クモマグサ

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クモマグサ
クモマグサ、剱岳の高山帯、富山県中新川郡上市町にて、2018年7月31日撮影
クモマグサ、2018年7月
剱岳の高山帯、富山県中新川郡上市町にて
分類(APG III)
界 : 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
目 : ユキノシタ目 Saxifragales
科 : ユキノシタ科 Saxifragaceae
属 : ユキノシタ属 Saxifraga
種 : チシマクモマグサ S. merkii
変種 : クモマグサ S. m. var. idsuroei
学名
Saxifraga merkii Fisch. ex Sternb. var. idsuroei (Franch. et Sav.) Engl. ex Matsum.[1]
和名
クモマグサ

クモマグサ(雲間草、学名:Saxifraga merkii Fisch. ex Sternb. var. idsuroei (Franch. et Sav.) Engl. ex Matsum.[1])は、ユキノシタ科ユキノシタ属に分類される小形の耐寒性多年草の高山植物の1種[2][3][4][5][6][7][8]。変種名のidsuroeiは伊藤圭介の子伊藤謙を意味する[8]。和名は雲が往来する高山に生えることに由来する。ユキノシタ科で寒さに強く、雪の間から花をのぞかせる事から雪を雲に見立てたのが由来。[3][5][6]。チシマイワブキ属(Micranthes)として分類されることもある[9]。

特徴

根茎は細く硬質で横にはい、分枝し、地上茎を叢生し[6][8]、地上茎は葉を密につける[5]。葉は長さ1-2.5 cm、幅2-6 mmの倒披針形で、葉の先がしばしば[5]3浅裂し[2][4]、基部は長いくさび形となり[3]。基本種のチシマクモマグサは葉先が分裂しない[6][7]。やや肉厚で表面にあらい毛があり、ふちには長い腺毛が列生する[3]。花茎は高さ3-10 cmで短い腺毛を密生し、通常1枚の小さな長楕円形で長さ5-8 mm[5]の葉をつける[3]。2-3個の苞は茎葉と同形[6]。

先端に1-4個の白色の5弁の径1.3 cmほど[5]の花を平開する[3]。萼筒は皿形で、萼裂片は卵形で円頭、長さ約3 mm、花時に平開する[5]。花弁は広卵形で[3]、鈍頭、長さ6-7 mm、基部は急に細まり明らかな短い[6]爪がある[5]。花弁の先端はチシマクモマグサよりとがる[7]。雄しべは10個[6]、長さ約5 mmで[5]花弁よりやや短い[8]。花糸は線形[5]。裂開前の葯は黄色で、先端が紅色を帯びる[5]。子房は上位で、花柱は短い[5]。花期は7-8月[3][4][5][6][7]。蒴果は広卵形で長さ6-7mm[5]、上半分が2中裂し、短い花柱が残る[8]。

分布と生育環境

御嶽山の高山帯の礫地に生育するクモマグサ

日本の固有種[4]。本州の御嶽山と飛騨山脈中北部のかなり狭い範囲[8]に分布する[2][4]。基準標本は御嶽山のもの[2][4]。

高山帯の頂上付近[7]の日当たりのよい[8]水湿に恵まれた[6]礫地や岩場に生育する[4][5]。

園芸店などで扱われているものは、セイヨウクモマグサで本種とは別種である。

チシマクモマグサ

チシマクモマグサ、北海道大雪山にて

チシマクモマグサ(千島雲間草、学名:Saxifraga merkii Fisch. ex Sternb. var. merkii[10])は、クモマグサの母種。北東アジア、日本の北海道の高山帯に分布する[2]。花期は7-8月[2]。本州のクモマグサとの違いは、葉の先が浅く3裂しないこと[2]。

種の保全状況評価

日本では環境省による国レベルのレッドリスト受けていないが[11]、長野県では絶滅危惧IB類(EN)の指定を受けている[12]。

脚注

  1. 1 2 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “クモマグサ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月18日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 豊国 (1988)、398頁
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 林 (2009)、423頁
  4. 1 2 3 4 5 6 7 清水 (2014)、155頁
  5. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 佐竹 (1982)、169頁
  6. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 小野 (1987)、478頁
  7. 1 2 3 4 5 久保田 (2007)、158頁
  8. 1 2 3 4 5 6 7 前沢 (1970)、88頁
  9. ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “クモマグサ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月18日閲覧。
  10. ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “チシマクモマグサ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月18日閲覧。
  11. ↑ “環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2023年12月18日閲覧。
  12. ↑ “長野県版レッドリスト(植物編)2014・維管束植物” (PDF). 長野県. pp. 8. 2023年12月18日閲覧。

参考文献

  • 小野幹雄、林弥栄『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079。 
  • 久保田修『高山の花―イラストでちがいがわかる名前がわかる』学習研究社、2007年6月。ISBN 978-4054029033。 
  • 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X。 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300。 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421。 
  • 前沢秋彦『高山植物』保育社〈標準原色図鑑全集 11〉、1970年1月。ISBN 4586320117。 

関連項目

外部リンク