 37.
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- 1 2 3 五月女真之 2024, p. 37.
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- ↑ 『毎日新聞』2005年8月18日東京夕刊一面1頁「YOU館:カブトムシ・クワガタ「かっこいい」外来種激増」(毎日新聞東京本社【高橋昌紀】)
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- 藤田宏 著「解説本文 > オオシカクワガタ属 Rhaetus」、(監修者)水沼哲郎・永井信二・鈴村勝彦 編『世界のクワガタムシ大図鑑』 6巻、むし社〈月刊むし・昆虫大図鑑シリーズ〉、2010年12月20日、228-229頁。ISBN 978-4943955061。 NCID BB04284986。国立国会図書館書誌ID:026998699・全国書誌番号:22674089。
- 前田健「インドのクワガタムシ大図鑑」『BE・KUWA』第50号、むし社、2014年2月28日、6-31頁。 - 2014年冬号。『月刊むし』2014年3月増刊号。
- 三浦徹「ウエストウッドオオシカクワガタのブリードレポート」『BE・KUWA』第50号、むし社、2014年2月28日、34-39頁。 - 2014年冬号。『月刊むし』2014年3月増刊号。
- 伊丹市昆虫館(著)、伊丹市昆虫館(編)「平成26(2014)年度 伊丹市昆虫館活動報告」(PDF)『伊丹市昆虫館研究報告』第4号、伊丹市昆虫館、2016年3月31日、35-55頁、doi:10.34335/itakon.4.0_35。
- 三森大輔『『クワカブの部屋』公式世界のカブトムシ・クワガタ飼い方&原色図鑑』(初版発行)コスミック出版、2022年7月2日。ISBN 978-4774792644。国立国会図書館書誌ID:032204298・全国書誌番号:23771654。
- 五月女真之「ウエストウッドオオシカ チュウゴククロツヤシカの飼育法」『BE・KUWA』第91号、むし社、2024年5月16日、32-41頁。 - 2024年春号。『月刊むし』2024年6月増刊号。
- 土屋利行「世界のシカクワガタ大図鑑 解説」『BE・KUWA』第91号、むし社、2024年5月16日、92-96頁。 - 2024年春号。『月刊むし』2024年6月増刊号。
- BE・KUWA編集部「外国産クワガタムシの飼育レコード個体(2025年度版)」『BE・KUWA』第97号、むし社、2025年11月21日、114-117頁。 - 2025年秋号。『月刊むし』2025年12月増刊号。