ギャルにひかれて寺マルシェ
| ギャルにひかれて寺マルシェ | ||
|---|---|---|
| 著者 | 宮島未奈 | |
| イラスト | 桜田佳代子(装画) | |
| 発行日 | 2026年9月2日 | |
| 発行元 | KADOKAWA | |
| ジャンル |
連作短編集 青春小説 | |
| 国 |
| |
| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六判並製 | |
| ページ数 | 224 | |
| 公式サイト | www.kadokawa.co.jp | |
| コード | ISBN 978-4-04-116031-2 | |
|
| ||
| ||
概要
大人になりきれない30歳の男性二人組が、元同級生のギャル姿の尼僧と再会することから始まる青春譚[2][ep 1][ep 2][ep 3][ep 4][ep 5][ep 6]。
『小説 野性時代』(KADOKAWA)特別編集2024年冬号、特別編集2025年冬号、2026年3月号から6月号に掲載された6編[3][4][5][6][7][8] を加筆修正のうえ、2026年9月2日に同社より単行本が発売された[1]。
制作背景
作者の宮島は、KADOKAWAから刊行する作品としてエンターテインメント色の強い物語を考える中で、寺を舞台に若い女性僧侶を登場させる着想を得た[9]。編集者と打ち合わせを重ねるうちに、埋蔵金やラブコメディーなどの要素が加わり、第一章「ひかるリザードン」の原型が生まれたが、この時点では物語全体の方向性は固まっていなかった[9]。
その後、宮島の地元・大津で寺を会場としたマルシェが開かれていることに着目し、寺マルシェを舞台に据えたことで、「地方を描く」という従来からのテーマが作品の軸となった[9]。寺の跡継ぎである真実子の造形には、30代で石山寺の座主を務める女性への取材も生かされ、家業を継ぐことを自然に受け入れる地方の生き方が参考にされた[9]。
物語を動かす幼なじみの光司は、宮島が原点として挙げる『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉を意識して造形された[9]。突然地元に戻り、行き当たりばったりに行動しながらも、思いがけない才能や勝負勘によって事態を動かし、騒動に巻き込まれていく光司の人物像が確立したことで、宮島自身も当初は明確に決めていなかった物語を展開させることができたという[9]。
さらに、石山寺の座主への取材から、寺が身分を問わず人々の集う場所であり、昔から出会いの場でもあったことを知り、真実子のギャルメイクに人探しの意図を持たせるなど、寺を介して人々の人生が交差する物語へと発展させた[9]。こうして、地方で生きる人々のつながりと、偶然の積み重ねが新たな出来事を生む面白さを、寺マルシェという舞台に重ねて描いていった[9]。
執筆当時、宮島は『成瀬あかりシリーズ』の完結で執筆へのモチベーションを失い、体調も崩し気味だったが、本作を一気に書き上げ、最後の一文にたどり着いたことで「自分は大丈夫だ」と感じたという[9]。宮島は本作を『婚活マエストロ』『それいけ! 平安部』に続く作品として位置づけ、現実の生きづらさを忘れて楽しめる物語を描くことへの手応えを得たと語っている[9]。
あらすじ
- ひかるリザードン
- 亡くなった父親の酒屋を継いだ30歳の杉本英介は、商売への向上心もなく、漫然と日々を過ごしていた。
- 10月のある日、幼なじみの悪友・勝山光司が地元へ戻り、子どもの頃に陵泉寺の鐘撞堂の近辺に埋めたという高価なポケモンカード「ひかるリザードン」の発掘を持ちかける。
- 偵察のため寺で開催されているマルシェ「りょうせんマルシェ」を訪れた英介は、ギャルメイクで法話を行う副住職の片倉真実子と再会する。
- 真実子は英介の小中学時代の同級生であり、現在は「ギャル僧・まみたん」として活動していた。
- マッチ一本火事のもと
- 12月。英介は母親と光司を連れて2度目となる、りょうせんマルシェを訪れる。
- 高校2年生の時に陵泉寺で悪さをしでかし、寺を出入禁止にされ気まずさを抱えながらも参加した光司は、真実子の法話を聞くことになる。
- 真実子の法話に触れ、徳を積んでよい人になると答えた光司は、真実子の祖父である住職から「歳末警戒夜間パトロール」への参加を頼まれる。
- こうして英介も巻き込まれ、光司とともに火の用心を呼びかけながら、檀家の高齢者たちと夜の町内をパトロールすることになる。
- 当たるも八卦、当たらぬも八卦
- 1月。新年一発目のりょうせんマルシェで開かれたもちつきに、英介と光司は参加する。
- つきたてのもちを堪能した英介と光司は、真実子からマルシェへの出店を誘われ、光司は出店に意欲を示す。
- 光司は出店計画を練るべく、露店で何を売るかの参考にするため、英介とともにイオンに出かける。
- イオンで占い師に金運を占ってもらった光司は、ほとんど原価がかからないことに目をつけ、2月のマルシェで占いの店を出店する。
- シールいかがですか
- 3月、英介はイオンのフードコートで、高校進学後に疎遠となっていた小中学校時代の幼なじみ・よっちゃんと偶然再会する。
- 翌日、英介とよっちゃんはガストで光司を交え、15年ぶりの再会を果たす。光司はよっちゃんに、かつてポケモンカードを埋めた場所を尋ねるが、覚えていなかった。
- ギャル僧となった真実子に話題がおよぶと、英介が光司の真実子グッズによる金儲けの計画を話す。すると、よっちゃんは子供たちの間でシールが流行っていると教える。
- これを聞いた光司は、占いの店と並行して真実子のシールを販売することを思いつき、3月のりょうせんマルシェに出店することになる。
- 陵泉寺の鐘の声
- 4月、光司はりょうせんマルシェに引き続き占いの店とシール販売で出店し、英介もシール販売を手伝う。
- 5千人のフォロワーを持つ真実子ファンの女性・清水氏の影響もあり、シールは以前にも増して売れ、英介は手応えを感じる。
- 一方、英介は顔なじみのコーヒー店のマスターから、たどたどしい態度で接され、その様子に違和感を覚える。
- 占い店に戻った英介は、マルシェの女性主催者が光司に退場を求めている場面を目にする。占い客から、光司に金を騙し取られたとの苦情がSNSに投稿されていた。
- あじさいの花咲く頃
- 陵泉寺に忍び込み真実子を隠し撮りしていた男を英介は追跡するが、追いつくことができず逃げられてしまう。
- 英介と真実子は寺の防犯カメラで逃げた男を確認し、二人とも見覚えのある人物ではなかったものの、10代ほどの若い男であることが判明する。
- そんな中、寺にかかってきた電話に真実子が対応したことから、英介は光司のトラブルの影響で5月のマルシェ開催が危ぶまれていることを知る。
- 英介と真実子は盗撮男が現れたことを警察に相談するが、一方で光司と電話やLINEでの連絡がつかなくなり、英介は光司の身に何か起こったのではないかと不安を募らせる。
登場人物
主要人物
- 杉本英介(すぎもと えいすけ)
- 酒屋「杉本酒店」の三代目。30歳。本作の語り手。仕事も私生活も現状維持のまま過ごしている。身長165センチ。
- 店を継ぐまでは商業高校を卒業して入社した大手家電メーカー系列の工場で働いていた。
- 勝山光司(かつやま こうじ)
- 英介の幼なじみ。30歳。身長180センチ。英介とは保育園以来の腐れ縁。1年を通して赤いアロハシャツが普段着。冬場は革ジャンを羽織る。
- 高校卒業後に地元を離れ、たびたび帰郷しては英介を騒動に巻き込んでいたが、30歳を迎えて地元に戻り、信用金庫の営業の仕事に就く。
- りょうせんマルシェで黒いベールをかぶり、紫色のミニ座布団に水晶玉を載せてエクセレント・コージの名前で占いの屋台を始める。
- 片倉真実子(かたくら まみこ)
- 英介と光司の中学までの同級生。30歳。通称「まみたん」。実家である陵泉寺の副住職を務め、りょうせんマルシェで法話を行っている。
- 高2の三学期にギャルになって以来、現在でも明るい茶色の巻き髪と派手なネイルでギャルメイクを続けている。元ソフトボール部のピッチャー。
周辺人物
ひかるリザードン
マッチ一本火事のもと
- 担任
- 英介たちが小学校4年の時の担任教師[ep 2]。回想シーンに登場。
- 光司らが田んぼのおたまじゃくしを根絶すると大量に捕まえて川へ放流したので、食物連鎖の崩壊を防ぐため捕獲禁止令を出した。
当たるも八卦、当たらぬも八卦
- 御崎華子(みさき はなこ)
- イオンの3階にある占い店「ハッピーフォーチュン占い」の占い師[ep 3]。
シールいかがですか
- よっちゃん
- 英介と光司の小中時代の同級生[ep 4][ep 5][ep 6]。ホームセンターの店員。保育園児と幼児の、二人の娘の父親。
- 別々の高校に進学後、英介や光司とは疎遠になって何処でどうしているのか分からなくなっていたが、英介とイオンのフードコートで偶然再会する。
- フットワークが軽く、光司が小学生の時に陵泉寺の鐘撞堂の近辺に高価なポケモンカードを埋める際に手伝っている。
- きあら
- よっちゃんの娘[ep 4][ep 5]。保育園児。
- 清水氏
- 真実子のファン[ep 4][ep 5][ep 6]。オタクっぽい雰囲気の、髪の長い赤縁メガネの女子。フォロワー数5千人のインスタグラマー。
- 清水氏のツレ
- 真実子のファン[ep 4]。オタクっぽい雰囲気の、マッシュルームカットに黒縁メガネの女子。
陵泉寺の鐘の声
あじさいの花咲く頃
用語
- 陵泉寺(りょうせんじ)
- 英介の通っていた小学校の学区の外れに位置する寺院。杉本酒店から約1キロ余り離れている。駐車場を備えており、北倉山の登山口にもなっている。
- 本堂は三十畳ほどの広さの和室で、三体の仏像が並んでいる。本堂を出て急な石畳を上がったところには鐘撞堂がある。紫陽花の名所。
- りょうせんマルシェ
- 毎月第三日曜に、陵泉寺で開催される屋台市。複数の露店やキッチンカーが出展され、飲食や地元の特産品などが販売され、本堂では真実子による法話が行われる。
- 杉本酒店
- 英介が店主を務める酒店。コンビニの半分くらいの広さながらちょっとした食料品や日用品も扱っており、近所の高齢者のライフラインとして機能している。
- 北倉山公園
- 北倉山の中腹に位置する公園。陵泉寺から徒歩約20分。英介たちが通っていた小学校では、春の遠足の行き先として定番となっていた。
書誌情報
- 単行本:2026年9月2日発売[1]、KADOKAWA、ISBN 978-4-04-116031-2
オーディオブック
Audible版
関連項目
- ポケモンカード - 作中を通して、そのカードの在り処を見つけ出すことが題材とされている。
脚注
出典
- 1 2 3 “ギャルにひかれて寺マルシェ”. KADOKAWA. KADOKAWA. 2026年6月30日閲覧。
- ↑ “「成瀬あかりシリーズ」宮島未奈の最新小説!『ギャルにひかれて寺マルシェ』9/2発売決定&予約開始!”. KADOKAWA. KADOKAWA (2026年6月29日). 2026年6月30日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 特別編集 2024年冬号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 特別編集 2025年冬号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 第266号 2026年3月号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 第267号 2026年4月号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 第268号 2026年5月号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 “小説 野性時代 第269号 2026年6月号”. KADOKAWA. 2026年9月25日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “【インタビュー】寺×ギャル×埋蔵金探し×ラブコメ!?エンタメ要素を全部詰めた自信作『ギャルにひかれて寺マルシェ』宮島未奈”. KADOKAWA (2026年9月18日). 2026年9月25日閲覧。
- ↑ “それいけ!平安部”. Audible, Inc. 2026年10月23日閲覧.
参照エピソード
外部リンク
- ギャルにひかれて寺マルシェ - KADOKAWA
- ギャルにひかれて寺マルシェ 特設サイト - KADOKAWA